周体制10年 「強さ」と「ひずみ」 中国共産党大会を前に⑤ ナショナリズム 強硬な外交姿勢で支持
中国はこの10年、「中華民族の偉大な復興」を掲げ、「大国外交」を推し進めてきたと自負しています。元最高実力者の鄧小平(とう・しょうへい)が1980年代から提唱してきた「韜光養晦」(とうこうようかい)の外交方針はすでに終わったとみられています。鋭気や才能を隠して各国との融和姿勢を取る「韜光養晦」の立場から、「米国がつくった第2次世界大戦後の国際秩序をつくり変える方向に動き始めた」と述べる中国の研究者もいます。
周辺と関係悪化
習近平指導部は、巨大経済圏構想「一帯一路」建設に力を入れ、自国の発展とともに各国の共同発展を追求するという「人類運命共同体」などの理念を唱えてきました。途上国支援に力を入れる一方、南シナ海や東シナ海などで権益を拡大しようと動き、近隣諸国との関係は悪化しています。
欧米諸国は、中国当局による新彊ウイグル自治区や香港などでの弾圧・人権侵害を批判し、権力集中などの権威主義の高まりや強硬な外交姿勢に警戒を強めてきました。ロシアのウクライナ侵略では、中国は国連憲章は大事だとしながらも、ロシア批判を避け続けています。
党大会に合わせて北京で開かれている展覧会で、外交に関する展示を見る人たち=10月12日
西側に対抗意識
米国は、18年以降、中国を「戦略的競争相手」として、対抗姿勢を強めてきました。バイデン政権も、経済競争にとどまらず、「民主対専制」との旗印で、同盟国と連携した中国包囲網をいっそう強めています。
台湾をめぐり、8月のペロシ米下院議長の訪台に中国は強く反発し、台湾周辺で軍事演習を実施。中国政府は台湾の「平和統一の堅持」を強調しながらも、武力行使も放棄しないことも明確にしており、米中の軍事衝突が懸念される事態になっています。
「台湾独立勢力が戦争を始めれば、中国は中台の平和統一を放棄し、武力で台湾を統一せざるを得ない」(中国人民大学の金燦栄〈きん・さんえい〉教授)などの主張が中国メディアで流され、国内ではこうした強硬意見に支持が集まっています。
東アジア情勢を研究するある中国の元大学教授は、強硬外交を後押しする国民のナショナリズムに懸念を示します。「『中華民族の偉大な復興』をめざす習指導部は、中国は強国になったという宣伝を強めている。この宣伝により、国民のナショナリズムが高まり、西側諸国への強硬な姿勢が支持を集めている。西側諸国との妥協は、国内の反発を招くため、より強い外交姿勢を取らざるを得なくなっている」
(おわり)(北京=小林拓也写真も)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年10月14日付掲載
習近平指導部は、巨大経済圏構想「一帯一路」建設に力を入れ、自国の発展とともに各国の共同発展を追求するという「人類運命共同体」などの理念を。途上国支援に力を入れる一方、南シナ海や東シナ海などで権益を拡大しようと動き、近隣諸国との関係は悪化。
中国は強国になったという周政権。西側諸国との妥協は、国内の反発を招くため、より強い外交姿勢を取らざるを得なくなっている。
中国はこの10年、「中華民族の偉大な復興」を掲げ、「大国外交」を推し進めてきたと自負しています。元最高実力者の鄧小平(とう・しょうへい)が1980年代から提唱してきた「韜光養晦」(とうこうようかい)の外交方針はすでに終わったとみられています。鋭気や才能を隠して各国との融和姿勢を取る「韜光養晦」の立場から、「米国がつくった第2次世界大戦後の国際秩序をつくり変える方向に動き始めた」と述べる中国の研究者もいます。
周辺と関係悪化
習近平指導部は、巨大経済圏構想「一帯一路」建設に力を入れ、自国の発展とともに各国の共同発展を追求するという「人類運命共同体」などの理念を唱えてきました。途上国支援に力を入れる一方、南シナ海や東シナ海などで権益を拡大しようと動き、近隣諸国との関係は悪化しています。
欧米諸国は、中国当局による新彊ウイグル自治区や香港などでの弾圧・人権侵害を批判し、権力集中などの権威主義の高まりや強硬な外交姿勢に警戒を強めてきました。ロシアのウクライナ侵略では、中国は国連憲章は大事だとしながらも、ロシア批判を避け続けています。
党大会に合わせて北京で開かれている展覧会で、外交に関する展示を見る人たち=10月12日
西側に対抗意識
米国は、18年以降、中国を「戦略的競争相手」として、対抗姿勢を強めてきました。バイデン政権も、経済競争にとどまらず、「民主対専制」との旗印で、同盟国と連携した中国包囲網をいっそう強めています。
台湾をめぐり、8月のペロシ米下院議長の訪台に中国は強く反発し、台湾周辺で軍事演習を実施。中国政府は台湾の「平和統一の堅持」を強調しながらも、武力行使も放棄しないことも明確にしており、米中の軍事衝突が懸念される事態になっています。
「台湾独立勢力が戦争を始めれば、中国は中台の平和統一を放棄し、武力で台湾を統一せざるを得ない」(中国人民大学の金燦栄〈きん・さんえい〉教授)などの主張が中国メディアで流され、国内ではこうした強硬意見に支持が集まっています。
東アジア情勢を研究するある中国の元大学教授は、強硬外交を後押しする国民のナショナリズムに懸念を示します。「『中華民族の偉大な復興』をめざす習指導部は、中国は強国になったという宣伝を強めている。この宣伝により、国民のナショナリズムが高まり、西側諸国への強硬な姿勢が支持を集めている。西側諸国との妥協は、国内の反発を招くため、より強い外交姿勢を取らざるを得なくなっている」
(おわり)(北京=小林拓也写真も)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年10月14日付掲載
習近平指導部は、巨大経済圏構想「一帯一路」建設に力を入れ、自国の発展とともに各国の共同発展を追求するという「人類運命共同体」などの理念を。途上国支援に力を入れる一方、南シナ海や東シナ海などで権益を拡大しようと動き、近隣諸国との関係は悪化。
中国は強国になったという周政権。西側諸国との妥協は、国内の反発を招くため、より強い外交姿勢を取らざるを得なくなっている。