猫めぐり 2 2008年2月21日
【しんぶん赤旗日刊紙 毎週木曜日に掲載】
猫専門の写真家 関 由香
下町の猫家族
昔ながらの木造住宅と近代的なマンションが建ち並ぶ、東京の下町の路地の一角にひっそりと停(たたず)むお地蔵さん。目の前の坂道は一方通行ながらも交通量が意外と多く、抜け道として利用されているようだ。お地蔵さんに奉られた何層にも重なり合った色とりどりの千羽鶴が、そこに眠るものへの弔いと地元の人々の祈りが今も毎日捧げられていることを窺(うかが)せた。
ここを通りかかったとき、突然私の前を一匹の子猫がよぎった。思わず後を追っかけていくと、そこにはなんと猫の家族がいた。キジ猫と黒猫の両親に、子猫六匹。予期せぬ出会いにうれしくなり、私は毎日のようにここへ通った。暖かい昼間はお地蔵さんの屋根の上で気持ち良さそうに日なたぼっこをして、日が暮れると地蔵尊の後ろで親子で身を寄せ合って寒さをしのいでいた。近所の人々に餌をもらいながら暮らし、子猫たちは交通量の多い路地のそぽで、親猫から都会で生きる術(すべ)を学びながら日々たくましく成長している。
私が写真を撮り続けていると、近所のおばさんが話しかけてきて、この辺には二、三家族の猫が暮らしていることや、母猫目当てで毎日訪ねてくるものの、相手にしてもらえない健気(けなげ)なオス猫がいるという笑い話もしてくれて、すっかり仲良くなった。人情の絶えない下町で、猫たちは近所の人々に愛され見守られながら暮らしている。その猫たちが、こうした人々との温かい触れ合いをもたらしてくれたのだった。
【しんぶん赤旗日刊紙 毎週木曜日に掲載】
猫専門の写真家 関 由香
下町の猫家族
昔ながらの木造住宅と近代的なマンションが建ち並ぶ、東京の下町の路地の一角にひっそりと停(たたず)むお地蔵さん。目の前の坂道は一方通行ながらも交通量が意外と多く、抜け道として利用されているようだ。お地蔵さんに奉られた何層にも重なり合った色とりどりの千羽鶴が、そこに眠るものへの弔いと地元の人々の祈りが今も毎日捧げられていることを窺(うかが)せた。
ここを通りかかったとき、突然私の前を一匹の子猫がよぎった。思わず後を追っかけていくと、そこにはなんと猫の家族がいた。キジ猫と黒猫の両親に、子猫六匹。予期せぬ出会いにうれしくなり、私は毎日のようにここへ通った。暖かい昼間はお地蔵さんの屋根の上で気持ち良さそうに日なたぼっこをして、日が暮れると地蔵尊の後ろで親子で身を寄せ合って寒さをしのいでいた。近所の人々に餌をもらいながら暮らし、子猫たちは交通量の多い路地のそぽで、親猫から都会で生きる術(すべ)を学びながら日々たくましく成長している。
私が写真を撮り続けていると、近所のおばさんが話しかけてきて、この辺には二、三家族の猫が暮らしていることや、母猫目当てで毎日訪ねてくるものの、相手にしてもらえない健気(けなげ)なオス猫がいるという笑い話もしてくれて、すっかり仲良くなった。人情の絶えない下町で、猫たちは近所の人々に愛され見守られながら暮らしている。その猫たちが、こうした人々との温かい触れ合いをもたらしてくれたのだった。
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