子どもたちとともに 「教育のつどい」から③ 全員でクラスづくり

子どもたちとともに　「教育のつどい」から③　全員でクラスづくり


「参加と共同の学校づくり」の分科会では、京都府内の小学校で教諭をしている高原夏希さん（仮名）が実践を報告しました。生活や学習に困難を抱え、教室で過ごすことが難しかった女子児童カナさん（仮名）が安心できるクラスを、子どもたちと協力してつくり上げました。「『全員が』大事だから力を貸してとクラス全員に伝え、全員でクラスをつくった」と語りました。
カナさんは小学６年生で、漢字やカタカナ交じりの文章を読むことが難しいなどの困難を抱えていました。４年生の弟と母親の３人で生活しています。たまに離婚した父が家に来て、母親に暴力を振るうこともありました。小学５年生のときから、学習や友人関係で悩みが増え、保健室登校が多くなりました。


活発な討論が行われた「参加と共同の学校づくり」分科会＝8月、大阪市

対話重ね支える
カナさんは、算数のテストの日などは不安を訴えて保健室で過ごしました。テストに対する苦手意識を感じているようでした。
高原さんはテストを受けられる方法をカナさんと一緒に考えました。事前にテスト問題文を２人で読み込んだうえで、テストはクラスのみんなと一緒に受けることにしました。カナさんは、このテストをやり切りました。その後もこの方法でどのテストも受けることができました。
しかしその後、仲の良かったクラスメートらとトラブルを起こし、保健室で過ごしたり、学校を休んだりする日が増えました。高原さんは、カナさんやクラスメートらと対話を重ね、仲直りにたどりつきました。仲直りの翌日、高原さんはクラスの児童会の役員や学級委員と、今後のカナさんのことや修学旅行と運動会のことなどを語り合いました。
高原さんが「もっとカナさんが学校に来やすくするには」と聞くと、一人の子が「（カナさんは）男子とばかりしゃべっていることが多いから、女子でしゃべれる子を増やす」と言いました。そこで高原さんはカナさんを支えるためにどうするか話し合う女子会議を開こうと提案しました。女子会議で子どもたちは「まずあいさつしよう」「男子がしゃべっているところに、女子で入っていこう」など、アイデアを出しました。

みんなが不可欠
女子たちは自分から進んでカナさんに会いに保健室に行ったり、教室では一緒にしゃべったりしました。カナさんはクラスに安心できる居場所ができたように溶け込み、修学旅行にも参加。運動会では応援団として活躍し、持久走大会でも初めて完走しました。
卒業式前日にはカナさんはクラスのみんなへ手紙を書き、最後まで自分で読み上げました。クラスのみんながカナさんに普通に話しかけたこと、何も言わずカナさんを受け入れていたことに対し「いつもありがとうと思っていた。ひとりひとりが思いやりがあるクラスやから、このクラスでよかったと思うし、みんなが大好きです」と書かれていました。
高原さんは、「決してカナさんを『特別』にはしなかった。特別だけど特別じゃない、みんなが大事だと伝え、カナさんのことにはみんなの力が不可欠だと強く伝えてクラスをつくった」と話しました。（井上拓大）、（つづく）

「しんぶん赤旗」日刊紙　2024年9月12日付掲載

高原さんは、カナさんやクラスメートらと対話を重ね、仲直りに。仲直りの翌日、高原さんはクラスの児童会の役員や学級委員と、今後のカナさんのことや修学旅行と運動会のことなどを語り合いました。
高原さんが「もっとカナさんが学校に来やすくするには」と聞くと、一人の子が「（カナさんは）男子とばかりしゃべっていることが多いから、女子でしゃべれる子を増やす」と言いました。そこで高原さんはカナさんを支えるためにどうするか話し合う女子会議を開こうと提案。女子会議で子どもたちは「まずあいさつしよう」「男子がしゃべっているところに、女子で入っていこう」など、アイデアを。
卒業式前日にはカナさんはクラスのみんなへ手紙を書き、最後まで自分で読み上げました。クラスのみんながカナさんに普通に話しかけたこと、何も言わずカナさんを受け入れていたことに対し「いつもありがとうと思っていた。ひとりひとりが思いやりがあるクラスやから、このクラスでよかったと思うし、みんなが大好きです」と。
高原さんは、「決してカナさんを『特別』にはしなかった。特別だけど特別じゃない、みんなが大事だと伝え、カナさんのことにはみんなの力が不可欠だと強く伝えてクラスをつくった」と。