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きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

写真は語る⑤ 内なる声を見出す

2021-05-24 06:31:41 | 赤旗記事特集
写真は語る⑤ 内なる声を見出す
大藪順子(のぶこ)

私が代表を務める団体「Picture This Japan」は、報道で被写体になりがちな人たちが写す側になることで、自らの世界と思いを写真で表現する活動を行ってきた。当事者の視点で伝えることが何よりも社会を変える力になることを、実際に経験してきたからだ。
アメリカでまだ性暴力自体が軽視され、被害者が顔を出して実名で語ることがタブーだった2000年代初期、アメリカとカナダで約70人の性暴力被害者を取材撮影した。
このプロジェクトは、東はワシントンの政府ビルから西はハワイの刑務所まで全米で展覧会となった。写真に写る彼女彼らは、観る人をじっと見つめ返し、被害者という肩書の裏にいる一人の人として静かに語ってくれる。
なぜ多くの人が私に撮影許可をくれたのか。それは、1枚1枚の写真の裏に1~2年かけた関係作りがあったからだが、同時に私自身が当事者であるからこそ入っていけた世界なのだ。



「STAND Still」ワークショップでの作品 ©2020 Nobuko Oyabu All Rights Reserved 自由を奪われた被害者の思いを撮ったもの

2019年に新しく「STAND Still-性暴力サバイバービジュアルポイス」というプロジェクトを立ち上げた。ここでは、私が被害者を撮るのではなく、被害者自身がカメラの後ろに立つ。
初年度の参加者が運営委員会を築き、昨年も十数人が思いを写すことに取り組んだ。今年度も始まる準備が進んでいる。
被害体験を語るかどうか、作品を展示するか否かも本人が決める。心の安全を守るために「みんなで声を上げよう」という雰囲気は作らず、決定権を被害者自身に委ねることを徹底する。声を上げないのもその人の権利であり尊重されるべきだし、人それぞれ心の回復にかかる時間も形も違うのだ。
無意識に撮った写真の中に自分の在り方を見てはっとする時がある。写真は撮影者自身にも語りかける。そんな自己啓発を通して、参加者たちは自分の内なる声を見いだしていく。自分のためにカメラを手に取って自身と向き合うこと。最終的にそれは社会全体のためにもなる。
(フォトジャーナリスト、コラムニスト)(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月30日付掲載


当事者の視点で写真を撮る。性的被害者が自らカメラを構えて被写体になる。
ということで、よりリアルに実態に迫ることが出来る。
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