こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

幻のスミレ、ナルカミスミレ(鳴神スミレ)との出会い、鳴神山にて(2014年)

2019-04-06 | 鳴神山と周辺

ヒトツバエゾスミレの自生地は関東北部(栃木県、群馬県)に限られると言われていたが、近年、四国や長野県北部でもこのスミレは見つけられている(いがりまさし、増補改訂 日本のスミレ、山と渓谷社、2012年)。


ヒトツバエゾスミレでは、花びらに薄い着色と濃い線(唇弁において)が見られる(鳴神山にて)。

 

このものでは、花びらの色は淡いが唇弁に濃色の線がある(鳴神山にて)。

 

「ナルカミスミレ」はヒトツバエゾスミレの白花品である。わたくしたちは白花品に何時か出会ってみたいと思っていた。そのため、鳴神山で、ヒトツバエゾスミレが生えている登山道やその周辺を見回しながら歩いてきた。そして、約10年前に大滝口登山道のそばのスポットで白花品を見つけた。しかし、翌年に同じスポットで該当するスミレを再び見つけることはできなかった。

ところが、人間万事塞翁が馬である。2014年、偶然にも非の打ち所がない白花品を、わたくしたちは見つけた。このものでは、花びら(唇弁)に着色された線が見られない。花柄や葉柄は完全に緑色になっている。すなわち、これはヒトツバエゾスミレの白花・青軸品、そのものである。

 

花弁の基部が少し黄緑色を帯びている。これは背後の萼片の色が映っているからだ。花びらの透明性が高い。

 

外見から判断すると、このものはナルカミスミレであると同定できる。

 

また、別の場所において、このような白花・青軸品を見つけた。このものでは、唇弁の基部に薄茶色の線があった。

 

 

これらのものの閉鎖花も見たかったが、生えていた場所が初夏の豪雨で流されてしまった。まことに残念である。それ以後、わたくしたちはこれのような白花・青軸品に山で出会っていない。それだけに、友人とわたくしは前記事での白花・青軸品が「ナルカミスミレ」として売られていたことに驚いたのであった。もう一度、山に生えている「本物」に出会いたいものである。なお、前回に紹介したスミレでは新たな花が開き始めている。

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ナルカミスミレ: 撮影、2014年春

 

 


ヒトツバエゾスミレの白花品、ナルカミスミレであろうか?(2019年4月)

2019-04-04 | 鳴神山と周辺

スミレファンとして、山道などでスミレに出会ったとき、芭蕉の句「山路来てなにやらゆかしすみれ草」を、わたくしは思い出す。ところで、近くの鳴神山(花の山として知られている。標高 980 m)には、固有種である「カッコソウ(サクラソウソウ科、種の保存法指定種)の他に、ヒトツバエゾスミレ(一葉蝦夷菫)が分布している。このものは、エイザンスミレの変種として葉が単葉化したものである。花びらは通常、淡紅色を帯びている。白色の花びらを持つ個体は極めて稀である。

白花品は「ナルカミスミレ」と呼ばれている。ネットで検索すると、「ナルカミスミレ」の画像が多数ヒットする。しかし、それらの画像の大部分では、花びらが少し色を帯びていたり、花柄が赤茶色を帯びている。花びらが白色で花柄が緑色のもの、すなわち白花・青軸品はほとんど登場しない。そのためであろうか。地元では、「ナルカミスミレ」は幻のスミレであるとされている。

 

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さて、親しい友人がある場所で「ナルカミスミレ」として売られていたものを購入し、元気を取り戻すようにとわたくしにお送りくださった(昨年)。その頃、わたくしが体調を崩していたからであった。

今日の暖かさに誘われて、プレゼントされてから育てていたスミレが花を開いた。

唇弁での縦の線の色は薄い。通常のヒトツバエゾスミレでは線の色が濃い。各花弁の基部を黄緑色を帯びている。側弁には白毛が生えている。

 

 

これは、日差しを浴びているときに撮った。

 

スミレの全体像。花のみならず距(後部)も白色を帯びている。花柄は緑(青軸)である。

 

2月に葉を開いたが、その後の寒さで葉はすべて枯れた。しかし、先月中旬から地上部が復活し蕾をつけたのであった。

 

4月5日朝の状態(追加画像)

 

しはんこのものはナルカミスミレもしくはその系統に属する交雑種であろうか。

ナルカミスミレに出会ったことがある自分にとって、取り組み甲斐のある宿題が生まれた。

友人に、結果を報告するとともに深謝の意を表する。

 

撮影、4月4日。マクロレンズ使用。


花点描、昨日のカッコソウ、鳴神山にて

2016-05-14 | 鳴神山と周辺

鳴神山の固有種であるカッコソウ(サクラソウ属、Primula kisoana)の花期が終わりに近づいている。それでも、昨日はクローズアップで撮ってみたくなるような花が残っていた。

椚田峠付近の移植地にて、5月13日

木陰に入っている花から

木漏れ日を受けて。

移植地において、花期の前半は濃色系の花が多いが、後半になると淡色系の花が目立つようになる。この淡色系は雌しべが短いために外からは雄しべのみが見える短花柱花である。

只者でないことを思わせる彩り、形、そして質感を感じて(100 mm、絞り開放、トリミング)。

 


昨日、私はこつなぎ橋登山道を往復した。登山道沿いではヤマブキソウの花が木漏れ日を浴びていた。今年はヤマブキソウの花も美しい。なお、山頂に至る尾根道は新緑とヤマツツジの花によるトンネルとなっていた。

 

撮影、13日午後。100 mm マクロレンズ、ピクチャースタイル(撮影および現像)ニュートラル。


花点描、ヒイラギソウ(柊草)

2016-05-07 | 鳴神山と周辺

 

 

 

 

 

ヒイラギソウ(柊草): シソ科キランソウ属の多年草であり山地の木陰を生える。花は5月頃に咲くが両性である。鳴神山では、カッコソウ、ナルカミスミレ、ヒメイワカガミなどとともに、このものが清楚な花を開く。花(花冠)は青紫色であると表現されるが、色の濃淡は周囲の明るさによってかなり変化する。ヒイラギソウの名は葉がヒイラギ(柊)のそれに似ていることからつけられた。なお、ヒイラギの花は冬の季語になっている。

 

撮影、5月5日午後、鳴神山にて。EOS 6D、EF 100 mm F2.8L(Macro)、絞り開放。撮影と現像(DPP 4)ではニュートラル設定。

 

 

 

 

 

 


カッコソウとアカヤシオの花、鳴神山にて、2016年4月

2016-04-27 | 鳴神山と周辺

鳴神山の固有種である、カッコソウ(サクラソウ科サクラソウ属、Primura kisoana)が花を開き始めた。椚田峠下の移植地では、その独特の色と形の花が木漏れ日を浴びていた。この日、花の開き具合は3割程度であったが、週末以後はかなり開花が進むであろう。

撮影、26日12時頃

 

 

この花が咲き始めると、今年も美しい花が見られるかとの感慨を覚えるとともに、カッコソウの保存を開始された先覚者と移植地の管理をされてきた人々の努力が報われることを願いたくなる。

 

 

さて、気候変動のためであるろうか、今年はカッコソウの花とアカヤシオの花が同時に見られる。例年、両者の花期が離れている。この日は、アカヤシオの花が地上に散り落ちた花とともに、午後の日差しを浴びていた。

 

 仁田山岳や同岳から椚田峠への道では、逆光での彩りが柔らかで美しい。なお、花冠は5裂、雄しべは10本である。山の岩場に生えるので、福島県いわき地方(分布の北限)では「イワツツジ」と呼ぶとのことである(筑波実験植物園HP、植物図鑑から)。

 

ところで、アカヤシオの花を背景として、ミツバツツジ(トウゴクミツバツツジ)の花が目立つようになった。

 

鳴神山周辺の山波から。新緑の中にヤマザクラの花などが点在している。なお、黄砂による影響であろうか、離れた山々(赤城山など)はかなり霞んでいた。

 

天候、晴れ(霞)。EOS 6D、EF 100 mm F2.8L(Macro)、RAW、現像 Digital Photo Professional 4。


アカヤシオの花で飾られた鳴神山、2016年4月

2016-04-24 | 鳴神山と周辺

昨日、私達はコツナギ橋登山口 − 椚田峠 − 仁田山岳(山頂) − 桐生岳(山頂)の経路を往復した。椚田峠下の移植地では数株のカッコソウが花を開き始めていた。そして、椚田峠から山頂までは、アカヤシオの花による彩りが美しかった。

椚田峠から仁田山岳へと急坂を登り始めると、アカヤシオの花がミツバツツジなどの新緑の奥で開いていた。例年、アカヤシオは周囲に新緑がほとんど見られないうちに花を開く。

 登るにつれて、花の数が急激に増える。急坂登りで喘ぐ登山者(自分達)の背中を押すかのように。

 このような構図の眺めに出会うと、私達の足はついつい止まる。

仁田山岳に至るルートにおいて、花の彩りは実に柔らかい。


仁田山岳での彩りから(桐生岳から眺める)


彩りは昨年と同等もしくは幾分かそれ以上である。

 アカヤシオとマツの組み合わせ。


山頂(桐生岳にて

 背景は鳴神山から吾妻山(480 m)に至る山波である。

 山頂のシンボルとなっている株の花

蕾の第一陣は降霜によってダメージを受けたが、第二陣はそのことを補うかのように開花している。

 山頂から数歩下りると、花の絨毯が眼前に広がる。

 

4月23日12時頃から。晴れ、曇り、そして薄日。


カッコソウの花、2016年4月

2016-04-20 | 鳴神山と周辺

自生している日本のサクラソウの多くは絶滅の危機に瀕していると聞く。その中にあって、カッコソウは環境省の「種の保存法」によって保護されている。そして、このものは自分達が住んでいる街の山(鳴神山)の固有種である。

今年もカッコソウの花が見られる時季となってきた。この花を前にして、私はいつも感動、疑問、そしてもどかしさを覚える。例えば、この花がなぜ鳴神山の固有種になっているのであろうか。どうして、自分の眼で見ているように、デジカメで花の色を写し撮ることが難しいのか。


 

日差しを浴びているとき、思わず惹きつけられてしまうほど花の色は美しい。しかし、デジカメのディスプレイには、白飛びが起きている画像が現れる。


カッコソウの花は異花柱花性であり、雌しべが短い短花柱花と長い長花柱花が存在する。そして、異花柱花間でのみ種子繁殖ができる。

短花柱花(雌しべが見えない)。

 

長花柱花(この花では雌しべが蕾のときから外に出ている)

 

撮影、4月中旬、「桐生市自然観察の森」などにて。

 


春の花が終わると植生の荒廃が目に付く、鳴神山にて

2015-06-01 | 鳴神山と周辺

今年も、固有種のカッコソウなどを観るために、多くの人々が鳴神山を訪れた。この山は山腹が杉林で覆われているために何の変哲もなさそうに見えるが、花の山としての知名度は年々高くなっている。しかし、残念なことに、踏み込みや盗掘の跡が増えることも事実である。例えば、先週はこのようなスポットが目に触れた。


登山道沿いでは、ヒイラギソウの群生地が踏み込みによって分断化され始めた。カメラマンが気に入った位置で花を撮ったのであろうか。

この群生地は遷移や降雨による土砂崩れで衰退しつつあるが、衰退化が加速されたようである。


ある山の持ち主から、こんな話を聞いたことがある。持ち山での自生地(クマガイソウ)を公開したら、カメラマンによる踏み込みで荒れ始めたので、公開を止めることにした。


ここでは、踏み込みや盗掘の跡が明白である。残っている株は僅かである。

 

歴然とした盗掘の跡。昨年から生えている株が増え始めたにもかかわらずである。

 

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それでも、沿道でヒイラギソウやフタリシズカなどの残花を見かけると、幾分かほっとする。

 

 

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5月29日午後3-5時頃、コツナギ橋口登山道にて、曇りから雨。


明るくない話題は自分の性に合わないので、4月上旬に撮った画像を付け加える。このときは、鳴神山から雲のベールが離れなかった。このようなとき、山頂や尾根ではどのような幻想的な光景が現れていたのであろうか。桐生市梅田町にて(東側)


昨日、鳴神山で撮った花から、2015年5月中旬

2015-05-18 | 鳴神山と周辺

 昨日も、鳴神山は多くの登山者で賑わった。この山のシンボルとされているカッコソウは、前夜の強い雨のために花弁が散り始めた。例年ならば、今頃は花が見頃になる。山の花に対する異常気象の影響は大きい。

午後の木漏れ日(椚田峠の移植地にて)

 
撮ってみては画像をチックし、花弁の状態が良いものを探した。

 

 

大滝口登山道沿いの移植地にて。

 

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昨日のコースは、大滝口 → 大滝(落差10 m)→ 移植地 → 肩の広場(尾根)→ 桐生岳(山頂 )→ 仁田山岳(山頂)→ 椚田峠 → 移植地→ コツナギ橋口であった。


「カッコソウ以外の花」

フタリシズカ(センリョウ科チャラン属の多年草)。花名は謡曲「二人静」(静御前の霊が菜摘女に乗り移って舞う)に由来するとも言われている。茎の上部の葉(対)が少し離れて対生する。ヒトリシズカでは、茎頂に4枚の葉が輪生状に対生する。


ユキザサ(雪笹、キジカククシ科ユキザサ属の多年草)。山渓ハンディ図鑑2「山に咲く花(増補改訂新版)」(山と渓谷社、2013年)には、鳴神山で撮られた写真が収録されている。

 
図鑑には、この山でのカッコソウ、ヒイラギソウ、ヒトツバエゾスミレの写真も登場する。

ちなみに、大滝口登山道沿い(上部)には、このようなヒトツバエゾスミレが生えていた。葉柄のすべてが緑色であるならば、このものはナルカミスミレかもしれないと言えそうである。

 

フイリフモトスミレの群れ(斑入り麓スミレ)。このものは椚田峠付近や座間峠への尾根にも多い。このスミレは小型で地味であるが、よく見るとその有り様は魅力的である。

 

他の種類の葉と対比すると、斑が入っている葉の彩りが際立つ。

 

鳴神山の岩場に生えているヒメイワカガミは白花品である。図鑑「山に咲く花」には、アカバナヒメイワカガミ(赤花姫岩鏡、関東地方南部と中部地方に分布)についての説明がある。しかし、白花姫岩鏡は収録されていない。

 

今春はツツジの花が少ない。ヤマツツジの花によるトンネルは来年に期待しよう。

 

コツナギ橋口に至るルートでは、ヒイラギソウの花が咲いていた。

逆光で撮ろうとしたが。


 

ヒイラギソウの花でガ(蛾)が吸蜜している。このような場面に、私は初めて出会った。

 

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山頂での展望から

霞んでいたが、日光連山などを望むことができた。最奥の山波では、(左から)太郎山、男体山、女体山、赤薙山。その前の山波では、(左から)社山、半月山など。手前の新緑の山頂(右)は1100 mクラスである。日光連山の春は始まったばかりであるように見える。

 

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5月17日9:30-16時、EOS 6D、EF 70-200 mm F4L、EF 50 mm II F1.8、RAW、Lightroom 5。


新緑とカッコソウの花、鳴神山にて、2015年5月中旬

2015-05-16 | 鳴神山と周辺

昨日は(15日)、私達は数名のグループとしてカッコソウの移植地(椚田峠)に向かった。経路は、駒形、赤柴林道、赤柴登山道、椚田峠、そして移植地の往復であった。15日11-16時。天候、晴れから薄曇り。

先日の雨で木々の芽吹きが進み、鳴神山では新緑が映えるようになった。移植地でも、杉の落ち葉ではなく草の緑がカッコソウの花を囲むようになった。

 

移植地(13-14時半頃)。

 

カッコソウの花はその美しさを保っていた、最盛期は過ぎたが、先日の雨である程度は回復したようだ。今日(16日)は雨から薄日の天候になっていて、麓からは鳴神山が霧で覆われているように見える。移植地には、このようなときならではの幻想的な雰囲気が漂っているかもしれない。

 

 木漏れ日を受ける移植地

 

この日も、移植地でのカッコソウの保護に努力されている方(Fさん)に、私達はお会いすることができた。Fさんの穏やかで説得力に満ちた説明で、この地を初めて訪れたグループのメンバーもカッコソウの花を堪能することができた(深謝)。この日も、多くの人々が移植地を訪れたとのことであった。

 

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新緑が目立つ赤柴林道では、ウツギ(卯木)やヤマフジ(山藤)の花が美しかった。

 

 

 
そして、このような場面にも出会った。複数のカメラマンが長い釣り糸を出しているウラシマソウの群れを被写体にしていた。各個体は大きかったで、その数と相俟って思わず歩みを止めほど、群れには存在感があった。

往路にて(11時半頃)


ウラシマソウの花と長い付属体、帰路にて(15時頃)

ウラシマソウ(浦島草、サトイモ科テンナンショウ属の多年草 )

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赤柴登山道は木々の木陰を通る。森林浴を楽しみながら(?)、ラショウモンカズラ、ヒトリシズカ、ハルトラノオ(夏葉の群れ)、コアジサイ(別名、シバアジサイ)の群生(蕾)などに、私達は出会った。?を付けたのは、急な坂の上り下りのためである。坂には、ボランティアの方々によって滑り止めの工夫が施されている。

ラショウモンカズラ(羅生門葛、シソ科ラショウモンカズラ属の多年草、山地のやや明るい林の中に生える)。

 

 登山道をひと登りすると尾根(椚田峠)の着く。

尾根は緑で覆われ、ツツジ(ヤマツツジなど)が彩りを添え始めていた。ツツジの花付きが良い時、尾根は花のロードになる。余談ながら、椚田峠を境として鳴神山と対峙する座間峠方面はツツジの名所である。ただし、この峠方面を歩く人は少ない。かつて、私と家内は岩場で狸と対面したことがある。黒い皮の主との対面でなくてよかったが。

 

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所要時間は往路で約2時間、帰路で約1.5時間となった(花を眺めながらのゆっくり歩き、男女混成グループ)。

EOS 6D、EF 50 mm  II 1.8(単焦点)、RAW、画像によってはかなりのトリミング。

 


昨日の花から、カッコソウなど、鳴神山にて、2015年5月上旬

2015-05-11 | 鳴神山と周辺

今日は穏やかの晴天であったが、あれは何であったろうかと思うほど、昨日は強い風が吹いた。しかし、尾根から少し下がった東側にあるカッコソウの移植地(椚田峠付近)では、花が大きく揺れるほどの強い風はなかった。そして、数多くの人々がこの移植地を訪れた。 5月10日11-16時

木漏れ日の当たる位置は弱い風でゆっくりと移動した。そして、スポットライトのように花を照らし出した。

 


スポットライトの明るさが50-70%位になるときを待って、私はシャッターボタンを押した。白飛びをできる限り避けるために。

 


花期の長いはずであった花は、先週の異常な暑さで咲き急がされたようである。

 


寸景「移植地での木漏れ日」


 


スポットライトは、淡色系(薄いピンク色)の花が開いていることを、私達に知らせてくれた。


このような淡色系は数株ほどであった。スポットライトの効果に感謝しよう。


この花は咲き始めの頃に撮りたかった!  花は雌しべが出てる長花柱型である。


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ところで、登山道沿い(コツナギ橋口)では、ヤマブキソウの花が午前と午後の木漏れ日を受けていた。その色の美しさに心を動かされ、私はシャッターボタンを押した。


逆光条件にて。花弁に蕊の影が映る。花弁の質感を暗示するかのように。


花(華)があるとは、もしかすると、このようなことであろうか。


斜めの日差しを浴びているときに(午後)。


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コツナギ橋口登山道沿いでもヒイラギソウ(柊草、シソ科)の花が開き始めた。花の色は単なる青紫色との表現では復元できそうもない。そして、色はそのときの光の当たり方によって大きく変化する。画像は日陰に入っているときのものである。


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移植地では、ボランティアとして、多くの人々と出会うことができた。また、登山道の補修をされていたボランティアの方にもお会いした(感謝)

登山コースの詳細や所要時間、本日のカッコソウの様子などについては、つぎのブログの記事をご覧願いたい。

鳴神山通信(http://tubami55.blog.fc2.com

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撮影・現像条件:EOS 6D、EF 100 mm F 2.8L IS USM、EF 50 mm F1.8 II、RAW。


午後のカッコソウ、鳴神山にて、2015年5月

2015-05-04 | 鳴神山と周辺

昨日も午後になってから私はこの山に登った。この山では、固有種のカッコソウの花が今は美しい。余談ながら、私が午後になってからでも登るのは、カッコソウを守る活動を少しばかり手伝っているからである。途中で出会った人々(下山)からはカッコソウの花が良かったとの挨拶を受けた。


画像は5月3日午後3-4時半頃に撮った(椚田峠近くの移植地にて)。


カッコソウの花には濃色系と淡色系がある。また、雌しべが長い長花柱型と短い短花柱花型がある。この移植地では、これらのすべてを見ることができる。なお、踏み込まれて細い根が切れると、カッコソウは枯れてしまう。そのため、移植地内に立ち入ることはできない。

画像は濃色系の花である。



 

 

 

 

 

優しい色の花(淡色系)も咲き始めた。昨年は白花に近いものも見られた。

 

 



ところで、午後3時過ぎになると、日差しが尾根越しに射してくる。

 

帰り際に、移植地を見上げる。

 

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移植地の隣はヤマアジサイ(白花)の群生地である。

 

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余談:今回はレンズとしてキヤノン EF 1.8 II 50 mm(重さ150 g)を使った。この単焦点レンズは、一万円未満で購入したものであるが、花の色や質感を良く再現する。

 

登山道沿いでは、ヤマブキソウの花が彩りを添えていた(午後4時半頃)。

 

 

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夕刻になってからの下山では、沢の流れの音に負けないほどに、鈴を鳴らし携帯ラジオの音量を上げる。そして、何かの物音や動物の鳴き声に敏感になる。まあ、今回も「行きはよいよい帰りは怖い」との心境になりながら下山した。

 


カッコソウの花が早くも咲き始める、鳴神山にて、2015年4月末

2015-05-01 | 鳴神山と周辺

鳴神山の固有種であるカッコソウの花が咲き始めた。例年は5月中旬に開花がピークになる。今年も10日ほど前は、花が間もなく咲くとの兆候は見られかった。夏日や真夏日とのような昼間の暑さが、カッコソウの成長を著しく早めたのであろう。

画像は昨日(4月30日)に撮った。

杉林で木漏れ日を浴びているカッコソウ、椚田峠付近の移植地にて。


開花の程度。花が開いている株もあれば、蕾がまだ出ていない株もある。

 

咲き始めたばかりであるために、花には生気が満ちている。木漏れ日を受けるときを待って。

 

この花は長花柱花である(雌しべが出ている)。

 

ここでのカッコソウは、花茎や葉が毛で覆われている。

 

花のみならず、蕾もまた美しい。

 

木漏れ日を浴びていない花。このものは短花柱花(雌しべが奥にある)である

 

日陰に入った移植地

 

カッコソウの花は光の当たり具合で色が変化する。強い光で照らし出されている花は実に美しい。しかし、デジタルカメラでそのような花を撮ると、必ず白飛びが起こる。

カッコソウ(勝紅草、サクラソウ科)については、以前の記事(カテゴリー、鳴神山と周辺)もご覧願います。

 

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4月30日12-15時。

EOS 6D、EF 100 mm F2.8 Macro、EF 50 mm F1.8 II、RAW、Aperture 3.5 (現像ソフト)。


鳴神山で咲く花から、2015年4月

2015-04-20 | 鳴神山と周辺

前記事の続きとして、鳴神山で先週土曜日に撮った花の画像から

アカヤシオの色付きが濃くなり始めると、鳴神山は花の山として面目躍如たる存在になる。

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アカヤシオと赤城山(仁田山岳の展望台にて)(アカヤシオが大木になることを期待する)

 

アカヤシオの花と蟻(アリ)(桐生岳にて)

 

両者は共生関係にあるだろう。花は蜜でアリを呼び入れる。そして、アリは受粉の仲立ち役となる。

 

花は開いたばかりなのであろう。花弁の瑞々しい質感が花の魅力を高めている(仁田山岳にて)。

 

仁田山岳や仁田山岳と椚田峠の間では、柔らかい色の花が咲く。アカヤシオの花言葉の一つは「柔らかい視線」である。

 

アカヤシオ以外の花から

木漏れ日を受けているシロバナエンレイソウ(白花延齢草、シュロソウ科エンレイソウ属の多年草)



フタバアオイの蕾

このものは徳川家の紋章として知られている。加茂神社の葵祭りにも用いられるので。カモアオイ(加茂葵)との別名がある。

鳴神山では、フタバアオイとルイヨウボタン(類葉牡丹)が増えつつある。

 

アケボノスミレ(曙菫)。しっかりとした花柄が地面から立っている。そして、花は咲いているが葉は全く見えない。

このアケボノスミレはスミレのアカヤシオ・バージョンである(私見)。

 

フイリフモトスミレ(斑入り麓菫)。小さなスミレであるが、このものは山椒は小粒でぴりりと辛いことを思わせる。

 

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このときは、コツナギ橋口、椚田峠、山頂の経路を往復した。ツナギ橋口から椚田峠までは、沢沿いの杉林の展望がないルートである。

来月になると、このルートでは何種類かの花(移植地でのカッコウソウなど)に出会える。

 

 

 

ルート沿いにて、2011年3月11日での落石(杉が落下を食い止めている)。道は岩を支えている杉の左側である。



ここで右上(山側)を見上げると。私
(小心者)はこの箇所を早足に通過する。

 


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4月18日、EOS 6D、EF 17-40 mm F4L、手持ち撮影、RAW、Aperture 3.5 (現像ソフト)。

 

 


アカヤシオの花、鳴神山にて、2015年4月

2015-04-18 | 鳴神山と周辺

ヤシオツツジの一種であるアカヤシオが、標高1,000m程度の山で花を開く頃になった。画像は本日撮った鳴神山(群馬県桐生市、980 m)の花である。4月18日12-14時。

 

山頂(桐生岳)でシンボル的存在となっているアカヤシオ。遠景は男体山を中心とする日光連山である。

(大部分の登山者が去った後に撮影した)


この株での花。開花の進み具合にはバラツキが大きい。最奥の背景に、日光白根山(左、かなり霞んでいる雪山)を入れてみた。

 

そして、蕾の一部は先日の嵐の影響を受けている。


 

桐生岳で東方向を眺める。

 

日差しを浴びているアカヤシオの花から。花は葉の展開に先がけて開く。花は枝先に1個、雄しべ10本、そして雌しべ(1本)である。

 

桐生岳で見る仁田山岳(もう一つの山頂))でのアカヤシオの花色。今日の時点で、色づきは濃くない。

 

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桐生岳では開花が進んでいるいるが、仁田山から椚田峠に至るルートでは、蕾がまだ開いていないものも多い。