神戸製鋼 不正の病巣① 門前ビラのパワー
総会屋への利益供与や政治資金規正法違反など不正を繰り返してきた神戸製鋼所で今度は、この秋口に検査データ改ざん問題が発覚しました。不正の病巣を追います。
神戸市の朝5時50分はまだ暗い。神戸製鉄所前の歩道を照らすのは、街灯の明かりと運送トラックのライトのみです。歩道脇の金網には、「品質月間」の大きな看板がかかっています。
7時からの交代勤務に就くために、労働者たちはこの時間から、一人、また一人、工場の中に入っていきます。

神戸製鋼所門前で「展望」を配布=11月28日、神戸市
共産党委が訴え
「内外に素材を供給している大企業の不祥事として、取引先に大きな負担を掛け、社会的責任を問われ、大きな批判を浴びています」。日本共産党神戸製鋼委員会は、こう訴えたビラ「展望」を門前で配布しました。
6時半ごろにもなると、「データ改ざん問題。『展望』配布中」のプラスターに「日本共産党」と書かれた赤字の文字が、朝日を受けてくっきり浮かびあがってきました。
「おはようございます。ご苦労さまです」と声を掛けビラを配布すると、防寒具のポケットにつっこんでいた手を出して受け取る人、自分から寄ってきて受け取る人、乗ってきた自転車をわざわざ止めて受け取る人も。ビラが次々に労働者たちの手に渡ります。じっくり読みながら工場に入る労働者の姿もありました。
「労働者がビラをよく受け取るのは、賃金差別反対闘争や労災事故対策、就業前ミーティングを残業扱いにしたことなど労働者の要求実現に貢献しているからだよ。管理職もよく読んでいるんだ」。ビラ配布に参加した神鋼OBは、早朝門前ビラのパワーを誇らしげに語ります。
神鋼は10月8日に、検査データの改ざんがあったと発表しました。改ざんは、アルミ板、銅板、鉄粉、鋼線、特殊鋼、ステンレス線、厚板加工などの広範囲にわたりました。出荷した先の企業数は525社にも上りました。
日本共産党の笠井亮衆院議員は12月1日の経済産業委員会で、現場の声をもとにデータ改ざん問題を取り上げ「経営者による短期の、目先の利益追求の方針と利益至上主義が労働者を追い詰めている」と問題の根源を鋭く指摘しました。
今年5月、神鋼は従業員へのアンケート調査を実施しました。
「最近1年間で、あなたの職場において、コンプライアンス(法令順守)違反が疑われる問題がありませんでしたか」との問いに「製品やサービスの品質に関して」、日本工業規格(JIS)法違反等にあたると答えた人は260人にも上りました。さらに、今後、新たに発生するかもしれない違反としてJIS法違反等を挙げた人は、630人にも達しました。アンケートから5カ月後、会社はデータ改ざんの発表に追い込まれました。
三つの緊急要求
日本共産党神戸製鋼委員会が配布したビラ「展望」は、三つの緊急提案を掲げています。
①従業員への説明責任を果たし、現場の声を聞くこと②不祥事による損失を従業員・協力会社に転嫁しないこと。そして、③外部調査報告書を全面開示する―ことです。
年末にもまとめられる外部調査委員会の報告書について会社側は発表するとは明言していません。しかし、この報告書は、神鋼再建のカギの一つとして注目されているものです。全面公開されて初めて、幅広い検討・討議が可能になります。全面公開するかどうか、会社側の信頼回復への姿勢が問われています。
(つづく)(5回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年12月8日付掲載
出荷した製品の検査データの改ざんが次々と発覚。共産党神戸製鋼委員会の発行するビラで緊急提言。管理職も注目しています。
調査結果の全面公開が求められています。
総会屋への利益供与や政治資金規正法違反など不正を繰り返してきた神戸製鋼所で今度は、この秋口に検査データ改ざん問題が発覚しました。不正の病巣を追います。
神戸市の朝5時50分はまだ暗い。神戸製鉄所前の歩道を照らすのは、街灯の明かりと運送トラックのライトのみです。歩道脇の金網には、「品質月間」の大きな看板がかかっています。
7時からの交代勤務に就くために、労働者たちはこの時間から、一人、また一人、工場の中に入っていきます。

神戸製鋼所門前で「展望」を配布=11月28日、神戸市
共産党委が訴え
「内外に素材を供給している大企業の不祥事として、取引先に大きな負担を掛け、社会的責任を問われ、大きな批判を浴びています」。日本共産党神戸製鋼委員会は、こう訴えたビラ「展望」を門前で配布しました。
6時半ごろにもなると、「データ改ざん問題。『展望』配布中」のプラスターに「日本共産党」と書かれた赤字の文字が、朝日を受けてくっきり浮かびあがってきました。
「おはようございます。ご苦労さまです」と声を掛けビラを配布すると、防寒具のポケットにつっこんでいた手を出して受け取る人、自分から寄ってきて受け取る人、乗ってきた自転車をわざわざ止めて受け取る人も。ビラが次々に労働者たちの手に渡ります。じっくり読みながら工場に入る労働者の姿もありました。
「労働者がビラをよく受け取るのは、賃金差別反対闘争や労災事故対策、就業前ミーティングを残業扱いにしたことなど労働者の要求実現に貢献しているからだよ。管理職もよく読んでいるんだ」。ビラ配布に参加した神鋼OBは、早朝門前ビラのパワーを誇らしげに語ります。
神鋼は10月8日に、検査データの改ざんがあったと発表しました。改ざんは、アルミ板、銅板、鉄粉、鋼線、特殊鋼、ステンレス線、厚板加工などの広範囲にわたりました。出荷した先の企業数は525社にも上りました。
日本共産党の笠井亮衆院議員は12月1日の経済産業委員会で、現場の声をもとにデータ改ざん問題を取り上げ「経営者による短期の、目先の利益追求の方針と利益至上主義が労働者を追い詰めている」と問題の根源を鋭く指摘しました。
今年5月、神鋼は従業員へのアンケート調査を実施しました。
「最近1年間で、あなたの職場において、コンプライアンス(法令順守)違反が疑われる問題がありませんでしたか」との問いに「製品やサービスの品質に関して」、日本工業規格(JIS)法違反等にあたると答えた人は260人にも上りました。さらに、今後、新たに発生するかもしれない違反としてJIS法違反等を挙げた人は、630人にも達しました。アンケートから5カ月後、会社はデータ改ざんの発表に追い込まれました。
三つの緊急要求
日本共産党神戸製鋼委員会が配布したビラ「展望」は、三つの緊急提案を掲げています。
①従業員への説明責任を果たし、現場の声を聞くこと②不祥事による損失を従業員・協力会社に転嫁しないこと。そして、③外部調査報告書を全面開示する―ことです。
年末にもまとめられる外部調査委員会の報告書について会社側は発表するとは明言していません。しかし、この報告書は、神鋼再建のカギの一つとして注目されているものです。全面公開されて初めて、幅広い検討・討議が可能になります。全面公開するかどうか、会社側の信頼回復への姿勢が問われています。
(つづく)(5回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年12月8日付掲載
出荷した製品の検査データの改ざんが次々と発覚。共産党神戸製鋼委員会の発行するビラで緊急提言。管理職も注目しています。
調査結果の全面公開が求められています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます