やってみよう 確定申告 その1
こんにちは。税理士の田中です。昨年失職してまだ求職中の方、お疲れさまです。家族を介護している方、ご苦労さまです。昨年医療費がたくさんかかった方、大変でしたね。昨年は自然界も荒れ狂いました。災害に遭われた方、お見舞い申し上げます。幸い何事も無く善意のおすそわけをした方、良かったですね。そんな皆さん、確定申告をして払い過ぎた税金を戻してもらいましょう。
払いすぎた税金戻ります
2010年の所得によって11年に課税される住民税が決定します。確定申告をすることで10年の所得が下がれば、10年の所得税のみならず11年の住民税も下がるのです。
年途中で失職した場合
Aさんは勤めていた会社が倒産してしまい失職。最悪の雇用状況の中、年内に仕事を見つけることができませんでした。そういえば、毎年12月に会社がやってくれていた年末調整をやっていません。
年末調整をしていない人
Aさんは確定申告をしましょう。勤務先の倒産、リストラ、退職などで年の途中で失職し、年末調整をしていない人は確定申告をすることで、給料から引かれていた所得税が戻ってきます。生命保険料控除などや退職後自分で支払った健康保険・国民年金の保険料(税)も所得から引けます。所得が下がれば戻ってくる所得税もさらに多くなります。
寄付をした場合
大幅に下がったハードル
昨年末から今年にかけ、プロレス漫画の主人公の名で日本中にいろいろな思いやりが届けられました。寄付をすることにより確定申告で所得控除をし、所得税を戻してもらえる場合があります。
領収書が必要対象限られる
誰がどこにいくら寄付したか明示されなくてはなりません。領収書の添付が必要です。匿名や、そっと置いてくる、物を買って寄付する場合は残念ながら対象になりません。控除できる寄付は限られています。国・地方公共団体に対する寄付の他に災害救助法で委託を受けた募金団体(日本赤十字社、報道機関など)への義援金や、日本赤十字社、学校への寄付(入学に関する寄付はだめ)。社会福祉法人・公益法人・認定NPO法人などの寄付で公益性が高いと財務大臣が指定した寄付。赤い羽根募金や政党などへの寄付金です。「所得税法78条2項該当」や「財務大臣告示第○○号指定寄付金」、「特定公益増進法人であることの証明書」などの記載があれば闇違いありません。不明なら寄付した相手に確かめましょう。
昨年は宮崎県口蹄疫被害がありました。この義援金は地方公共団体に対する寄付金に該当するので対象となります。しかし、制度としては寄付金控除の対象範囲をもっと広くすることが望まれます。
2000円を超えたらGO
1月から12月までに対象となる寄付金の合計から2000円引いた残額が、寄付金控除として所得から引けるようになりました。昨年までは5000円だったので、ハードルはだいぶ下がったといえます。ただし、所得の総額の40%相当額から2000円引いた額までが限度です。だから年金所得の人が、夫が残した遺産の中から多額の寄付をしてもその1年で控除できる金額は、寄付をした人のその年の所得の4割程度なのです。寄付をする際には気を付けましょう。
政党への寄付税額の控除も
政党への寄付の場合は、所得から控除することで課税される所得を下げる方法と、所得から計算した税額から控除する方法と、どちらかを選択することができます。寄付した合計額から2000円控除し(これも所得の40%から2000円引いた額が上限)、その30%相当額を年税額から引くことができます。税額控除にも限度額があり、控除できる金額は2010年に支払う所得税の25%まで。たくさん寄付すれば税額が0円になるわけではありません。課税される所得金額が900万円未満の人は税率が30%以下なので、税額控除がお得です(写真下が計算明細書)。政党から「寄付金(税額)控除のための書類」(写真上)を発行してもらい、添付します。発行が遅れて申告に間に合わない時は、添付なしで申告書を提出しておき、交付を受け次第この書類を税務署に追加提出すれば大丈夫です。
過去5年分も申告できます
Bさんは毎年政党に寄付して「寄付金(税額)控除のための書類」をもらっていましたが、確定申告したことはありません。思い切って申告したところ要領がつかめました。「よし、過去の分も確定申告をして税金を取り戻そう!」と思いました。いったい何年前までさかのぼれるのかな?5年です。今年の12月31日までなら06年分以降の申告ができます。ただし昨年までは控除が5000円(つまり5000円を超える寄付が必要ということ)で、さらに06年は計算方法が今と少し異なりますので確認してください。
贈与税の特例受けるには期限までに申告必要
「相続時精算課税制度の特例の適用を受けた」「住宅取得資金贈与の非課税特例の適用を受けた」―。贈与税がかからないからと喜んでばかりいて、贈与税の申告は必要ないと思ったら危険です。この特例は確定申告と同じく3月15日の申告期限までに「この特例を受けます」という贈与税の申告をすることが絶対条件です。1日でも期限に遅れると特例を受けられません。贈与は昨年済ませているので、特例がアウトになると思わぬ税負担になります。贈与税率はびっくりするほど高いので気をつけてください。ちなみに、贈与税の申告をするのは贈与を受けた人ですよ。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年2月5日付掲載
面倒がって、確定申告をしない人が多いですが、やってみると意外と簡単です。医療費控除の10万円という「足きり」も生計をともにする家族の医療費も合算できます。
僕の場合、2010年は医療費は5万円余りだったけど、2009年は広島の大学病院に検診にいった新幹線の交通費も含めて10万円以上になったので申告しましたヨ。
こんにちは。税理士の田中です。昨年失職してまだ求職中の方、お疲れさまです。家族を介護している方、ご苦労さまです。昨年医療費がたくさんかかった方、大変でしたね。昨年は自然界も荒れ狂いました。災害に遭われた方、お見舞い申し上げます。幸い何事も無く善意のおすそわけをした方、良かったですね。そんな皆さん、確定申告をして払い過ぎた税金を戻してもらいましょう。
払いすぎた税金戻ります
2010年の所得によって11年に課税される住民税が決定します。確定申告をすることで10年の所得が下がれば、10年の所得税のみならず11年の住民税も下がるのです。
年途中で失職した場合
Aさんは勤めていた会社が倒産してしまい失職。最悪の雇用状況の中、年内に仕事を見つけることができませんでした。そういえば、毎年12月に会社がやってくれていた年末調整をやっていません。
年末調整をしていない人
Aさんは確定申告をしましょう。勤務先の倒産、リストラ、退職などで年の途中で失職し、年末調整をしていない人は確定申告をすることで、給料から引かれていた所得税が戻ってきます。生命保険料控除などや退職後自分で支払った健康保険・国民年金の保険料(税)も所得から引けます。所得が下がれば戻ってくる所得税もさらに多くなります。
寄付をした場合
大幅に下がったハードル
昨年末から今年にかけ、プロレス漫画の主人公の名で日本中にいろいろな思いやりが届けられました。寄付をすることにより確定申告で所得控除をし、所得税を戻してもらえる場合があります。
領収書が必要対象限られる
誰がどこにいくら寄付したか明示されなくてはなりません。領収書の添付が必要です。匿名や、そっと置いてくる、物を買って寄付する場合は残念ながら対象になりません。控除できる寄付は限られています。国・地方公共団体に対する寄付の他に災害救助法で委託を受けた募金団体(日本赤十字社、報道機関など)への義援金や、日本赤十字社、学校への寄付(入学に関する寄付はだめ)。社会福祉法人・公益法人・認定NPO法人などの寄付で公益性が高いと財務大臣が指定した寄付。赤い羽根募金や政党などへの寄付金です。「所得税法78条2項該当」や「財務大臣告示第○○号指定寄付金」、「特定公益増進法人であることの証明書」などの記載があれば闇違いありません。不明なら寄付した相手に確かめましょう。
昨年は宮崎県口蹄疫被害がありました。この義援金は地方公共団体に対する寄付金に該当するので対象となります。しかし、制度としては寄付金控除の対象範囲をもっと広くすることが望まれます。
2000円を超えたらGO
1月から12月までに対象となる寄付金の合計から2000円引いた残額が、寄付金控除として所得から引けるようになりました。昨年までは5000円だったので、ハードルはだいぶ下がったといえます。ただし、所得の総額の40%相当額から2000円引いた額までが限度です。だから年金所得の人が、夫が残した遺産の中から多額の寄付をしてもその1年で控除できる金額は、寄付をした人のその年の所得の4割程度なのです。寄付をする際には気を付けましょう。
政党への寄付税額の控除も
政党への寄付の場合は、所得から控除することで課税される所得を下げる方法と、所得から計算した税額から控除する方法と、どちらかを選択することができます。寄付した合計額から2000円控除し(これも所得の40%から2000円引いた額が上限)、その30%相当額を年税額から引くことができます。税額控除にも限度額があり、控除できる金額は2010年に支払う所得税の25%まで。たくさん寄付すれば税額が0円になるわけではありません。課税される所得金額が900万円未満の人は税率が30%以下なので、税額控除がお得です(写真下が計算明細書)。政党から「寄付金(税額)控除のための書類」(写真上)を発行してもらい、添付します。発行が遅れて申告に間に合わない時は、添付なしで申告書を提出しておき、交付を受け次第この書類を税務署に追加提出すれば大丈夫です。
過去5年分も申告できます
Bさんは毎年政党に寄付して「寄付金(税額)控除のための書類」をもらっていましたが、確定申告したことはありません。思い切って申告したところ要領がつかめました。「よし、過去の分も確定申告をして税金を取り戻そう!」と思いました。いったい何年前までさかのぼれるのかな?5年です。今年の12月31日までなら06年分以降の申告ができます。ただし昨年までは控除が5000円(つまり5000円を超える寄付が必要ということ)で、さらに06年は計算方法が今と少し異なりますので確認してください。
贈与税の特例受けるには期限までに申告必要
「相続時精算課税制度の特例の適用を受けた」「住宅取得資金贈与の非課税特例の適用を受けた」―。贈与税がかからないからと喜んでばかりいて、贈与税の申告は必要ないと思ったら危険です。この特例は確定申告と同じく3月15日の申告期限までに「この特例を受けます」という贈与税の申告をすることが絶対条件です。1日でも期限に遅れると特例を受けられません。贈与は昨年済ませているので、特例がアウトになると思わぬ税負担になります。贈与税率はびっくりするほど高いので気をつけてください。ちなみに、贈与税の申告をするのは贈与を受けた人ですよ。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年2月5日付掲載
面倒がって、確定申告をしない人が多いですが、やってみると意外と簡単です。医療費控除の10万円という「足きり」も生計をともにする家族の医療費も合算できます。
僕の場合、2010年は医療費は5万円余りだったけど、2009年は広島の大学病院に検診にいった新幹線の交通費も含めて10万円以上になったので申告しましたヨ。
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