女性差別撤廃委 日本報告審議 ジェンダー平等へ② ハラスメント根絶 実効性を
全労連女性部事務局長 寺園通江さん
ジェンダー平等が最も遅れている分野の一つが労働です。国税庁の民間給与実態統計調査によると2022年の平均賃金は男性563万円に対して女性314万円と依然として格差が大きく、女性労働者の35・5%が年収200万円以下です。
賃金水準の低さの要因は雇用における間接差別や、少ない管理職、出産・介護でのキャリア断絶などが複合的に影響しています。
低賃金がまん延
「男は仕事、女は家庭」といった性別役割分業意識が根強く残り、家庭責任の多くを女性が担っています。その結果、非正規雇用と低賃金・不安定雇用がまん延しています。
ハラスメントも深刻です。労働局への労働相談は「いじめ・嫌がらせ」に関する内容が23年は6万125件で、すべての相談のうち12年連続トップです。全労連女性部の調査(20年)では3割がハラスメントを受けたと回答しています。
賃金格差の解消や包括的ハラスメント禁止規定の創設などを求めて全労連女性部は毎年政府要請を実施しています。この中で「ケア労働は労働条件が低く、軽視されている。役割に見合う賃上げが必要だ」「女性が世帯主と想定されていない」「保育や育児、生理休暇を取りやすくしてほしい」など切実な願いが出されています。
10月の国連女性差別撤廃委員会の日本審議に向けて全労連女性部は日本婦人団体連合会の一員としてカウンターリポートを提出し、現地に代表者一人を派遣して、こうした実態を委員に直接伝え、勧告につなげます。
国連の女性差別撤廃委,員会は16年、日本政府に包括的な女性差別禁止規定の創設や賃金格差縮小への努力強化、十分な保育施設確保、セクハラ禁止の法整備などを勧告しています。
女性差別撤廃条約の完全実施やハラスメント根絶を訴えるリーフレット
男性の改善にも
この間、企業への男女賃金格差の公表やパワハラ防止措置の義務付けが進みました。しかし、賃金格差は公表するだけで是正させる仕組みはなく、ハラスメント防止措置は義務化されても、禁止法がないので実効性が担保されていません。
全労連女性部は、女性差別撤廃条約の選択議定書を批准し、条約を完全に実施することを求めて同条約のポイントや勧告を解説するリーフを作成し、活用を呼びかけています。単産・地方組織で「ジェンダー平等宣言」を確立するため学習会への講師派遣にも取り組んできました。
ハラスメント根絶をめざす「なくそうハラスメントキャンペーン」を設定し、学習資材を兼ねたチラシを活用して職場で「根絶宣言」を出す取り組みや、「ハラスメントにどう対応するか」など実践的なワークショップも進めています。
女性の低賃金やハラスメントの解消は、男性の働き方改善にもつながる課題です。後ろ向きの政府の姿勢を変え、女性の働き方を国際基準にするために「対話と学びあい」で一緒に声を上げる人を増やしていきたいと考えています。
雨だれ石を穿(うが)つ。「難しい」を「楽しい」に変えて「私が私らしく生きていくために」職場からの共同を広げていきます。(玉田文子)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月12日付掲載
ジェンダー平等が最も遅れている分野の一つが労働。国税庁の民間給与実態統計調査によると2022年の平均賃金は男性563万円に対して女性314万円と依然として格差が大きく、女性労働者の35・5%が年収200万円以下。
ハラスメントも深刻。労働局への労働相談は「いじめ・嫌がらせ」に関する内容が23年は6万125件で、すべての相談のうち12年連続トップ。
全労連女性部は、女性差別撤廃条約の選択議定書を批准し、条約を完全に実施することを求めて同条約のポイントや勧告を解説するリーフを作成し、活用を呼びかけ。
全労連女性部事務局長 寺園通江さん
ジェンダー平等が最も遅れている分野の一つが労働です。国税庁の民間給与実態統計調査によると2022年の平均賃金は男性563万円に対して女性314万円と依然として格差が大きく、女性労働者の35・5%が年収200万円以下です。
賃金水準の低さの要因は雇用における間接差別や、少ない管理職、出産・介護でのキャリア断絶などが複合的に影響しています。
低賃金がまん延
「男は仕事、女は家庭」といった性別役割分業意識が根強く残り、家庭責任の多くを女性が担っています。その結果、非正規雇用と低賃金・不安定雇用がまん延しています。
ハラスメントも深刻です。労働局への労働相談は「いじめ・嫌がらせ」に関する内容が23年は6万125件で、すべての相談のうち12年連続トップです。全労連女性部の調査(20年)では3割がハラスメントを受けたと回答しています。
賃金格差の解消や包括的ハラスメント禁止規定の創設などを求めて全労連女性部は毎年政府要請を実施しています。この中で「ケア労働は労働条件が低く、軽視されている。役割に見合う賃上げが必要だ」「女性が世帯主と想定されていない」「保育や育児、生理休暇を取りやすくしてほしい」など切実な願いが出されています。
10月の国連女性差別撤廃委員会の日本審議に向けて全労連女性部は日本婦人団体連合会の一員としてカウンターリポートを提出し、現地に代表者一人を派遣して、こうした実態を委員に直接伝え、勧告につなげます。
国連の女性差別撤廃委,員会は16年、日本政府に包括的な女性差別禁止規定の創設や賃金格差縮小への努力強化、十分な保育施設確保、セクハラ禁止の法整備などを勧告しています。
女性差別撤廃条約の完全実施やハラスメント根絶を訴えるリーフレット
男性の改善にも
この間、企業への男女賃金格差の公表やパワハラ防止措置の義務付けが進みました。しかし、賃金格差は公表するだけで是正させる仕組みはなく、ハラスメント防止措置は義務化されても、禁止法がないので実効性が担保されていません。
全労連女性部は、女性差別撤廃条約の選択議定書を批准し、条約を完全に実施することを求めて同条約のポイントや勧告を解説するリーフを作成し、活用を呼びかけています。単産・地方組織で「ジェンダー平等宣言」を確立するため学習会への講師派遣にも取り組んできました。
ハラスメント根絶をめざす「なくそうハラスメントキャンペーン」を設定し、学習資材を兼ねたチラシを活用して職場で「根絶宣言」を出す取り組みや、「ハラスメントにどう対応するか」など実践的なワークショップも進めています。
女性の低賃金やハラスメントの解消は、男性の働き方改善にもつながる課題です。後ろ向きの政府の姿勢を変え、女性の働き方を国際基準にするために「対話と学びあい」で一緒に声を上げる人を増やしていきたいと考えています。
雨だれ石を穿(うが)つ。「難しい」を「楽しい」に変えて「私が私らしく生きていくために」職場からの共同を広げていきます。(玉田文子)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月12日付掲載
ジェンダー平等が最も遅れている分野の一つが労働。国税庁の民間給与実態統計調査によると2022年の平均賃金は男性563万円に対して女性314万円と依然として格差が大きく、女性労働者の35・5%が年収200万円以下。
ハラスメントも深刻。労働局への労働相談は「いじめ・嫌がらせ」に関する内容が23年は6万125件で、すべての相談のうち12年連続トップ。
全労連女性部は、女性差別撤廃条約の選択議定書を批准し、条約を完全に実施することを求めて同条約のポイントや勧告を解説するリーフを作成し、活用を呼びかけ。
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