こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

コウリンカ(紅輪花)など、池の平湿原、2013年8月

2013-08-27 | 湿原

池の平湿原(長野県東御市湯の丸高原)は標高は2000 mの位置にある。湿原は三方ヶ峰火山(数万年前)の火口原に広がる高層湿原である(東御市観光案内)。22日、私達は午前11時頃から湿原の木道、三方ヶ峰(2040 m)、見晴岳(2095 m)などを散策した。

 

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この日の収穫(?)から。

コウリンカ(紅輪花)

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コウリンカ(紅輪花):キク科オカオグルマ属の多年草。日当たりのよい山地草原に生えるとされている。高さ50-60 cm。

 

見頃を迎えているコウリンカに出会うことを、私達は予想していなかった。かつて、ごく普通に見られた花が、今では各地で絶滅危惧種となっている。この花にとっての天敵は、この花に魅せられる人間であろうか。美しい花の宿命は過酷だ。

 

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ツリガネニンジン

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ツリガネニンジン(釣鐘人参):キキョウ科ツガネニンジン属の多年草。とくに、珍しいものではない。事実、湿原やその周辺では、このものを多く生えていた。しかし、自分がレンズを向けたくなるほどの花は意外と少なかった。

ここでは、紅葉が始まった草が背景となる花を選んだ。そう言えば、「秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音ににぞおどらかれぬる(古今和歌集)」がある。この歌を思い出しながら、その逆のことを表現できるかもと自惚れてみる(苦笑)。

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マツムシソウ

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マツムシソウとクジャクチョウ

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マツムシソウ(松虫草):スイカズラ科マツムシソウ属の2年草。花弁の並び方は歯科検診で不良との判定を受けそうだが、私はこの花のファンである。


マツムシソウの群生。背景は東籠ノ登山。

 

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湿原とその周辺には、マツムシソウが多い。そして、湿原にはマツムシソウの群生地がある。しかし、木道で群生地を観察するためには、双眼鏡や望遠レンズが必要だ。

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コマクサが終わり、蕾を開こうとしているイワインチン(キク科キク属、日本固有種、本州の中部地方以北に分布している。高山の岩場や砂礫地に生える)

 

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シャジクソウ(車軸草、マメ科シャジクソウ属)。このものの分布は長野県、群馬県、宮城県に限られると言われている。何か特別の理由があるのだろうか。

 

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他の花については、別の機会に。

 


籠ノ登山での花、2013年7月

2013-08-08 | 

前回((21日)は、山頂での展望が良過ぎた(?)。柳の下にいつもどじょうはいないとは至言である。28日は、陽射しはあったが、近くの八ヶ岳のみならず北アルプスなどが全く見えなかった。

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東籠ノ登山には一等三角点が設置されている。三角点(柱石)にはICタグが貼り付けられ、位置情報の管理が行われている。ちなみに、人為的に柱石の機能を損ねると、測量法の規定によって懲役2年以下もしくは罰金100万円以下に処せられるそうだ。


奥に見える山は四阿山である。陽射しがあったにもかかわらず、この山の頂きは雲で覆れていた(28日撮影)。

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浅間山方面(前掛山、黒斑山など)。

赤ゾレ(旧火口壁、崩壊地)や車坂峠(高峰高原)に雲漏れ日が射したときの画像です。ときには水ノ塔山(左の山頂)を経て下山しようかと思う。しかし、下山口から池ノ平駐車場まで、湯の丸高峰林道(通行可能時刻: 7-17時)を歩いて戻ることが、なんとなく億劫になる。林道は花の道でもあり、赤ゾレを下から見上げることも魅力的であるが(落石注意)。

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池の平湿原方面。
湿原(旧火口の跡)の周辺には、見晴岳(2095 m)(右)と三方ヶ峰(中央付近、2040 m)などがある。これらの頂きにはコマクサが自生している(柵で厳重に保護されている)。なお、三方ヶ峰に設置されているライブカメラの映像がインターネットで公開されている(http://live.ueda.ne.jp/) 。早朝の映像では、雲海に浮かぶ富士山や八ヶ岳などのシーンが登場する。

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西籠ノ登山(右)、湯の丸山(中央奥)、烏帽子岳(左奥)方面。前回はこれらの山のお奥に、北アルプス連峰が見えた。

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遠望(団子)ができませんでしたので、花より団子ではなくて、団子よりも花となった。その結果、東籠ノ登山などにおいて面白い花と出会った


タカネニガナ

このものは 高山の岩場などに生えるキク科ニガナ属の多年草である。画像のものの花弁は10枚だ。葉もかなり細いものとなっている。

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ところで、タカネニガナは静岡県以西において石鎚山と屋久島に隔離分布しているのみであるとの説明が、

愛媛県のレッドデータブックにある。


 

山頂の片隅で、ミヤマホツツジの花がひっそりと咲いていた。ミヤマホツツジはツツジ科ミヤマホツツジ属の落葉性低木である。

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ミヤマホツツジの花では、その構造が何ともユーモラスである。

3枚の花弁は反りかえって丸り、雌しべはゾウの鼻のように曲がっている。

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山頂では、ミネウスユキソウも目立っていた。群れのなかに一株のホソバノキソチドリ。

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ホソバノキソチドリはラン科ツレサギソウ属の多年草であるが、かなり原始的な部類のランであるとも言われている。このものでは、距がかなり長く下方に曲がっている。

 

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マツムシソウの蕾。今頃はマツムシソウの花が目立つだろう。ちなみに、池の平湿原ではマツムシソウが群生している。

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東籠ノ登山から西籠ノ登山に向かう途中で、西籠ノ登山から戻って来られたK2Coupleさん(ご夫妻)(リンク欄)にお会いした。「こつなぎさん」と声をかけていただいた(感謝)。地元の鳴神山で初めてお会いしてから、2度目の奇遇である。

 


マルバノイチヤクソウ(ツツジ科イチヤクソウ属、山地の林内に生える多年草である。葉は長さよりも幅がの方が大きいとされている)。葉に斑が入っているジョウシュウイチヤクソウはついて、今回は空振りであった(残念)。

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シュロソウ(シュロソウ科シュロソウ属の多年草)。シュロソウは花が緑色のアオヤギソウの変種であると言われている。この日は、緑と赤褐色が混じっている株も見かけた。

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東籠ノ登山に戻ったとき、雷鳴(遠雷)が聞こえてきた。高校生のとき(何十年前のことです)、至仏山の山頂で稲妻が目の前を横に走る激しい雷雨に出会ってから、私は山での雷に対して過敏になっしまった。例えば、雷鳴が聞こえ始めたら、突然の落雷をも覚悟すべきであると思っている。



急いで下山を始めたが、ついつい花に視線が向き、しばしば足が止まった。コキンレイカ(ハクサンオミナエシ)(山地の岩地などに生える、スイカズラ科オミナエシ属の多年草である)。

 

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マルバダケブキ(キク科メタラコウ属の多年草)。このものでは、開き始めた状態のときがもっと美しいと私は思う。背景の赤はクルマユリの花である。

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雷鳴が聞こえなくなったので、欲張って池の平湿原に向かった。しかし、湿原は霧で覆われてしまった。仕方がないかと車の戻りました直後、強い雨が降ってきました。間一髪セーフと言いたかったが、駐車場を発って間もなく、青空と強い陽射しが戻ってきた。嘆きは、しまった!我慢が足りなかったか!である。


ヤナギラン(柳蘭、アカバナ科ヤナギラン属)。花名は花が美しくて大きく、葉が柳に似ていることに由来する。それにしても、ラン(蘭)との語尾は紛らわしい。

 

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ところで、日光の温泉では、この花が咲くとお客がたてこんでくるとのことから、このものが俗にお客花と呼ばれるとのことである(角川書店、花の大歳事記)。

 


カワラナデシコ、色の濃いものを選んでみた。

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