こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

高峰山(長野県)、花と展望、2013年6月

2013-06-22 | 山登り

高峰山は全国で十山ほどあるようだ。今月上旬(6月9日)、私達は上信越高原国立公園に属する高峰山(2106 m、長野県小諸市)に向かった。
ところで、この山に登る人々は多くないようである。登山口(車坂峠、1973 m)から山頂までの標高差が何となく物足りなく感じられる。周辺には、浅間山(前掛山)、黒斑山、籠ノ登山、三方ヶ峰(池の平湿原)、湯の丸山、烏帽子岳などの2000 mクラスの山がある。これらが、その理由であろう。

 

高峰高原の案内図(車坂峠(長野県小諸市)にて)



登山道で眺める八ヶ岳連峰(佐久市など)。



登山者が多くないことは自然の豊かさが残されていることでもある。そして、この期待は裏切られなかった。登山道沿いで、私達はハクサンイチゲなどの花々に出会った。


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岩地で開き始めた花、そして蕾

ハクサンイチゲ(白山一華、白山一花);キンポウゲ科の多年草。花に見えるものは、萼片であり、花弁ではない。高山帯で、残雪や雪渓を背景として群生している姿には、このものならでの華やかさがある。

 


高峰山では、この地ならではの亜高山性気象(北アルプスからの冷たい風と太平洋側からの温かい風が交差する)を反映して、高山植物と低山植物とが混生している。例えば、笹をバックとするハクサンイチゲの花に出会う。

 

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登山道沿いで出会ったその他の花から

ツガザクラ(栂桜): ツツジ科、高山帯の岩場や礫地を好む常緑性の矮性低木。

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アズマシャクナゲ(東石楠花、ツツジ科): 和名は、このものが関東地方に多いことに由来する。

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高峰山では、アズマシャクナゲ(一部は白花種)とハクサンシャクナゲが群生している。このときは、ハクサンシャクナゲの蕾がまだ硬かった。


イワハタザオ(岩旗竿、アブラナ科ヤマハタザオ属): 山地の岩場や砂礫地に生える多年草。このものの仲間には、ヤマハタザオ、ウメハタザオ(八方尾根、蛇紋岩地帯)、富士山に分布しているフジハタザオ(富士山)がある。

 

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イワハタザオ(高峰神社前にて)

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高峰山の山頂付近では、大きな岩が積み重なっている。これは火山(旧火山)であった時代の名残であろう。この画像において、左奥の窪地は池の平湿原(火口跡)である。


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植物は逞しい。岩の重なりの隙間で、ハクサンイチゲやイワカガミなどが花を開いていた。

岩の積み重なりとその上部に生えているハクサンイチゲ。岩に身をあずけて、イチゲの生き様を接写したいと思った。しかし、岩の重なりは微妙な重さでの釣り合いによって安定化されているように見える。まあ、.....危うきに近寄らずとすべきだろう。

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この岩の重なりの反対側(南側)では、ハクサンイチゲの花が層状に並んでいた。

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さて、山頂の先にある岩の重なりに、高峰神社が祀られている。身軽な(体重)家内は、左側から岩を登って家族のために賽銭を奉納した。多くの人は賽銭を下(前方)から投げ入れているらしい。

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高峰山(山頂付近)での展望は雄大であった。池の平湿原、三方ヶ峰、そして北アルプスの稜線(最奥)。


北アルプスのクローズアップ(円偏光フィルター使用)。槍ヶ岳などが12時頃にしてははっきりと見えた。できるならば、サンセットの頃まで山頂に留まって、背後から夕陽を浴びる槍ヶ岳の姿などを撮りたかった。


カシミール3Dによる山座同定

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北アルプスのクローズアップ(2)、鹿島槍ヶ岳(右)と爺ヶ岳(左)


東方向(浅間山方向)では、爽やかな新緑の世界が広がっていた。

右から、剣ヶ峰、トーミの頭、前掛山(最奥、僅かに見える)、黒斑山、蛇骨岳。


 南や南西方向は霞んでいた。しかし、新緑、八ヶ岳連峰、そして佐久平の眺めは、私達にとってインパクトがあるものであった。左奥は蓼科山。撮影地点、高峰神社付近(行き止まり)。


 登り始める前に、車坂峠付近で撮った富士山などの眺め(9時半頃)。


 

富士山とともに、金峰山(五丈岩)や瑞牆山の山容がよく見えた。これらの峰と御座山 (おぐらやま)、小川山、茂来山(もらいさん)、天狗山などを含む稜線の幾重かの重なりは、墨絵を見ているようであった。高峰山の山頂では、バランスの良 い構図でこのような展望を楽しむことができるだろう。


カシミール3Dによる山座同定

カシミールによる山座同定についてはコメント欄をご覧ください。

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高峰山登山コースは歩行1時間半から2時間の距離とされている。私達は、いつもように道草をしながら(行きつ戻りつ)歩いた。そして、展望をゆっくりと眺めながら、ランチタイムを山頂で楽しんだ。結果として、車坂峠に戻ったとき、私の歩数は1万を越えていた。


八ヶ岳連峰など(車坂峠付近にて、午後)。


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2018年7月6日、再現像画像のアップロード。


赤城山、小沼湖畔のツツジ、2013年6月上旬

2013-06-08 | 赤城山

赤城山の小沼は水面標高が1470 m、周囲約 1kmの旧火口湖である。そして、小沼は長七郎山(左側)、小地蔵岳(左側)、地蔵岳(右側、旧中央火口丘、山頂に電波中継所が設置されている)で囲まれている。


黒檜山(山頂)で見る小沼(6月1日撮影)

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小沼の湖畔には、シロヤシオ(ゴヨウツツジ)、トウゴクミツバツツジ、レンゲツツジ、ヤマツツジ、ドウダンツツジなどが自生している。赤城山では、白樺牧場付近がレンゲツツジの群生地としてよく知られている。しかし、小沼湖畔は、黒檜山の裏側や五輪尾根と同様に、静かな雰囲気のもとで、花を楽しむ場所となっている。ここでの画像は、一昨日(6月6日、17時頃)に撮った。このときの天候は曇り(ときに薄日)であった。

 

シロヤシオ(ゴヨウツツジ)
このものは水面側に多く生えている。そして、水面からの水蒸気によるためであろうか、花弁には潤いと透明感が感じられる。ツツジには、湖畔にあることの真骨頂が表れている。

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トウゴクミツバツツジの花においても、魅力的な色を保たれていた(多分、水蒸気の効果によるものであろう)。

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トウゴクミツバツツジ:花期は5月中旬から6月下旬である。低木が多い。花名は関東の山地(標高1000 m以上)に多く自生していることに由来する。


 

レンゲツツジの蕾や花。

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ヤマツツジでは、開花の程度において水面側と山側との間に差があった。後者では花がかなり開いていたが、前者では画像のような株があった。ちなみに、湖面からは幾分寒さを感じるほどの風が吹いてきた。

 

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終わりに、白樺牧場でのレンゲツツジ(6日17時半頃)。

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赤城山、黒檜山、2013年6月上旬

2013-06-05 | 赤城山

私達が着いたとき、休む場所を見つけるのが難しいほど、山頂は団体客を含む登山者で混んでいた。あまりの人の多さに、私達は驚いた。

やがて、人々が去り、静寂さが戻った(鳥居、山頂近くにて)。

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黒檜山の標高は1828 mである。山頂では、ツツジの蕾がほとんど開いていなかった。また、山頂に林立するダケカンバでは、芽吹きが始まったばかりであった。

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ところで、黒檜山は展望の名峰であると言われている。国内3000 m峰14座のうち、12座が山頂から見えるとのこと(KASHIMIR 3D、パノラマ展望図集(全国の山頂から))。しかし、この日、遠方の峰は霞の彼方であった。


山頂にて、赤城山五輪尾根(右)と鈴ヶ岳(中央やや左の鋭峰)。昨年、五輪尾根では、ツツジなどの花が美しかった。

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山頂にて、自分達の街の方向(東)

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山頂でのんびりしているうちに、15時過ぎとなってしまった、ところで、裏側はツキノワグマの生息区域でもある。下山時、熊鈴を大きく鳴らして、二人とも周囲の状況に神経質にならざるをえなかった。

カメラでは、望遠レンズの使用を避けた。仮に遭遇したとき、こちらが銃を向けていると相手に誤解されては困る。以後の画像は、50 mm(EOS F1.8(II)、新品価格1万円程度)の単焦点レンズで撮った。


登山道沿いにて、火山灰地でのパイオニアプランツ(先駆樹)が見事な大木になっている。

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登山道は全般的によく整備されている。しかし、僅かの区間には、かつての火山活動を思わせる痕跡(岩の重なり)がある。

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ところで、このような箇所において、岩の僅かな割れ目に活路を見出したマイズルソウが花を開こうとしていた。このしたたかさに、私達は心を動かされた。

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17時を過ぎたが、花見ヶ原でのヤマツツジなどには、午前中とは一味違った美しさが醸し出されていた。当然のことながら、この時刻に花見をしているのは私達だけであった。黒い毛のものには出会うこともなく、私達は夕刻での雰囲気をしばし味わうことができた。

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さて、スタート地点に戻り、車のドアを閉めたとき、周囲に鹿の姿が見え始めた。相手もきっと安心したのであろう。

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赤城山、黒檜山の北側にて、ツツジの花、2013年6月上旬

2013-06-03 | 赤城山

赤城山の黒檜山は、自分達の街でもっとも高い山陵だ。この山では、南側(大沼側)から登る人々が多い。それ故に、南側を表とするならば、北側は裏となる。

 

市街地(群馬県桐生市)で見る赤城山(部分的画像)、撮影日、2013年元旦(早朝)、市街地を流れる渡良瀬川に架かる橋にて。 右側(北側)から、黒檜山(最高峰、1828 m)、駒ヶ岳(1685 m)、鳥居峠、小地蔵岳(1574 m)、長七郎山(1579 m)、地蔵岳(1674 m)。

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黒檜山の裏側(上の画像、右側斜面)を登ることも面白い。裏側では、表側と異なってツツジが多く自生しているからだ。登山口は花見ヶ原森林公園キャンプ場(群馬県桐生市、標高1200 m)である。

キャンプ場からの登山道には、ツツジについての説明がある。

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先週土曜日(6月1日)、私と家内はツツジ見物を兼ねてキャンプ場から山頂までを往復した(標高差 + 600 m(-600 m)、歩行距離 約8 km、歩数 約20,000、10 -17時)。

キャンプ場では、ヤマツツジの花が見頃となっていた。

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レンゲツツジは、まだ一部が開花した状態であった。ところで、 群馬県では、レンゲツツジが県の花となっている。群生地(例えば、赤城山白樺牧場)があるためだろうか。私はその理由をよく知らない。仮に、カッコソウ(鳴神山固有種)が県の花に選ばれるならば、独自性を重視した選定の結果ということになるだろが。


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ヤマツツジの美しさで、私の足は止まり勝ちとなった。同行者(家内)は、これから登らければならないと、時の経つのをを気にし始めた。この頃は、美しい花や景色に出会うと、撮ることに気を取られて、私は時間と場所の状態(環境)を忘れてしまう。そして、アクシデントに出会う。このときは、足許に切り株があった。その結果は? 転けてしまったが、カメラとレンズは無事であった。

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登山道沿いでは、標高が上がるにつれて、ツツジの種類が変わっていく。これが裏の道を歩くことの面白さだ。とくに、笹藪の向こうで咲くトウゴクミツバツツジの花は美しい。

見れば、道からツツジまで薮漕ぎをした形跡がある。近くで花にレンズを向けようとしたのであろう。ところで、笹藪の中では、何がカメラマンを待ち構えているいるかわからない。例えば、蜂、マダニ、ツツガムシ(新型のものについては、群馬県も安全地帯でないようだ)、そしてマムシ(蛇)など。今回も、重さを我慢して持ってきた望遠レンズが役に立つ。

 

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別の場所にて

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場所によっては、アカヤシオと思いたくなるほど、優しい色の花が開いていた。

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ゴヨウツツジ(シロヤシオ)について。地に落ちた花弁を見かけたが、開花が現在進行形のものはほとんどなかった。

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登山道沿いで、アズマシャクナゲが花を開いていた。黒檜山において、シャクナゲに出会う機会は多くない。そのため、この木は貴重な存在だ。嬉しいことに、シャクナゲは順調に成長している。

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山頂付近で、小沼、長七郎山、小地蔵岳、駒ヶ岳を望む。新芽の色の違いによるものであろうか、駒ヶ岳の山肌の色は他の山のそれとは異なっている。ともかく、赤城山には多様性がある。

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