経済四季報 2020年Ⅲ④ 景気偽装 消費税増税強行の失政
【ポイント】
①景気動向指数研究会が7月会合で景気の「山」を2018年10月と認定
②政府は偽りの景気回復論を振りまき、19年10月に10%への消費税増税を強行
③今年1月から8月の休廃業・解散企業は3万5816件、倒産は5457件
安倍晋三前政権が、景気後退局面で強行した消費税増税により、日本経済は出口の見えない厳しい状況が続いています。
18年10月が山
有識者が景気の「山」と「谷」を判断する内閣府の景気動向指数研究会は7月30日の会合で景気の「山」を暫定的に2018年10月としました。景気拡大局面が18年10月に終了し、その後、景気は後退していたと認定。安倍前政権が振りまいてきた景気拡大論が偽装したものであることが明らかになりました。
景気の拡大期間は71カ月にとどまり、戦後最長だった「いざなみ景気」(02年2月~08年2月)の73カ月に届きませんでした。その上、この間の経済成長率は年平均1・1%程度にとどまっており、「いざなぎ景気」(1965年11月~70年7月)の11・5%や「バブル景気」(86年12月~91年2月)の5・3%と比、はるかに低水準でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/de/4a2cfe629e5190cde55bfec461cceaf5.jpg)
専門家も疑問
気が後退しているにかわらず、19年1月当時の茂木敏充経済担当相が「戦後最長ったとみられる」と。安倍前首相も「戦長」の景気拡大だと返し、偽りの景気回復論を国民に振りまいてきました。しかし米中貿擦や中国経済の減速などにより、その後に公表された経済指標は悪化が目立ち、民間エコノミストからも政府の景気認識に対し疑問の声が上がりました。
にもかかわらず、19年10月、政府は消費税率10%への引き上げを強行しました。
増税の結果、個人消費は減少。数値の動向から機械的に算出する景気動向指数の基調判断では19年8月以降で「悪化」という判断が示されました。一方で政府は公式な景気認識を示す「月例経済報告」で新型コロナウイルス感染拡大の影響が出る前の今年2月まで景気動向指数とのずれがありながらも「回復」という表現を維持しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/e0/2914859bbf808fbb8c48f45bf1081dc8.jpg)
巣鴨地蔵通り商店街で買い物をする人たち=9月30日、東京都内
減税求める声
安倍前政権による2度の消費税増税は内需を冷え込ませました。さらに新型コロナウイルス感染症の拡大により日本経済は危機的状況に直面しています。
物価変動の影響を除いた実質国内総生産(GDP)は3四半期連続でマイナス成長に陥りました。9月8日に発表された20年4~6月期のGDP(季節調整済み)改定値は、実質で前期比7・9%減。この成長ペースが1年間続いた場合の年率換算では28・1%減でした。リーマン・ショック後の09年1~3月期(年率17・8%減)を超える戦後最悪の下落幅を記録しました。
民間信用調査会社の東京商工リサーチの発表によると、今年1月から8月の休廃業・解散企業は3万5816件で前年同期に比べ、23・9%も増えました。倒産は5457件に上ります。
消費税率10%引き上げから1年経過した現在、全国各地で減税を求める声が強まっています。内閣府の景気ウオッチャー調査には「消費税の引き下げ等の新たな景気対策を講じなければ、景気回復は見込めない」(衣料品専門店)、「現金給付や消費税減税等の対応を急いでほしい」(コンビニ経営者)といった意見が寄せられています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年10月2日付掲載
「いざなみ景気」を上回るのではとささやかれていた「アベ景気」。
でも、実際は偽装だった。そのもとでの消費税増税。景気後退をさらなる後退に…。
今こそ消費税の減税が求められています。
【ポイント】
①景気動向指数研究会が7月会合で景気の「山」を2018年10月と認定
②政府は偽りの景気回復論を振りまき、19年10月に10%への消費税増税を強行
③今年1月から8月の休廃業・解散企業は3万5816件、倒産は5457件
安倍晋三前政権が、景気後退局面で強行した消費税増税により、日本経済は出口の見えない厳しい状況が続いています。
18年10月が山
有識者が景気の「山」と「谷」を判断する内閣府の景気動向指数研究会は7月30日の会合で景気の「山」を暫定的に2018年10月としました。景気拡大局面が18年10月に終了し、その後、景気は後退していたと認定。安倍前政権が振りまいてきた景気拡大論が偽装したものであることが明らかになりました。
景気の拡大期間は71カ月にとどまり、戦後最長だった「いざなみ景気」(02年2月~08年2月)の73カ月に届きませんでした。その上、この間の経済成長率は年平均1・1%程度にとどまっており、「いざなぎ景気」(1965年11月~70年7月)の11・5%や「バブル景気」(86年12月~91年2月)の5・3%と比、はるかに低水準でした。
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専門家も疑問
気が後退しているにかわらず、19年1月当時の茂木敏充経済担当相が「戦後最長ったとみられる」と。安倍前首相も「戦長」の景気拡大だと返し、偽りの景気回復論を国民に振りまいてきました。しかし米中貿擦や中国経済の減速などにより、その後に公表された経済指標は悪化が目立ち、民間エコノミストからも政府の景気認識に対し疑問の声が上がりました。
にもかかわらず、19年10月、政府は消費税率10%への引き上げを強行しました。
増税の結果、個人消費は減少。数値の動向から機械的に算出する景気動向指数の基調判断では19年8月以降で「悪化」という判断が示されました。一方で政府は公式な景気認識を示す「月例経済報告」で新型コロナウイルス感染拡大の影響が出る前の今年2月まで景気動向指数とのずれがありながらも「回復」という表現を維持しました。
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巣鴨地蔵通り商店街で買い物をする人たち=9月30日、東京都内
減税求める声
安倍前政権による2度の消費税増税は内需を冷え込ませました。さらに新型コロナウイルス感染症の拡大により日本経済は危機的状況に直面しています。
物価変動の影響を除いた実質国内総生産(GDP)は3四半期連続でマイナス成長に陥りました。9月8日に発表された20年4~6月期のGDP(季節調整済み)改定値は、実質で前期比7・9%減。この成長ペースが1年間続いた場合の年率換算では28・1%減でした。リーマン・ショック後の09年1~3月期(年率17・8%減)を超える戦後最悪の下落幅を記録しました。
民間信用調査会社の東京商工リサーチの発表によると、今年1月から8月の休廃業・解散企業は3万5816件で前年同期に比べ、23・9%も増えました。倒産は5457件に上ります。
消費税率10%引き上げから1年経過した現在、全国各地で減税を求める声が強まっています。内閣府の景気ウオッチャー調査には「消費税の引き下げ等の新たな景気対策を講じなければ、景気回復は見込めない」(衣料品専門店)、「現金給付や消費税減税等の対応を急いでほしい」(コンビニ経営者)といった意見が寄せられています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年10月2日付掲載
「いざなみ景気」を上回るのではとささやかれていた「アベ景気」。
でも、実際は偽装だった。そのもとでの消費税増税。景気後退をさらなる後退に…。
今こそ消費税の減税が求められています。