映画「おもいで写眞」 コロナ禍だけどアイデア出し「年取ると楽しいよ」の日本を
東京で夢破れた若い女性―故郷でお年寄りと触れ合い 生きがい取り戻す
監督 熊澤尚人さん
人生を重ねる豊かさを若者の成長と重ねて温かく描いた映画「おもいで写眞」が公開されます。東京での夢に破れた若い女性が、故郷のお年寄りと触れ合う中で生きがいを取り戻す物語です。オリジナル脚本を9年間練り上げてきた熊澤尚人監督に話を聞きました。
萩原真里記者
撮影・山城屋龍一記者
主人公は、メークアップアーティストをあきらめ、祖母の死を機に富山に帰った結子(深川麻衣)です。写真館を営む祖母に育てられた結子は、町役場で働く幼なじみの一郎(高良健吾)に頼まれ、団地のお年寄りの遺影撮影を始めます。しかし、「縁起でもない」と敬遠され…。
熊澤監督は、ふと目にした新聞記事から着想しました。「高齢者の遺影を撮るカメラマンが、撮影を嫌がられて困っているという記事でした。ご自身が輝いていた場所でなら撮らせてくれるんじゃないかなと思ったんです」
地方の高齢者に焦点をあてた映画を作りたいという思いは、2005年のオリジナル脚本作「ニライカナイからの手紙」を制作したころから温めてきたといいます。
「撮影をした竹富島の公民館で『ニライカナイ~』の完成披露上映会をしたんです。撮影中は家から出てこなかった車いすのおじいちゃんや酸素を吸入するおばあちゃんなどが、みんな見に来てくれました。最後に出口でお礼を言おうと立っていたら、逆に『ありがとう』って手を握られて。僕の原点です」
映画「おもいで写眞」は29日から全国で公開。110分
今作のもうひとつの柱は、うそを許せない結子が、そんな自分と向き合う成長物語です。
「実は、僕は父とは子どものころから会っていません。この年になってもいまだに複雑な思いがあります。そんな自分をどうやって受け入れていくか。親子関係の複雑さという普遍的なテーマが僕の大きなテーマでもあります」
独り暮らしのお年寄りが多い団地で、孤独死を減らそうと活動する一郎と結子。映画では高齢化が進む地方の現実がリアルに描かれます。
「9年前に脚本を書き始めた時よりも、いまはさらに高齢化が進んでいますよね。そしてコロナ禍で、さらに家から出なくなったお年寄りが、うつになってしまったり、歩けなくなってしまったり。
みんなでアイデアを出し合って、『年を取ると楽しいよ』という日本になるといいですよね」
コロナ禍で“物語の大切さ”を実感したといいます。
「映画も物語ですが、うそでもフィクションでも、その話を聞いただけで潤ったり、頑張ってみようと思えたりしますよね。特にいまは、物語は人間にとってものすごくプラスになる。高齢になっても“自分はこういうふうになりたい”と挑戦することがすごく大切だと感じています」
「しんぶん赤旗」日曜版 2021年1月24日付掲載
「遺影写真」というとマイナスイメージがありますが…。その人の人生と重ね合わせて撮る、撮られることでこれから目的を持って生きる。
そんなプラスイメージで見るってことですね。
東京で夢破れた若い女性―故郷でお年寄りと触れ合い 生きがい取り戻す
監督 熊澤尚人さん
人生を重ねる豊かさを若者の成長と重ねて温かく描いた映画「おもいで写眞」が公開されます。東京での夢に破れた若い女性が、故郷のお年寄りと触れ合う中で生きがいを取り戻す物語です。オリジナル脚本を9年間練り上げてきた熊澤尚人監督に話を聞きました。
萩原真里記者
撮影・山城屋龍一記者
主人公は、メークアップアーティストをあきらめ、祖母の死を機に富山に帰った結子(深川麻衣)です。写真館を営む祖母に育てられた結子は、町役場で働く幼なじみの一郎(高良健吾)に頼まれ、団地のお年寄りの遺影撮影を始めます。しかし、「縁起でもない」と敬遠され…。
熊澤監督は、ふと目にした新聞記事から着想しました。「高齢者の遺影を撮るカメラマンが、撮影を嫌がられて困っているという記事でした。ご自身が輝いていた場所でなら撮らせてくれるんじゃないかなと思ったんです」
地方の高齢者に焦点をあてた映画を作りたいという思いは、2005年のオリジナル脚本作「ニライカナイからの手紙」を制作したころから温めてきたといいます。
「撮影をした竹富島の公民館で『ニライカナイ~』の完成披露上映会をしたんです。撮影中は家から出てこなかった車いすのおじいちゃんや酸素を吸入するおばあちゃんなどが、みんな見に来てくれました。最後に出口でお礼を言おうと立っていたら、逆に『ありがとう』って手を握られて。僕の原点です」
映画「おもいで写眞」は29日から全国で公開。110分
今作のもうひとつの柱は、うそを許せない結子が、そんな自分と向き合う成長物語です。
「実は、僕は父とは子どものころから会っていません。この年になってもいまだに複雑な思いがあります。そんな自分をどうやって受け入れていくか。親子関係の複雑さという普遍的なテーマが僕の大きなテーマでもあります」
独り暮らしのお年寄りが多い団地で、孤独死を減らそうと活動する一郎と結子。映画では高齢化が進む地方の現実がリアルに描かれます。
「9年前に脚本を書き始めた時よりも、いまはさらに高齢化が進んでいますよね。そしてコロナ禍で、さらに家から出なくなったお年寄りが、うつになってしまったり、歩けなくなってしまったり。
みんなでアイデアを出し合って、『年を取ると楽しいよ』という日本になるといいですよね」
コロナ禍で“物語の大切さ”を実感したといいます。
「映画も物語ですが、うそでもフィクションでも、その話を聞いただけで潤ったり、頑張ってみようと思えたりしますよね。特にいまは、物語は人間にとってものすごくプラスになる。高齢になっても“自分はこういうふうになりたい”と挑戦することがすごく大切だと感じています」
「しんぶん赤旗」日曜版 2021年1月24日付掲載
「遺影写真」というとマイナスイメージがありますが…。その人の人生と重ね合わせて撮る、撮られることでこれから目的を持って生きる。
そんなプラスイメージで見るってことですね。
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