きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

防げ 税逃れ 世界の挑戦① 三重構造で多国籍企業を点検

2015-05-25 12:06:27 | 予算・税金・消費税・社会保障など
防げ 税逃れ 世界の挑戦① 三重構造で多国籍企業を点検

多国籍企業による巨額の税逃れが問題になるなか、制度の抜け穴をふさぐ国際的なプロジェクトが進んでいます。政治経済研究所の合田寛(ごうだ・ひろし)理事に寄稿してもらいました。

政治経済研究所理事 合田寛さん

20力国・地域(G20)首脳会議の要請を受けて経済協力開発機構(OECD)は「税源浸食と利益移転」(BEPS)プロジェクトを立ち上げ、15項目の行動計画について検討を進めています。これは多国籍企業が利益をタックスヘイブン(租税回避地)や低税率国に移転することによって、支払うべき税を逃れている現状を改めようとする国際的な取り組みです。
15項目の行動計画の内容は電子商取引に対する課税問題、タックスヘイブン対策税制の強化問題など、多くの重要なテーマを含んでいますが、検討期間はわずか2年間と短く、今年末までに検討結果が最終的に示されることになっています。中でも、「移転価格の文書化の再検討」(行動計画13)が特に重要です。



シントンで開かれた20力国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議=4月17日(ロイター)

BEPSの15項目の行動計画
①電子商取引課税
②ハイブリッドミスマッチの効果(二重非課税・二重所得控除・長期課税繰り延べ)の無効化
③外国子会社合算税制の強化
④利子等の損金算入を通じた税源浸食の制限
⑤有害税制への対抗
⑥相税条約乱用の防止
⑦恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止
⑧移転価格税制(1.無形資産)
⑨移転価格税制(2.リスクと資本)
⑩移転価格税制(3.他の相税回避の可能性が高い取引)
⑪BEPSの規模や経済的効果の指標を政府からOECDに集約し、分析する方法を策定
⑫タックスプランニングの報告義務
⑬移転価格の文書化の再検討
⑭相互協議の効果的実施
⑮多国間協定の開発



利益移転を規制
移転価格は、多国籍企業がグループ内取引を通じて利益を低税率国に移転する手段として最もよく使われる方法で、OECDも以前からガイドラインを示し規制に取り組んできました。
しかし従来のガイドラインの下で作成される移転価格文書は、個別取引に関する情報が主で、文書の形式もバラバラであったために、有効な規制がなされず、多国籍企業による利益の移転は事実上野放しとなっていました。
行動計画13はこのような状況に対応して、従来の移転価格文書のガイドラインを、より実効あるものに置き換える目的で検討されているのです。
行動計画13の具体的な内容は、昨年9月に発表されたOECDのガイダンス(以下9月リポートという)に示されています。それによると新移転価格文書は「国別報告書」、マスターファイル、ローカルファイルの三つの文書からなる三重構造をとるものとしています。

国別に情報記載
「国別報告書」は利益、法人税支払額、利益剰余金、従業員数、有形資産額など、多国籍企業の国際的な経済活動にともなういくつかの指標について、その国別の配分に関する情報を示すものです。これは多国籍企業がどこで生産活動を行い、どこで利益を上げ、いくらの法人税を支払ったかなどを示す報告書であり、BEPSの有無を確認する重要な資料となるものです。
マスターファイルは多国籍企業グループの活動の全体像を示すもので、組織の法的、地理的構造と資本関係、事業の概要、主要製品とそのサプライチェーン、無形資産の所有と開発に関する戦略、グループ内企業間の金融的関係、財務と税の状況などに関する情報を記載するものです。
ローカルファイルはマスターファイルを補完するもので、グループ内企業の組織構造、事業内容、関連企業間の取引などの情報を含みます。
これらの三つのファイルの中でも、「国別報告書」は最も重要な役割を持っています。
国別報告書のひな型のとおり、子会社が属する国ごとの利益、法人税額、雇用者数などが正確に報告され、それが公開されるならば、多国籍企業の透明化が一気に進み、BEPS対策の有効な武器になることでしょう。
(つづく)(3回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年5月20日付掲載


多国籍企業が、世界のどこで生産活動をして、どこで利益を上げているのか、法人税の課税はどうなのかを徹底的に調べ上げようって取り組み。
OECD諸国の、いわゆる税収の空洞化が叫ばれて久しい中で、切羽詰っての取り組み。本当に実のあるものにしないといけませんね。

反原連が新リーフレット作成~“原発やめ新エネへ転換”

2015-05-24 14:14:55 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
反原連が新リーフレット作成~“原発やめ新エネへ転換”

首都圏反原発連合(反原連)は、原発をやめて太陽光など新しいエネルギーへの転換を訴えるリーフレット「NO NUKES MAGAZINE(ノーニュークスマガジン)エネルギーシフト編」(写真)を作製し、配布を開始しました。

反原連 リーフレット
反原連 リーフレット posted by (C)きんちゃん

リーフは、「原発はもはや過去の発電方式」と述べ、「原発比率を20%以上として維持しようとずる日本の方針は、持続可能な社会を求める世界のトレンドに逆行しています」と安倍晋三政権を批判。「危険極まりない原発から一刻も早く脱却し、新しいエネルギーへ」と訴えています。
太陽光、小水力、洋上風力、地熱・熱利用について、日本の自然条件や技術の発展を生かせば、十分な供給能力を持っていることを紹介。二酸化炭素の排出などが課題となる火力発電について、ガスコンバインドサイクル発電や熱の再利用などで二酸化炭素の排出量抑制と発電効率の向上が実現できることを明らかにしています。
リーフは、反原連のホームページから申し込みができます。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年5月24日付掲載


1部5円で、10部以上から注文受付だそうです。郵送料は部数により、550円~750円(3000部まで)。3000部以上は相談。
首都圏反原発連合のホームページから申し込めます。

どんどん活用しましょう!

共同の力 大阪市解体NO③ 青年、ひたむきに対話

2015-05-22 17:00:48 | 政治・社会問題について
共同の力 大阪市解体NO③ 青年、ひたむきに対話

光ったのは、一人ひとりと対話することをいとわない、ひたむきさでした。
「大阪市解体を許さない」と、投票日(17日)の夜まで街頭で訴え続けた青年グループ「民主主義と生活を守る有志」(SADL=サドル)。学者を招いたトークライブやサウンドデモといった企画を連打する一方、4月末から17日まで欠かさず、市内各地で自作のビラをまき、受け取った人と対話することを大事にしてきました。



投票日前日に行ったサウンドデモで、参加者を先導するSADLのメンバーら=16日、大阪市

改憲も止める
配ったビラは、のべ3万枚。ツイッターで参加を呼びかけ毎回10~15人が参加し、最終盤は1日3カ所で同時宣伝することもありました。
「生活に密着した路上での、人と人との会話が一番の情報発信源」という慎尚男さん(37)。連日マイクを持ち、かすれた声で語ります。「大阪をよくしたい気持ちは同じなのに、市民が賛成と反対に分断され、対話がなかった。上からの押しつけでなく、話し合うことが街づくりに一番大切なんだと体現したかった」
反対多数の結果に、メンバーは確信を深めました。「市民との丁寧な対話を軽んじた維新に、私たちのやり方が、民主主義が勝った」
SADLの原点は、憲法改定をめぐる安倍政権と橋下・維新の連携への危機感です。思いを共有する学生団体「SEALDs KANSAI」(シールズかんさい)の塩田潤さん(23)は「SADLを見て、このやり方で改憲も止められると確信がもてた」と次のたたかいを見すえました。

もっと気軽に
橋下市政や「都」構想への疑問をマンガビラにした、天王寺区で子育て中のYocchi(ヨッチ)さん=ペンネーム=は結果を知り「涙が出た」と話します。「うれしい。だけど僅差。やっぱり、みんな政治に対する不満や疑問がある。それをもっとすくいあげてほしい」
2013年に市立幼稚園の全園廃止・民営化を打ち出した橋下市政に疑問を感じていたヨッチさん。投票前の世論調査で「都」構想反対が賛成をわずかしか上回っていないことに、「自分らの生活がどうなるかわからない」と不安になりました。自民党の説明会に出かけ、日本共産党の事務所で話を聞いて、一気にマンガビラを描き上げました。
ヨッチさんは投票日翌日、話を聞いた共産党の事務所に再びお礼のマンガを届けました。3こま目には「もっと気軽に地域の議員さんとかとお話ができるようになればいい」。
住民投票を通じて生まれたつながりを生かして「政治と生活する人たちとの距離を縮めてほしい」と話します。(おわり)
(この連載は大星史路、北野ひろみ、笹川神由、前田美咲が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年5月21日付掲載


市立の幼稚園の廃止・民営化など、若者にとって切実な問題。橋本市政への不満や疑問。住民投票で市民が賛成と反対で分断させられた事への憤り。
その中での、青年たちの地道な対話。大きな力を発揮したのですね。

共同の力 大阪市解体NO② 医師会ポスターが橋渡し

2015-05-21 20:31:16 | 政治・社会問題について
共同の力 大阪市解体NO② 医師会ポスターが橋渡し

17日午後10時半すぎ。テレビで住民投票の開票を見ていた住之江区医師会の松嶋三夫会長(63)は、「反対多数」の速報が流れるとすぐに電話を手に取りました。電話の相手は、昨年まで住之江区地域振興会会長をしていた下田三七男さん(83)です。


町内会の掲示板に張り出された住之江区医師会のポスター=大阪市

市民病院守れ
「本当によかった」
住之江区にある住吉市民病院の廃止問題が2人の関係をつくったきっかけに。橋下市長は、府立病院から直線距離で2キロほど離れているこの病院を「二重行政の解消」の対象にして、同病院の廃止を決めました。「大阪都」構想の先取りでした。住民の声を聞かない橋下市長の独裁的なやり方に市民は怒りました。
病院がなくなれば安心して子どもを産み育てる環境が壊され、若者が減り地域が衰退してしまいます。住之江区医師会は「都」構想反対を決議。地域医療を守る立場から「都構想反対」のポスターを作成しました。
地域のお祭りや、子ども会、高齢者の見守り活動など長年、地域振興に携わってきた下田さんが医師会の取り組みに協力したのは「地域を守らなければならない。大阪市をつぶすわけにいかない」との思いから。合計1200枚のポスターを各町内会の掲示板にいっせいに張り出しました。
「医師会のポスターが市民の共同の橋渡しになった」と話す住吉市民病院を充実させる市民の会事務局長の松本安弘さん(日本共産党住之江区府政対策委員長)。「ぼくらもいいポスターだと思い、1400枚の医師会のボスターを地域に張り出した」
松嶋会長と下田さんは大阪市をよくする会の宣伝カーのマイクを握り松本さんらとともに訴えました。初めてのことです。
松嶋会長は「下田さんは医師会主催の新年会に来賓の1人として招待していた方。住民投票で最後は2人並んで訴えた」と誇らしげに語ります。下田さんとの関係は「一生続くと思う」。
「1人の力じゃない」と住民投票の結果を語る下田さん。「共産党のみなさんも一生懸命になってくれた。感謝しています」と話します。

政党間に波及
草の根の共同は政党にも波及。集会や街頭宣伝で自民党市議、民主党前市議が日本共産党の代表と並んで訴え、集会に参加する住民も従来の政党支持の垣根を越えました。
松本さんは、市民の共同が病院の存続など市民の要求実現や大阪市を変えていく力になると実感しています。
「この共同の関係はそう簡単には崩れない」。松本さんも、今では松嶋会長、下田さんと何かあれば携帯電話で相談しあう間柄。「おもしろい、やりがいのあるたたかいだった」と振り返ります。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年5月20日付掲載


地域のお祭りとか、子ども会、地域振興とかを担っている、元々保守の立場の方々。地域の医療や出産に欠かせない市民病院を守ろうとする医師会の方々。
その2つの方々が、「その基盤の大阪市を無くしてしまうなんて許せない」と一致団結。
その中で、自民党、民主党、共産党などの支持政党の垣根を越えて共同の取り組みが広がったことがすごい。

共同の力 大阪市解体NO① “担ぎ出した”人たちも

2015-05-20 21:48:26 | 政治・社会問題について
共同の力 大阪市解体NO① “担ぎ出した”人たちも

「市民は勝利した」―。大阪市役所横の女神像前で18日午後、「大阪市がなくなるで!えらいこっちゃの会」事務局長の池田裕子さんがマイクを握りました。「ハラハラした」と前夜の住民投票開票を振り返り、「でも必ず勝つと思った。(大阪市廃止・解体に)大阪市民が怒らないわけがない」「(10日の5000人市民集会など)政党と市民がひとつでやれたのは画期的なこと。新しい扉を開いた。これからの大阪市政を築く道筋ができたと思う」。

デモの先頭に
今回の住民投票で「橋下徹氏を大阪府知事に担ぎだした張本人」と語る人や政党が大阪市解体に待ったをかけるため立ち上がったことも特徴した。「民意の声」代表の浅野秀弥さん(フリーマーケット社社長)もその一人。「引っ張り出した以上、責任を持って退場させる」とデモの先頭にも立ちました。「橋下さんには期待した」という財界人も、やがて「独裁って怖い」と思うようになりました。「大阪市をなくすな」の一点で市民と自民党から共産党まで共同したことに「一致するところは、手を携えてしっかりやろう。これは、今後も政治行動として必要なことだと思う」と語ります。
橋下・維新の「大阪都」構想をめぐり、「堺はひとつ。堺をつぶすな」と市長選を勝ち抜いた「堺市長選型」の共同をという言葉をよく耳にしました。



住民投票否決から一夜明け、大阪市役所前で勝利の報告をする池田さん(右端)ら、市民団体の人たち=18日、大阪市

3市長選全敗
いっせい地方選後半戦(4月26日投票)の市長選では、吹田、八尾、寝屋川の3市で維新を全敗に追い込みました。そして大阪市での住民投票。竹山修身堺市長は、住民投票の結果について17日、次のようにコメントしました。
「一昨年の9月に、堺市民のみなさんが『都』構想にNOといったことと同様に、大阪市民のみなさんも大阪の歴史・文化を守り、一体性を保持することを選んだ結果だと受け止めています。このような大阪市民の『民意』に敬意を表します」
橋下大阪市長は住民投票の結果を受けて「政界引退」を表明しました。憲法改悪での維新への協力を期待して「大阪都」構想へのエールを送り続けた菅義偉官房長官は、「(憲法改悪に)影響はない」と記者会見でのべたものの、終始不機嫌でした。
1万票差の大接戦。「明るい民主大阪府政をつくる会」と「大阪市をよくする会」は18日の声明のなかで「賛成」票を投じた市民について「『今の大阪をよりよくしたい』と願ったうえでの投票であったと考えます。橋下・維新による『対立』ではなく、『対話』こそが明日の大阪を作り上げる原動力です」とよびかけました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年5月19日付掲載


橋下氏を知事に担ぎ出した人が、「引っ張り出した以上、責任を持って退場させる」とデモの先頭にも立つ。
「賛成」票を投じた市民は、「『今の大阪をよりよくしたい』と願ったうえでの投票。
『対話』こそが明日の大阪を作り上げる原動力。『対立』をあおる維新と比べて、懐の深い取り組みが必要です。