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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

書くべき人

2015-09-24 18:22:48 | ふと思ったこと

もう、すこし前のことで、展覧会自体も終わっているのですが、
練馬美術館で開催されていた、「船越保武彫刻展 まなざしの向こうに」 の
感想をやはり残しておこうと思います。

終了間際でとても賑わっていたこと。
大理石といえば、白く輝く石とばかり思っていたけれど、とても温かみのある
ピンクや、ブルーがかったものなど、いろいろあると知ったこと。
その石で彫られた女性像がひときわ美しかったこと。

代表作である長崎26殉教者記念像やダミアン神父の像は、代官山でのセミナー
時に、何度も末盛さんからお聴きした話を思い出しながら、眺めました。



彫刻の展示の間あいだに、その頃の心情を綴った言葉があげられていたのですが、
それがとても心に残り、やはり末盛さんのお父様なのだなあと思ったりしたのでした。




:::     :::     :::



ものづくりをしている人の言葉(文章)には、はっとさせられてるというか、
その人でなくては出てこない言葉で、物事の本質をついてくることがあると
‥ニュアンスはちょっと違うかもですが‥
工房からの風』のディレクター氏がいつか書いていたことは、ほんとうに
その通りだなと思いました。

その人となりが伝わってくる文章を読んでいると、その方の木の作品だったり
陶の作品だったり、織の作品だったり、竹の作品だったりが、見てみたくなり、
作品を手にしていると、その方が思いを綴った言葉を読んでみたくなり、
その行ったり来たりが、当日の展(ここでは、工房からの風のことですが)を
より楽しくしてくれるのですね。







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まるごと佐野洋子展@神奈川近代文学館

2015-09-23 19:02:19 | 好きなもの・美術館や展覧会

お天気に恵まれたシルバーウィークまっただ中の昨日、
高校時代からの友人と、港の見える丘公園内にある、神奈川近代文学館へ
行ってきました。

まるごと佐野洋子展 


特別に、佐野洋子さんのファン、というわけではないのですが、
なんかこれは観ておかないと、という気持ちで気になっていました。

展覧会のタイトルに「まるごと」とあり、サブタイトルは
「100万回生きたねこ」から「シズコさんまで」。
ほんとにその通りで、とても見応えがありました。

年代ごとに分かれている展示とその誘導のしかたも、わかりやすく、
原画と、テキストの比率は半々くらいの印象がありますが、
手書き原稿や、束見本(本の原型のような、紙の束)がずっと昔のものも
大切にきれいに保管されていたのだなーと思いました。

佐野さんが飼っていた歴代のねこの写真もあり、「100万回~」のモデルに
なったねこも見ることもできます。
ねこを飼おうと思ったいきさつを、友達のうちのねこをかわいがる息子を
見て、自分の知らなかった息子の一面に軽く嫉妬し、ねこが可愛い、可愛がりたい
というよりも、そういう息子を見ていたくなったから、と書いてあったのが、
とても印象に残っています。


私は、佐野洋子さんの絵本では、有名な「100万回~」とか「~のかさ」とかを
家で何度も何度も読んだ、というわけではなく、「こどものとも」で、どなたかの
テキストに絵を描かれていたものを覚えているといった感じでした。
一時期エッセイは何冊か続けて読んだ記憶があり、とてもさっぱりと、すぱっと
書くことができる人なんだという認識でした。

それよりも強く印象に残っているのは、ずいぶん前、詩人の谷川俊太郎さんの
特集番組(武満徹さんの番組?)を観ていた時に、奥さまとして所々に出ていた
佐野さん。観ていた時はその方が佐野洋子さんだとは知らなかったのですが、
後から思い返してみればそうでした。
谷川さんと再婚されたのが、洋子さんが52歳の時なので、番組内で観た時や、
今回の展示会場の中にあったビデオのインタビュー時は、ちょうど今の私くらいの
年齢だったのかと思い、なんか感慨深かったです。

今回あらためて、佐野さんの手がけた作品の原画を見て、読んでみよう、
読み返してみようと思う絵本が何冊もありました。
エッセイも未読のものがたくさんあって…「ひとり佐野洋子まつり」が 始まり
そうです。
(早速図書館で、児童の書棚に残っていた2冊を借りてきました)
   




そうそう、展示の中の晩年のコーナーで、愛用のメガネがガラスケースに
納められていました。
すぐに見失ってしまうので、メガネはたくさん持っていたとか。
ご自分で作られたメガネケースもふたつありました。

手書き原稿や、愛用のエッチングの道具よりも、私はそのメガネを見た時に
佐野洋子さんという人の不在をとても強く感じ、どんなに立派なお仕事を
成し遂げた方であっても、生きていてこそ、と思う気持ちを拭えませんでした。

展覧会は27日、今度の日曜日までです。

 

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ヤマネコ毛布 ぐりとぐらとすみれちゃん

2015-09-21 19:15:29 | ひらきよみ(読み聞かせ)

先週の金曜日は3年生のクラスでの読み聞かせ当番でした。
ひとりで2冊読みました。

最初の絵本はこちら。
 

小学校の教室で読むのは初めてでした。

ヤマネコが ハリネズミにいいました。
「たびに出ようとおもう。」
もうきめた というかおです。

こんな書き出しではじまるお話は、森を出て行くヤマネコに
思い出を刺繍してプレゼントしようと提案するハリネズミの
アイデアで、仲がよかったものもそうでなかったものも、
それぞれの「思い出」を、糸を使って布に残していきます。

そして、最後にそれらの布は1枚の毛布となって、ヤマネコの
旅のお供になっていくのです。

話自体は、やさしい言葉で書かれていますが、別れに際しての
それぞれの思い出の機微など、小学3年生のクラスで読むのには
(家で、個人的に読むのはまた別ですが)ちょっと難しいというか
すんなり入っていかないかなーとも思いましたが、なんとなく
すこしだけ毛布が恋しい季節が近づいてきたことと、ダイナミックな
版画絵の力強さに惹かれて、選んでみました。
(ミシンボランティアとして、5年生のクラスのミシンの時間に
参加していたため、針や布がとても身近に感じられたせいかも?
とも思っています)

クラスの様子は…熱心によく聴いてくれたと思います。

終了後のメンバーミーティングでは、皆この絵本にとても興味を
持ってくれて…絵本好きの大人にはたまらない内容ですものねえ…
3月頃の、6年生のクラスはどうかなー?等の提案もあり、今度は
そうしてみようと思います。


2冊目は、食育といえば、やはりこの絵本を抜きには語れない、という
ことに今更思い至りました。


シリーズ最初の『ぐりとぐら』もいいなあと思いましたが、季節柄、かぼちゃが
メインで登場するこちらの方がいいかなと。

ぼくらの なまえは ぐりと ぐら
このよで いちばん すきなのは
おりょうすること たべること
ぐり ぐら ぐり ぐら

ほんとにいいですね。ほんとにかわいいです。

かぼちゃのお料理をたくさん作って、もりのどうぶつたちとすみれちゃんが
「さようなら」と手を振って帰っていき、そしてたぶん翌朝、

ぐりと ぐらは すみれかぼちゃの たねを
はたけに うめました。

また新しい生命の営みに繋がっていくラストの場面もとてもいいです。


そして、クラスの様子は…
3年生はまだまだぐりぐらが大好きだということがわかりました。

 

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はらぺこさん

2015-09-12 11:11:36 | ひらきよみ(読み聞かせ)

2学期の入り、小学校での読み聞かせボランティアも始まりました。

昨日は5年生のクラスで、ペアでそれぞれ1冊づつ読みました。
ペアさんが先にこの本を読み‥

そのあとに私はこちらを読みました。




1学期に引き続き、「食」に関する絵本を、1冊は入れて欲しいということ
だったので、おなかがすくしくみがわかる『はらぺこさん』にしてみました。

文中にはフツーに「わたしはらぺこさんになってきたあ」とか、
「みんなもはらぺこさんになるよね?」とかありますが、私のまわりでは
「はらぺこさん」という言葉を日常で使うことはないので、聴き始めた
5年生もまずその「はらぺこさん」という言葉に、なにそれ?!的に笑って
いましたね。

(もしかしたら、おかゆさんとか、おいもさんとか、あめちゃんとかみたいに
日常的に使う地方もあるのでしょうか?)


それと、最初に出てくる姉妹が、本の最後にも再登場して、おねえちゃんが
おやつを作ってくれるというところが、話の構成的にすこしわかりにくいのかなと
感じました。
おなかがすくしくみを説明するために、いろいろなシチュエーションが
次々に描かれていくので。

でも、5年生なので、最後にはちゃんと理解して、
「おれ、もう、はらぺこさんになってきちゃった」とさっそく使ってくれた男子が
いました・笑。


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