今年は、ドクダミ(ドクダミ科ドクダミ属の多年草)が庭で群れとなって、花を開いている。例年ならば、花が盛りになる前に刈り捨てるが、今年は「十薬(じゅうやく)」としての別名を、管理人が強く意識したからである。そして、友人から入手したヤエドクダミとフイリドクダミが、庭の定住者になったからでもある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/ad/6f02f4597e83223123a6a7bf428a23eb.jpg)
ヤエ(八重)との名は、花びらに見えるほう(苞)が八重の塔の形状になっていることに由来する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/46/e4b268c5b525c5a6050b9b552cf9d87f.jpg)
このものでは、苞の一部が緑色を帯びている(いわば、先祖返りであろうか)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/47/2628dd2a4c13ef98ed8bebd998e7d0c1.jpg)
フイリドクダミ(斑入りドクダミ)、別名はゴシキドクダミ(五色ドクダミ)である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/1e/430cdf5e988dfc1e046b82cab414d608.jpg)
このものは、江戸時代に作出された園芸種「斑入りドクダミ」がヨーロッパに渡り、逆輸入されたものである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/37/65f3eb52cc947cfd9ec0137278d9c6a1.jpg)
日差しが当たる部分は鮮やかな赤色を帯びている。
日照(紫外線照射)で生成される活性酸素から身を守る、抗酸化色素(アントシアニン)ができるからである。
庭では、部分的に鮮やかさを出すために、半日陰の条件で育てている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/41/7ebf38c7dee2b2466ce0b86cfb561c97.jpg)
斑入りの葉とクマガイソウ(熊谷草、ラン)のそれとの対比(日陰にて)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/38/cba51ea3a7572781bf30368a4b63029e.jpg)
マクロレンズで撮った、ノーマル版の花である。多数の小さな花が、円柱状の花序(花穂)にて密生している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/e7/33083909efbc58bc855d68651c6c08a0.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/d6/539ba77ddbd0e7bff3f97cd57102913c.jpg)
今年は、花序(円柱)が意外に長いような気がする。
昨年までは、このものが長くなる前に、本体を刈り取っていた(苦笑)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/17/2eed4653f4b08068e6e629712499858c.jpg)
ところで、ドクダミは抗菌性、抗カビ性の成分を含んでいる(武田薬品工業・京都薬草園ホームページ、エイザイ・くすりの博物館ホームページ)。また、そして抗ウイルス性の成分を含んでいるとの報告もある。成分の主なものは、炭素鎖の長いアルデヒド、デカノイルアセトアルデヒドである。このものが、あのドクダミ特有の臭いを放つ。
当方は、キレンゲショウマを、ドクダミの力を借りて、花を食害するクロハウリムシから守りたいと思っている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/0b/6cd21e8a130e91c214f139f27bb94d6f.jpg)
ドクダミとアジサイの組み合わせも面白いかなと思って。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/dc/2ddf0f2845d840151ab1671192134263.jpg)
撮影、6月9,14日
*****
朝日新聞、天声人語(6月13日)から(抜粋・引用)。
日陰でも、いや日陰だからこそ映えるドクダミの花。それをきれいだと思ったのは、実は今年が初めてである。もしかしたら今まで、その美しくない名前の響きに心を縛られていたのかもしれない。......。ドクダミには「毒を矯(た)める、止める」の意味があり、十薬との別名も持つ。古くから薬用としてだいじにされてきた植物なのだろう。見ていると落ち着くその姿が、心の薬になってくれれば。