今年は、ドクダミ(ドクダミ科ドクダミ属の多年草)が庭で群れとなって、花を開いている。例年ならば、花が盛りになる前に刈り捨てるが、今年は「十薬(じゅうやく)」としての別名を、管理人が強く意識したからである。そして、友人から入手したヤエドクダミとフイリドクダミが、庭の定住者になったからでもある。
ヤエ(八重)との名は、花びらに見えるほう(苞)が八重の塔の形状になっていることに由来する。
このものでは、苞の一部が緑色を帯びている(いわば、先祖返りであろうか)。
フイリドクダミ(斑入りドクダミ)、別名はゴシキドクダミ(五色ドクダミ)である。
このものは、江戸時代に作出された園芸種「斑入りドクダミ」がヨーロッパに渡り、逆輸入されたものである。
日差しが当たる部分は鮮やかな赤色を帯びている。
日照(紫外線照射)で生成される活性酸素から身を守る、抗酸化色素(アントシアニン)ができるからである。
庭では、部分的に鮮やかさを出すために、半日陰の条件で育てている。
斑入りの葉とクマガイソウ(熊谷草、ラン)のそれとの対比(日陰にて)
マクロレンズで撮った、ノーマル版の花である。多数の小さな花が、円柱状の花序(花穂)にて密生している。
今年は、花序(円柱)が意外に長いような気がする。
昨年までは、このものが長くなる前に、本体を刈り取っていた(苦笑)。
ところで、ドクダミは抗菌性、抗カビ性の成分を含んでいる(武田薬品工業・京都薬草園ホームページ、エイザイ・くすりの博物館ホームページ)。また、そして抗ウイルス性の成分を含んでいるとの報告もある。成分の主なものは、炭素鎖の長いアルデヒド、デカノイルアセトアルデヒドである。このものが、あのドクダミ特有の臭いを放つ。
当方は、キレンゲショウマを、ドクダミの力を借りて、花を食害するクロハウリムシから守りたいと思っている。
ドクダミとアジサイの組み合わせも面白いかなと思って。
撮影、6月9,14日
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朝日新聞、天声人語(6月13日)から(抜粋・引用)。
日陰でも、いや日陰だからこそ映えるドクダミの花。それをきれいだと思ったのは、実は今年が初めてである。もしかしたら今まで、その美しくない名前の響きに心を縛られていたのかもしれない。......。ドクダミには「毒を矯(た)める、止める」の意味があり、十薬との別名も持つ。古くから薬用としてだいじにされてきた植物なのだろう。見ていると落ち着くその姿が、心の薬になってくれれば。