法音カウンセラー 釋 真聴 《日乗》

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里村専精師 「浄土真宗にようこそ」No73

2017年03月04日 23時14分33秒 | 里村専精師の言葉

里村専精師の「浄土真宗にようこそ」No73をお届けします。

二十世紀のはじめ、我々の認識の厳密な反省がおきます。
意識の理解した認識に対して、
もっと根源的な生在そのものの回復とその厳密な追及が始められるのです。

その集約者の一人にフッサール(Edmond Husserl 1859~1938)という人がいます。
現代哲学や、人間学の基本はこのフッサール抜きには考えられません。
所が、このフッサールの学業が、実に瑜伽唯識の問題意識に酷似しています。
ということは、ヨーロッパが1600年もの隔たりを感じながら、
仏道の根源を模索していると言えます。

唯識の目的は、人間の認識の根源的過ち(迷・謬)を正して、
生存の真実を無限に追い続けることでした。

「盡未来際」の歩みが、仏道によって開かれていると世親菩薩たちは言います。
信心といいますが、智慧の歩みは未来際を尽くすものなのです。
現存在に、過去も未来も包んで存在の全体像が開かれてゆく。
それが信心の智慧の歩みであり、開かれた生命の浄土への往生の確定なのです。
フッサールが尋ねているのも、我々の判断の厳密な批判を通して、
未来際を尽くす真実の存在追及でした。

誰もが生きて存在している、その存在そのものは理性を超えていますが、
そういう存在を尋ねているのです。

入・住・出という把握の存在論的な視野はありませんが、
欧米は始めて人間そのものを見つめ始めています。

仏教は、人間存在を因縁の道理として、理性を越えた実存(真実存在=実在)と語っていました。
そういう存在そのものを回復する歩みを、念仏は大行という名前で我々を運ぶのです。
フッサールの提言は、今も思想界では問題提起のままですが、
仏道においては自明の実践が応答しています。

「念仏成仏自然なり」と言われていますが、ここに人間の深い学びがあります。
文化を標榜していた西欧が、業因縁を追及した存在学に共鳴していることは実に面白いことです。

《声明カウンセラー・くりのみ》が主宰・同人として参加している学習会のご案内です。
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