こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

新緑の一ノ倉沢出合で岩壁を見上げて(回想)、2012年6月

2023-06-26 | 谷川岳・草津白根山

谷川岳は群馬県と新潟県の県境に位置しています。そして、群馬県側では、マチガ沢、一ノ倉沢、幽ノ沢での岩壁が独特の景観をつくりだしています。

谷から響いてくる湯桧曽川の流れの音とブナ林の緑に包まれながら、谷川岳ロープウエイ駅から舗装道路(国道291号)を50分ほど歩きますと、マチガ沢出合を経て一ノ倉沢出合に着きます。国道291号は「旧道」とも呼ばれています。

「土合から清水峠に向かって、谷川連峰の腹を縫って断続した道が見える。これが清水越えの旧道で明治18年(1885年)四ヶ年の歳月と当時の三十五万円の巨費をかけて、平均三間幅の道路が完成されたのだが、僅か二年使用しただけで、雪害のため廃道になってしまった。(深田久弥、日本百名山(谷川岳))」

 

一ノ倉沢出合にて

烏帽子岩北陵にスポットライト(雲漏れ日)があたり、北陵の新緑が浮かび上がりました。険しい岩壁の景色に圧倒されながらも、この岩壁を覆いはじめた植物のしたたかさに、わたくしたちは心を動かされました。

北陵の左側は烏帽子岩中央陵と衝立岩、北陵の右側はコップ状岩壁、9時半頃。

 

岩壁の頂きは烏帽子岩です

 

出合に備えられていました案内板から

 

4ルンゼ(本谷)と滝沢下部(望遠にて)。ルンゼは雪崩の集積で磨かれた雪氷食壁地形(岩壁)です。蛇紋岩が磨かれてつくりだされた岩壁は日差しで輝くときがあります。

 

滝沢下部での滝(落差数百メートル)の望遠画像。深く削り取られた岩壁に生えている苔類や草木の緑が鮮やかでした。

 

一ノ倉沢での険しい岩壁は剣岳、穂高岳のそれらに比肩すると言われています。しかし、登山者でなくても標高差 1,000 m の絶壁を近くで眺められることにおいて、一ノ倉沢は特異な存在です。

山陵部分は霧で覆われていましたが、人々は唖然としたような表情で岩壁を眺め上げていました。わたくしたちも同様にです。

雪渓の上を歩き、より近い位置で岩壁を眺めたくなりますが、雪渓には危険なクレバス(割れ目)が隠れている恐れがあります。

 

出合は豪雪地帯です。前年の5月に訪れたときは、除雪直後の景色が残っていました。

 

さて、滝沢の上部が雲漏れ日を受けはじめたとき、私達は感慨を覚えました。左上の稜線で、一ノ倉沢を覆っていた霧の中に、自分達のブロッケン像を見たことがあるです。

 

別のときに、稜線で1,000 m 下の出合を撮ってみました。

道路において、右上は出発点方向です。左上はさらに奥の景勝地(幽ノ沢出合、芝倉沢出合)に通じています。

そのときは、同伴者に身を託し細心の注意のもとに出合を覗きました。稜線から迫力ある姿で一ノ倉沢を撮ろうとして墜落した例があると聞いています。

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ところで、岩壁の反対側で、白毛門(1.720 m) と笠ヶ岳(1,850 m、霧の奥)を覆う新緑や沢での残雪が雲漏れ日を受けている光景も印象的でした。

 

一ノ倉沢道路適正利用推進協議会・みなかみ町観光協会の案内パンフレット(2023年版)を引用・紹介します。

 


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撮影、2012年6月11日。

RAW画像の再現像、2023年6月25日

 

 


ある時に山麓で眺めた谷川岳の岩峰

2018-10-07 | 谷川岳・草津白根山

群馬県谷川岳指導センターHPの「今日の谷川岳(10月7日(日)」には、「1,500メートル付近の紅葉が見頃になっている、山を遠望した際の全体的な紅葉のピークは今月中旬から月末頃になると予想されます。」と記されている。ところで、谷川岳の麓を流れる湯桧曽川とロープウェイ駅方面に向かう国道291号線との接点(湯桧曽公園付近)は谷川岳のビューポイントである。ここでは、かなり以前に撮ったものにであるが、岩峰が雪を被りはじめたときの画像をアップする。撮影、2010年11月下旬(朝)

 

山頂(トマノ耳、1,963 m)から一ノ倉岳(1,974 m)・茂倉岳まで。



トマノ耳(1,963 m)から一ノ倉岳(茂倉岳)までのクローズアップ。右側はシンセン岩峰(奥にもうひとつの山頂であるオキの耳(1,977 m))であり、森林限界の上の尾根筋は西黒尾根である。



一ノ倉岳をクローズアップする。一ノ倉沢上部の鋭い岩峰が見える。しかし、衝立岩は見えない。



武能岳とそれに至る稜線での岩壁。武能岳が鋭峰としてそびえる。



国道291号線(旧道)マチガ沢出合にて。中央はトマノ耳であり、右側はシンセン岩峰である。

この岩峰を見上げるとき、わたくしはかつて知人がクライミング中に滑落し若き命を落としたことを思い出す。


紅葉が終わると、旧道を歩く人が疎らになる。このとき、わたくしたちは複数の熊除け鈴を鳴らしながら一ノ倉出合を経て幽ノ沢出合まで歩いた。湯桧曽川の流れの負けないように鈴の音を響かせながらであった。



低山点描、谷川岳(2010年9月)

2016-10-01 | 谷川岳・草津白根山

谷川岳は双耳峰である。谷川岳の森林限界は1,500 m程度であり、限界から山頂(2,000 m弱)までの山容は部分的に笹原が広がる険しい岩峰となっている。撮影、2010年9月下旬

 


天神尾根コースでの登山者の列。このときは、ナナカマドの実と笹原の対比が見事であった。



天神尾根コースにて。


山頂とその周辺にて

山頂近くの肩の広場にて。左側の岩稜は俎嵓、右の尾根はオジカ沢ノ頭である。

 


俎嵓のクローズアップ。麓には谷川温泉がある。かつては、俎嵓が谷川岳の山頂であったと聞く。

谷川温泉で俎嵓を眺める(11月下旬)。


新潟県側の山(万太郎山、仙ノ倉山、平標山、苗場山(奥))を望む。

 


画像は、オジカ沢ノ頭から、万太郎山、仙ノ倉山、そして平標山に至る尾根である。




オキの耳(トマの耳にて)。

 


今日は朝から日差しのないどんよりとした空模様となっている。昨日の晴れ間は一体何であったのであろうか。今日は、デジイチと交換レンズを持って登れるかなとの不安を感じながら、かつて谷川岳で撮った画像を再現像してみた。私達が登ってきたコースはロープウェイを利用する天神尾根コースである。コースは初級者向けとされているが、登りの標高差は800 mである。画像の一部は前ブログ(ココログ)で記事にしたが、それらの大部分はgooブログに移動することができなかった。今後、アップする画像は気象条件に恵まれたときに撮ったものである。

 


フォトアルバム(8)、草津白根山の秋景から、逢ノ峰で眺める紅葉

2015-09-10 | 谷川岳・草津白根山


草津白根山では、白根山(現火口、湯釜)と本白根山(火口跡)の間に、逢ノ峯と呼ばれる山頂がある。逢ノ峰の標高(2110 m)は前者のそれらとほぼ同じである。山頂にはパノラマ展望台としての東屋が建てられている。また、白根山のライブカメラが設置されている。その映像はインターネットで公開されている。

 

山頂で眺めるパノラマとナナカマドなどの紅葉

道路は国道292号(志賀草津道路)であり、分岐点から奥に伸びているルートは芳ヶ平方向への遊歩道になっている。


左側は白根山であり、右側の頂(岩の重なり)には鳥居と石祠がある。

この画像において、白根山の奥に岩菅山、右奥に八間山が見える。最奥の山波は白砂山など。


 このときは、雲間から日差しが白根山特有の雰囲気を強調していた。

 

 本白根山方向での紅葉


 逢ノ峰のそばには弓池がある。

 

白根山駐車場(火口湖(湯釜)の展望台へのコース)

 

 草津温泉から白根山に至る国道292号での駐車スペースにて、奥の山頂は逢ノ峰である。


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白根山の噴火活動レベルの引き上げ(レベル2、火口周辺規制)のために、

国道292号では通行時間が8-17時に制限され、駐停車禁止となっている(白根山駐車場は閉鎖)(9月10日現在)。

 

 

撮影、2009年9月下旬。

 


フォトアルバム(7)、草津白根山での紅葉と黄葉、芳ヶ平にて

2015-09-08 | 谷川岳・草津白根山

 

 

 

草津白根山を背景とする湿原での草紅葉(白根山にはナナカマドが多い)

 

 

芳ヶ平ヒュッテとその周辺(湿原と地糖はヒュッテの左奥に位置している)

 

湿原の背後での彩り

 

雲間からの日差しを受けて

 

渋峠方向での紅葉と黄葉

 

国道最高地点(渋峠付近)を見上げると

 

 

 

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撮影、2010年10月上旬。

この時はナナカマドの紅葉、ダケカンバやシラカンバの黄葉が美しかった。今年は、どのような秋景が現れるであろうか酷暑、それに続く急激な冷え込み、停滞している秋雨前線など、今年の天候は実に複雑である。この天候を乗り切っての彩りは、間もなく発現するだろう。


フォトアルバム(6)、芳ヶ平の秋景、国道最高点(渋峠付近)にて

2015-09-01 | 谷川岳・草津白根山

群馬県と長野県とを結ぶ国道292号(志賀草津ルート)には、国道の最高地点(渋峠付近、2,172 m)がある。そして、この地点は芳ヶ平湿原(群馬県中之条市)の展望台である。撮影、2011年9-10月。


湿原の草紅葉が始まり、笹の葉の緑が淡くなっていた(9月上旬)

右最奥の山波は榛名山である。

 

 芳ヶ平のクローズアップ(地糖と湿原を一周するルート)

 

湿原の草紅葉(9月下旬

右上には白根山駐車場からのルート(片道1時間)、奥には草津温泉が見える。

 

秋景(10月中旬)

湿原での草紅葉と周辺でのダケカンバやシラカンバの紅葉(黄葉)が美しかった。

 

紅葉(黄葉)と針葉樹林との対比

 

ここでは、白根山(火口湖、湯釜)と本白根山(旧火口)と対照的景観が視界に入ってきた。

白根山では噴気が立ち上っている。一方、本白根山は緑と花(コマクサなど)の山である。

このときは、背景が浅間山(右奥)と雲海であった。

左側に、白根山駐車場からのルートが見える。

 


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タイトルから外れるが、冠雪の草津白根山の画像をアップする(旅客機にて、2013年3月)。

 

 

ところで、白根山周辺ではナナカマドの紅葉が美しい。白根山駐車場(ビジターセンター)から芳ヶ平に至るルートで、私達は鮮やかな色付きに目を奪われたことがある。しかし、現在、このルートは火山周辺立入規制の区域に入っている。錦秋の候には、火山活動が沈静化することを期待する。


谷川岳一ノ倉沢出合にて、冬景色(蔵出し画像)

2015-01-27 | 谷川岳・草津白根山

あるテレビ番組で、ここでは人々が唖然として口をポカーンと開けながら大岩壁を見上げるとの語りを聞いたことがある。一ノ倉沢出合(群馬県側)は標高差1,000 mの大岩壁を眺める絶景スポットである。今回の画像は2009年12月中旬に撮った。そのとき、私達は、新潟県側から岩壁に沿って吹き下ろしてくる寒風に凍えながら、霧の中でそそり立つ岩峰を、しばらく眺めていた。

    

衝立岩(中央)とその周囲、12月13日11時頃

 

 

 

  衝立岩のクローズアップ。この岩には雪が着いていない。

 

一ノ倉沢の奥では、幽ノ沢の岩壁がそそり立つ。

 

 マチガ沢出合にて、雲の中に山頂(トマの耳、1943 m)がある。

 

 


谷川岳(旧道)散策、一ノ倉沢出合、2013年5月

2013-05-30 | 谷川岳・草津白根山

先週(5月22日)、私達は谷川岳旧道(国道291号線)を歩いた(ロープウェイ駅 → マチガ沢出合 → 一ノ倉沢出合、往復約6 km)。この国道では、今年から冬季通行止め期間が終了しても、谷川岳登山指導センター下から出合まで、一般車両の通行ができなくなる(みなかみ町観光協会HP)。

 

旧道沿いでは、ブナの新緑が鮮やかであった。左側に写っている石垣は明治18年に完成した清水峠道の遺構であろう。ところで、この道は上杉謙信などが利用した歴史街道でもある。

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谷側から、湯桧曽川での流れと白毛門の急峻な山腹を流れる雪融け水の音が響いてきた。流れの音を聞きながら、私達は新緑のトンネルのなかを歩いた。

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ところどころにあるトンネルの切れ目では

湯桧曽川の対岸に、残雪を抱く白毛門、笠ヶ岳、朝日岳がある。ここでは、出会った人との歓談が弾んだ。その人は語った、「学生時代(山岳部)、残雪の白毛門は訓練の場であった。そして、5月頃の雪渓歩きは油断大敵である。」と。

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通常は、1時間ほど歩くと一ノ倉沢出合に着く。しかし、私達はいくつかのスポットで、花の様子を知るために寄り道をしながら、出合に向かった(1,5時間)。出合では雪融けがかなり進んでいた。しかし、沢は依然として厚い雪渓で覆われていた。


烏帽子岩奥壁、中央稜テールブリッジ、コップ状岩壁に雲漏れ日が射すときを待って。なお、岩壁は午後になると日陰に入ってしまう。

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岩壁(滝沢)には、稜線の雪融けに起因して、落差の大きい、この時期ならではの滝が現れていた。

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雪渓の下から、雪融け水が激しく流れ出している。数人が雪渓の上を歩いていた。雪渓には外からは見えない割れ目があるかもしれない。そのような場所で踏み抜いたときのアクシデントの結果を想像して、私達は臆病者になってしまった。杞憂のことかもしれないが。

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振り返ると、白毛門、笠ヶ岳と沢を覆う雪渓。岩壁の姿をカンバスに描いている人がいた。

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マチガ沢出合にて(帰路)。中央(稜線)のピークはトマノ耳(山頂)である。

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マチガ沢出合にて

ツツジでは、花の色がはっとするほど濃かった。

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谷川岳(天神尾根)散策、展望と花、2013年5月

2013-05-27 | 谷川岳・草津白根山

一昨日(25日)、北関東の天候は曇りであったが、私達は谷川岳(天神尾根)に向かった。新潟県側の天候は晴れであることを知ったからだ。途中、自動車道(北関東、関越)では赤城山、榛名山、子持山、武尊山、そして谷川岳がほとんど見えなかった。もしかすると、赤城山などでは雲海の世界が広がっているかもしれない。行き先を変更しようか。


しかし、水上ICで、残雪の谷川連峰が青空に聳える姿を見たとき、私達の迷いは消えた。天神平と天神峠には多くの観光客が訪れていた。しかし、リフト降り場近くの残雪(雪渓)が妨げとなったのであろう。天神尾根は、静かに展望と花を楽しむ上で格好の場所となっていた。


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山頂を眺める。中央は山頂(トマノ耳、1963 m)、その右側の岩峰はもう一つの山頂(オキノ耳、1977 m)。それらの前の岩尾根は西黒尾根(登山道)である。山頂付近(左側)には肩の小屋が見える。


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山頂付近(天神尾根登山道)のクローズアップ。登山者(4名)が肩の広場に至る天神尾根登山道を覆う雪渓の上を歩いている。ところで、群馬県谷川岳登山指導センターのHP(今日の谷川岳)に、登山ではアイゼン、ピッケルなどのしっかりとした雪山装備が必要であると記されている。

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さて、雪が消えた尾根道の周辺では、タムシバ、ショウジョウバカマ、イワウチワ、イワナシ、マンサクなどの花が開いていた。また、アズマシャクナゲの蕾も赤くなっていた。画像において、左端の岩稜は俎倉(マナイタグラ)尾根である。

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俎倉(中央)を背景としてタムシバの花

 

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ところで、麓の谷川温泉で眺める俎倉の姿は壮観だである。ときには、この尾根に沿って流れる滝雲を見ることもできる(2009年4月撮影)。

 

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山頂を背景とするタムシバの花

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開きつつある花には、如何にもモクレン科の花らしい質感と美しさがある。

 

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タムシバ(田虫葉)
モクレン科モクレン属の山地に自生する落葉性木。天神尾根のものは低木型である。芳香があることから、このものにはニオイコブシとの別名がある。花は葉の展開に先がけて開く。



タムシバ以外の花

ショウジョウバカマ(猩々袴、シュロソウ科ショウジョウバカマ属)尾根沿い斜面には、このものの群生地のようなところがある。

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イワウチワ(岩団扇、イワウメ科イワウチワ属)。花名は岩地に生えることと葉が団扇に似ていることに由来する。

 

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北陸から近畿地方には、トクワカソウと呼ばれる近縁種が分布している。谷川岳は関東と北陸を分ける分水嶺(中央分水嶺)だ。イワウチワとトクワカソウが混在していても不思議でない。両者は葉の形で区別できると言われている(山渓ハンディ図鑑2、山に咲く花(増補改訂版、2013年)。しかし、谷川岳では区別が難しい個体が多いような気がする。

 

 

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終わりに、当日の展望から

左から、笠ヶ岳(1852 m)、朝日岳(1945 m)、白毛門(1720 m)。そして、右最奥は至仏山(2228 m)である(12時頃)。

 

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私達は、天神峠から天神平までスキーゲレンデを歩いて下山しようとした。ところが、ゲレンデの下部は残雪で埋まっていた。私達はまたしても残雪に降参となった。ともかく、強行突破は避け、ゲレンデを登り返した。

ちなみに、ゲレンデでは、雪が完全に消えると、ナエバキスミレやサンカヨウなどが咲く。

 

 

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5月25日午後撮影。EOS 6D、EOS EF17-40 mm F4L USM、EF70-200 mm F4L IS USM、RAW、現像ソフト Aperture 3。

 


谷川岳に向かうと、2012年7月

2012-07-03 | 谷川岳・草津白根山

7月1日、臨時団体旅行として、私は友人と谷川岳を向かった。この日、ロープウェイ乗車口(土合口)付近では、谷川岳開山日の催しが行われていた。しかし、天候は、曇りから、濃霧、そして降雨へと変化した。



臨時団体列車(JR水上駅行き)の到着を待ちながら、乗車駅にて。

車両は183系(6連)であった。183系は旧国鉄時代に特急列車として活躍した。リニューアル車であろう。車体にプラットホームが映っている。1日6時25分撮影。

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用意された谷川岳と温泉を楽しむとのプランから、私達は「ロープウェイ利用、天神平から 天神尾根 → 天神山 → 高倉山 → 天神平 → (保登野沢コース) → 谷川温泉を歩く」とのプランを選んだ。ちなみに、群馬県谷川岳登山指導センターの案内に、「 保登野沢コースは中級者向け、ヤマビル(ヤマヒル)の対策が必要である。」と記されている。

 

山頂や周辺の山は濃霧の中に隠れていたが、沿道で咲く花を撮ることはできた。団体行動による時間的制約があったが。頭上には、タムシバの花(モクレン科)。花には、モクレン科のものらしい質感の美しい姿が保たれていた。9時50分頃撮影。

 

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天神尾根では、ウラジロヨウラク(ツツジ科)の花が目立っていた。花名は釣鐘型の花が仏具の瓔珞(ようらく)に似ていて、葉の裏が白味を帯びている(うらじろ)に由来する。今回のものは花と葉が美しい。10時頃撮影。

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記事を公開したとき、このものをベニサラサドウダンと誤記しましたので、これを訂正します。コメントで、当方の誤りをご指摘された「でんさん」に、御礼申し上げます。

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天神山・峠では、ナナカマド(バラ科)の花が見頃となっていた。ところで、10時半頃から雨が降りだした(天気予報は15時頃から降雨となっていたが)。10時15分頃撮影。

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次いで、天神山から天神平に下るスキー場ゲレンデを歩いた。ゲレンデ近くの岩場には、ナエバキスミレの群生が残っていた。10時40分頃撮影。

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下山での核心部分(天神平 → 保登野沢コース → 谷川温泉)に入ると、ヒメシャガ(姫射干、アヤメ科、アヤメ属)の花を見ることができた。ヒメシャガ: 日本特産の多年草、山地の森林での岩場や急斜面に自生している。ヒメシャガの園芸種については栽培法が解説されている(たとえば、NHK出版、みんなの趣味の園芸)。しかし、この自生種には、その場の雰囲気を帯びた美しさがある。11時頃撮影。

 

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ヒメシャガの花と蕾。この時はヒメシャガに気を取られ確認しなかったが、黄色の花(背景)はキスミレ(ナエバキスミレ)であったもしれない(残念)。

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保登野沢コースでの登山道は山腹(樹林帯の急傾面)に設けられている。笹などは刈り払いされているが、道が狭く岩石が露出している箇所が多々あった。岩が雨で濡れていために滑り易く、「谷側へのスリップ = 危険(転落)」となりそうな場面にも遭遇した。数箇所の渡渉地点では、橋がなく、飛び石を利用して沢を渡たることが求められた(1箇所、ロープが張ってあった)。雨で濡れた飛び石は極めて滑り易かった。下部の林道では、崩壊している場所(1箇所)に、梯子が用意されていた。

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道では、雨で活動が活発になった多数の「ヤマビル(ヤマヒル」が下山者一行を待ち構えていた。コースでの歩行時間: 約2時間。下山での標高差: 800 m程度。かなりの緊張の求められたが、保登野沢コースは歩き甲斐のある登山道であった。晴天のときに、この道を再び歩いてみたい。


画像は、右上の斜面から下山して小休止したときに撮った。このときは、幽玄を感じさせる雰囲気が周辺に漂っていた。

11時20分頃

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終着地点に近いホワイトバレースキー場ゲレンデにて、下りてきた方向を振り返えって。余談ながら、トイレ(左奥の建物)ではヘビの歓迎を受けた。13時頃撮影。

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ゲレンデのそばに咲くノアザミの花。花は私達の疲れを忘れさせてくれた(13時頃撮影)。

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谷川温泉に着き、安堵の気持ちが出てきたとき、執拗なヤマビルが私達に同伴していることに気付いた。私の靴に付いているヤマビル(吸血したものでは、膨んだ胴体が黒色を帯びる)(13時半頃撮影)。

 

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幸いにも(?)、私自身はヤマビルによる被害を受けなかった。その理由: タイツと靴下(2重)を着用して、肌(足)を露出しなかった。長袖シャッツ・手袋(ゴム製の滑り止め付き)の着用。ツバの広い帽子と首筋に巻いたタオルでヒルの侵入を防いだ。ヤマビルに対して効果がある虫除け剤(スプレー)を、歩きながら靴や衣服に散布した。


ヤマビルのアタックを数箇所ほど受けた友人の足。15時頃頃。

 

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友人の被害はこれだけでは終わらなかった。再び登山靴を履いたとき、靴の奥にいたヒルのアタックを受けた。このことによって、ヤマビルが実に執拗な生き物であることを、私達は体得した。なお、ヤマビルは靴でいい加減に踏んだくらいでは潰れなかった。

 

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天候の悪化や保登野沢コースでのヤマビルなどのために、私達は9時半頃から13時半頃まで歩き続けた。しかし、ゆったりと座れる臨時団体列車での旅。復路は、ヤマビルのことなどについて談笑しながらにて、往路のときよりも楽しかった。

 

 


谷川岳一ノ倉沢出合、幽玄で荒々しい姿、2011年12月

2011-12-12 | 谷川岳・草津白根山

先週の土曜日(12月3日)、私たちは谷川岳一ノ倉沢岩壁を眺めてきた。谷川岳ロープウェイ駅の先(群馬県谷川岳登山指導センター)から、国道291号は冬季通行止めとなっている。これから、この国道は雪に埋もれる。しかし、私たちが歩いたとき、道に雪が積もっていなかった。

道では、ガードレールや道路標識などの撤去作業が行われていた。雪崩による被害を避けるためとのことであった。私たちは、山側からの落石に気を配りながら、小雨のもとで歩いた(往復、8 km)。ガードレールがなくなった道では、谷を流れる湯桧曽川まで、かなりの高度感があった。途中で、マチガ沢の岩壁は濃霧のために全く見えなかった。

 

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私たちが一ノ倉沢出合に着いて間もなく、降雨が激しくなった。

雨は約30分後にほぼ止んだが、標高差数百メートルの岩壁には、滝沢でのものを含めて数本の滝が現れていた。

右の岩壁は衝立岩と烏帽子岩(衝立岩の上部)。滝の落差はどのくらいだろうか。

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出合の沢では、土石流の発生が心配になるほど、水量が急に増えてきた。出合の道(幽ノ沢方面に至る。

国道291号(清水街道))では、溢れた沢の水が道を越え始めた。

道での流れは速く、水深は10 cmくらいであった。

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道で流れに足をとられたならば、絶対絶命の状態となるにちがいない。そう思うと、いささか身震いを覚える。

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出合で土石流が発生することは、地元の人々から聞いている。水が溢れる前に、この道を通過しなくてよかった。帰りで、このような場面に遭遇したくない。

 

この画像は雨が激しく降る前の一ノ倉沢出合だ。沢の水は多かったが、水が道の上まで溢れていなかった。

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幽玄に満ちているが、荒々しい岩壁の姿。私たちはこの景観のいつまでも眺めていたかった。

 

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私たちは、出合をはやばやと去ることにした。杞憂のことかもしれないが、本谷の雪が滝の水で崩れると、

土石流が発生すると思ったからだ。

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霧と雨、そして谷を吹き降りてくる冷たい風。私たちは、悪天候で現れた幽玄で荒々しい一ノ倉沢の姿に出会った。

 

 

岩壁の反対側を見たとき、白毛門側の景観

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