自治体の給食費無償化 どうやって広がったのか
どの子も学び成長 子育てする親を応援
京都府で学校事務職員だった岡崎利夫さん(66)。退職後、給食費を無償化した全国の自治体を訪問し、取材を続けています。給食費無償化が広がった背景を聞きました。
全国の自治体を訪問し取材
岡崎利夫さんに聞く
私は学校事務職員として働いて初めて、給食費や教材費、修学旅行費が無料になる就学援助という制度を知りました。小学生時代は絵の具が買えなくて、図工がある日は学校に行くのがつらく休むこともありました。
事務職員の仲間とともにまず行ったのは、就学援助制度を教職員や保護者に知ってもらうことでした。地域の全戸に毎年ビラを配って、シンポジウムを開催。教育費増額を求める大運動を進めて私は学校事務職員として働いて初めて、給食費や教材費、修学旅行費が無料になる就学援助という制度を知りました。小学生時代は絵の具が買えなくて、図工がある日は学校に行くのがつらく休むこともありました。
事務職員の仲間とともにまず行ったのは、就学援助制度を教職員や保護者に知ってもらうことでした。地域の全戸に毎年ビラを配って、シンポジウムを開催。教育費増額を求める大運動を進めてきました。その結果、1974年に4%だった就学援助の利用率は、約4割と10倍に増えました。(2021年の京都府宮津市の利用率は小学生32%、中学生45%)
しかし、政府は05年、就学援助への国庫補助をなくし、自治体まかせにしました。就学援助が認定される世帯所得基準が生活保護と同じか、その1・3倍程度までとする自治体がほとんどです。基準が非公開や、基準すら存在しない自治体もあります。少なくとも国庫補助に戻し、生活保護基準の1・5倍程度まで利用できるようしてほしい。就学援助を利用できない児童・生徒が多い中、月5000円程度と一番お金のかかる給食費を無償にすれば、助かる子育て世代は多いのです。
京都府伊根町は15年から給食費、教材費、修学旅行費も無料にしました。「食事は親の務め」と最初難色を示した町長も、「子育てする親を応援するため決断した」と話しています。同町を皮切りに、京都府では給食費や修学旅行費を無償にする自治体が増えています。
京都府伊根町の稲中学校の給食(岡崎さん提供)
豊かな地域づくり
全国で給食費を無償にした自治体を訪問すると、どこも財政は決して豊かではありません。どの子も学び成長していくために給食費の無償化が重要である、と認識を共有して実現してきたのです。同時にそうした自治体は、保育料の完全無償、18歳までの医療費無償、学童保育・学校施設整備・教育予算の増額、図書館の充実など、子育て世代が暮らしたいと思うような町づくりや、住民の要求や意見が反映された豊かな地域づくりにも奮闘しています。
北海道上ノ国町では18歳まで医療費も、難病の子が遠方に通院するための交通費・宿泊費も無料です。北海道足寄(あしょろ)町と岩手県九戸(くのへ)村では高校生まで給食があり、しかも無償です。
群馬県みどり市では、「食育」を推進し、そのために給食を無償化しました。祖父母や父母が食べてきたおいしい給食を子や孫に引き継ぎたい、という願いがこめられています。
給食無償化をしている多くの自治体は、町の自慢はおいしい給食だと答えてくれます。子育て支援が充実すると若い世代が増えて、活性化します。自治体の規模にかかわらず、総予算の1%未満で給食費の無償化はできるのです。
首長選挙で公約に掲げて当選し、無償化を実現する事例も増えています。日本共産党の小池晃参院議員(書記局長)が代表質問で「学校給食法は自治体判断の全額補助を否定していない」と、岸田文雄首相に認めさせました(10月7日)。これで、無償化を阻む唯一の理由が言えなくなりました。
住民運動の大成果
注目するのは無償化の実現をめざす住民運動です。「無償化を進める会」をつくり、署名や議会請願が各地で展開され、大きな成果をあげています。群馬、福島、長野、青森の各県では全額・半額無償、一部補助などで多くの市町村が負担軽減をはかっています。
コロナ禍での物価高騰対策として、国は初めて給食費に交付金を出しました。交付金を利用し、.高知市、奈良市、高松市などの県庁所在地を含め、100を超える自治体で期間限定の無償化が実現しています。
国や都道府県がお金を出せば、一気に実現できます。国も自治体も給食無償化を進めてほしい。
市民の声・運動の成果
スーパー前・校門前でも訴え
青森市(人口約27万人)では10月から、全国の中核市で初めて、市立小中学校の給食費が無償になりました。日本共産党市議団が2018年の市議選で公約に打ち出し、「学校給食の無料化をめざす青森市民の会」とともに署名運動に取り組んで実現。同会の代表世話人の1人で、新日本婦人の会青森支部の事務局長、坂本麻衣子さんは11月11日、「給食無償化&地場産、国産、有機食材に!オンライン学習交流会」(新婦人中央本部主催)で経験を語りました。
青森 中核市で初
市民の会代表世話人 坂本麻衣子さん語る
わが家は子どもが5人います。4年前、一番上の子が小学6年生の時、「いまは小学生が2人で給食費は毎月1万円だけど、来年は中学生1人と小学生2人になって毎月1万6000円になる。負担が大きいな」と思いました。(18年市議選での学校給食無償化の公約については)実現すればうれしいけれど、できるのかなと感じていました。
19年5月に、新婦人青森支部や県教職員組合東青支部などで市民の会を立ち上げて、代表世話人になりました。ニュースを発行しながら会を運営しましたが、多くの人に知らせること、市民の声を聞くことを大事にしてきました。学校給食の歴史や全国の無償化の流れ、他県の運動の様子や「なぜ学校給食は無償にすべきか」をテーマに、講師を招いて対面やオンラインで学習しました。
人が集まるところで署名行動
署名を集める市民の会のメンバー
毎年請願取り組み
無償化を求める請願署名に毎年取り組みました。毎月、土日や休日に、親子連れがよく通るスーパーマーケット前で街頭署名やシール投票をしました。学校行事の日に校門前で、署名用紙と返信用封筒とチラシをセットにして保護者に手渡し、約100人分の署名が返ってきたこともありました。小中学校の全PTAにニュースや署名用紙を送りました。署名は3年間で6449人分も集まりました。
19年12月議会に初めて請願を提出して、全会派の控室を訪問した時、「本来は国がやるべき」という議員もいて不採択に。20年は「無償化を求める意見書を国に上げてほしい」という請願も出しましたが、これも不採択でした。「それなら“外堀”を埋めていこう」と、市民の会は県内の40市町村議会に意見書採択の請願や陳情を出しました。25の議会で国への意見書が採択されています。青森市でも意見書は採択されましたが、給食無償化の請願は(21年まで)3年連続で否決されました。要求を可視化して今年もあきらめずに、市民の会は運動を続けました。会の代表世話人でもある、共産党の村川みどり市議は議会のたびに市に迫りましたが、市教育委員会は6月議会でも「保護者負担が必要」と答えていました。ところが、7月21日、小野寺晃彦市長は突然、「(共産党を除く)5会派から、10月からの小中学校の給食費の無償化と、来年度以降の無償化継続の要望があった」として、応じる形で無償化を発表したのです。(対象児童数は小中学校合わせて1万8552人)
10月の市議選に向けて、給食無償化への賛否などを間う公開質問状の準備をしていたので、すごく驚きましたが、「私たちの運動と市民の声が、市長と議会を動かした」と喜びました。選挙は、私たちの要求を実現させる大事な機会だと思いました。
運動して市民に知らせていくことで、「ほかの自治体では無償化している」「要求してもいいことだ」「なんでうちの自治体ではやらないの」などと、要求が可視化されて世論が高まっていくと思います。学校給食無償化の妥当性や全国の運動を学んで、多くの市民に呼びかけて、世論を高めて議会請願を重ねていくこと、選挙の争点にしていくことが大事だと感じています。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月3日付掲載
学校給食の無償化 実施自治体一覧
【小学校・中学校とも学校給食費を無償化している自治体】
北海道 赤井川村、黒松内町、上川町、美瑛町、中頓別町、上ノ国町、木古内町、福島町、知内町、八雲町、せたな町、江差町、日高町、新冠町、美唄市、浦臼町、北竜町、妹背牛町、上砂川町、厚岸町、白糠町、根室市、西興部村、雄武町、大空町、清里町、小清水町、佐呂間町、足寄町、浦幌町、鹿追町、陸別町、歌志内市、紋別市、浜中町、弟子屈町、鶴居村
青森県 五所川原市、七戸町、新郷村、南部町、東北町、六ケ所村、横浜町、今別町、平川市、鶴田町、大鰐町、おいらせ町、青森市
岩手県 九戸村、普代村、田野畑村、軽米町
宮城県 七ケ宿町、大郷町、大衡村
秋田県 八郎潟町、東成瀬村、上小阿仁村、井川町
山形県 鮭川村、寒河江市、西川町
福島県 金山町、下郷町、相馬市、広野町、古殿町、泉崎村、塙町、柳津町、三島町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、富岡町、葛尾村、楢葉町、飯舘村、南相馬市、只見町、国見町、中島村、川俣町、北塩原村
茨城県 大子町、城里町、潮来市、河内町、神栖市
群馬県 板倉町、上野村、神流町、草津町、渋川市、嬬恋村、南牧村、東吾妻町、長野原町、中之条町、下仁田町、みどり市、甘楽町、高山村
埼玉県 小鹿野町、神川町、滑川町、東秩父村、美里町
千葉県 大多喜町、神崎町、芝山町、多古町、勝浦市、長南町、横芝光町、鋸南町、東庄町
東京都 奥多摩町、檜原村、利島村、三宅村、御蔵島村
神奈川県 箱根町、中井町
新潟県 弥彦村
富山県 朝日町、上市町
石川県 穴水町
福井県 永平寺町、高浜町
山梨県 富士吉田市、甲州市、早川町、身延町、南部町、道志村、西桂町、忍野村、山中湖村、鳴沢村、富士河口湖町、丹波山村
長野県 小海町、佐久穂町、川上村、南牧村、南相木村、北相木村、軽井沢町、御代田町、長和町、青木村、上松町、王滝村、大桑村、売木村、天龍村、大鹿村、生坂村、山形村、立科町
岐阜県 岐南町、揖斐川町、山県市、垂井町
静岡県 御前崎市、小山町
愛知県 豊根村
三重県 志摩市、熊野市、いなべ市、大台町、多気町
滋賀県 豊郷町、高島市
京都府 井手町、伊根町、南山城村、和束町、笠置町
大阪府 田尻町、千早赤阪村
兵庫県 相生市、加西市
奈良県 上北山村、黒滝村、野迫川村、曽爾村、御杖村、十津川村、下北山村、山添村
和歌山県 北山村、高野町、古座川町、太地町、かつらぎ町、紀美野町、紀の川市、すさみ町、新宮市
鳥取県 智頭町、大山町、若桜町、日野町、江府町
島根県 古賀町
岡山県 備前市
山口県 岩国市、和木町
徳島県 三好市、神山町
香川県 小豆島町
高知県 大川村、土佐町、佐川町、本山町
佐賀県 大町町、上峰町、江北町、太良町、玄海町
熊本県 山江村、水上村
大分県 豊後高田市
宮崎県 諸塚村、新富町、木城町、都農町、美郷町、日之影町
鹿児島県 宇検村、長島町、南さつま市、南種子町、喜界町、天城町、伊仙町、大和村、三島村、十島村
沖縄県 名護市、宮古島市、国頭村、本部町、宜野座村、金武町、恩納村、嘉手納町、与那国町、伊是名村、多良間村、渡名喜村
【小学校のみ無償化】
北海道 三笠市
山梨県 市川三郷町
長野県 平谷村、朝日村
滋賀県 長浜市
香川県 坂出市
【中学校のみ無償化】
山形県 大江町
茨城県 北茨城市
群馬県 太田市
石川県 小松市、輪島市
大阪府 高槻市
兵庫県 明石市、たつの市
和歌山県 広川町
山口県 萩市
宮崎県 えびの市
※「しんぶん赤旗」学校給食無償化調査チームが、党の各都道府県委員会を通じて調査。
※いったん徴収後に返金するものも含む。
※▽期間限定▽学年や第3子以降など対象を限定▽一部補助―などは含まず。
どの子も学び成長 子育てする親を応援
全国で給食費を無償にした自治体を訪問すると、どこも財政は決して豊かではありません。どの子も学び成長していくために給食費の無償化が重要である、と認識を共有して実現してきたのです。同時にそうした自治体は、保育料の完全無償、18歳までの医療費無償、学童保育・学校施設整備・教育予算の増額、図書館の充実など、子育て世代が暮らしたいと思うような町づくりや、住民の要求や意見が反映された豊かな地域づくりにも奮闘。
市民の声・運動の成果 スーパー前・校門前でも訴え
要求を可視化して今年もあきらめずに、市民の会は運動を続けました。会の代表世話人でもある、共産党の村川みどり市議は議会のたびに市に迫りましたが、市教育委員会は6月議会でも「保護者負担が必要」と。ところが、7月21日、小野寺晃彦市長は突然、「(共産党を除く)5会派から、10月からの小中学校の給食費の無償化と、来年度以降の無償化継続の要望があった」として、応じる形で無償化を発表。
やはり、地道な住民運動が必要ですね。
どの子も学び成長 子育てする親を応援
京都府で学校事務職員だった岡崎利夫さん(66)。退職後、給食費を無償化した全国の自治体を訪問し、取材を続けています。給食費無償化が広がった背景を聞きました。
全国の自治体を訪問し取材
岡崎利夫さんに聞く
私は学校事務職員として働いて初めて、給食費や教材費、修学旅行費が無料になる就学援助という制度を知りました。小学生時代は絵の具が買えなくて、図工がある日は学校に行くのがつらく休むこともありました。
事務職員の仲間とともにまず行ったのは、就学援助制度を教職員や保護者に知ってもらうことでした。地域の全戸に毎年ビラを配って、シンポジウムを開催。教育費増額を求める大運動を進めて私は学校事務職員として働いて初めて、給食費や教材費、修学旅行費が無料になる就学援助という制度を知りました。小学生時代は絵の具が買えなくて、図工がある日は学校に行くのがつらく休むこともありました。
事務職員の仲間とともにまず行ったのは、就学援助制度を教職員や保護者に知ってもらうことでした。地域の全戸に毎年ビラを配って、シンポジウムを開催。教育費増額を求める大運動を進めてきました。その結果、1974年に4%だった就学援助の利用率は、約4割と10倍に増えました。(2021年の京都府宮津市の利用率は小学生32%、中学生45%)
しかし、政府は05年、就学援助への国庫補助をなくし、自治体まかせにしました。就学援助が認定される世帯所得基準が生活保護と同じか、その1・3倍程度までとする自治体がほとんどです。基準が非公開や、基準すら存在しない自治体もあります。少なくとも国庫補助に戻し、生活保護基準の1・5倍程度まで利用できるようしてほしい。就学援助を利用できない児童・生徒が多い中、月5000円程度と一番お金のかかる給食費を無償にすれば、助かる子育て世代は多いのです。
京都府伊根町は15年から給食費、教材費、修学旅行費も無料にしました。「食事は親の務め」と最初難色を示した町長も、「子育てする親を応援するため決断した」と話しています。同町を皮切りに、京都府では給食費や修学旅行費を無償にする自治体が増えています。
京都府伊根町の稲中学校の給食(岡崎さん提供)
豊かな地域づくり
全国で給食費を無償にした自治体を訪問すると、どこも財政は決して豊かではありません。どの子も学び成長していくために給食費の無償化が重要である、と認識を共有して実現してきたのです。同時にそうした自治体は、保育料の完全無償、18歳までの医療費無償、学童保育・学校施設整備・教育予算の増額、図書館の充実など、子育て世代が暮らしたいと思うような町づくりや、住民の要求や意見が反映された豊かな地域づくりにも奮闘しています。
北海道上ノ国町では18歳まで医療費も、難病の子が遠方に通院するための交通費・宿泊費も無料です。北海道足寄(あしょろ)町と岩手県九戸(くのへ)村では高校生まで給食があり、しかも無償です。
群馬県みどり市では、「食育」を推進し、そのために給食を無償化しました。祖父母や父母が食べてきたおいしい給食を子や孫に引き継ぎたい、という願いがこめられています。
給食無償化をしている多くの自治体は、町の自慢はおいしい給食だと答えてくれます。子育て支援が充実すると若い世代が増えて、活性化します。自治体の規模にかかわらず、総予算の1%未満で給食費の無償化はできるのです。
首長選挙で公約に掲げて当選し、無償化を実現する事例も増えています。日本共産党の小池晃参院議員(書記局長)が代表質問で「学校給食法は自治体判断の全額補助を否定していない」と、岸田文雄首相に認めさせました(10月7日)。これで、無償化を阻む唯一の理由が言えなくなりました。
住民運動の大成果
注目するのは無償化の実現をめざす住民運動です。「無償化を進める会」をつくり、署名や議会請願が各地で展開され、大きな成果をあげています。群馬、福島、長野、青森の各県では全額・半額無償、一部補助などで多くの市町村が負担軽減をはかっています。
コロナ禍での物価高騰対策として、国は初めて給食費に交付金を出しました。交付金を利用し、.高知市、奈良市、高松市などの県庁所在地を含め、100を超える自治体で期間限定の無償化が実現しています。
国や都道府県がお金を出せば、一気に実現できます。国も自治体も給食無償化を進めてほしい。
市民の声・運動の成果
スーパー前・校門前でも訴え
青森市(人口約27万人)では10月から、全国の中核市で初めて、市立小中学校の給食費が無償になりました。日本共産党市議団が2018年の市議選で公約に打ち出し、「学校給食の無料化をめざす青森市民の会」とともに署名運動に取り組んで実現。同会の代表世話人の1人で、新日本婦人の会青森支部の事務局長、坂本麻衣子さんは11月11日、「給食無償化&地場産、国産、有機食材に!オンライン学習交流会」(新婦人中央本部主催)で経験を語りました。
青森 中核市で初
市民の会代表世話人 坂本麻衣子さん語る
わが家は子どもが5人います。4年前、一番上の子が小学6年生の時、「いまは小学生が2人で給食費は毎月1万円だけど、来年は中学生1人と小学生2人になって毎月1万6000円になる。負担が大きいな」と思いました。(18年市議選での学校給食無償化の公約については)実現すればうれしいけれど、できるのかなと感じていました。
19年5月に、新婦人青森支部や県教職員組合東青支部などで市民の会を立ち上げて、代表世話人になりました。ニュースを発行しながら会を運営しましたが、多くの人に知らせること、市民の声を聞くことを大事にしてきました。学校給食の歴史や全国の無償化の流れ、他県の運動の様子や「なぜ学校給食は無償にすべきか」をテーマに、講師を招いて対面やオンラインで学習しました。
人が集まるところで署名行動
署名を集める市民の会のメンバー
毎年請願取り組み
無償化を求める請願署名に毎年取り組みました。毎月、土日や休日に、親子連れがよく通るスーパーマーケット前で街頭署名やシール投票をしました。学校行事の日に校門前で、署名用紙と返信用封筒とチラシをセットにして保護者に手渡し、約100人分の署名が返ってきたこともありました。小中学校の全PTAにニュースや署名用紙を送りました。署名は3年間で6449人分も集まりました。
19年12月議会に初めて請願を提出して、全会派の控室を訪問した時、「本来は国がやるべき」という議員もいて不採択に。20年は「無償化を求める意見書を国に上げてほしい」という請願も出しましたが、これも不採択でした。「それなら“外堀”を埋めていこう」と、市民の会は県内の40市町村議会に意見書採択の請願や陳情を出しました。25の議会で国への意見書が採択されています。青森市でも意見書は採択されましたが、給食無償化の請願は(21年まで)3年連続で否決されました。要求を可視化して今年もあきらめずに、市民の会は運動を続けました。会の代表世話人でもある、共産党の村川みどり市議は議会のたびに市に迫りましたが、市教育委員会は6月議会でも「保護者負担が必要」と答えていました。ところが、7月21日、小野寺晃彦市長は突然、「(共産党を除く)5会派から、10月からの小中学校の給食費の無償化と、来年度以降の無償化継続の要望があった」として、応じる形で無償化を発表したのです。(対象児童数は小中学校合わせて1万8552人)
10月の市議選に向けて、給食無償化への賛否などを間う公開質問状の準備をしていたので、すごく驚きましたが、「私たちの運動と市民の声が、市長と議会を動かした」と喜びました。選挙は、私たちの要求を実現させる大事な機会だと思いました。
運動して市民に知らせていくことで、「ほかの自治体では無償化している」「要求してもいいことだ」「なんでうちの自治体ではやらないの」などと、要求が可視化されて世論が高まっていくと思います。学校給食無償化の妥当性や全国の運動を学んで、多くの市民に呼びかけて、世論を高めて議会請願を重ねていくこと、選挙の争点にしていくことが大事だと感じています。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月3日付掲載
学校給食の無償化 実施自治体一覧
【小学校・中学校とも学校給食費を無償化している自治体】
北海道 赤井川村、黒松内町、上川町、美瑛町、中頓別町、上ノ国町、木古内町、福島町、知内町、八雲町、せたな町、江差町、日高町、新冠町、美唄市、浦臼町、北竜町、妹背牛町、上砂川町、厚岸町、白糠町、根室市、西興部村、雄武町、大空町、清里町、小清水町、佐呂間町、足寄町、浦幌町、鹿追町、陸別町、歌志内市、紋別市、浜中町、弟子屈町、鶴居村
青森県 五所川原市、七戸町、新郷村、南部町、東北町、六ケ所村、横浜町、今別町、平川市、鶴田町、大鰐町、おいらせ町、青森市
岩手県 九戸村、普代村、田野畑村、軽米町
宮城県 七ケ宿町、大郷町、大衡村
秋田県 八郎潟町、東成瀬村、上小阿仁村、井川町
山形県 鮭川村、寒河江市、西川町
福島県 金山町、下郷町、相馬市、広野町、古殿町、泉崎村、塙町、柳津町、三島町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、富岡町、葛尾村、楢葉町、飯舘村、南相馬市、只見町、国見町、中島村、川俣町、北塩原村
茨城県 大子町、城里町、潮来市、河内町、神栖市
群馬県 板倉町、上野村、神流町、草津町、渋川市、嬬恋村、南牧村、東吾妻町、長野原町、中之条町、下仁田町、みどり市、甘楽町、高山村
埼玉県 小鹿野町、神川町、滑川町、東秩父村、美里町
千葉県 大多喜町、神崎町、芝山町、多古町、勝浦市、長南町、横芝光町、鋸南町、東庄町
東京都 奥多摩町、檜原村、利島村、三宅村、御蔵島村
神奈川県 箱根町、中井町
新潟県 弥彦村
富山県 朝日町、上市町
石川県 穴水町
福井県 永平寺町、高浜町
山梨県 富士吉田市、甲州市、早川町、身延町、南部町、道志村、西桂町、忍野村、山中湖村、鳴沢村、富士河口湖町、丹波山村
長野県 小海町、佐久穂町、川上村、南牧村、南相木村、北相木村、軽井沢町、御代田町、長和町、青木村、上松町、王滝村、大桑村、売木村、天龍村、大鹿村、生坂村、山形村、立科町
岐阜県 岐南町、揖斐川町、山県市、垂井町
静岡県 御前崎市、小山町
愛知県 豊根村
三重県 志摩市、熊野市、いなべ市、大台町、多気町
滋賀県 豊郷町、高島市
京都府 井手町、伊根町、南山城村、和束町、笠置町
大阪府 田尻町、千早赤阪村
兵庫県 相生市、加西市
奈良県 上北山村、黒滝村、野迫川村、曽爾村、御杖村、十津川村、下北山村、山添村
和歌山県 北山村、高野町、古座川町、太地町、かつらぎ町、紀美野町、紀の川市、すさみ町、新宮市
鳥取県 智頭町、大山町、若桜町、日野町、江府町
島根県 古賀町
岡山県 備前市
山口県 岩国市、和木町
徳島県 三好市、神山町
香川県 小豆島町
高知県 大川村、土佐町、佐川町、本山町
佐賀県 大町町、上峰町、江北町、太良町、玄海町
熊本県 山江村、水上村
大分県 豊後高田市
宮崎県 諸塚村、新富町、木城町、都農町、美郷町、日之影町
鹿児島県 宇検村、長島町、南さつま市、南種子町、喜界町、天城町、伊仙町、大和村、三島村、十島村
沖縄県 名護市、宮古島市、国頭村、本部町、宜野座村、金武町、恩納村、嘉手納町、与那国町、伊是名村、多良間村、渡名喜村
【小学校のみ無償化】
北海道 三笠市
山梨県 市川三郷町
長野県 平谷村、朝日村
滋賀県 長浜市
香川県 坂出市
【中学校のみ無償化】
山形県 大江町
茨城県 北茨城市
群馬県 太田市
石川県 小松市、輪島市
大阪府 高槻市
兵庫県 明石市、たつの市
和歌山県 広川町
山口県 萩市
宮崎県 えびの市
※「しんぶん赤旗」学校給食無償化調査チームが、党の各都道府県委員会を通じて調査。
※いったん徴収後に返金するものも含む。
※▽期間限定▽学年や第3子以降など対象を限定▽一部補助―などは含まず。
どの子も学び成長 子育てする親を応援
全国で給食費を無償にした自治体を訪問すると、どこも財政は決して豊かではありません。どの子も学び成長していくために給食費の無償化が重要である、と認識を共有して実現してきたのです。同時にそうした自治体は、保育料の完全無償、18歳までの医療費無償、学童保育・学校施設整備・教育予算の増額、図書館の充実など、子育て世代が暮らしたいと思うような町づくりや、住民の要求や意見が反映された豊かな地域づくりにも奮闘。
市民の声・運動の成果 スーパー前・校門前でも訴え
要求を可視化して今年もあきらめずに、市民の会は運動を続けました。会の代表世話人でもある、共産党の村川みどり市議は議会のたびに市に迫りましたが、市教育委員会は6月議会でも「保護者負担が必要」と。ところが、7月21日、小野寺晃彦市長は突然、「(共産党を除く)5会派から、10月からの小中学校の給食費の無償化と、来年度以降の無償化継続の要望があった」として、応じる形で無償化を発表。
やはり、地道な住民運動が必要ですね。
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