区立図書館で予約した、小津安二郎監督の『東京物語』を借りてきました。
小津監督の紀子三部作『晩春』『麦秋』『東京物語』の一本。
『東京物語』は、昭和28年度芸術祭参加作品の由。
この頃は、まだ伊豆の田舎で小学生だったので、小津作品をはじめ映画を見る機会はほどんどなかった。
年に1~2度、文部省選定映画があると、小学校から映画館へ全校で引率されて並んで出かけたことを覚えています。
当時、伊豆の稲取にも2軒の映画館がありました。(現在はありません)
中央劇場とオリオン座だったかな?
前者が邦画。後者が洋画を上映していました。
テレビのない時代。映画が娯楽だったんですね。
このところ、河合史夫関連の読書から、小津作品を見はじめているのだが、戦後の懐かしい風景・人情・会話が新鮮であります。
枝葉の話題で恐縮ですが、タバコと団扇の効果的な演出を懐かしいですな。
「時代の流れ…」を感じます。
これからの映画では、見られなくなるのでしょう。
小津作品は、平凡な生活のスケッチの中から、日本人の情愛を描いてみせてくれます。
『東京物語』では、尾道に住む老夫婦が、長男・長女・戦死した次男の嫁を東京に訪ねます。帰路、老婦が車中で具合が悪くなり、大阪に住む三男のところに立ち寄ります。
尾道に戻ると、老婦が危篤・葬儀。子ども達と次男の嫁が駆けつけます。
葬儀が終わると、すぐに東京・大阪に帰る自分の子ども達。
暫く尾道に残り、老父に寄り添う戦死した次男の嫁。
小津監督は、最後に一人残った老父・平山周吉(笠智衆)に語らせます。
「自分が育てた子供より いわば他人のあんたのほうが よっぽどわしらによくしてくれた いやァ ありがとう」
「一人になると 急に 日がなごうなるますわ」
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