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コロナ「崩壊」阻止へ 医療・介護の現場から① 感染病床削った責任重い 患者受け入れ費用補償を

2020-05-14 09:24:32 | 新型コロナウイルス
コロナ「崩壊」阻止へ 医療・介護の現場から① 感染病床削った責任重い 患者受け入れ費用補償を
日本医療福祉生活協同組合連合会専務理事 片山忍さん

新型コロナウイルス感染の拡大と長期化のもとで、医療と介護のサービス基盤の「崩壊」を食い止め、基盤を強化することが急務となっています。厳しい現場の実態と求められる国の補償や支援について、医療や介護の事業を行う団体の代表に聞きました。(内藤真己子)




いま会員生協の医療機関や介護事業所は、全国でコロナ感染症拡大と対峙(たいじ)し、命がけでたたかっています。
ある地域(医療圏)で中核的な機能を果たすA病院は、クラスター(感染者集団)が発生した介護施設の陽性患者や陽性疑いの方、10人を受け入れました。A病院は感染症指定医療機関ではなく、介護施設とは50キロも離れていました。しかし感染拡大で指定医療機関の感染症病床だけでは受け入れが不可能となり、一般病床への受け入れを求める自治体当局の要請を受けたものです。

万全の対策でも
病棟の1区画の入り口を分けて、他とは動線が交錯しない12床のコロナ対応病床をつくりました。担当看護師を固定化し、通常より厚い看護体制を敷きました。保健所の指導も受け、N95マスクやガウンなどの防護具を集め、着脱の手順や感染防止の基準を再確認する研修などしっかり対策して患者を受け入れました。
ところがしばらくして複数の職員の感染が確認され、3週間にわたり一般と救急の外来、新規入院患者の受け入れを中止しました。感染者以外の約500人の職員にもPCR検査を実施しました。さいわい全員の陰性が確認され、ようやく再開できるようになりました。
A病院は災害拠点病院で、高度急性期医療を提供できる体制を備えています。感染防御の専門性を持つ医師や看護師がおり、最善を尽くしたにもかかわらず結果的に院内での感染が広がりました。患者さんに介護必要度の高い方が多く、身体的に密着する看護・介護が必要だったこともありますが、新型コロナ感染症はとても感染力の強いウイルスとの印象を持ちました。
やはり感染者は感染症指定医療機関に入院できる体制が必要だったと思います。設備も人員体制も、感染症に特化した病院と一般病院とでは違います。
ところが感染症病床は、「医療費抑制」「採算重視」の国の政策のもと、20年で半分強近くへ大幅に削減され、全国に1900床弱しかありません。すでに約1万5000人を超えた感染者数にまったく対応できていません。近年、MERS感染症など新型の感染症の脅威が明らかだったのに、備えることを怠ってきた政府の責任は重いと考えます。
安倍政権は「地域医療構想」で急性期病床を削減する政策を進めています。その結果もあって先に紹介した介護施設は近くに受け入れ病院がなく、50キロも離れたA病院へ高齢の患者さんを運ぶしかなかったと思われます。

地域医療が停止
A病院は医療圏において、救急車で搬送される救急患者の約半分を引き受けています。この医療圏には小児科病床も産婦人科病床もここしかありません。そのような病院の機能が3週間もストップしました。「地域医療構想」にもとつく病床削減は見直しが必要です。
また、感染患者の病床確保に協力した医療機関に対して、感染対策の支出増と減収分を補う補償を求めます。
いま全国の医療機関や介護事業所は、感染対策の支出増と、受診・利用控えなどによる経営の悪化が深刻です。医療や介護の基盤を守るために、公費による抜本的な財政支援が欠かせません。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年5月11日付掲載


効率優先で、感染者病棟を減らしてきたツケが、今出てきている。
一般病院も感染者を受け入れせざるをえなくなる。そのための財政援助は不可欠。


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