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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

ウクライナ報道に触れる子どもたち 「戦争だめ」おとなの言葉が大事

2022-04-18 07:27:52 | 国際政治
ウクライナ報道に触れる子どもたち 「戦争だめ」おとなの言葉が大事
破壊し尽くされたウクライナの街。子どもを含む民間人の犠牲…。ロシアによる侵略の惨状が日々報じられています。痛ましい現状を目の当たりにした子どもたちにおとなは何ができるでしょうか。自身も空襲を生き延びた臨床心理士の横湯園子さん(中央大学元教授)に聞きました。
本吉貴希記者


臨床心理士・中央大学元教授 横湯 園子さん


ウクライナ侵略の報道にふれて、以前相談を受けていた子どもたちの保護者から「どうしたらいいでしょう」と連絡がきます。私は私の感じたことを伝えています。
太平洋戦争の末期、私は5歳になる直前に静岡県の沼津大空襲(1945年7月17日)を経験しました。弟を背にした母に手を引かれて、私は火のなかを逃げました。
真夏だったのに、小川に逃げたからすごく寒くて震えていました。あるおばさんが「おいで」と言って、私を抱きしめ温めてくれました。怖さとともに、おばさんの温もりや優しさを、いまでもちゃんと覚えています。
沼津は市街地の約90%が焼失し、私たちの家も焼かれました。浜辺の千本松原には累々と焼死体が並んでいました。そこに一人の男の子が来て「モンペをはいた女の人を知りませんか」と聞きました。浜辺に避難していた知らないおじさんが「その人はみんなが連れて帰ったよ。きっとあなたのお母さんだよ」と言いました。私はこのときの光景をいまもまざまざと覚えています。
私はウクライナの惨状や避難する人たちを新聞やテレビで見ると、空襲のときの出来事が現在進行形で思い出されます。
不安で眠れなくなります。

無理に聞き出さず自分の思い語って
子どもたちも不安や怒りを感じていると思います。思春期の子どもたちはとくに自分の気持ちを語らないと思います。語ることを拒否しながら、ずっと考えている子は多いでしょう。親に話す子でも、全部を語ってはいないと思います。その子たちに無理に聞き出す必要はありません。
おとなは一緒にニュースを見ながら、自分の感想をぽつんと言う。「ひどいね」「許せないね」「日本に避難してきたら助けてあげたいね」など…。世界にはウクライナの市民を支援している人たちがいることや、戦争反対の声を上げている人たちがいることを伝えるのも大事です。
日本も太平洋戦争のときに攻撃され、家を焼かれ、暮らしを壊されたと伝えるのもいいでしょう。私でしたら沼津大空襲のときのことを語ります。



スロバキアのコシツェ駅で到着したばかりのウクライナ避難民を待機所に誘導するボランティア=4月13日、コシツェ(撮影・石黒みずほ記者)

いつかきっと思い出し、考えてくれる
残酷な映像の時は「消すね」と声かけ
あまりに残酷な映像で、見せたらいけないと思うことはあるでしょう。そのときは「あまりにひどいからテレビを消すね」などと声をかけるといいでしょう。子どもが不安と恐怖にあるとき、おとなの言葉で安心できることもあります。
私は当時の場面やおとなの言葉を一つ一つ覚えています。ウクライナの現状は、子どもたちに映像とおとなの語りかけた言葉が焼き付くでしょう。80歳を超した私が5歳のときのことを思い出すように、きっと何かのきっかけで思い出し、考え始めると思います。
私の世代は、戦争は絶対にダメで、平和憲法のなかで戦争をしないと決めた9条がどんなに大事か、体験として身に染みています。戦争体験を語る世代はもうそろそろ終わりです。9条を、戦争体験を含めて伝えていくことが、いまこそ大事なのだと思います。


不安軽視しないで寄り添って対話を
日本ユニセフ(国連児童基金)協会は「子どもとの対話のヒント」として、8点をホームページで紹介しています。(3月3日)
①子どもが何を知っていて、どう感じているかを知りましょう―。子どもと話すときは就寝前を避け、食事のときなど子どもが自然に話しやすい時間や場所を選びます。子どもの心配を軽視したり否定したりせず、不安を感じるのは自然なことだと伝えてください。



②落ち着いて年齢に応じた対応を―。すべての質問に答えられなくていいことを忘れずに。報道機関や国際機関など信頼できる情報を見つけることの重要性を説明しましょう。


③偏見や差別ではなく、思いやりを広げましょう。
④支え合う行動に注目しましょう。
⑤会話を終えるときは丁寧に―。いつでも話を聞くよ、そばにいるよと伝えてください。



⑥見守り続けましょう―。腹痛や頭痛、怖い夢を見る、眠れないなど変化がないか注意してみてください。
⑦ニュースに触れすぎていませんか?
⑧自分のことも大切に―。不安や動揺を感じたら、自分のための時間をとり、信頼できる人と話しましょう。
子ども支援専門の国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」も「子どもの『助けたい』と思う気持ちを応援しましょう」など「専門家がすすめる、子どもと戦争を話すときの5つのポイント」をホームページで公開しています。(4月1日)

挿絵はすべて©UNlCEF

「しんぶん赤旗」日曜版 2022年4月17日付掲載


子どもたちも不安や怒りを感じていると思います。思春期の子どもたちはとくに自分の気持ちを語らないと思います。語ることを拒否しながら、ずっと考えている子は多いでしょう。親に話す子でも、全部を語ってはいないと思います。その子たちに無理に聞き出す必要はありません。
おとなは一緒にニュースを見ながら、自分の感想をぽつんと言う。
不安軽視しないで寄り添って対話をすることが大事だと。
日本ユニセフが公開している「子どもとの対話のヒント」の8点を参考に。

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