きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

南シナ海問われる法秩序 沿岸国の警戒① 中国の侵害行為「重大化」

2019-10-25 09:45:57 | 国際政治
南シナ海問われる法秩序 沿岸国の警戒① 中国の侵害行為「重大化」
南シナ海で7月以降、中国の公船がベトナムの排他的経済水域(EEZ)への侵入を3カ月以上続けています。東南アジアの沿岸国は、権利や国際法の無視が常態化していると警戒。とりわけベトナムとフィリピンでは複数の専門家が、地域秩序が脅かされていると警鐘を鳴らしています。
(ハノイ=井上歩)

排他的経済水域(EEZ)
1982年国連海洋法条約により、水産資源や海底鉱物資源の探査、開発、保存、管理の権利を、独占的な主権的権利として沿岸国に与えた制度。海を利用するエネルギー生産の主権的権利、海洋科学調査の管轄権も沿岸国が有します。範囲は領海基線から最大200カイリまでの海域。自然には人間の生活を維持できないような岩礁には、EEZを生む権原が認められていません。

中国の海洋調査船「海洋地質8号」と護衛船からなる船団が、ベトナム沿岸基線から200カイリ以内のEEZに入り、活動を始めたのは7月3日ごろ。以後、ベトナムの度重なる「断固抗議」や「即時退去」の要請を無視して、調査活動を継続しています。




資源開発も妨害
ベトナム外交学院南シナ海研究所のグエン・フン・ソン所長は、「研究者の視点」と断りながら「南シナ情勢にはこの間、否定的な方向で重大なエスカレーション(深刻化)があった」と語ります。
EEZ侵入事件で中国船団が活動したのは、両国の境界周辺ではなく、中国の本土から遠く離れたベトナム南部沖の海域(地図)。南沙(スプラトリー)諸島からそう遠くない位置ですが、同諸島の島々や岩礁は2016年7月の常設仲裁裁判所判決で、どの国の主権に属そうともEEZを生まないことが確定しています。つまり「1982年国連海洋法条約により、ベトナムだけがこの海域の資源の開発・調査を行う権利がある」(ソン氏)ことは、国際社会の共通認識となっています。
研究機関の分析などによれば、中国海警の艦船は、ベトナム海上警察の船舶の法執行を妨害し、危険行動や脅迫的行動もとりました。近くの別の海域でベトナムの資源開発活動も妨害。両国間での外交協議や地域会合での各国の懸念表明があっても、中国は活動を続けました。



2019年9月、南シナ海トゥーチン(バンガード)堆周辺海域で接近状態となるベトナム海上警察の艦船(左)と中国海警の艦船(右)=タインニエン紙提供Photo provided by Thanh Nien Newspaper,Vietnam.


ベトナム外交学院南シナ海研究所のグエン・フン・ソン所長(井上歩撮影)

権利の根拠なし
中国外務省報道官は「中国は南沙諸島の周辺海域に権利を有す」との独自の見解を表明していますが、その権利の根拠は示されていません。この事件をベトナムが「重大な侵害」だと訴えてきたのには、こうした事情があります。
ソン氏の見解では、南シナ海情勢のエスカレーションは▽人工島建設と軍事拠点化▽漁船に乗った「海上民兵」の展開拡大▽フィリピンやマレーシアに対する威圧的行動―にも表れており、「南シナ海での中国の行動は、地域の平和と安定と、それ以上に、国際法に基づく国際秩序を深刻に脅かしている」と言います。
ソン氏はさらに、国際法を順守しない海での振る舞いは、「中国が小国を含む国際関係で自らの利益追求と要求押し付けのために、ますます力を用いるとの疑念をみなに抱かせている」と指摘します。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年10月22日付掲載


中国の行っている行為は、南沙諸島の様な公海上だけでなく、ベトナムなどの排他的経済水域(EEZ)を侵害する行為です。
当然許されるものではありません。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日韓の歴史をだどる⑫ 3・1... | トップ | 南シナ海問われる法秩序 沿... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

国際政治」カテゴリの最新記事