職場のトラブルQ&A⑩ 上司が一方的に「辞めてくれないか」と 「退職しません」とまず伝える
今回は「退職勧奨」に関する相談です。会社の上司から、「辞めてくれないか」と言われるケースです。労働者に応じる義務はありません。辞める意思がない場合は、そのことを明確に伝えることが大切です。
Q 私は、期間の定めのない労働契約で医療機器販売の仕事をしています。先日、上司から「会社の業績が不振だ。君にやってもらう仕事がなくなりそうだから、辞めてくれないか」と言われました。家族や生活もありますので、辞めるわけにはいきません。私は会社を辞めなければならないのでしょうか。
A いいえ、そんなことはありません。あなたは会社を辞める必要はありません。辞めるつもりがないのであれば、そのことをはっきり上司に伝えてください。
会社側は、退職勧奨を原則として自由に行うことができるとされています。しかし退職を強要することはできません。
中には、退職には応じないと伝えているのに執拗(しつよう)に退職を求め続けるケースもあります。
その回数、時間、態様(威圧的、半強制的、人格攻撃・暴言・脅し・いやがらせを伴うなど)に照らして、社会的相当性を逸脱した手段・方法によるものは、退職強要として、不法行為や債務不履行(安全配慮義務違反)となり、使用者の損害賠償責任が生じることとなります。
退職強要により退職の意思表示をしてしまった場合には、その意思表示が無効または取消の対象となることがあります。
労働者の損害賠償請求が認められた裁判例(慰謝料30万円)もあります。
労働者が退職には応じない意思を示したにもかかわらず、会社側が「退職しなければ解雇する」などと言いながら5回(1回1~2時間)にわたり面談で退職を求めた結果、労働者のメンタルヘルス障害が悪化したというケースです。
判決は会社の行為が「労働者の退職に関する自己決定権を侵害する違法な退職勧奨だった」と結論付けました。(京都地裁2014年2月27日判決)
このような争いになることもありますので、退職勧奨が行われる際には、会社側の発言を記録(録音、メモなど)しておくことが重要です。
退職に応じない場合に会社が解雇(=使用者側からの一方的な労働契約の解約)をしてくるかどうかという問題があります。
しかし解雇は法律上、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる場合」にのみ有効です。そうでない場合は権利の乱用として無効となります。(労働契約法16条)
会社にとってハードルは高く、簡単には行えません。
業績不振を理由とする場合でも、「整理解雇の4要件」(経営上の必要性があるか、解雇を回避する努力を尽くしたか、人選に合理性があるか、十分な協議交渉が行われたか)に照らして、その是非が吟味されることになります。やはり、容易ではないといえるでしょう。
今村幸次郎(弁護士)
「しんぶん赤旗」日曜版 2019年4月14日付掲載
労働者の解雇はよほどの事がない限り出来ない事になっています。「整理解雇の4要件」(経営上の必要性があるか、解雇を回避する努力を尽くしたか、人選に合理性があるか、十分な協議交渉が行われたか)です。
一人でも入れる労働組合や労働基準局に相談して、自信をもって闘いましょう。
今回は「退職勧奨」に関する相談です。会社の上司から、「辞めてくれないか」と言われるケースです。労働者に応じる義務はありません。辞める意思がない場合は、そのことを明確に伝えることが大切です。
Q 私は、期間の定めのない労働契約で医療機器販売の仕事をしています。先日、上司から「会社の業績が不振だ。君にやってもらう仕事がなくなりそうだから、辞めてくれないか」と言われました。家族や生活もありますので、辞めるわけにはいきません。私は会社を辞めなければならないのでしょうか。
A いいえ、そんなことはありません。あなたは会社を辞める必要はありません。辞めるつもりがないのであれば、そのことをはっきり上司に伝えてください。
会社側は、退職勧奨を原則として自由に行うことができるとされています。しかし退職を強要することはできません。
中には、退職には応じないと伝えているのに執拗(しつよう)に退職を求め続けるケースもあります。
その回数、時間、態様(威圧的、半強制的、人格攻撃・暴言・脅し・いやがらせを伴うなど)に照らして、社会的相当性を逸脱した手段・方法によるものは、退職強要として、不法行為や債務不履行(安全配慮義務違反)となり、使用者の損害賠償責任が生じることとなります。
退職強要により退職の意思表示をしてしまった場合には、その意思表示が無効または取消の対象となることがあります。
労働者の損害賠償請求が認められた裁判例(慰謝料30万円)もあります。
労働者が退職には応じない意思を示したにもかかわらず、会社側が「退職しなければ解雇する」などと言いながら5回(1回1~2時間)にわたり面談で退職を求めた結果、労働者のメンタルヘルス障害が悪化したというケースです。
判決は会社の行為が「労働者の退職に関する自己決定権を侵害する違法な退職勧奨だった」と結論付けました。(京都地裁2014年2月27日判決)
このような争いになることもありますので、退職勧奨が行われる際には、会社側の発言を記録(録音、メモなど)しておくことが重要です。
退職に応じない場合に会社が解雇(=使用者側からの一方的な労働契約の解約)をしてくるかどうかという問題があります。
しかし解雇は法律上、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる場合」にのみ有効です。そうでない場合は権利の乱用として無効となります。(労働契約法16条)
会社にとってハードルは高く、簡単には行えません。
業績不振を理由とする場合でも、「整理解雇の4要件」(経営上の必要性があるか、解雇を回避する努力を尽くしたか、人選に合理性があるか、十分な協議交渉が行われたか)に照らして、その是非が吟味されることになります。やはり、容易ではないといえるでしょう。
今村幸次郎(弁護士)
「しんぶん赤旗」日曜版 2019年4月14日付掲載
労働者の解雇はよほどの事がない限り出来ない事になっています。「整理解雇の4要件」(経営上の必要性があるか、解雇を回避する努力を尽くしたか、人選に合理性があるか、十分な協議交渉が行われたか)です。
一人でも入れる労働組合や労働基準局に相談して、自信をもって闘いましょう。
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