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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

南シナ海問われる法秩序 沿岸国の警戒② 国際法無視が示す野心

2019-10-26 08:08:37 | 国際政治
南シナ海問われる法秩序 沿岸国の警戒② 国際法無視が示す野心

ベトナム社会科学院で中国研究所所長を務めたベトナムのド・ティエン・サム博士は、「ベトナムの排他的経済水域(EEZ)や大陸棚への侵入は、海洋強国を建設する中国の行程表の一部だ」と見ます。「広く太平洋やインド洋を含む中国の海洋戦略の中で、南シナ海は重要な海だ」




ベトナムのド・ティエン・サム元中国研究所所長

中国の海洋戦略
米戦略国際問題研究所(CSIS)の試算によると、南シナ海を通過する貿易は、世界貿易の約2割(3・4兆ドル=約369兆円)、中国の対外貿易の約4割、原油輸入のおよそ8割を占めるとされます(2016年)。
中国は2012年の第18回共産党大会で「海洋強国」建設を提唱。その後南シナ海の岩礁に大規模な人工島を建設、軍事拠点化し、南シナ海全域に対する「長期的な足場を構築」(サム氏)しました。
海洋戦略は▽経済▽科学技術▽権益の開発・利用・管理などの「総合力」―を柱とし、南シナ海での調査や海警の活動の活発化は、国家の総合力の発展との位置づけをもっているとみられます。

法的根拠はない
しかし、どのような戦略に基づくかにかかわらず、今回のEEZ侵害は「重大な性質の事件」だとサム氏は指摘します。
「仲裁判決で否定された九段線に基づき、中国の権利水域だとみなして、意図的にベトナムの権利水域を侵害したためだ」2016年の常設仲裁裁判所判決は、南シナ海のほぼ全域に権利があるとする中国独自の「九段線」の主張に法的根拠はないと明確な判断を示しました。中国は判決を受け入れていませんが、地域諸国の国際法・外交専門家はいずれも判決を高く評価。東南アジア諸国連合(ASEAN)はこの3年余り、「法的プロセスを完全尊重した紛争の平和的解決」を共同体の原則として繰り返し確認しています。
「中国は国際法や法に基づく他国の権利を無視・じゅうりんし、法に基づく国際秩序を破壊している。それは人類文明の進歩への逆行だ」とサム氏は厳しく指摘します。「それは、地域と世界の覇権を握るという野心、極端な民族主義に基づくものだ」
同時にベトナム政府や研究者たちは平和的手段とソフトパワーでこうした傾向に対抗する重要性を強調します。
「中国はみずから国家イメージを悪化させている。それがまさに中国の弱点であり、声を上げ続けることが大事だ」(サム氏)
「ベトナムのメッセージは明確だ。国際法に基づく南シナ海の平和と安定、国際秩序における法の尊重は、国際社会全体にとって重要であり、各国も声をあげてほしい」(南シナ海研究所ソン所長)
こうした声はベトナムに限らず、南シナ海東の沿岸国フィリピンでも上がっています。(つづく)(ハノイ=井上歩写真も)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年10月23日付掲載


中国の引いた「九段線」なるものは、あまりにも強引なものですね。それでも、ベトナム政府などは平和的手段とソフトパワーで対抗しようと。
「中国はみずから国家イメージを悪化させている」。理はベトナムの側にあるってことですね。

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