安保3文書危険な大転換② 敵基地攻撃も日米一体
「わが国への武力攻撃が行われた場合」「武力行使の3要件に基づき」「そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置」。安保3文書の最上位文書である「国家安全保障戦略」は敵基地攻撃(反撃能力)をこう定義し、「自衛の措置」だとして正当化しています。
しかし、重大な点は、「武力行使の3要件」には第2次安倍政権が強行した安保法制の下「わが国への武力攻撃が行われた場合」ではなくても、米軍の要請に基づいて集団的自衛権を行使する「存立危機事態」が含まれていることです。つまり、米軍とともに、あるいは米軍の肩代わりをして、他国を攻撃することが含まれています。
岸田文雄首相自身、16日の会見で、今回の3文書改定は「安保法制を実践面で強化する」と述べています。集団的自衛権を行使する態勢を強化するために敵基地攻撃能力を保有することこそ、核心部分です。
「国民の命と暮らし」を守ることとは無縁であるばかりか、米国の戦争への参戦国となり、日本が報復攻撃を受け、多くの市民の生命・財産が失われる危険があるのです。
戦略練り合わせ 協力を統合的に
「日米両国がそれぞれの戦略を擦り合わせ、防衛協力を統合的に進めていく」「戦略を整合させ、共に目標を優先付けることにより、同盟を絶えず現代化し、共同の能力を強化する」。安保3文書の一つである「国家防衛戦略」は、戦略面での日米一体化を強調しています。実は、この点が安保3文書改定の最大の目標といっても過言ではありません。
敵基地攻撃能力についても、「日米が協力して対処していく」(国家安保戦略)、「情報収集を含め、日米共同でその・(敵基地攻撃)能力をより効果的に発揮する協力態勢を構築する」(国家防衛戦略)などとして、米国の統制下で行われる可能性を示しています。
フィリピン海で共同訓練を行う米原子力空母カールビンソン(手前)と海上自衛隊イージス艦「きりしま」(後方先頭)など=2021年9月(米インド太平洋軍ウェブサイトから)
攻撃される前に 破壊する「作戦」
敵基地攻撃がより深く米戦略に組み込まれる危険があるのが、敵基地攻撃と防空・ミサイル防衛を一体化させた「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)の導入です。IAMDは米国が中国・ロシアの高性能ミサイルに対抗していくため、同盟国を動員して地球規模で構築する「防空」網ですが、米統合参謀本部のドクトリン(教義)は、敵国の「ミサイル発射拠点、空港、指揮統制機能」などを、椙手前に破壊する「攻勢作戦」を行うことが含まれるとしています。日本も、そうした敵基地攻撃の一翼を担う危険もあります。
米軍と自衛隊は毎年、ミサイル防衛に関する共同訓練を行っていますが、今後、こうした訓練がどう変容していくのか注視する必要があります。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月19日付掲載
安保3文書の一つである「国家防衛戦略」は、戦略面での日米一体化を強調。実は、この点が安保3文書改定の最大の目標といっても過言ではありません。
敵基地攻撃能力についても、「日米が協力して対処していく」(国家安保戦略)、「情報収集を含め、日米共同でその(敵基地攻撃)能力をより効果的に発揮する協力態勢を構築する」(国家防衛戦略)などとして、米国の統制下で行われる可能性。
「わが国への武力攻撃が行われた場合」「武力行使の3要件に基づき」「そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置」。安保3文書の最上位文書である「国家安全保障戦略」は敵基地攻撃(反撃能力)をこう定義し、「自衛の措置」だとして正当化しています。
しかし、重大な点は、「武力行使の3要件」には第2次安倍政権が強行した安保法制の下「わが国への武力攻撃が行われた場合」ではなくても、米軍の要請に基づいて集団的自衛権を行使する「存立危機事態」が含まれていることです。つまり、米軍とともに、あるいは米軍の肩代わりをして、他国を攻撃することが含まれています。
岸田文雄首相自身、16日の会見で、今回の3文書改定は「安保法制を実践面で強化する」と述べています。集団的自衛権を行使する態勢を強化するために敵基地攻撃能力を保有することこそ、核心部分です。
「国民の命と暮らし」を守ることとは無縁であるばかりか、米国の戦争への参戦国となり、日本が報復攻撃を受け、多くの市民の生命・財産が失われる危険があるのです。
戦略練り合わせ 協力を統合的に
「日米両国がそれぞれの戦略を擦り合わせ、防衛協力を統合的に進めていく」「戦略を整合させ、共に目標を優先付けることにより、同盟を絶えず現代化し、共同の能力を強化する」。安保3文書の一つである「国家防衛戦略」は、戦略面での日米一体化を強調しています。実は、この点が安保3文書改定の最大の目標といっても過言ではありません。
敵基地攻撃能力についても、「日米が協力して対処していく」(国家安保戦略)、「情報収集を含め、日米共同でその・(敵基地攻撃)能力をより効果的に発揮する協力態勢を構築する」(国家防衛戦略)などとして、米国の統制下で行われる可能性を示しています。
フィリピン海で共同訓練を行う米原子力空母カールビンソン(手前)と海上自衛隊イージス艦「きりしま」(後方先頭)など=2021年9月(米インド太平洋軍ウェブサイトから)
攻撃される前に 破壊する「作戦」
敵基地攻撃がより深く米戦略に組み込まれる危険があるのが、敵基地攻撃と防空・ミサイル防衛を一体化させた「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)の導入です。IAMDは米国が中国・ロシアの高性能ミサイルに対抗していくため、同盟国を動員して地球規模で構築する「防空」網ですが、米統合参謀本部のドクトリン(教義)は、敵国の「ミサイル発射拠点、空港、指揮統制機能」などを、椙手前に破壊する「攻勢作戦」を行うことが含まれるとしています。日本も、そうした敵基地攻撃の一翼を担う危険もあります。
米軍と自衛隊は毎年、ミサイル防衛に関する共同訓練を行っていますが、今後、こうした訓練がどう変容していくのか注視する必要があります。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月19日付掲載
安保3文書の一つである「国家防衛戦略」は、戦略面での日米一体化を強調。実は、この点が安保3文書改定の最大の目標といっても過言ではありません。
敵基地攻撃能力についても、「日米が協力して対処していく」(国家安保戦略)、「情報収集を含め、日米共同でその(敵基地攻撃)能力をより効果的に発揮する協力態勢を構築する」(国家防衛戦略)などとして、米国の統制下で行われる可能性。
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