部活動の地域移行 実証事業にみる② 国の支援が不可欠
土・日の部活動の地域移行を実証事業として始めた滋賀県彦根市立稲枝中学校では、以前からの地域との協力関係を生かして指導者を確保し、生徒にも好評です。
しかし北村功校長は、このようなことはすべての学校ができることではないといいます。「多忙な業務の中で専門的な指導員を集めることは困難。民間のスポーツクラブに丸投げし、地域移行が利益追求に進んでしまう懸念もあります。地域の理解と協力や国の支援が欠かせない」
滋賀県彦根市立稲枝中学校の校舎
費用の負担は
地域移行にあたっては費用の負担をどうするかも大きな問題です。経済産業省の資料には民間スポーツ事業者が請け負った場合、月1万8千円もの保護者負担が生じるという試算が出ています。
稲枝中では、保護者にアンケートを取り、保護者負担(会費)は1人当たり月1000円としています。支払いが困難な家庭に対しては、推進事業の会議で無料での参加を認める規約を設けています。
彦根市からの委託費や同校の同窓会からの補助費なども集めて活動費にあてています。指導者への報酬(諸謝金)は1時間につき1200円。2年間は文部科学省から補助金が出ているほか、地域部活動推進事業の委託金も出ています。しかし、国からの補助や委託金がなくなったあと、保護者負担がどうなるかは未知数です。
稲枝中の取り組みを教職員組合はどうみているのか。
全滋賀教職員組合の漆山晶博さんは「地域の協力体制と学校に対する地域の人々の理解がとても成熟していた。生徒はもちろん、保護者のみなさんともしっかりと時間をかけて運営や体制、費用について話し合い、理解し納得して決めたことも重要です」といいます。
多くの課題が
同時にどこの学校でもできるわけではないと指摘します。「現時点ではとても困難です。各地域が行える経済的な支援のレベルも部活を受け入れることができる組織や施設の質も数も、まったく異なります。一律に機械的に始めれば新たな地域格差を生み出すことになってしまう」
部活動は多くの課題を抱えています。教員は部活のために長時間労働を強いられ、休日の部活指導は実質ただ働きです。よく知らない競技の顧問をやらされることもあります。
一方、一部では、勝つことを最優先にした練習の過熱化や部員に対する指導者の暴力・暴言も問題になっています。少子化で維持できない部活もあります。改善は急務です。
部活動改革の一つとして打ち出されている地域移行。漆山さんはいいます。「地域移行を進めていくのなら、財政面でも運営面でも、国が責任をもって十分な支援を行うことが必要不可欠です」
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月16日付掲載
地域移行にあたっては費用の負担をどうするかも大きな問題。経済産業省の資料には民間スポーツ事業者が請け負った場合、月1万8千円もの保護者負担が生じるという試算が。
稲枝中では、保護者にアンケートを取り、保護者負担(会費)は1人当たり月1000円としています。支払いが困難な家庭に対しては、推進事業の会議で無料での参加を認める規約を。
サポートする人材の育成と、指導者への報酬。それを支える財源の確保。やはり国の支援が必要。
民間丸投げでは、全くダメ。
土・日の部活動の地域移行を実証事業として始めた滋賀県彦根市立稲枝中学校では、以前からの地域との協力関係を生かして指導者を確保し、生徒にも好評です。
しかし北村功校長は、このようなことはすべての学校ができることではないといいます。「多忙な業務の中で専門的な指導員を集めることは困難。民間のスポーツクラブに丸投げし、地域移行が利益追求に進んでしまう懸念もあります。地域の理解と協力や国の支援が欠かせない」
滋賀県彦根市立稲枝中学校の校舎
費用の負担は
地域移行にあたっては費用の負担をどうするかも大きな問題です。経済産業省の資料には民間スポーツ事業者が請け負った場合、月1万8千円もの保護者負担が生じるという試算が出ています。
稲枝中では、保護者にアンケートを取り、保護者負担(会費)は1人当たり月1000円としています。支払いが困難な家庭に対しては、推進事業の会議で無料での参加を認める規約を設けています。
彦根市からの委託費や同校の同窓会からの補助費なども集めて活動費にあてています。指導者への報酬(諸謝金)は1時間につき1200円。2年間は文部科学省から補助金が出ているほか、地域部活動推進事業の委託金も出ています。しかし、国からの補助や委託金がなくなったあと、保護者負担がどうなるかは未知数です。
稲枝中の取り組みを教職員組合はどうみているのか。
全滋賀教職員組合の漆山晶博さんは「地域の協力体制と学校に対する地域の人々の理解がとても成熟していた。生徒はもちろん、保護者のみなさんともしっかりと時間をかけて運営や体制、費用について話し合い、理解し納得して決めたことも重要です」といいます。
多くの課題が
同時にどこの学校でもできるわけではないと指摘します。「現時点ではとても困難です。各地域が行える経済的な支援のレベルも部活を受け入れることができる組織や施設の質も数も、まったく異なります。一律に機械的に始めれば新たな地域格差を生み出すことになってしまう」
部活動は多くの課題を抱えています。教員は部活のために長時間労働を強いられ、休日の部活指導は実質ただ働きです。よく知らない競技の顧問をやらされることもあります。
一方、一部では、勝つことを最優先にした練習の過熱化や部員に対する指導者の暴力・暴言も問題になっています。少子化で維持できない部活もあります。改善は急務です。
部活動改革の一つとして打ち出されている地域移行。漆山さんはいいます。「地域移行を進めていくのなら、財政面でも運営面でも、国が責任をもって十分な支援を行うことが必要不可欠です」
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月16日付掲載
地域移行にあたっては費用の負担をどうするかも大きな問題。経済産業省の資料には民間スポーツ事業者が請け負った場合、月1万8千円もの保護者負担が生じるという試算が。
稲枝中では、保護者にアンケートを取り、保護者負担(会費)は1人当たり月1000円としています。支払いが困難な家庭に対しては、推進事業の会議で無料での参加を認める規約を。
サポートする人材の育成と、指導者への報酬。それを支える財源の確保。やはり国の支援が必要。
民間丸投げでは、全くダメ。
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