里村専精先生の「浄土真宗にようこそ」No38をお届けします。
大同の町は、現在は真っ黒な石炭の町です。
その石炭の町を抜けて、雲崗に白を基調にしたブッダの群像があります。
北魏の時代、つまり曇鸞(475-542)大師の頃からここの開窟が始まったと言われています。
恐らく、ここにある群像の幾つかは、曇鸞大師ご自身もご覧になったはずです。
けれども、曇鸞大師が50才を過ぎられた頃からの回心で、
大師の世界は大きく転換されていました。
釈迦仏を中心に学ぶ学びから、
一転して釈尊をも諸仏と数える巨大なサンガ世界に生まれる…、
そういう大きな世界観が、曇鸞大師の新しい学びになっていました。
「同一念仏 無別道故 … 眷属無量」と言われていますが、大きな世界です。
四海の内を皆兄弟とするのだとも言われていますが、全宇宙的な広がりを言います。
四海とは、須弥山の周辺の四方に広がる全世界を言いますが…。
我々は南の閻浮提に存在しているものの、東・西・北にある諸国を知りえないのです。
我々に接している他の三方の世界だけではなく、
もっと広く諸仏のサンガ世界があるのです。
阿彌陀仏のサンガは、それら一切の諸仏の世界を摂取するものなのです。
釈尊一代の仏法僧の三宝の歴史世界は、すでにしっかりと包まれていると言えます。
つまり本願の行は、一切諸仏の国土・人・天を見据えた偉大な行なのです。
大同郊外の石窟には、中国仏教を代表するに足る威厳があります。
けれども、曇鸞大師が生きてゆかれた世界は、
もっと大きな構想で中国仏教を包むものでした。
そういう大きな仏道の学びを、ほかならない中国の方々に学んで欲しいものです。
その学びは、現在の中国仏教の先輩である曇鸞大師が語られたもので…、
中国仏教にとっても、本当に大切な人類のための歴史遺産だからです。
五台山は、この雲崗から一日バスで走って到達します。
曇鸞という人間的な遺産を、改めて五台山でも学んで欲しいものです。
五台山で学んだ曇鸞の、その学びの成果を問い直してほしいものです。
カウンセリング研究会【くりのみ】のご案内
◆『歎異抄』と声明コース 5月30日(土) 午前10~12時
◆親鸞とカウンセリングコース 6月13日(土) 午前10~12時
『教行信証』の音読と楽談の学習会です。
◆『歎異抄』と声明コース 6月27日(土)
『歎異抄』の音読、親鸞和讃、楽談の学習会です。
会場は、「タワーホール船堀」です。
皆さんのご参加をお待ちしています。