いのち守る くらしの防災② 平時に実践 「ない」を想定で暮らす
坂本佳奈
日本列島を見渡せば、2000年代以降、ほぼ毎年のように規模の大きな地震や水害に見舞われています。日本で生活する以上、いつかどこかで被災すると想定して準備をしておかねばなりません。
そうは言っても、いつ災害が起こるかと緊張しながら毎日生きるのも難しいことです。神戸では震災後「陶器の器が割れてしまうから毎回箱にしまって、シートに包んで食器棚にしまいます」「地震がもう一度起こってもいいように靴を枕元に置いています」という体験談もありました。
電気やガスが止まった時にも使える卓上コンロ(右)や、電気だけが復旧した時に便利な卓上IHヒーター
子どもが持ち運びできるLEDランプ。普段使い出来る明かりを一人ひとつづつ
日常を眺める
25年たって、今そんな生活をしている人がいるかというと、そんな非常時に焦点を合わせた暮らしをしている人はいません。半分以上が地震を知らない世代になってきたこともありますが、人間には普通の生活があります。朝起きてご飯を食べ、会社や学校に行き、帰ってきてご飯を食べて、風呂に入って寝るという、変わらない日常生活があります。大きな変化なく積み重なる日常こそが、心の安定の元であり、生きていくということでもあります。
普通の日常生活を生きる点から眺めると、防災に必要なものが分かります。朝起きてから寝るまで、何をしますか。持病がありますか。ペットは飼っていますか。ひとりひとり、防災の準備は変わります。
さて災害が起こると何が起こるかというと、電気・ガス・水道が止まり、電気を利用した電話・携帯電話などが使用できなくなります。あなたの生活の中で、これらのものはどう使っているでしょうか。代用品はあるでしょうか。想像するよりも、実際に止めたり使わない状態にしてみると必要な物が分かります。
アルミ缶を使ってランプを作る
①アルミの空き缶を図のように切り開き、ふたの部分は取っ手(持つ部分)として、胴体の開いた部分は切り広げて反射板として使う。
②底の部分に油(サラダオイルなどの液体油)を入れ、そこに灯心(ティッシュをこより状にして作っても)を二つつけたW型のアルミホイルの灯心を置くと、持って移動できるランプができる。底の部分にろうそくを立てても。
◆注意◆…火の上に燃えるものが来ないように。換気や燃え移りに気を付ける
携帯の充電は
災害のない平和な時に、ライフラインを止めてみましょう。厳密なものではありません。冷蔵庫の物が腐ったりすると大変ですから、元の電気は落とさずにいても構いません。「ない」と想定して、実際に使うのをやめてみます。途中で嫌になったり、調子が悪くなったりすれば、すぐ止めましょう。
できれば、朝起きてから寝るまで丸一日家族で生活して、あったらいい物をメモしていきます。明かりがどれだけあればいいか、冷蔵庫はどのぐらい使うのか、携帯電話の充電はどうできるのか、などなど、想像していた通りになるかもしれませんし、想像以上に困ったことが出てくるかもしれません。家の中にいて、野外キャンプのような状態になるので「おうちキャンプ」と呼んでいます。
わが家で、おうちキャンプをしてみたところ、真っ暗だと何となく不安になることがわかりました。猫と暮らしており、ろうそくだと倒されて危険なので、LED電球のランプを用意しました。ろうそくのような小さな明かりをひとり一つ、スマートフォンなどが充電できる蓄電池機能付きのものを一つ用意しました。ろうそくのようなランプは、夜にトイレなどに行く時に使っています。
阪神・淡路大震災では電気が7日後、ガスと水道は3カ月後に戻ってきました。電気は地上にある分、比較的早く回復しやすいようです。
(食文化・料理研究家、「まなぼうさいラボ」代表)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年3月13日付掲載
「防災訓練」で「おうちでキャンプ」って最近よく聞きますね。
ライフラインが止まったと仮定して、一日お家で暮らしてみます。
「あったらいいな」ものをメモしていく。懐中電灯などは複数用意。ラジオ付きがいいかな。
カセットコンロはガスボンベがすぐになくなるので、IHヒーターがあると便利かな。
坂本佳奈
日本列島を見渡せば、2000年代以降、ほぼ毎年のように規模の大きな地震や水害に見舞われています。日本で生活する以上、いつかどこかで被災すると想定して準備をしておかねばなりません。
そうは言っても、いつ災害が起こるかと緊張しながら毎日生きるのも難しいことです。神戸では震災後「陶器の器が割れてしまうから毎回箱にしまって、シートに包んで食器棚にしまいます」「地震がもう一度起こってもいいように靴を枕元に置いています」という体験談もありました。
電気やガスが止まった時にも使える卓上コンロ(右)や、電気だけが復旧した時に便利な卓上IHヒーター
子どもが持ち運びできるLEDランプ。普段使い出来る明かりを一人ひとつづつ
日常を眺める
25年たって、今そんな生活をしている人がいるかというと、そんな非常時に焦点を合わせた暮らしをしている人はいません。半分以上が地震を知らない世代になってきたこともありますが、人間には普通の生活があります。朝起きてご飯を食べ、会社や学校に行き、帰ってきてご飯を食べて、風呂に入って寝るという、変わらない日常生活があります。大きな変化なく積み重なる日常こそが、心の安定の元であり、生きていくということでもあります。
普通の日常生活を生きる点から眺めると、防災に必要なものが分かります。朝起きてから寝るまで、何をしますか。持病がありますか。ペットは飼っていますか。ひとりひとり、防災の準備は変わります。
さて災害が起こると何が起こるかというと、電気・ガス・水道が止まり、電気を利用した電話・携帯電話などが使用できなくなります。あなたの生活の中で、これらのものはどう使っているでしょうか。代用品はあるでしょうか。想像するよりも、実際に止めたり使わない状態にしてみると必要な物が分かります。
アルミ缶を使ってランプを作る
①アルミの空き缶を図のように切り開き、ふたの部分は取っ手(持つ部分)として、胴体の開いた部分は切り広げて反射板として使う。
②底の部分に油(サラダオイルなどの液体油)を入れ、そこに灯心(ティッシュをこより状にして作っても)を二つつけたW型のアルミホイルの灯心を置くと、持って移動できるランプができる。底の部分にろうそくを立てても。
◆注意◆…火の上に燃えるものが来ないように。換気や燃え移りに気を付ける
携帯の充電は
災害のない平和な時に、ライフラインを止めてみましょう。厳密なものではありません。冷蔵庫の物が腐ったりすると大変ですから、元の電気は落とさずにいても構いません。「ない」と想定して、実際に使うのをやめてみます。途中で嫌になったり、調子が悪くなったりすれば、すぐ止めましょう。
できれば、朝起きてから寝るまで丸一日家族で生活して、あったらいい物をメモしていきます。明かりがどれだけあればいいか、冷蔵庫はどのぐらい使うのか、携帯電話の充電はどうできるのか、などなど、想像していた通りになるかもしれませんし、想像以上に困ったことが出てくるかもしれません。家の中にいて、野外キャンプのような状態になるので「おうちキャンプ」と呼んでいます。
わが家で、おうちキャンプをしてみたところ、真っ暗だと何となく不安になることがわかりました。猫と暮らしており、ろうそくだと倒されて危険なので、LED電球のランプを用意しました。ろうそくのような小さな明かりをひとり一つ、スマートフォンなどが充電できる蓄電池機能付きのものを一つ用意しました。ろうそくのようなランプは、夜にトイレなどに行く時に使っています。
阪神・淡路大震災では電気が7日後、ガスと水道は3カ月後に戻ってきました。電気は地上にある分、比較的早く回復しやすいようです。
(食文化・料理研究家、「まなぼうさいラボ」代表)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年3月13日付掲載
「防災訓練」で「おうちでキャンプ」って最近よく聞きますね。
ライフラインが止まったと仮定して、一日お家で暮らしてみます。
「あったらいいな」ものをメモしていく。懐中電灯などは複数用意。ラジオ付きがいいかな。
カセットコンロはガスボンベがすぐになくなるので、IHヒーターがあると便利かな。
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