烏帽子岳(2056 m、長野県東御市)は、浅間山系で最も西側にあり、隣接している湯の丸山(2098 m)とともに、展望と花の山である。
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烏帽子岳(左)と湯の丸山(中央)。背景は北アルプスの稜線(左から、蓮華岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、白馬岳など)である。画像は、7月下旬、浅間山系の籠ノ登山(2230 m)で撮った。
登山口である地蔵峠(1730 m、画面中央下)には、駐車場(無料)、公衆トイレ(水洗式)、店、宿泊施設がある。烏帽子岳への登山道は、湯の丸山の左裾(南側)を迂回して左端に写っている尾根に通じている。そして、尾根を登ると、山頂(三角錐の頂点)に至る(4 km、約1時間半、標高差約 320 m)。
画像には、ゲレンデ、つつじ平(中腹)を経て山頂に至る、湯の丸山の登山道(直登ルート)も写っている。
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28日、関東地方では湿度が低くすっきりとした晴天の朝となった。自動車道から、赤城山、榛名山、子持山、妙義山など、群馬の山々が驚くほどはっきりと見えた。また、浅間山の山腹には雲海の如く雲が水平に長く漂っていた。
さて、地蔵峠からカラマツなどで覆われ展望のない登山道をひたすら歩いていくと、突然のように視界が開ける。そこで、八ヶ岳連峰を眺めると、何か解き放されたような気分になる。
烏帽子岳と湯の丸山(最初の画像の裏側)との分岐点(鞍部)付近での眺めも面白い。例えば、四阿山(あずまやさん、2354 m、右側)と根子岳(2210 m、左側)。
そして、烏帽子岳での崩落地(下山時に撮影)。気象条件が良ければ、ここからでも妙高山などを望むこともできる。今回は全く見えなかったが。
烏帽子岳の山頂を見上げる。尾根や頂上での展望や花を思うと、一刻も早く登りたくなる。しかし、これからの登りでは勾配が大きくなる。
尾根にたどり着いたとき、北アルプスの稜線は雲と霞で覆われていた(残念!)。しかし、近接地の眺めは、涼風と相俟ってたいへん心地の良いものであった。画像での市街地は上田市(長野県)だ。
尾根から山頂への道で。
山頂(岩稜)。
背景は四阿山(2354 m、右側)と根子岳(2210 m、左側)である。山頂では、20名以上の人々が休んでいた。さらに、午後になると、湯の丸山経由で登ってくる人々が続々と到着した。余談ながら、 岩の上に、無造作に置いてあるのは、自分の持ち物(カメラバッグ、ストック、経口補水液のペットボトル)だ。
「山頂や尾根での展望から」
緑と雲の影(北方向)。
この岩の先は、数十メートルほどであろうか、切れ落ちている(要注意)。とは言え、岩のそばで涼風を受け、四阿山などを眺めながらの昼飯(コンビニのお握り)は旨かった。さらに、緑の凹凸に投影される雲の影は変化に富んでいて、その効果が面白かった。
山頂に横たわる溶岩。烏帽子岳がかつて火山であった。もう少し早い時季ならば、溶岩の上でイブキジャコウなどの花が咲いていたであろう。
溶岩から見下ろす眺め。右最奥には草津白根山(本白根山)などが見える。左最奥は四阿山の裾野である。
浮かんでいる雲は、自分が標高 2000 m の位置にいることを実感させた(南方向)。
遙かに、自分達の街の近くの山(赤城山)を望む(東方向)。近くの山頂は、左から籠ノ登山(雲の影)、黒斑山(浅間山)(2400 m)、見晴岳(池の平湿原)(2100m)である。籠ノ登山の左奥の山は浅間隠山(双耳峰、1740 m、群馬県)だ。赤城山はその奥で霞んでいる。
マルバタケブキが笹の中で孤立している。
佐久平方面(南西方向)の眺めにも、心を動かされる。
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登山道、尾根、そして山頂では、この時季ならでの花が風で揺れていた。
イワインチン(岩茵陳、キク科、イワヨモギやインチンヨモギと呼ばれることがある。茵陳はヨモギの漢名だ)。尾根や山頂の岩稜地に多く生えている。
マツムシソウ