今日アップします画像は2日の夕刻に撮った遠景です。このときは無風状態でしたので、わたくしは近くの桐生川沿いを歩きました。関東平野を隔てて100キロメートル以上離れた秩父地域(埼玉県)の山並みを遠望しながらでした。落日が迫まったとき、突然にも山並み方向の上空が厚い雲で覆われました。結果として、その雲と大学の建物(体育館)との隙間から、山並みが夕日を浴びる光景を眺める状態にわたくしは置かれました。いつもならば、人工物が大きくは入らないスポットに移動します。でも、ふと、この合間をスリットとして、これから現れる光景を眺めたくなりました。
厚い雲が反射板として働いたためでしょうか、この雲が無ければ見られないなような光景が現れました。秩父地域の名山「両神山(りょうがみさん、百名山の一座、1,724 m )」が、シルエットとして夕日の効果で浮かびあがりました。
「きりゅう川」との銘板を画角に入れてみました(わたくしのこだわりです)。
クリックで、画像を拡大できます。
気象条件が良ければ、夕日の力を借りなくても両神山(1700メートル)を遠望できます。ところが、より標高の高い背景、奥秩父連山(2000メートルクラス)に埋没するために、両神山固有の形がはっきりとは見えません。ちなみに、埋没しないスポットで眺めた両神山の画像を添えます。ロウバイ(蝋梅)の名所、宝登山(秩父市)にて。
「私がいつも気をつけて見る山に、両神山がある。...... 大よその山は、三角形であったり屋根形であったとしても、左右に稜線を引いて山の体裁を作っているものだが、両神山は異風である。それはギザギザした頂稜の一線を引いているが、左右がブッ切れている。あたかも巨大な四角い岩のブロックが空中に突き立っているような、一種怪奇なさまを呈している。古くから名山として崇拝されているのも、この威圧的な山容からであろう(深田久弥、日本百名山)」
画角を広げた画像をアップします。低い高度からの太陽光が、まさにライトアップとしての効果を見事に発揮しています。照らし出された背景の山並みは破風山(はふ)、百名山の一座である甲武信岳(こぶし、2,460 m)、三宝山、十文字峠などで構成されています。体育館とビルは大学の桐生キャンパス構内のものです。山並みは埼玉県・山梨県・長野県などの境になっています。
望遠での距離圧縮効果を利用して撮りましたが、この夕景は肉眼でもその視力に応じて気づくことができました。望遠で撮っている変人(?)に尋ねてみたかったのでしょうか、あの見事な光景はどこの山によるものと、通りかかった人々に声をかけられたました。遠く離れた秩父・奥秩父の山々が見えるのだとの答えに、驚きながらスマホで撮りはじめた人もいました、よく撮れないと呟きつつ......。
帰るときにて、矢印は上の画像で望遠レンズを向けた方向です。
わたくしたちの街から関東平野を隔てて両神山など望めるのは、展望地点の標高が110メートルであり、海抜0メートルの以下の地域を含む関東平野の標高差は10メートル程度であるためです。わたくしたちの街は半扇状地に立地しています。自宅から中心部に自転車で向かうとき、往路では何らの抵抗を感じませんが、帰路では.....です。
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2日16時過ぎ、桐生川中流域にて(桐生市)、望遠では 70-200 mm。