昨日は、何時か撮ってみたい思っていた景色に出会った。明るくなりはじめて、前夜の小雪による山並みでの雪化粧が視界に飛び込んできたとき、市内を流れる渡良瀬川で「赤城山」を撮りたいとの衝動に、わたくしは駆られた。路面がところどころで凍結していたので、その状態がなくなる時間帯を待って目的地に向かった。
河川敷で眺めた赤城山
高さ1,000 m から1,300 m ゾーンの山体を包む層雲(長さは約 12 km )、層雲上に姿を現す冠雪の山頂、上空に伸びる帯状の薄い雲、そして穏やか色合いの青空。これらが、見事にマッチしてこの時季ならではの美しい景色を構成している。
層雲が長く伸びていることは、高さ1,500 m付近に温度での逆転層が生じていることを物語っている。
「日本人は大ていふるさとの山を持っている。山の大小遠近はあっても、ふるさとの守護神のような山を持っている。そしてその山を眺めながら育ち、成人としてふるさとを離れても、その山の姿は心に残っている。どんなに世相が変わっても、その山だけは昔のままで、あたたかく帰郷の人を迎えてくれる。(深田久弥、「日本百名山」、新潮社、1991年)」
赤城山は、縁あって定住した桐生を第二の故郷としているわたくしにとって「ふるさとの山」である。渡良瀬川の流れと市街地中心部の彼方に悠然と構えている山容に、わたくしは安心感を与えるバックボーンを想い抱き、惹かれる。赤城山を構成する黒檜山(最高峰)から鍋割山に至る稜線において、どの山頂も穏やかにどっしりとしてその存在を示している。そして、国内で富士山に次いで広い裾野も視界に入ってくる(以前の記事を部分的に引用)。
部分的クローズアップ
(左から)荒山(1,572 m)、雲の右側に地蔵岳(1,673 m)、長七郎山、小黒檜山、篭山(僅かに写っている)、駒ヶ岳、黒檜山(最高峰、1,828 m)
「100 mほど先の橋」と「20 km 以上離れた赤城山」との距離を、望遠(300 mm)で圧縮してみた。余談ながら、橋には融雪剤(塩化カルシウム)がまかれていた。
駒ヶ岳と黒檜山に焦点を合わせて
地蔵岳に焦点を合わせて
約1時間後、赤城山は見馴れた姿に戻った。
日差しで山腹が暖めれたためであろう。層雲の大部分が消え去った。
市街地奥の山並みでの雪化粧(橋の歩道にて)
*****
撮影:2月24日午前8時半頃から、桐生市、渡良瀬川にて