こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

蔵王連峰でのお釜(火口湖)と熊野岳  2013年9月(改稿・再投稿)

2023-10-06 | 山登り

 

五色沼と呼ばれる湖沼は、全国で幾つぐらいあるのだろうか。蔵王山のお釜も五色沼と呼ばれている。季節や時間帯などに応じて、水面の色が大きく変化するからである。しかし、お釜(御釜)がはっきりと見える機会は多くないと言われている。 

9月下旬(土曜日)、わたくしたちは知人に会うために山形市に向かった。東北自動車道での混雑(渋滞)にうんざりした、わたくしたちにとって、蔵王エコーラインは格好のエスケープルートであった。蔵王山の苅田岳駐車場は順番を待つほど混んでいたが、なんとか駐車スペースを見つけることができた。

 

急いで、わたくしたちは苅田岳を経て、馬の背(外輪山、1,766 m)そして熊野岳(蔵王最高峰、1,827 m)に向かった(片道、徒歩約1時間)。

苅田岳付近の展望所にて

 

苅田岳レストハウス付近で眺めた熊野岳周辺。稜線に熊野神社(左)と避難小屋(右)に見える。稜線の手前は馬の背である。

 

苅田岳付近の展望所は観光客でかなり混雑していたが、馬の背や熊野岳まで歩いている人々は少なかった。ところで、馬の背周辺からのお釜の眺めは、苅田岳付近の展望所でのそれと一味違っている。

馬の背で出会った人と共に、午後の日差しを背後から受けてお釜を眺めた。水面の色は日差しや見る位置によっても変化した。奥(中央)は五色岳(中央火口丘、1,672 m)である。

 

活火山であるが、蔵王山はコマクサなどが咲く花の山である。道沿いには、「高山植物保護のために、立ち入らないでください。」との注意書き板が随所に立てられていた。


馬の背から稜線上の避難小屋(噴火時)に向けて。登山コースに杭が立てられている。杭は霧(ガス)が立ちこめたときのコース案内用にとのこと。杭の数と高さから、蔵王が霧と豪雪の山であることを、わたくしたちは納得させられた。


避難小屋付近から稜線を歩き、熊野神社に着いた。ここで、尾根を縦走してきた宮城県の若者達と出会った。好天に誘われて登ってきたとのことであった。若者達との会話は楽しかった、もっとも、若者達が「谷川岳」をほとんど知らなかったことを意外に思ったが。群馬県人として、わたくしたちは魔の山と言われてきた「谷川岳」がいわゆる全国区の山だと思っていたからだ。

山形県側から吹いてくる強い風は9月の下旬とは思えないほど寒かった。急ぐあまり、ウィンドブレーカーを持たずに登ってきた「お上りさん」(わたくしたち)に対する「山の神」からの罰は厳しかった。

 
設けられていた避難所

 

熊野神社付近をはじめとして、稜線での展望は興味深いものであった。寒さを忘れために、わたくしたちは広くて歩き易い稜線を歩き回った。


雁戸山(1,487 m)に至る稜線と背後の山々。

 



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熊野岳での苅田岳(1,747 m)方面を眺める。右端に見えるには苅田岳神社である。

カシミールによる山座同定
A

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下山では、御釜に近いルートを歩き、五色岳(中央火口丘)などを望遠レンズでクローズアップした。

五色岳(御釜の壁)では、かなりの崩壊が起きている。壁には噴火が繰り返された形跡がはっきりと残っている。そして、人々が歩いた跡(ルート}ができている。

 

 

「お釜と称する山上湖は蔵王の至宝とも言うべき存在で、それのために馬ノ背の逍遙は一段と精彩を加える。直径三百六十米、ほぼ円形の湖水で、そのふちの東半分は、削り取ったように断崖になっていて、その崖に横縞が入っている色彩が、何とも言えぬ微妙な美しさを呈している。鉄錆色とでも言うか、それを主調に、いろいろの色が混じっているので、一名五色沼の称がある。お釜の水は妖しく濃い緑色で、噴火口特有の一種凄惨な趣がある。 (深田久弥、日本百名山(蔵王山)、新潮社、1991年)」

 

日差しが傾いているときの眺めは素晴らしかった。わたくしたちはいつまでもこの場所を離れたくなかった。あたかも、ルーブルでモナリザの目に魅入られた人々の如くに。
 

 


 

終わりの画像は午後4時頃に馬の背付近で撮った。

ドライフラワーのようになったヤマハハコの姿が蔵王での気象条件が厳しいことを物語っている。ところで、左側の地形は火口形成に伴う地面のズレによるものであろうか。

 
 
 
再び、眺めるチャンスがあることを願って。余談ながら、このときを含めて、わたくしたちは3回ほど蔵王山を訪れたが、うち1回はお釜が視程数メートルの霧で覆われていた。
 
撮影 2013年9月21日、午後2〜4時、ホワイトバランスは太陽光。再現像  2023年10月(RAW → JPG)。

 

 

フォトアルバム、かつて武尊山で眺めた雄大な秋景

2017-10-12 | 山登り

武尊山(2,158 m)は赤城山の北方に位置し、幾つかの山頂からなる大きな山群である。深田久弥は「武尊をホタカと読める人は、山好き以外にはあまりいないだろう。....」との書き出しで、この山を紹介している(日本百名山、新潮社、1991年)。さて、9年ほど前のことであったが、この山を良く知る人に案内されて、わたくしたちは晩秋の武尊山に登ってみた。

そのときは、団体の登山者達で山頂への鎖場において渋滞が発生していたが、待ち時間にゆっくりと眺めた広大な眺めは、わたくしたちとって忘れることができない秋景の一つになっている。

 

武尊山から隣接する尾瀨の山々に至る広大な広葉・針葉樹林帯。山頂は(左から)笠ヶ岳、至仏山、会津駒ヶ岳、そして燧ヶ岳。



ブナなどの黄葉が眼下に広がっていた。山頂は笠ヶ岳(2,056 m)と至仏山(2,228 m)である。


燧ヶ岳と会津駒ヶ岳方向に至る樹林帯。

 

 



右奥の山頂は日光白根山(2,578 m)である。同山は関東以北での最高峰である。


午後の日差しを浴びる日光白根山と日光の山並み。


登山ルートにて。

このときは山頂付近に霧氷が見られた。


左奥の山頂は皇海山(2,144 m)である。



撮影、2008年10月中旬。コンパクトカメラ キャノンPowerShot G7。



初夏の筑波山にて、2016年7月

2016-07-04 | 山登り

昨日は、ある体育協会の団体行事で初夏の筑波山を訪れた。梅雨の晴れ間であっただろうか。山頂での空模様は雲間に青空を望む状態であった。そのため、私達は筑波山での初夏の雰囲気にゆっくりと浸ることがができた。涼風が絶えず麓から吹き上げてくる山頂(木陰)は、関東平野での暑さとは無縁であった。

山頂の女体山にて。筑波山ならでの雄大な眺めを見渡す。手前にはローブウェイー駅、奥には霞ヶ浦が見える。

 

さて、私達のコースは、筑波山神社 → ケーブルカー → 山頂 → 自然研究路 → 男体山 → 女体山 → 山頂連絡路で休憩 → ケーブルカー → 神社であった。山頂から御幸ヶ原コースで下山する予定であったが、片膝の調子が良くなかった私のために、友人達は下山経路を変更してくれたのであった。

自然研究路でブナ林の雰囲気にひたりながら男体山に向かうと、柔らかな景色が私達を待っていた。余談ながら、研究路から男体山への登りは、膝の調子が良くなかった私にとってハードであった。

山頂から眺めでは、とくに広々とした水田の新緑が印象的であった。このような眺めは筑波山ならでのものであろう。眺めに富士山やスカイツリーが加わればと思いたくなるが、今は梅雨時である。

 

 男体山からの下山路では、シモツケの花が美しかった。

このものとツルマサキ(ニシキギ科のつる性の木)の組み合わせも面白い。

花(ツルマサキ)のクローズアップ。

ツルマサキは山地に生え、長さ10 m以上のなるつる性の常緑木本である。茎から気根を出し、他のものによじ登る。若枝の葉腋から花柄を出し、数個から十数個の淡緑色の花を咲かせる(筑波実験植物園、植物図鑑から)。気根は空気中の出る根である。

 

女体山の巨岩上での眺めはスケールが大きい。ゴルフ場の奥では宝篋山(筑波連山)に霞がかかっている。そして、トンボがあちらこちらで飛び回っていた。

岩壁で花を開いているのはイワガラミ(アジサイ科イワガラミ属)であろうか。

いつまでも、この景色を眺めていたいが、山頂につぎつぎと登ってくる人々の邪魔をしてはいけない。筑波山は高尾山に次いで登山者が多い山である。昨日は梅雨時のためであろうか、日曜日としては混雑していなかったようであるが。

足尾山や加波山などの筑波連山の方向を眺める。

女体山でもシモツケの花が目立っていた。

 

女体山から戻ったとき、私には麓が霞む加波山の姿が魅力的であった(男体山と女体山を結ぶ山頂連絡にて)。

 

ところで、筑波山のブナやスギなどの巨木には神秘的雰囲気が漂っている。

 

 

筑波山神社にて。

真夏日の平野に戻ることになるのかと思うと、ため息が出そうになった。

 

撮影: ニコン Coolpix P7700、7月3日10-15時。

 

 

 


フォトアルバム(3)、八方尾根での秋景色(再投稿)

2015-08-20 | 山登り

ここでの画像は、友人達に誘われてわたくしが初めて八方尾根を歩いたときに撮ったものである。白馬三山は前日に初冠雪になったとのことであった。

仲間には、セミプロのカメラマンや絵を描く友人がいた。

眼前の景色について彼らとあれこれ話しながらのハイキングは時の経つのを忘れるほど、自分にとって歩き甲斐のあるものとなった。


冠雪の白馬三山(白馬鑓ヶ岳(2903 m)、杓子岳(2813 m)、白馬岳(2932 m))と尾根での紅葉

 

 

 


 八方池とその周辺

左から丸山、南待松岳(僅かに山頂が見える、2696m)、不帰III峰(三つの峰)、不帰II峰(左から南峰、北峰)、不帰I峰、

そして天狗の大下りである。

 


定番のアングルで、白馬三山(鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳)の水面への写り込み(映り込み)


 


天狗尾根と三山の写り込み


左から、鹿島槍が岳(2980 m)、五竜岳(2814m) 


白馬鑓ヶ岳のクローズアップ


紅葉はナナカマドである。



ところで、八方尾根からの展望は雄大である。



麓で眺めた、八方尾根と白馬三山


撮影、2009年10月中旬(2018年10月9日、RAW画像の再現像とアップロード)


横手山(志賀高原)での展望から(その2)

2015-08-17 | 山登り

前回に続いて、横手山(2305 m、長野県)の山頂で撮った画像をアップする。この山は中央分水界上(太平洋と日本海)にある独立峰である。山頂には展望台、ヒュッテ、レストランなどがあり、夏でもスキーリストが動いている。そのため、国道292号(国道最高点、渋峠がある)から楽に山頂に行くこともできる。撮影、2011年9月上旬。

横手山と国道292号

 

国道292号(長野県側)で、谷間(南方向)を眺める。10月になると、この眺めは紅葉が点在する景色へと変化する。

 

東南方向では、赤城山、子持山などが見える。

 

南方向で、草津白根山(火口湖)、同本白根山(火口跡)、浅間山、富士山などを眺める。道路は国道292号である。

 

前回での画像から

 

気象条件が良いと、西方向の展望も素晴らしい。

 

槍ヶ岳と穂高岳

 

長野市の奥には北アルプスの峰々

 

笠ヶ岳(2080 m)、飯綱山(1920 m)、そして白馬岳など

     

群馬県の防災ヘリ(はるな)。背景は白馬岳などである。飯綱山の奥には西岳や戸隠山などが写っている。

 

飯綱山の右奥は高妻山(2350 m、戸隠連峰の最高峰)と乙妻山

 

西北方向には、妙高山(2454 m)など、左側には黒姫山(2055 m)(山頂に雲がかかっている)。

 

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笠ヶ岳は登り易い展望の山である(向こう側に登山道がある)。一度、山頂の立ったとき、突然大きな雷鳴が頭上で響き、私達は慌てたことがある。そう言えば、高校生のとき、至仏山の山頂で突発的な雷雨に私は出会ったことがある。あのときは、稲妻が目の前を水平方向に走った。どちらの山においても、頂きでは雷からの逃げ場が無さそうである。余談まで。

 


横手山と草津白根山(本白根山)での展望から

2015-08-08 | 山登り

山での展望は、いわば一期一会である。ここでは群馬県と長野県の県境にある横手山と草津白根山(本白根山)で撮った画像(南方向)をアップロードする。


富士山、浅間山、そして草津白根山

横手山(長野県、志賀高原、2305m)にて、道は志賀草津道路である。

 

 

浅間山とその山系(前掛山、剣ヶ峰、脱骨岳、黒斑山など)

草津白根山(本白根山、噴火口跡)にて

 

撮影:2011年9月


烏帽子岳(湯の丸高原)での展望、2013年8月

2013-09-01 | 山登り

烏帽子岳(2056 m、長野県東御市)は、浅間山系で最も西側にあり、隣接している湯の丸山(2098 m)とともに、展望と花の山である。

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烏帽子岳(左)と湯の丸山(中央)。背景は北アルプスの稜線(左から、蓮華岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、白馬岳など)である。画像は、7月下旬、浅間山系の籠ノ登山(2230 m)で撮った。

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登山口である地蔵峠(1730 m、画面中央下)には、駐車場(無料)、公衆トイレ(水洗式)、店、宿泊施設がある。烏帽子岳への登山道は、湯の丸山の左裾(南側)を迂回して左端に写っている尾根に通じている。そして、尾根を登ると、山頂(三角錐の頂点)に至る(4 km、約1時間半、標高差約 320 m)。

画像には、ゲレンデ、つつじ平(中腹)を経て山頂に至る、湯の丸山の登山道(直登ルート)も写っている。

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28日、関東地方では湿度が低くすっきりとした晴天の朝となった。自動車道から、赤城山、榛名山、子持山、妙義山など、群馬の山々が驚くほどはっきりと見えた。また、浅間山の山腹には雲海の如く雲が水平に長く漂っていた。


さて、地蔵峠からカラマツなどで覆われ展望のない登山道をひたすら歩いていくと、突然のように視界が開ける。そこで、八ヶ岳連峰を眺めると、何か解き放されたような気分になる。

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烏帽子岳と湯の丸山(最初の画像の裏側)との分岐点(鞍部)付近での眺めも面白い。例えば、四阿山(あずまやさん、2354 m、右側)と根子岳(2210 m、左側)。

 

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そして、烏帽子岳での崩落地(下山時に撮影)。気象条件が良ければ、ここからでも妙高山などを望むこともできる。今回は全く見えなかったが。

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烏帽子岳の山頂を見上げる。尾根や頂上での展望や花を思うと、一刻も早く登りたくなる。しかし、これからの登りでは勾配が大きくなる。

 

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尾根にたどり着いたとき、北アルプスの稜線は雲と霞で覆われていた(残念!)。しかし、近接地の眺めは、涼風と相俟ってたいへん心地の良いものであった。画像での市街地は上田市(長野県)だ。

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尾根から山頂への道で。

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山頂(岩稜)。
背景は四阿山(2354 m、右側)と根子岳(2210 m、左側)である。山頂では、20名以上の人々が休んでいた。さらに、午後になると、湯の丸山経由で登ってくる人々が続々と到着した。余談ながら、 岩の上に、無造作に置いてあるのは、自分の持ち物(カメラバッグ、ストック、経口補水液のペットボトル)だ。

 

 

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「山頂や尾根での展望から」

緑と雲の影(北方向)。

この岩の先は、数十メートルほどであろうか、切れ落ちている(要注意)。とは言え、岩のそばで涼風を受け、四阿山などを眺めながらの昼飯(コンビニのお握り)は旨かった。さらに、緑の凹凸に投影される雲の影は変化に富んでいて、その効果が面白かった。

 

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山頂に横たわる溶岩。烏帽子岳がかつて火山であった。もう少し早い時季ならば、溶岩の上でイブキジャコウなどの花が咲いていたであろう。

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溶岩から見下ろす眺め。右最奥には草津白根山(本白根山)などが見える。左最奥は四阿山の裾野である。

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浮かんでいる雲は、自分が標高 2000 m の位置にいることを実感させた(南方向)。

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遙かに、自分達の街の近くの山(赤城山)を望む(東方向)。近くの山頂は、左から籠ノ登山(雲の影)、黒斑山(浅間山)(2400 m)、見晴岳(池の平湿原)(2100m)である。籠ノ登山の左奥の山は浅間隠山(双耳峰、1740 m、群馬県)だ。赤城山はその奥で霞んでいる。

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マルバタケブキが笹の中で孤立している。



佐久平方面(南西方向)の眺めにも、心を動かされる。

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登山道、尾根、そして山頂では、この時季ならでの花が風で揺れていた。

イワインチン(岩茵陳、キク科、イワヨモギやインチンヨモギと呼ばれることがある。茵陳はヨモギの漢名だ)。尾根や山頂の岩稜地に多く生えている。

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マツムシソウ

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高峰山(長野県)、花と展望、2013年6月

2013-06-22 | 山登り

高峰山は全国で十山ほどあるようだ。今月上旬(6月9日)、私達は上信越高原国立公園に属する高峰山(2106 m、長野県小諸市)に向かった。
ところで、この山に登る人々は多くないようである。登山口(車坂峠、1973 m)から山頂までの標高差が何となく物足りなく感じられる。周辺には、浅間山(前掛山)、黒斑山、籠ノ登山、三方ヶ峰(池の平湿原)、湯の丸山、烏帽子岳などの2000 mクラスの山がある。これらが、その理由であろう。

 

高峰高原の案内図(車坂峠(長野県小諸市)にて)



登山道で眺める八ヶ岳連峰(佐久市など)。



登山者が多くないことは自然の豊かさが残されていることでもある。そして、この期待は裏切られなかった。登山道沿いで、私達はハクサンイチゲなどの花々に出会った。


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岩地で開き始めた花、そして蕾

ハクサンイチゲ(白山一華、白山一花);キンポウゲ科の多年草。花に見えるものは、萼片であり、花弁ではない。高山帯で、残雪や雪渓を背景として群生している姿には、このものならでの華やかさがある。

 


高峰山では、この地ならではの亜高山性気象(北アルプスからの冷たい風と太平洋側からの温かい風が交差する)を反映して、高山植物と低山植物とが混生している。例えば、笹をバックとするハクサンイチゲの花に出会う。

 

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登山道沿いで出会ったその他の花から

ツガザクラ(栂桜): ツツジ科、高山帯の岩場や礫地を好む常緑性の矮性低木。

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アズマシャクナゲ(東石楠花、ツツジ科): 和名は、このものが関東地方に多いことに由来する。

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高峰山では、アズマシャクナゲ(一部は白花種)とハクサンシャクナゲが群生している。このときは、ハクサンシャクナゲの蕾がまだ硬かった。


イワハタザオ(岩旗竿、アブラナ科ヤマハタザオ属): 山地の岩場や砂礫地に生える多年草。このものの仲間には、ヤマハタザオ、ウメハタザオ(八方尾根、蛇紋岩地帯)、富士山に分布しているフジハタザオ(富士山)がある。

 

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イワハタザオ(高峰神社前にて)

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高峰山の山頂付近では、大きな岩が積み重なっている。これは火山(旧火山)であった時代の名残であろう。この画像において、左奥の窪地は池の平湿原(火口跡)である。


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植物は逞しい。岩の重なりの隙間で、ハクサンイチゲやイワカガミなどが花を開いていた。

岩の積み重なりとその上部に生えているハクサンイチゲ。岩に身をあずけて、イチゲの生き様を接写したいと思った。しかし、岩の重なりは微妙な重さでの釣り合いによって安定化されているように見える。まあ、.....危うきに近寄らずとすべきだろう。

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この岩の重なりの反対側(南側)では、ハクサンイチゲの花が層状に並んでいた。

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さて、山頂の先にある岩の重なりに、高峰神社が祀られている。身軽な(体重)家内は、左側から岩を登って家族のために賽銭を奉納した。多くの人は賽銭を下(前方)から投げ入れているらしい。

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高峰山(山頂付近)での展望は雄大であった。池の平湿原、三方ヶ峰、そして北アルプスの稜線(最奥)。


北アルプスのクローズアップ(円偏光フィルター使用)。槍ヶ岳などが12時頃にしてははっきりと見えた。できるならば、サンセットの頃まで山頂に留まって、背後から夕陽を浴びる槍ヶ岳の姿などを撮りたかった。


カシミール3Dによる山座同定

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北アルプスのクローズアップ(2)、鹿島槍ヶ岳(右)と爺ヶ岳(左)


東方向(浅間山方向)では、爽やかな新緑の世界が広がっていた。

右から、剣ヶ峰、トーミの頭、前掛山(最奥、僅かに見える)、黒斑山、蛇骨岳。


 南や南西方向は霞んでいた。しかし、新緑、八ヶ岳連峰、そして佐久平の眺めは、私達にとってインパクトがあるものであった。左奥は蓼科山。撮影地点、高峰神社付近(行き止まり)。


 登り始める前に、車坂峠付近で撮った富士山などの眺め(9時半頃)。


 

富士山とともに、金峰山(五丈岩)や瑞牆山の山容がよく見えた。これらの峰と御座山 (おぐらやま)、小川山、茂来山(もらいさん)、天狗山などを含む稜線の幾重かの重なりは、墨絵を見ているようであった。高峰山の山頂では、バランスの良 い構図でこのような展望を楽しむことができるだろう。


カシミール3Dによる山座同定

カシミールによる山座同定についてはコメント欄をご覧ください。

Fujisana

 

高峰山登山コースは歩行1時間半から2時間の距離とされている。私達は、いつもように道草をしながら(行きつ戻りつ)歩いた。そして、展望をゆっくりと眺めながら、ランチタイムを山頂で楽しんだ。結果として、車坂峠に戻ったとき、私の歩数は1万を越えていた。


八ヶ岳連峰など(車坂峠付近にて、午後)。


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2018年7月6日、再現像画像のアップロード。