こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

尾瀬散策、大江湿原での花、7月上旬

2014-07-11 | 湿原

「今週日曜日(6日)に撮った花から」


湿原では、ワタスゲの綿毛(種子)による白波が10年に一度と言われるほど見事であった。

同時に、他の何種類かの花も見頃となっていた。

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ここは湿原だ。彩りのアクセントになっているが、レンゲツツジは招かざる客であるかもしれない。

 

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ヒメシャクナゲ(姫石楠花)。このものは寒冷地の湿原を好むツツジ科シャクナゲ属の常緑小低木(高さ、10-30 cm)だ。

北海道や本州中部以北の湿原で、花が見られる。

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壺形の花冠、その付き方、花柄の色(グラデーション)、互生している葉の形と質感は、

典型的なシャクナゲを見慣れた人にとって新奇かもしれない。

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タテヤマリンドウ(リンドウ科リンドウ属)は北海道と本州中部以北の亜高山・高山帯の湿原に分布している。

このものは全体が小振りである。花茎の数は少なく、花の色も濃くない。湿原には、このものが群生しているところがあった。

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少しばかり寄り道。 スマートフォンのカメラで撮っていた人達は、この微妙な花の色が写し撮れないと嘆いていた。 

近くにハクサンチドリの花が開いていたために、花名がグループ内で伝えられた間にハクサンリンドウとなってしまった。

花のガイド役としては、苦笑と反省。


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ハクサンチドリ(白山千鳥、ラン科ハクサンチドリ属の多年草)。花は緑の中で目立つ存在だ。

そのため、花は紫外線を強く受ける。色が濃いのは抗酸化色素(アントシアニン)が多く含まれているからだ。

この色素は、紫外線で発生する活性酸素から種子を守る。

 

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マクロモードでの画像。なるほど、このランの舌弁は扇形で大きく3裂しているし、花の形は千鳥の飛ぶ姿に似ている。

さらに、花の付き方も千鳥足となっている(体験者としてのジョーク)。

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オオバミゾホウズキ(大葉溝酸漿)、深山の水辺に生えているハエドクソウ科ミゾホウズキ属の多年草。花期は7-8月。

このものは北海道や本州中部以北の日本海側に分布する(北方系由来の日本海要素植物)。

ツアーのために急がされたが、何とか花の内部(紋様と毛)をある程度までは撮ることができた。

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さて、帰りの車中(バス)で、ニッコウキスゲの花を何輪見たかが、ちょっとした話題になった。

湿原では、花がまだ数輪しか開いていなかったからだ。

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終わりの画像は、湿原から沼山峠に戻る途中で見つけたイワナシ(岩梨、ツツジ科イワナシ属の小低木、日本海要素植物、日本固有種)の

果実である。このものの名は果実が梨のそれに似ていることによる。

 

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こんなに瑞々しい果実が見られるとは! 喜び過ぎて、白飛びとフォーカスへの気遣いを忘れてしまった。


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ニコン Coolpix P7700、RAW。Aperture 3.5。

 


梅雨の晴れ間に尾瀬散策、大江湿原と尾瀬沼、2014年7月

2014-07-08 | 湿原

今週日曜日(6日)、ある体育協会のツアーに参加して、私達は大江湿原、尾沼、三平峠を歩いた。この日のルートは、檜枝岐村・御池駐車場 、(シャトルバス)、沼山峠入り口 、大江湿原 、尾沼ビジターセンター 、尾沼(三平峠)であった(往復)。

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御池駐車場にて、午前9時頃。この日は梅雨の晴れ間の日曜日であった。

シャトルバスは乗客数に応じて増便されたので、待たされることもなく、私達は沼山峠入り口に移動した。

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登山道は針葉樹などの森の中を通っている。道沿いに群生しているマイズルソウやゴゼンタチバナを眺めつつ、展望のない道(木製階段と木道)を辿ると、沼山峠(1784 m)を経て湿原に着く。トレッキングガイドでは、往路50分、復路60分となっている。ところで、尾では木道でのスリップによるものを含めてアクシデントが少なくない。群馬県防災ヘリコプターの業務統計によると、平成25年度は尾瀬で約10件の救助活動が行われている。

 

途中の沼山峠展望台にて

アオモリトドマツなどの木々が視界を遮っているが、尾沼の一部、荷鞍山(中央奥、2024 m)、 白尾山(右奥、2003 m)が見える。

至仏山が見えることを期待したが、残念。

 

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さて、湿原ではワタクゲ(綿菅)が見頃となっていた。風で揺れるワタスゲの群れのうねりは緑の海原に広がる白い波であった。

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白い波と尾沼方向へと歩く人々の列


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ときどき、歩いてきた道で振り返えると。


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午後になると、前日の雨で萎んでいた白い群れに、綿毛らしい質感があらわれた。

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燧ヶ岳が見え始めたとき、自分が数十年か前にタイムスリップしたような感情を、私は覚えた。高校生のときクラブ活動で尾瀬を歩き回ったが、その後は尾瀬に全く縁がなかった。

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尾瀬沼の岸辺で、燧ヶ岳(2356 m)の強い存在感に惹きつけられて、燧ヶ岳三景。

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カシミールによる山座同定

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岸辺にシラカンバが孤立している。シラカンバは湿原の乾燥した場所に一番乗りするパイオニアプランツである。


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 このようなパイオニアプランツは燧ヶ岳と組み合わせると、気象条件に応じて格好の被写体になるだろう。しかし、このものは何時か湿原の植生に大きな影響を与えるかもしれない。これは杞憂であってほしいが。

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湿原で咲いていた花から


タテヤマリンドウ

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花については次回に。

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ニコン(コンパクト) Coolpix P7700、RAW、Apple Aperture 3.5。

 

 

 

 

 


三方ヶ峰・見晴岳(池の平湿原)での展望

2013-10-22 | 湿原

前回に続いて、三方ヶ峰(2040 m)や見晴岳(2095 m)などで撮った画像をアップロードする。10月13日、私達は湿原の木道を経て、三方ヶ峰、見晴岳、雲上の丘広場(2110 m)、雷の丘(2108 m)、村界の丘(2113 m)と、湿原の周辺を歩いた。

 


●富士山、金峰山、奥秩父連山、佐久平

三方ヶ峰(2040 m)で眺めた富士山など。市街地、里山、そして富士山と2000 mクラスの山波(瑞牆山、金峰山、秩父連山)の組み合わせには、何度見ても飽きないような広がりがある。この時は、富士山の山頂部が白く見えた(雪 or 雲?)。

 

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山座同定(カシミールによる)

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黒斑山、剣ヶ峰、高峰山(なだらかな山形)、湿原、そして富士山。三方ヶ峰付近にて。

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●中央アルプス(木曽山脈)と御嶽山

三方ヶ峰や見晴岳で、中央アルプスや御嶽山をはっきりと眺めることができた。このよう機会は冬季を除いて多くないらしい。

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山座同定。車山(車山高原)と鷲が峰(八島ヶ原湿原)が意外と離れて見える。

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中央アルプスをクローズアップする。ところで、強引な画像処理をすると、アルプスでの山肌の凹凸がはっきりする。しかし、全体としては色調が不自然な画像になってしまう。ここでは、中庸な処理(現像)を選んだ。

 

●御嶽山(剣ヶ峰)から北アルプス連峰(飛騨山脈)まで

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山座同定

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市街地(上田市)を入れて、穂高連峰、常念岳、槍ヶ岳などをクローズアップする。

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● 北アルプス後立山連峰方向

白馬三山の稜線が雪を被っている。稜線は、(左から)唐松岳、不帰ノ峰、天狗の頭、白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳、白馬乗鞍岳である。近くの山頂は烏帽子岳だ。ところで、今秋はナナカマドが赤い実を多くつけている。

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●角間山、根子岳、四阿山(左から)、そして、ヤナギラン(宴の跡)

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●志賀高原と草津白根山方向
NHK BS プレミアムで番組「にっぽん百名山」で、今回(21日)放送されたのは「飯豊山」であった。次回は「草津白根山」とのこと。番組では、映像のプロがどんな画像が見せるだろうか。
ここでは、白根山とともに、笠ヶ岳、志賀山(裏志賀山)、横手山、そして苗場山(右端)などを入れた。

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山座同定(カシミール)では、志賀山が2座となっている。しかし、そのうちの1座(右)は裏志賀山だろう。

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池の平から地蔵峠(湯の丸高原)に至る林道にて

画像は道沿いのゲレンデ(入り口)からの眺めだ。湯の丸山(左)と角間山(右)の間に、(左から)西岳、本院岳、八方睨、戸隠山、高妻山(最高峰)、乙妻山、地蔵山が見える。また、地蔵山の前には飯縄山がある。少し場所を移動すると、火打山なども視界に入る。角間山の山腹では、ナナカマドの紅葉が目立つ。

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当初、私達は高峰ビジターセンターに向かった(午前9時前)。しかし、センターの周辺では駐車スペースが全くないほど混雑していた。そこで、私達は湯の丸高見林道(半舗装)を通って、池の平湿原駐車場に向かった。この駐車場も混雑し始めていたが、スペースは少し残っていた。

林道で見上げると、水ノ登山の崩壊箇所(赤ゾレ)には迫力があった。如何にも、頭上からの落石がありそうであった。

 

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画像は夏に撮影したものである(東籠ノ登山にて)。

 


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「タイトルを離れて」

画像は、今回出会ったナナカマドとダケカンバとのバトル(?)の有様である。まだ、接木状態になっていないように見える。木の強い生命力に感心しながらも、接木が起こるならば、どんな結果になるだろうか。私達の勝手な想像をめぐらした。

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終わりの画像は、イワカガミ(岩鏡)の実である。

 

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池の平湿原での秋景色、2013年10月

2013-10-15 | 湿原

今週日曜日、私達は池の平湿原(長野県)とその周辺を歩いた。湿原の標高2,000 mである。湿原とその周辺部では、簡単な防寒着が必要なほど冷たい風が北アルプス方向から吹いてきた。しかし、青空は限りなく透明であった。


湿原に向かう道にて。歩き始めたとき、富士山、八ヶ岳連峰、そして北岳などが視界に入ってきた。湿原の入り口で、これほどの眺めを、私達は今までに見たことがなかった。

カシミールによる展望図

上の画像で飯盛山の左側に見える山は、毛無山(1,964 m、山梨・静岡県の県境)である

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八ヶ岳連峰のクローズアップ。稜線の奥に、北岳などの峰(南アルプス)が見える。甲斐駒ヶ岳も見えるだろうか。こんなことで、出会った人々と談笑した。

カシミールによる展望図

シュミレーションでは、視点の設定位置がずれたが、八ヶ岳連峰と南アルプスの山容は再現されている。僅かに、南アルプス・駒ヶ岳が見えるとの結果も得られた。

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ところで、湿原では、花の季節が終わっていた。しかし、周辺には、深まる秋の気配が漂っていた。

 

カラマツの黄葉化が中程度であり、ゴールデンイエローの光景はまだ見られなかった。しかし、この時季ならではの色の組み合わせは、私達にとって感動的であった。青空はフェルメールの世界に引き込まれたかと錯覚するほど美しかった。

 

ささやかな紅葉とシャクナゲの緑葉との対比。

 

湿原の小さな池(鏡池)のそばにて。カラマツ林の奥に見える山は東籠ノ登山(2,228 m)である。さざ波がなければ、鏡池の水面はその名に相応しいものとなったであろう。

 

湿原の周辺では、縞枯れ現象が起きているようなところもあった。湿原の乾燥化が進んでいるのだろうか。

 

湿原とその周辺。奥は黒斑山などの浅間山系である(カラマツの黄葉化がより進んだときの眺めを想像して)。

 

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ところで、湿原の周辺部、三方ヶ峰(2,040 m)や見晴岳(2,096 m)での展望は私達の期待を裏切らないものであった。

富士山と八ヶ岳連峰

 

最奥の稜線は左から中央アルプス、御嶽山、北アルプス連峰(乗鞍岳、穂高岳、槍ヶ岳など)である。

 

 

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13日9時頃から12時半頃まで。 EOS 6D、 EOS F4L  70-200 mm、EOS F4L  17-45 mm。 

「2022年9月19日、再現像画像のアップロード」

 


コウリンカ(紅輪花)など、池の平湿原、2013年8月

2013-08-27 | 湿原

池の平湿原(長野県東御市湯の丸高原)は標高は2000 mの位置にある。湿原は三方ヶ峰火山(数万年前)の火口原に広がる高層湿原である(東御市観光案内)。22日、私達は午前11時頃から湿原の木道、三方ヶ峰(2040 m)、見晴岳(2095 m)などを散策した。

 

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この日の収穫(?)から。

コウリンカ(紅輪花)

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コウリンカ(紅輪花):キク科オカオグルマ属の多年草。日当たりのよい山地草原に生えるとされている。高さ50-60 cm。

 

見頃を迎えているコウリンカに出会うことを、私達は予想していなかった。かつて、ごく普通に見られた花が、今では各地で絶滅危惧種となっている。この花にとっての天敵は、この花に魅せられる人間であろうか。美しい花の宿命は過酷だ。

 

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ツリガネニンジン

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ツリガネニンジン(釣鐘人参):キキョウ科ツガネニンジン属の多年草。とくに、珍しいものではない。事実、湿原やその周辺では、このものを多く生えていた。しかし、自分がレンズを向けたくなるほどの花は意外と少なかった。

ここでは、紅葉が始まった草が背景となる花を選んだ。そう言えば、「秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音ににぞおどらかれぬる(古今和歌集)」がある。この歌を思い出しながら、その逆のことを表現できるかもと自惚れてみる(苦笑)。

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マツムシソウ

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マツムシソウとクジャクチョウ

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マツムシソウ(松虫草):スイカズラ科マツムシソウ属の2年草。花弁の並び方は歯科検診で不良との判定を受けそうだが、私はこの花のファンである。


マツムシソウの群生。背景は東籠ノ登山。

 

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湿原とその周辺には、マツムシソウが多い。そして、湿原にはマツムシソウの群生地がある。しかし、木道で群生地を観察するためには、双眼鏡や望遠レンズが必要だ。

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コマクサが終わり、蕾を開こうとしているイワインチン(キク科キク属、日本固有種、本州の中部地方以北に分布している。高山の岩場や砂礫地に生える)

 

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シャジクソウ(車軸草、マメ科シャジクソウ属)。このものの分布は長野県、群馬県、宮城県に限られると言われている。何か特別の理由があるのだろうか。

 

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他の花については、別の機会に。

 


玉原湿原、ブナ林(ブナ平)散策、2013年6月

2013-07-05 | 湿原

玉原湿原周辺の森には、ブナの自然林がある。湿原を歩いた後、私達はこのブナ林の中を散策した。新緑の爽快な雰囲気が、林には満ちていた。6月29日午後。

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太平洋戦争の前に(1929-1944年)、ブナ林で伐採が行われ、数多くの大径木が切り倒された(宮前俊夫監修、玉原の植物、(財)森林文化協会、2000年)。しかし、何本かの大木がまだ残っている。画像の古木では、コケ類や地衣類などが幹に着生し繁茂している。

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林内では、何種類かの高木(トチノキ、ホウノキなど)や亜高木(ハウチワカエデ、ヤマモミジなど)などが多く生えている(森林浴を楽しみながらにて)。

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この日の天候は薄曇りであったが、ときに陽射しがあった。そして、ツクバネソウやギンリョウソウなどが、スポットライトのような木漏れ日を浴びることがあった。私達にとって、願ってもない撮影チャンスの到来。ストックを三脚の代わりにして、急いでレンズを向けた。

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ツクバネソウ(衝羽根草): ユリ目シュロソウ科ツクバネ属の高さ20-30 cm程度の多年草(以前は、ユリ科)。葉は4個(枚)が輪生する。淡黄緑色の花を茎頂につける。雄しべは8個、雌しべの柱頭は4つに裂ける。日本固有種。このものの仲間に、クルマバツクバネソウがある(車葉衝羽根草、葉は6-8個が輪生する。日本固有種ではない)。


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これから盛りとなる個体を見つけて(木漏れ日が消える直前)。

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ギンリョウソウ(銀竜草): ツツジ目ツツジ科ギンリョウソウ属。このものは葉緑素を持たない腐生植物とされているが、腐葉土からは栄養物を得ていないと言われている。共生している菌類を経由して、 周囲の樹木から栄養物(有機物)を得ているとのことだ。

光合成の仕組みを持たずに、この合成ができるものから間接的に栄養を得るとのプロセスは、マメ科の植物と根瘤バクテリアとの共生関係を彷彿させる。ちなみに、根瘤バクテリアは空気中の窒素を硝酸塩 (栄養物)に変えるとの凄い能力を持っている。

 

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林内および林縁で、他の草花を探してみた。目が緑の世界に慣れてくるにつれて、私達はこのような多年草をあちらこちらで見つけた。

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このものの花が咲くときが楽しみだ(名を書かないが)。

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林内は明るく、植生が豊かだ。そのため、私達は散策で時が経つのを無視してしまった。

 

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玉原湿原にて、ミズチドリとキンコウカ、2012年7月

2012-07-19 | 湿原

7月17日午後、私達は玉原湿原(群馬県沼田市)に再び向かった。湿原の花は、季節の変化にともなって、めまぐるしく変わる。前回(7月上旬)、私達をアサヒランやトキソウの花の美しさに目をうばわれた。今回は、これらの花が湿原から消え去り、ミズチドリやキンコウカが目立つようになっていた。

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木道を歩き始めるや否や、私達は歓迎のパンチを浴びた。高い茎のミズチドリが花を開いていたのであった。

この湿原での面白さで、午後の暑さも気にならなくなった。画像において、大きな実をつけているものはヒオウギアヤメである。


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ミズチドリ(水千鳥、ラン科ツレサギソウ属) 

日当たりのよく水が多い湿地に生える多年草。この画像の花の長さ(穂状の花序)は約20 cm、茎の高さは約90 cmであった。

花に芳香があるので、このものにはジャコウチドリ(麝香千鳥)との別名がある。

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キンコウカを従えて

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湿原には、ミズチドリの群生地があった。しかし、惜しいことに、その場所は木道から離れてる。

観察には望遠レンズあるいは双眼鏡が必要であった。画像において、ミズチドリの前はオズゼヌマタイゲキ。

背後(右)はコバイケイソウである。

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湿原では、キンコウカの群生が一斉に花を開いていた。午後の強い日差しを受けて、黄金色の集団は眩しいほどに輝いていた。

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キンコウカ(金黄花、ユリ科キンコウカ属)

湿原に群生する高さ20 - 30 cmの多年草。花は、終わっても散らないで緑色の面白い形状のものに変化する。

日本固有種。花名は花の色による。

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奥には、貴婦人(?)と言いたいが

 

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地上ではキンコウカのうねり、上空では夏の雲のうねり

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湿原の標高は約1,300 m。木道で、私達は午後の強い紫外線に曝された。それなりの紫外線に対する対策を準備したが。玉原湿原の総面積は約 4 haである。多種類の植物が分布し、その群落も少なくない。この湿原は尾瀬に例えられて「小尾瀬(こおぜ)」と呼ばれるとのこと(沼田市HP)。しかし、この例えに対して、私は違和感を持っている。この湿原のユニークな植物相には、「山椒は小粒でもびりりと辛い。」の諺が当を得ていると思っているからだ。

 


ところで、湿原の近くにあるブナ林での湧き水。この清らかで冷たい湧水によって、私達はリフレッシュすることができた。

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玉原湿原にて、サワラン(アサヒラン)の花、2012年7月上旬

2012-07-07 | 湿原

玉原高原(群馬県沼田市)に、高層湿原(玉原湿原、標高1,300 m)がある。規模は大きくないが、この湿原の植生は興味深い。湿原を訪れ人はあまり多くないので、木道から花を静かに眺めることができる。

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先週(7月5日)、湿原ではサワランやトキソウの花が咲き始めた。まだ、緑の中に点在している程度であるが、サワランの花や蕾は目立つ。

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紫紅色の花は周囲の緑から浮かび出るようであった。花は小さく(2 - 3 cm程度)、開く程度も控えめである。しかし、このものの濃厚な色と美しい造形には、見る人を唖然とさせるようなインパクトがある。


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湿原での雪融けが遅かったために、花々の開花が遅れているとのことであった。しかし、私達が木道を歩いたとき、トキソウ、ワタスゲ、ヒオウギアヤメ、オゼヌマタイゲキ(オゼタイゲキ)、キンコウカなどが風で揺れていた。


緑の中に、トキソウ(鴇草、ラン科)の花

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ワタスゲ、ヒオウギアヤメ、オゼヌマタイゲキ(オゼタイゲキ)(トウダイグサ科トウダイグサ属)、そしてブナの森

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花が開き始めたキンコウカ(金光花、金黄花、ユリ科キンコウカ属の多年草

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おわりに、湿原の案内板

 

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サワラン(沢蘭、ラン科サワラン属の多年草)

本州中部以北、北海道の山中の湿原に自生している。花茎が葉よりも高く伸びて、一輪(稀には二輪)の花が横向きに開く。花の色をたたえて、このものには「アサヒラン(旭蘭)」との別名がつけられている。

日差しを受けているときの花の色は鮮烈である。花をマクロレンズや望遠レンズでクローズアップしたとき、私は輝く紫紅色の造花が目の前にあるとの錯覚に陥りそうになった。多分、花に含まれている色素が紫外光によって発光(蛍光発光)していたのであろう。花茎の高さは20 cm程度。変種としてシロバナサワランがある(玉原湿原では見なかったが)。


トキソウの花などは、次回の記事としたい。

 


池の平湿原、ベニヒカゲ、花

2010-09-08 | 湿原

 2010年8月25日

湯の丸高原でアサギマダラなどを撮った後、池の平湿原(標高2,000 m)に移動した。この高原には、ベニヒカゲが多く生息し、高山植物が多いと聞いていたからだ。


ヤナギランの群生地にて

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マツムシソウの群生地では、ベニヒカゲが花々に群がり吸蜜をしていた。

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ベニヒカゲは手に止まってくるほど多く飛びまわっていたが、
アサギマダラを見かけなかった。湿原のどこにいるのだろうか。 

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湿原では、マツムシソウやヤナギランの他に、エゾリンドウ、エゾカワラナデシコなどが咲いていた。

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エゾリンドウ

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エゾカワラナデシコ (開きかけている新鮮な花があった)。

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シャジクソウ (車軸草、別名カタガワグルマ・アミダガサ、マメ科、
シャジクソウ属。和名にちなんだ撮り方をしたかったが)

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ヤマラッキョウ (ネギ属、ユリ科、堂々とした花に出会うことができた。花の後側に蝶が止まっていたが、それを確かめる余裕はなかった。)

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マツムシソウ (この湿原での花は,淡色系のものが多かった)。

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雨が降り出した。木道の周辺で咲く花を見る余裕が無くなった。木道からの坂道を早足で登り、駐車場に戻ると同時に、車外に出られないほどの激しい雷雨となった。

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