今年も、庭のツクシシャクナゲが多くの花を開いた。この花が開くと、我が家の狭い花壇がシャクナゲのある庭として華やかになる。紅色の蕾と淡い色で透明感に満ちた花弁には、ツクシシャクナゲのものならでの魅力がある。
葉の長さは10-15 cmである。葉は革質にて、その表面には光沢がある。裏面はビロード状の毛が密に生えている。そのために、葉の表と裏は異質のものであるかのように見える。これは西洋シャクナゲなどには見られない特徴である。
今年は、総状花序として約60個ほどの花が開いた。なお、総状花序とは、花茎(軸)に花柄をもった花が並んで付着して総 (ふさ) の形になっている花のつき方であるとされている。そして、個々の花には花柄がある。
開花寸前の蕾は紅色である。今年は気温が高かったために、この蕾は1週間も経たないうちに開いてしまった。花芽ができてから蕾がこの状態になるまで約8ヶ月を要したにかかわらずである。
余談ながら、シャクナゲにおいて、翌年に花が開くかどうかは前年の夏後半までに決まる。その頃までに花芽ができない場合は翌年での開花は期待できない。そのためだろうか。こんなジョークがある。秋頃から肥料を与えたりして面倒をみたにもかかわらず、翌年に花が開かなかった。癪にさわったので、その株を放り投げた。だから、「シャクナゲ」と呼ばれようになった。
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ツクシシャクナゲ:ツツジ科ツツジ属の花木、日本固有種。アズマシャクナゲ、ヤクシマシャクナゲ、ホンシャクナゲなどはこのものの変種であるとされている。自生種は高さが4 m程度までになる。紀伊半島、四国南部、九州に分布している。関東では自生種を見ることができない。九州には国の天然記念物に指定されている自生地(長崎県、福岡県、大分県)がある。花期は5-6月である。
我が家のものは接木タイプであり、高さと幅は約1.5 mである。数年前に、近所の花屋で花が終わっていたものを入手した。入手時に(6月後半)、既に種ができていたために花芽ができず、翌年は花が全く咲かなかった。結果として、「シャクナゲ」だけは我慢して持久戦に移行せざるをえなかった。
しかし、花が咲くようになると、通りがかりの人々から「育て人」は声をかけられるようになった。今年も、このシャクナゲのお蔭で、コミニュケーションの輪が広がったことを、育て人は実感している。
撮影:4月下旬、日陰にて。