きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

写真は語る② 内側から表現する思い

2021-05-21 07:20:22 | 赤旗記事特集
写真は語る② 内側から表現する思い
大藪順子(のぶこ)

2016年から「横浜インターナショナルユースフォトプロジェクト」なるものを手掛けている。
このプロジェクトでは、外国につながる中高生が彼らの目線で横浜を切り取り、いわゆる一般の日本人が彼らの世界を内側から見せてもらうというものだ。
外国につながるつながらないに関係なく、一人ひとりの視点が違うのは当然だ。「真を写す」写真は、実際に他人の目線で物事を見ることを可能にする。いつもの風景が違って見えてこそ私たちは違いに気づき、それについて考えることができる。違いを受け入れるか否かは個人の勝手だが、少なくとも対話はそこから始まるだろう。



2019年度参加中学生 ©2020 Nobuko Oyabu All Rights Reserved

このプロジェクトのきっかけは15年、川崎での中学1年生の殺害事件だ。関与したのは外国につながる若者たち。長年日本の外で外国人として暮らし、犯罪被害者になった経験のある私にとって、この事件は誰かの怒りが弱者へ向けられる構図の象徴として映った。そして、怒りの表現は暴力でなくても可能であることを若者たちへ伝えたいと思ったのだ。
そのためには、まず彼らのような若者が自由に表現することがよしとされる場所を作ることが必要だ。その言い訳として「写真やってみない?」と若者たちを誘ってみた。
ワークショップでは、撮った本人が写真について語ることを繰り返す。その中でレンズを通して自分が生きる社会を直視し、なぜこの被写体に惹かれたのか、なぜこのように撮ったのか等、普段考えたこともないことに気を配らせる。その過程の中で、彼らは独自の感性と創造力を発揮して、思いを写真で表現するようになる。
「あなたにしか撮れない写真とはなんだろう」と繰り返される問いかけに、特に日本の中で必死に同化しようと思ってきた子たちは、オリジナルでよしとされることを家庭の外でも経験し、少しずつ自分でいることに自信をつけていく。
(フォトジャーナリスト、コラムニスト)(金曜掲載)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月9日付掲載


レンズを通して自分が生きる社会を直視し、なぜこの被写体に惹かれたのか、なぜこのように撮ったのか等を考えさせる。
その過程の中で、彼らは独自の感性と創造力を発揮して、思いを写真で表現するようになる。
写真は、ただただ、撮った、写っているだけじゃなくって、どのように表現するかが大事。
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