きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

大震災5年300人調査から 被災者の願い⑤ 福島原発事故 戻りたい、戻れない…

2016-03-20 13:42:50 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
大震災5年300人調査から 被災者の願い⑤ 福島原発事故 戻りたい、戻れない…

「安倍政権は原発を再稼働しようとしていますが、どう思いますか」。反対74%で、賛成はわずか5%です。「原発ゼロ」の民意ははっきりしています。

再稼働反対次々
福島県伊達市内の仮設住宅に飯舘村から避難している安斎徹さん(68)。「原発事故直後、屋内退避をさせられている間に実態を知らされることなく、相当被ばくさせられたと思う。原発事故の真相を隠し再稼働するのは反対。暴走する安倍首相を阻止するために野党は共闘して頑張ってほしい」
「福島第2原発も廃炉に決めてほしい」というのは、同県楢葉町からいわき市の仮設住宅に避難する女性(76)。「(避難指示が解除され)町には戻れることになったが、戻っても水を口に含めるのか不安だし、畑ができるのか心配です」
いわき市の仮設住宅に避難する立花静子さん(68)は「安倍首相は『原発は大丈夫』というが、また事故があったときでは遅い。誰が責任をとるのか。これだけの事故を起こしながら再稼働なんて信じられない」と語りました。
東北電力女川原発に近い宮城県石巻市の仮設団地に暮らす女性(58)はいいます。「原発再稼働には反対です。福島の原発事故で身にしみました」
石巻市内の別の仮設団地の男性(66)は「廃棄物の処分もできないものを進めるのはいかがなものか。いったん事故を起こしたらとんでもないものだから『想定外』なんていっていてはだめ」と話しました。



仮設住宅前で餅つきをするボランティアの青年たち=2月28日、福島県相馬市



「あきらめ」最多
福島の被災者に聞いた「原発事故前に住んでいた地域に戻る展望はありますか」。「展望はない」「戻ることはあきらめた」が最多で53%。「展望はあまりない」も19%で計72%にものぼりました。
福島市の仮設住宅に避難する吉田耕作さん(75)=浪江町=は「1、2カ月で帰れるつもりで急いでサンダルで避難した。そしたらもう5年もずっとここにいる。もう戻ることはあきらめた」と話しました。「帰還困難区域」に自宅があり、「再稼働は絶対だめ」という福島市の仮設住宅に避難する女性(84)=浪江町=。
「帰るのはあきらめた。いま息子夫婦と別々に暮らしていて孫にも会えない」
原発事故の被害者の困難は深刻です。戻りたい、戻れない、戻らない、被災者一人ひとりに事情があります。
福島県伊達郡桑折町の仮設住宅内に置かれた縁台に座っていた男性(77)は「毎日ここでたばこをふかしているだけ。南相馬市で農業をしていた。新しい母屋もあった。今その家はすべてサルやイノシシ、ネズミにとられてしまった。生業(なりわい)の再建が進まず、やる気力がでない。国や東電は口だけで『復興』といっていてもだめだ」と怒りをあらわにしました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年3月17日付掲載


除染されて、避難指示が解除されることは、それはそれで必要なことなのですが…。
実際に住んで生活するとなると、二の足を踏んでしまうのが現実。
その除染すらままならない地域も残されている。

大震災5年300人調査から 被災者の願い④ 雇用と生業 再建困難浮き彫りに

2016-03-19 12:32:47 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
大震災5年300人調査から 被災者の願い④ 雇用と生業 再建困難浮き彫りに

「運送業をしていたが、津波でトラックも事務所も自宅も全て流された。なんとか再建したかったが、資金難のうえに体をこわしてあきらめた」。宮城県石巻市の仮設住宅に暮らす男性(63)は、無念そうに語りました。
被災者が立ち上がる基盤となるのが雇用と生業(なりわい)の再建です。しかし、震災から5年をへて、さらに厳しい状況になっていることが被災者300人実態調査でも浮き彫りになりました。
農業、漁業、自営業などだった人に再建状況をたずねると「めどがたたない」(72%)、「あまりすすんでいない」(7%)で計79%に。同様の質問では、「めどがたたない」「すすんでいない」という回答が震災1年時から7割以上のままで、生業再建の困難さを物語っています。
再建途上にある自営業者も、仮設店舗から本店舗に移る時期をむかえて岐路に立たされています。


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仮設店舗から本店舗への移設にはさまざまな困難が=岩手県宮古市の仮設店舗「たろちゃんハウス」



店舗再建白紙に
岩手県宮古市の仮設商店街で菓子店を夫と営む田中和氣子さん(59)は、「本店舗再建を昨年10月に着工して今年3月に完成予定で進めていましたが、資材価格の高騰で、いったん建設を白紙に戻しました。売り上げも震災前と比べて大幅に減ってしまっています」と話します。
東京電力福島第1原発事故の被害に苦しむ福島県では、再建困難と答えた人は89%にのぼり、さらに深刻です。
福島県大熊町から会津若松市の仮設住宅に避難している渡部ヒサ子さん(71)は、こう訴えます。「8町歩(約8ヘクタール)の田んぼを耕作していましたが、農業が再建できるめどはたちません。国と東電は古里に戻れるまで賠償に責任をもってほしい」
震災前に給与所得者だった人に「現在、仕事についていますか」とたずねたところ、「(震災前と)同じ仕事」が17%、「転職」が21%で就労している人は41%と半分以下。一方、失業中は29%にのぼります。
福島県浪江町出身で福島市の仮設住宅で生活する高野優太さん(21)は、「震災前は水産加工の会社に勤めていましたが、今は失業しています。子どもが生まれたので、家計は苦しくなっています」と話しました。

転職で給料減り
夫が働いていた水産加工会社が津波で流され倒産したという宮城県女川町の女性(44)も、苦しい胸のうちを語りました。「夫は、やっと転職できたけど、給料は大幅に減り、家計は本当に厳しくなっています。子どものことを考えて自宅を再建したいのですが、消費税も上げられそうだし、先のことを考えるとつらい気持ちになってしまいます」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年3月16日付掲載


仮設店舗「たろちゃんハウス」。宮古市田老だから「たろちゃん」。
本店舗に移るには、移転先で商売が成り立つかもありますが、「建材が高騰している」「先立つものがない」などがあります。

大震災5年300人調査から 被災者の願い③ 災害公営住宅 つながり集まって

2016-03-17 13:49:28 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
大震災5年300人調査から 被災者の願い③ 災害公営住宅 つながり集まって

被災地では、自力での自宅再建が困難な人や高齢者などのために災害公営住宅の建設がすすみ、順次入居が始まっています。今回は災害公営住宅でも実態調査をしました。
「困っていること、不安なこと」で一番多かったのは「近所づきあいが疎遠になった」ことでした。
災害公営住宅では、仮設住宅や震災前に暮らしていた地域でのつながりがバラバラになる場合がほとんどです。
宮城県石巻市の災害公営住宅に昨年4月から入居している清川たちよさん(82)は、「近所付き合いがあまりなくなりました。仮設住宅にいるときは、近所に若い人もいて、いろいろやってもらいました。雪が降ったときの雪かきもしてもらいましたが、ここでは自分でしなくてはいけない」と話します。
1995年に起きた阪神・淡路大震災のときも、誰にもみとられずに亡くなる「孤独死」は、災害公営住宅に入居してから急増しました。
災害公営住宅では、住民の孤立を防ぐ努力が始まっています。



仮設住宅の隣に建設された災害公営住宅=2月、岩手県釜石市内



「お茶っこ」開く
岩手県山田町のある災害公営住宅では、毎週月曜の午前中に、集会所で「お茶っこ」(お茶を飲みながらのおしゃべり会)を開いていました。
この住宅で暮らす鈴木康子さん(67)は、「このお茶っこにも初めは来なかったけど、誘われて来てみてよかった」と話し、別の78歳の女性も「ここでお茶っこをするのが一番の楽しみ」と笑顔を見せました。

家賃・交通の便
「困っていること、不安なこと」の2番目は「家賃」の問題でした。少ない年金が頼りなど経済的に苦しい人にとって家賃負担は重く、次第に引き上げられる家賃に不安を募らせる人が少なくありません。
「困っていること、不安なこと」の3番目は「交通の便が悪い」ことです。
前出の清川さんは、「仮設住宅にいたときよりも買い物が遠くなりました。車に乗せてくれる人がいればいいけど、そういう人がいない私のようなものにとって交通は不便」と話しました。
「災害公営住宅に移っても車がないので足に困る。バスを増やすか、コンビニかスーパーを近くにつくってほしい」と話す61歳の男性(石巻市の仮設住宅)もいました。
災害公営住宅に限らず、自動車の運転ができない高齢者などにとって、移動手段の確保は重要な課題になっています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年3月14日付掲載


阪神淡路と違って、東日本では「雪対策」が必要なんですね。
ご近所どうしのお付き合い「お茶っこの会」などは、阪神淡路の災害公営でもやっていますヨ。

大震災5年300人調査から 被災者の願い② 健康と医療 免除継続・再開は切実

2016-03-16 13:44:57 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
大震災5年300人調査から 被災者の願い② 健康と医療 免除継続・再開は切実

「被災した時は『がんばねば』と必死になっていたと思う。3年目ころからら、疲れが出てきた。この前は顔に炎症が起きて、手術を受けたの」
治療痕を見せながら語るのは、岩手県宮古市田老の仮設住宅で暮らす女性(57)=水産加工会社勤務=です。
生活と住宅の再建が長引くもとで、体調の悪化を自覚する被災者が少なくありません。
また、自宅の建設費用や引っ越し費用など多額の出費を予定する被災者が多くいます。



仮設住宅で記者の質問に答える被災者=2月28日、岩手県宮古市

出費はこれから
こうした中、医療費の窓口負担などの免除措置の継続・再開を望む声が圧倒的です。
アンケートで「必要なので継続・再開してほしい」が92%を占めました。
免除措置は、国民健康保険(国保)加入者が診療や介護保険を受けるときの窓口負担や介護保険の利用料を免除する被災者支援のひとつです。
アンケートでは、国保に加入していない被災者からも「継続・再開してほしい」と、免除措置を支持する声が寄せられました。
冒頭の女性は「私は国保ではないから、免除されてないけど。災害公営住宅に入るお年寄りも多い。これからお金もかかってくるのでサポートが必要」といいます。
免除費用は震災直後、国の全額負担でした。しかし2012年10月から国の負担は8割に。
岩手では県と自治体が負担することで継続し、今年12月末まで行われることになっています。




仮設で健康悪化
宮城では、一度は打ち切られましたが、国保加入者で所得が低い人などに対象を限って14年4月から再開しました。しかし、国の支援継続が不透明なうえ、県が財政負担をしないため、今年度で免除を打ち切る予定の自治体も出ています。福島では、原発事故の避難区域などで免除措置を行っています。
アンケートに答えた宮城県石巻市の今野八重子さん(83)は病院に月2回通院し、週1回ヘルパーの訪問を受けています。
「免除は必要なので継続してほしい。助かっています。妹が住む岩手県は免除を全県で続けているんですね。岩手はいいなと思います」と語ります。
岩手県山田町の災害公営住宅に暮らす女性(85)は、隣の大槌町の病院に通院しています。「バスでは不便なので、タクシーで行くのに3000円もかかる。病院代がかからないのが救い」といいます。
宮城県気仙沼市の年金生活の女性(66)は訴えます。
「仮設で長く暮らしている間に高血圧や腰痛になった。仮設で健康を悪くした被災者は多い。だから免除はもっと対象を広げてほしい」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年3月13日付掲載


医療費免除の対象になっている国保加入者は、元々収入の少ない人が多い。特に震災後、廃業や離職・転職で収入が減っている。
免除継続・再開は切実な声。

大震災5年300人調査から 被災者の願い① 住まいの再建 仮設住宅出たいけど

2016-03-15 11:07:35 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
大震災5年300人調査から 被災者の願い① 住まいの再建 仮設住宅出たいけど

東日本大震災から5年。本紙の被災者300人実態調査では、いっそう苦境に追い込まれた状況が鮮明になりました。実態調査で寄せられた復興と生活再建への願いは―。(東日本大震災取材班)

家を失った被災者にとって、仮設住宅から、再建した自宅や災害公営住宅に移ることは、避難生活から脱却するうえで重要なステップです。



空室が増え、人影もまばらな仮設住宅=2月29日、宮城県石巻市



見通しなし半数
しかし、仮設住宅を出られる展望が「半年以内」29%、「1年以内」22%で合わせて51%。残り49%はそれよりかかると回答し、「わからない・めどが立たない」と答えた人が33%に上ります。
福島県内では、1年以内に仮設住宅をでる展望をもてない人が63%、「わからない、めどが立たない」が45%を占め、東京電力福島第1原発事故の影響の深刻さを示しています。
仮設を出るのに時間がかかる理由を尋ねると(複数回答)、トップは「その他」75人。福島県内で「その他」が多いのですが、放射能汚染の影響と考えられます。
福島県楢葉(ならは)町からいわき市の仮設住宅に避難している67歳の女性は、「10年前に亡くなった娘の墓が故郷にあるので帰りたい気持ちはあるが、放射能が心配なので戻る展望はほとんどない」と語っています。
次いで「災害公営住宅建設の遅れ」42人、「土地造成の遅れ」35人、「建設資材・人手不足」22人となっています。
岩手県宮古市の仮設住宅に住む山根貴子さん(46)は、「自宅再建の予定が昨年8月だったのに、延び延びになっている。大工さんの人手の問題」と嘆きます。

老朽化の対策を
多くの仮設住宅が、建設から4年以上たちます。仮設住宅の本来の入居期間は約2年間とされており、老朽化も進んでいます。
多いのは「床がミシミシする」という声です。「基礎部分が木造で簡単な造りだから」と住民は半ばあきらめています。
「2月になって雨漏りがあり、市に連絡して直してもらいました。こんなことは初めて」というのは、石巻市の仮設住宅に住む会社役員の女性(58)です。
「結露が多く、カビがすごい」という声もあります。宮古市の仮設で暮らす40代の女性は、「母のせきが止まらない。病院で仮設のカビによるアレルギーといわれた」と訴えました。
老朽化が「起きている」と回答した人は44%で、昨年の55%よりは改善しています。
各自治体による不具合の点検・修理が一定行われていること、仮設住宅から移る予定が決まっている人の場合、「多少の不具合は我慢する傾向」も指摘されています。
今後-年以上暮らす被災者も少なくないことから、仮設住宅の老朽化対策がいっそう求められます。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年3月12日付掲載


「災害公営住宅の建設が足りない」ってことは阪神・淡路大震災の時もあったのですが、東日本では建設業者や資材が東京オリンピックなどに回って不足しているという事態。
まさに政治のゆがみです。