経済四季報 2020年Ⅲ⑤ GoTo トラベル効果は見えず
【ポイント】
①新型コロナ再拡大のもとでGoToトラベル事業開始。効果は見えず
②コロナ本格流行予想の冬を前にレジャー客増える。航空客は回復が見通せず
③訪日外国人客数99・7%減。外国人観光消費は依然として「蒸発」したまま
新型コロナウイルスが収束した後に実施するとされていたGoToトラベル事業は、新型コロナウイルスが再拡大するもと、8月上旬の開始予定も前倒しし、東京を除外して7月22日から実施されました。
恩恵は大手に
GoToトラベル事業は、給付金の予算が1兆1248億円、事務費の予算が2294億円に達します。
観光庁の宿泊旅行統計調査によると、国内における8月の日本人のべ宿泊者数は2605万人(前年同月比51・5%減)。7月の2135万人(前年同月比47・9%減)から470万人の増加です。8月は前年からの減少幅も7月と比べて大きくなりました。
国土交通省は、8月末までにのべ約1339万人がGoToトラベルを利用したとしますが、8月の宿泊者数の増え方は開始前の6月、7月と変わらず、効果は見えません。(グラフ)
また、GoToトラベルは大手旅行サイトを通じた予約が主流で、補助の上限額1泊2万円を利用するには1泊4万円の部屋となるなど、大手の旅行会社と旅館が恩恵を受けやすくなっています。

航空回復せず
9月22日までの連休は、国内の航空便がほぼ満席になる時間帯もあり、高速道路の渋滞や各地で行列ができました。新型コロナウイルス感染症の拡大が予想される冬を前に、これまで旅行などを控えてきた人たちが、つめかけました。
GoToトラベル事業の開始前でも、自粛生活からの息抜きとして、レジャーへの要望が高まっていました。新型コロナウイルスへの対策として、近場の屋外で楽しめる場所に、乗用車で行く傾向があります。
航空への需要は、連休などの時期を除いて回復していません。
国土交通省の航空輸送統計によると、7月の国内航空旅客数は300万人で前年同月比66・9%減。国際航空旅客数は、5・7万人で前年同月比97・3%減と厳しい状況が続いています。

羽田空港国内線の出発ロビーに掲示されている「Go To トラベル」のポスター=10月1日、東京都大田区
外国人戻らず
外国人の観光客は依然、戻っていません。日本政府観光局によると2020年8月に日本を訪れた外国人客数は8700人で前年同月比99・7%減。11カ月連続で前年同月を下回りました。
新型コロナウイルス感染症で、日本への上陸拒否、検疫強化の対象となる国がほとんどで、多くの国が海外渡航などの制限をしているためです。
昨年7月には299万人、8月には252万人の外国人が日本を訪れていました。
観光庁の訪日外国人消費動向調査は、2020年4~6月期、7~9月期とも中止になりましたが、99%よりも大きい減少が予想されます。2019年7~9月期の訪日外国人の消費額は1兆1818億円。この額が「蒸発」しました。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年10月3日付掲載
6月から8月にかけて、宿泊客は持ち直してきていますが、「GoToトラベル」の効果とみられるものはありません。
むしろ近場のドライブで楽しんでいるのが実態。
インバウンド頼みの外国人客は戻ってきていません。
【ポイント】
①新型コロナ再拡大のもとでGoToトラベル事業開始。効果は見えず
②コロナ本格流行予想の冬を前にレジャー客増える。航空客は回復が見通せず
③訪日外国人客数99・7%減。外国人観光消費は依然として「蒸発」したまま
新型コロナウイルスが収束した後に実施するとされていたGoToトラベル事業は、新型コロナウイルスが再拡大するもと、8月上旬の開始予定も前倒しし、東京を除外して7月22日から実施されました。
恩恵は大手に
GoToトラベル事業は、給付金の予算が1兆1248億円、事務費の予算が2294億円に達します。
観光庁の宿泊旅行統計調査によると、国内における8月の日本人のべ宿泊者数は2605万人(前年同月比51・5%減)。7月の2135万人(前年同月比47・9%減)から470万人の増加です。8月は前年からの減少幅も7月と比べて大きくなりました。
国土交通省は、8月末までにのべ約1339万人がGoToトラベルを利用したとしますが、8月の宿泊者数の増え方は開始前の6月、7月と変わらず、効果は見えません。(グラフ)
また、GoToトラベルは大手旅行サイトを通じた予約が主流で、補助の上限額1泊2万円を利用するには1泊4万円の部屋となるなど、大手の旅行会社と旅館が恩恵を受けやすくなっています。

航空回復せず
9月22日までの連休は、国内の航空便がほぼ満席になる時間帯もあり、高速道路の渋滞や各地で行列ができました。新型コロナウイルス感染症の拡大が予想される冬を前に、これまで旅行などを控えてきた人たちが、つめかけました。
GoToトラベル事業の開始前でも、自粛生活からの息抜きとして、レジャーへの要望が高まっていました。新型コロナウイルスへの対策として、近場の屋外で楽しめる場所に、乗用車で行く傾向があります。
航空への需要は、連休などの時期を除いて回復していません。
国土交通省の航空輸送統計によると、7月の国内航空旅客数は300万人で前年同月比66・9%減。国際航空旅客数は、5・7万人で前年同月比97・3%減と厳しい状況が続いています。

羽田空港国内線の出発ロビーに掲示されている「Go To トラベル」のポスター=10月1日、東京都大田区
外国人戻らず
外国人の観光客は依然、戻っていません。日本政府観光局によると2020年8月に日本を訪れた外国人客数は8700人で前年同月比99・7%減。11カ月連続で前年同月を下回りました。
新型コロナウイルス感染症で、日本への上陸拒否、検疫強化の対象となる国がほとんどで、多くの国が海外渡航などの制限をしているためです。
昨年7月には299万人、8月には252万人の外国人が日本を訪れていました。
観光庁の訪日外国人消費動向調査は、2020年4~6月期、7~9月期とも中止になりましたが、99%よりも大きい減少が予想されます。2019年7~9月期の訪日外国人の消費額は1兆1818億円。この額が「蒸発」しました。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年10月3日付掲載
6月から8月にかけて、宿泊客は持ち直してきていますが、「GoToトラベル」の効果とみられるものはありません。
むしろ近場のドライブで楽しんでいるのが実態。
インバウンド頼みの外国人客は戻ってきていません。