経済四季報 2020年Ⅲ③ 国内景気 個人消費冷え非正規に打撃
【ポイント】
①20年4~6月期GDP改定値が戦後最悪を記録。コロナ感染症の影響が鮮明に
②コロナ関連破綻が累計536件発生。9月単月で95件と、再び増加傾向にある
③コロナ解雇6万人超。増加ペース加速。飲食業を中心に非正規雇用に打撃集中
新型コロナウイルスの感染拡大により、国内景気は厳しい情勢が続いています。
GDP減最悪
2020年4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は、前期比実質7・9%減、年率で28・1%減となり、リーマン危機時を上回る戦後最悪を記録しました。感染の終息が見通せない中、倒産や人員削減を選択する企業が相次いでいます。
民間信用調査会社の東京商工リサーチによると、9月29日現在、「新型コロナ」関連破綻(負債1000万円以上)は2月からの累計で536件発生。6月に単月最多の103件を記録して以降減少傾向にあったものの、9月単月で95件と、再び増加基調に転じています。
業種別では、飲食業が最多の82件。次いでアパレル関連59件、宿泊業48件と続きます。負債100億円以上の大型倒産も3件発生しており、影響は事業規模を問わず全国に拡大しています。
背景にあるのは個人消費の低迷です。内閣府は個人消費について、9月の月例経済報告を下方修正。8月の「このところ持ち直している」との表現に「一部に足踏みもみられる」を付け加えました。緊急事態宣言が5月25日に解除されたものの、感染拡大を懸念し、外食などを控える消費者が増えているとみられます。

閑散としている成田空港第3ターミナル=8月19日
雇用環境悪化
雇用環境の悪化も鮮明です。厚生労働省が把握しているだけでも、9月25日現在、コロナ感染症に起因する解雇者数は見込みを含め6万923人を記録。増え方も加速しており、8月末に5万人を超えてからわずか3週間強で1万人以上膨れ上がりました。
雇用悪化の影響は非正規労働者に集中しています。7月の労働力調査によると、役員を除く非正規の職員・従業員数は前年同月比131万人減となり、比較可能な2014年1月以降、最大の下落幅を更新しました。男女別では、男性50万人減に対し、女性は81万人減と61%を占めます。非正規雇用の多い女性にしわ寄せが集中している実態が浮き彫りとなりました。
7月の有効求人倍率(季節調整値)も1・08倍と14年4月以降6年3カ月ぶりの低水準を記録。労働力需要の減退も一段と鮮明になっています。
国内経済の主な出来事(7月~9月)
先行き不安視
全国中小企業団体中央会が公表した8月の中小企業月次景況調査には、先行きを不安視する声が多数寄せられました。
「受注が戻らなければ人員削減も考えなければならない」(岐阜県/紙加工品)、「終息したとしても仕事量が戻らないじゃないかと不安の声も出だし従業員の給料カット、人数を減らすと言う声も出ている」(兵庫県/印刷業)など、状況は深刻です。企業の経営悪化が長期化することで、雇用環境の持ち直しも一段と遠のくことが危惧されます。
菅義偉首相は看板政策として、国民監視を強める恐れのある「デジタル庁」の創設を宣言。国民に対しては「自助」を強調し、コロナで疲弊した国民への支援策には後ろ向きの姿勢を示しています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年10月1日付掲載
緊急事態宣言が解除されても、人の動きは急には戻らない。
都市部の繁華街では、飲食業など戻ってきているが…。
中小旅行業者は「GoTo」の恩恵にあずかれない。
収益悪化した企業への直接支援が求められています。
【ポイント】
①20年4~6月期GDP改定値が戦後最悪を記録。コロナ感染症の影響が鮮明に
②コロナ関連破綻が累計536件発生。9月単月で95件と、再び増加傾向にある
③コロナ解雇6万人超。増加ペース加速。飲食業を中心に非正規雇用に打撃集中
新型コロナウイルスの感染拡大により、国内景気は厳しい情勢が続いています。
GDP減最悪
2020年4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は、前期比実質7・9%減、年率で28・1%減となり、リーマン危機時を上回る戦後最悪を記録しました。感染の終息が見通せない中、倒産や人員削減を選択する企業が相次いでいます。
民間信用調査会社の東京商工リサーチによると、9月29日現在、「新型コロナ」関連破綻(負債1000万円以上)は2月からの累計で536件発生。6月に単月最多の103件を記録して以降減少傾向にあったものの、9月単月で95件と、再び増加基調に転じています。
業種別では、飲食業が最多の82件。次いでアパレル関連59件、宿泊業48件と続きます。負債100億円以上の大型倒産も3件発生しており、影響は事業規模を問わず全国に拡大しています。
背景にあるのは個人消費の低迷です。内閣府は個人消費について、9月の月例経済報告を下方修正。8月の「このところ持ち直している」との表現に「一部に足踏みもみられる」を付け加えました。緊急事態宣言が5月25日に解除されたものの、感染拡大を懸念し、外食などを控える消費者が増えているとみられます。

閑散としている成田空港第3ターミナル=8月19日
雇用環境悪化
雇用環境の悪化も鮮明です。厚生労働省が把握しているだけでも、9月25日現在、コロナ感染症に起因する解雇者数は見込みを含め6万923人を記録。増え方も加速しており、8月末に5万人を超えてからわずか3週間強で1万人以上膨れ上がりました。
雇用悪化の影響は非正規労働者に集中しています。7月の労働力調査によると、役員を除く非正規の職員・従業員数は前年同月比131万人減となり、比較可能な2014年1月以降、最大の下落幅を更新しました。男女別では、男性50万人減に対し、女性は81万人減と61%を占めます。非正規雇用の多い女性にしわ寄せが集中している実態が浮き彫りとなりました。
7月の有効求人倍率(季節調整値)も1・08倍と14年4月以降6年3カ月ぶりの低水準を記録。労働力需要の減退も一段と鮮明になっています。
国内経済の主な出来事(7月~9月)
7/7 | 消費支出が実質で前年同月比16.2%減。過去最大の下落幅を記録 |
7/22 | 「GoToトラベル」キャンペーン開始 |
7/30 | 内閣府、景気が2018年10月をピークに後退入りしたと認定 |
8/19 | 7月の輸出額、前年と比べて19.2%減 |
8/25 | 7月の外食売上高15%減 |
9/1 | 7月の非正規雇用者数が前年同月比131万人減 |
9/8 | 4~6月期の国内総生産、年率28.1%減に下方修正 |
9/16 | 菅義偉政権が発足 |
9/18 | 訪日外国人数が99.7%減 |
9/23 | 1~8月の休廃業、23.9%増 |
9/23 | コロナ解雇6万人超す |
先行き不安視
全国中小企業団体中央会が公表した8月の中小企業月次景況調査には、先行きを不安視する声が多数寄せられました。
「受注が戻らなければ人員削減も考えなければならない」(岐阜県/紙加工品)、「終息したとしても仕事量が戻らないじゃないかと不安の声も出だし従業員の給料カット、人数を減らすと言う声も出ている」(兵庫県/印刷業)など、状況は深刻です。企業の経営悪化が長期化することで、雇用環境の持ち直しも一段と遠のくことが危惧されます。
菅義偉首相は看板政策として、国民監視を強める恐れのある「デジタル庁」の創設を宣言。国民に対しては「自助」を強調し、コロナで疲弊した国民への支援策には後ろ向きの姿勢を示しています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年10月1日付掲載
緊急事態宣言が解除されても、人の動きは急には戻らない。
都市部の繁華街では、飲食業など戻ってきているが…。
中小旅行業者は「GoTo」の恩恵にあずかれない。
収益悪化した企業への直接支援が求められています。