揺らぐ地域スポーツ⑥ 公共施設等総合管理計画 住民不在に矛盾噴出
「ここをなくすなんて、何を考えているのか。体育館は耐震工事を3年前にしたばかりだよ」。東京都青梅市の住宅地にある東青梅市民センター体育館。ビーチポール竸技に汗を流す中年男性は、吐き捨てるように話しました。
一昨年末、同施設の移転計画が持ち上がりました。市が他の公共施設と合わせ、約1㌔先に複合施設をつくるためです。
3割の大削減
青梅市は2年前「公共施設等総合管理計画」を決定。市内328施設の延べ床面積を40年で3割減らす大削減計画です。
同管理計画は全国の自治体で実施段階にあります。2014年、総務省が各自治体に策定を求め、99・4%が計画を作成。その中身は、今後人口減少で税収が落ちる中、老朽化公共施設は維持管理できないと削減し、複合・集約化を進めるもの。利用料の値上げ、運営民営化など、どれも判で押したような計画です。
青梅市は3月末、高齢者の憩いの場の無料入浴施設を廃止しました。「お風呂は生きがい」「無くさないで」と利用者が市庁舎につめかける中、強行した形です。市は昨年度だけで高齢者センターなど7施設を廃止。今後スポーツ施設は永山体育館など3施設を廃止し、青梅スタジアムなど4施設を廃止検討としています。
移転統合に反対の声が上がっている東青梅市民センター(左)と体育館=東京都青梅市
反対署名提出
体育館を併設する11の市民センターも集約化の対象です。市は、東青梅市民センターを「廃止ではなく移転」と言いますが、反対の声が湧き上がっています。
体育館を使う健康体操の会は「会の平均年齢は74歳で新施設には通えない。いまのところに残して」と訴え、災害の際、ここが避難所になる近隣の保育園は「統廃合されたら引き渡し訓練すらできない」の声が上がります。
昨年3月に発足した「存続させる会」は、9カ月後に約3千人分の反対署名を議会に提出しました。「反響の大きさに驚きました。この施設がいかに地域の結びつきをつくっているか。残すために運動を続けたい」。代表の樋口兼久さん(73)は訴えます。
日本共産党の藤野ひろえ、みねざき拓実の両市議は当初から総合管理計画の問題点を明らかにしてきました。井上たかし候補は指摘します。
「近隣の自治体でもこんなひどい大削減は聞きません。しかも徹底した住民不参加が貫かれている。まずは計画段階から住民の意向を聞く仕組みをつくるべきです」
全国でも反対の声が広がりつつあります。総務省が全国のモデルとしてきた神奈川県秦野市もその一つ。昨年就任した新市長は「見直すべきところは見直す」と軌道修正し、推進してきた課は今年3月に看板を下ろしました。ここでは公民館の有料化をめぐり、反対運動が起きていました。
自治体問題研究所の角田英昭さんは指摘します。
「公共施設は地域・コミュニティーの核であり、暮らしを支えるもの。削減ありきでなく、住民参加、合意で進めるべき。それぞれの施設がなんのためにあるか、学びを通して運動を広げていくことが必要です」
(和泉民郎)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年4月7日付掲載
市民の健康増進の面から、身近で廉価で利用できるスポーツ施設は貴重なものです。経費削減なんで言わずに、そういうところこそ、お金をかけるべきですね。
「ここをなくすなんて、何を考えているのか。体育館は耐震工事を3年前にしたばかりだよ」。東京都青梅市の住宅地にある東青梅市民センター体育館。ビーチポール竸技に汗を流す中年男性は、吐き捨てるように話しました。
一昨年末、同施設の移転計画が持ち上がりました。市が他の公共施設と合わせ、約1㌔先に複合施設をつくるためです。
3割の大削減
青梅市は2年前「公共施設等総合管理計画」を決定。市内328施設の延べ床面積を40年で3割減らす大削減計画です。
同管理計画は全国の自治体で実施段階にあります。2014年、総務省が各自治体に策定を求め、99・4%が計画を作成。その中身は、今後人口減少で税収が落ちる中、老朽化公共施設は維持管理できないと削減し、複合・集約化を進めるもの。利用料の値上げ、運営民営化など、どれも判で押したような計画です。
青梅市は3月末、高齢者の憩いの場の無料入浴施設を廃止しました。「お風呂は生きがい」「無くさないで」と利用者が市庁舎につめかける中、強行した形です。市は昨年度だけで高齢者センターなど7施設を廃止。今後スポーツ施設は永山体育館など3施設を廃止し、青梅スタジアムなど4施設を廃止検討としています。
移転統合に反対の声が上がっている東青梅市民センター(左)と体育館=東京都青梅市
反対署名提出
体育館を併設する11の市民センターも集約化の対象です。市は、東青梅市民センターを「廃止ではなく移転」と言いますが、反対の声が湧き上がっています。
体育館を使う健康体操の会は「会の平均年齢は74歳で新施設には通えない。いまのところに残して」と訴え、災害の際、ここが避難所になる近隣の保育園は「統廃合されたら引き渡し訓練すらできない」の声が上がります。
昨年3月に発足した「存続させる会」は、9カ月後に約3千人分の反対署名を議会に提出しました。「反響の大きさに驚きました。この施設がいかに地域の結びつきをつくっているか。残すために運動を続けたい」。代表の樋口兼久さん(73)は訴えます。
日本共産党の藤野ひろえ、みねざき拓実の両市議は当初から総合管理計画の問題点を明らかにしてきました。井上たかし候補は指摘します。
「近隣の自治体でもこんなひどい大削減は聞きません。しかも徹底した住民不参加が貫かれている。まずは計画段階から住民の意向を聞く仕組みをつくるべきです」
全国でも反対の声が広がりつつあります。総務省が全国のモデルとしてきた神奈川県秦野市もその一つ。昨年就任した新市長は「見直すべきところは見直す」と軌道修正し、推進してきた課は今年3月に看板を下ろしました。ここでは公民館の有料化をめぐり、反対運動が起きていました。
自治体問題研究所の角田英昭さんは指摘します。
「公共施設は地域・コミュニティーの核であり、暮らしを支えるもの。削減ありきでなく、住民参加、合意で進めるべき。それぞれの施設がなんのためにあるか、学びを通して運動を広げていくことが必要です」
(和泉民郎)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年4月7日付掲載
市民の健康増進の面から、身近で廉価で利用できるスポーツ施設は貴重なものです。経費削減なんで言わずに、そういうところこそ、お金をかけるべきですね。
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