きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

猫めぐり3 ゆったり南の島  関 由香

2008-03-03 22:40:32 | 日常生活
猫めぐり3  2008年2月28日

【しんぶん赤旗日刊紙 毎週木曜日に掲載】

猫専門の写真家  関 由香

ゆったり 南の島



 七十人の村人が住む長崎・五島列島の黄島(おうしま)。
島の人々いわ.く、この島は人の数より猫の数の方が多いという。道を歩けば岩影や畑など、さまざまなところで猫に出会えたが、ここではいつもと少し様子が違う気がした。何者かの視線を感じてふと見ると、そこに猫がいて、猫が誘(いぶか)しげな表情でじっと私を見ているのだ。それはまるで猫に観察されているようだった。人より猫が多いだけあって、猫の存在感や態度が大きく感じられる。
 ある家の庭先では十匹もの猫がひなたぽっこをしていた。その中の一匹が家の扉を自分で開けて中へと入っていった。私はしばらく家の周辺を散策して、再び戻ってくると、あんなにいた猫の姿が一匹も見えなくなっていた。すると、家の中からおばあさんと一緒に十匹の猫たちがわらわらと出てきた。話を訊(き)くと、猫にエサを与えているうちに猫の数が増えていき、家の中にまで上がってくるようになってしまったのだという。おばあさんの家は猫にとってとても居心地がいいらしい。
 島の猫たちは人になついているわけではなく、1メートル以内に距離を縮めようとすると、一目散に逃げていってしまう。猫の自然な姿や表情を捉(とら)えたい私は、猫の警戒心が和らぐよう身を屈(かが)めてじっとチャンスを待つのだが、その姿は猫に警戒されずとも、人に警戒されるかもしれない。でも、そんな私にも島の人々は優しく、「猫は撮れましたか?」と声をかけてくれる。島はゆったりした時間が流れ、猫たちものびのびと暮らしているようだ。


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