「ステライメージ7」をお持ちでない方には、以下の記事内容はあまり関心が無いものと思われます。
アストロアーツのHPで、先に行われた「ステライメージ7 天体画像処理コンテスト」への全応募作品のワークフローが公開されています。(2013.10/6現在)( クリックでアストロアーツHPにリンクします )
当然、入賞できなかったわたしの応募作品とワークフローも載っているのですが、応募者名は入賞できなかった(はっきり落選といったら?)人への配慮か、伏せてありました。私としては(できれば「星ナビ」が良かったけど)こんな機会でもなければ・・という事で載せて欲しかったのですが。という訳で興味の無い人は無視していただいて結構ですが、私の処理画像です。散光星雲部門・・・・ワークファイル名 nebula04.sis・・・銀河部門・・・・ワークファイル名 galaxy04.sis
元画像の著作権の制約から、ここに画像を掲載する事はできませんが、『類似処理の応募が多いと予想されるので、できるだけ目立つように 』という狙いは達成できているでしょうか?記事の最後に、応募の際に添付したワークファイルへのコメントを載せておきました。(あくまで興味のある方だけご覧ください。)
さて、私が入賞できなかった(だから落選でしょ!)最大の理由と考えられる”派手過ぎる” のではないか? という点について。
わたしは、こってりと彩やかな画像を好みます。(キッパリ)暗すぎるため、望遠鏡を使っても肉眼では色を感じる事の出来ない対象を色鮮やかな画像として見せる事ができるのも「天体写真」の醍醐味。だから ”肉眼で見たら、そんなに鮮やかに見えない筈だから不自然!”なんて事は、私は気にしません。私が気にするのは、彩度を上げすぎて画像の諧調や解像度が失われたり、ノイズが目立つ画像になってしまう事です。
文字だけのブログ記事にしないため、昨日の網状星雲(東側)の画像を使って”派手さ”について検証してみます。
私は画像処理の一番最後に彩度(色鮮やかさ)を調整しています。今回は応募規定からステライメージ7の「Lab色彩調整」を使いましたが、普段はCanonDigitaruPhotoProfessionalを使っています。CanonD.P.Pでは彩度の他に、最終的な背景のホワイトバランスも補正しています。ヒストグラムのR・G・Bのピークの左端(画像最暗部)がわずかですがそろっていません。(背景がグレーでは無く、ホワイトバランスが少し崩れている)
GはそのままでRとBの左端をGに合わせます。(ほとんど見た目は変わりませんが、彩度をあげると背景の色付きで違いが出てきます。)
続いて、彩度を上げて”派手さ”の変化をみてみます。( 画像クリックで全体画像が表示されます。)
彩度 100% (彩度のUPなし)コンテストで派手だった事が不評だったため、前回記事で使った画像です。
彩度 120% (彩度を20%UP)これまで標準で使ってきた彩度設定です。周辺の淡いガス部分も少し色づきが出てきたような・・
彩度 150% (彩度を50%UP)このあたりから少し派手かなという感じがしてきます。全体画像でもカブリなどからくる背景の色むらも少し見えてきます。
彩度 200% (彩度を2倍にする)さすがにわたしでも”派手過ぎ”と思います。繊細な星雲のフィラメント部分が、油絵具で描いたようにコテコテになってしまいました。
こうやって比べて見ると、彩度UP無しの画像の背景の透明感もいいものですね。となると、理想は条件の良い空で、彩度を上げても透明感を失わない画像を撮るという事でしょうか。
==========================================この記事をもって、気になっていた「わたしの画像処理」 Step8 最後の仕上げは、D.P.Pでこってりとに代えさせていただきます。
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ワークフローファイル コメント (興味のある方だけ)
部門名 : 「
散光星雲部門」
・ワークフローファイル名 :
nebula04.sis
・コメント :
撮影データではカメラは冷却60Dということで、私の使用カメラと同じです。
以下、画像処理にあたって留意した点など記載します。
[レベル調整]・・・普段はヒストグラムの表示幅は1500~2000程度なのですが、
素材が良かったため広めの5000程度としました。
RGBのヒストグラムのピークをそろえる事により、バックグラウンド
のカラーバランスを整えています。
[周辺減光・カブリ補正]・・・ほとんど目立たなかったため省略。(フラット補正が良好?)
[デジタル現像]・・・「色彩強調マスク」による強調は行っていません。
[トーンカーブ調整]・・・基本的にはコントラスト増加のカーブですが、バックグラウンドの
レベルがそろうように、RGBにポイントを打って調整しています。
ハイレベル側を少し下げる事により、球状星団M4の星がつぶれない
ようにしています。
[オートストレッチ]・・・[レベル調整][トーンカーブ調整]でもバックグラウンドは整えていますが、
念のため、オートストレッチもかけています。
背景がガス雲のこの画像の場合、どこのエリアを指定するかが重要です。
[マルチバンドシャープ]・・・[マスク作成]を行った後、[選択マスクを反転]し、星だけをマスクして
悪影響がでないようにしています。
[Lab色彩強調]・・・これまで彩度の調整は別ソフト(CanonDPP)で行っていたのですが、
ワークファイル記録という事で、彩度を上げています。
以上ですが、素材が良かったため、画像処理を繰り返すたびに派手になってしまいました。
・部門名 : 「
銀河部門」
・ワークフローファイル名 :
galaxy04.sis
・コメント :
撮影データでは、まだ使用した事の無い冷却CCDカメラですので、16bitでしょうか。
以下、画像処理にあたって留意した点など記載します。
[レベル調整]・・・16bitなら、かなり広いヒストグラムの表示幅とすべきなのかも
知れませんが、銀河周辺部の淡い部分を出したかったため、
は2600程度と比較的狭くしました。
RGBのヒストグラムのピークをそろえる事により、バックグラウンド
のカラーバランスを整えています。
[周辺減光・カブリ補正]・・・ほとんど目立たなかったため省略。(フラット補正が良好?)
[デジタル現像]・・・銀河内の赤い散光星雲を強調するため、珍しく「色彩強調マスク」を
使ってみました。(普段は星の周囲に色にじみが出たりするので使っていません。)
[トーンカーブ調整]・・・基本的にはコントラスト増加のカーブですが、低輝度部をのぞき
直線に近いゆるやかなカーブにしました。
バックグラウンドのレベルがそろうように、RGBにポイントを打って調整しています。
[オートストレッチ]・・・[レベル調整][トーンカーブ調整]でもバックグラウンドは整えていますが、
念のため、オートストレッチもかけました。
[マルチバンドシャープ]・・・[マスク作成]を行った後、[選択マスクを反転]し、星だけをマスクして
悪影響がでないようにしています。
[Lab色彩強調]・・・これまで彩度の調整は別ソフト(CanonDPP)で行っていたのですが、
ワークファイル記録という事で、彩度を少しだけ上げています。
[デジタル現像]での「色彩強調マスク」に」よる効果の方が大です。
以上ですが、素材が良く画像処理を繰り返すたびに、目いっぱい派手になってしまいました。