my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

さらなる楽しみの貴重な「おまけ」

2006-06-29 15:20:41 | 好きな絵本
 今日は木曜日。 『スキマの国のポルタ』の放送日です。先週は見逃してしまったので、
今朝は時計を見ながらせっせと家事に励み、学校へ行ってしまった娘のために録画準備
までして、その時間を待ちました。

 お話は、カメのカメカメさんに自転車を届けるはなし。薄い紙でできたポルタたちが、
喜んだり、びっくりしたりするたびに、くるっくるっとペ-プサート状態の顔が一瞬動く
ところが、たまらなくおもしろいです。


 朝から荒井良二ワールドに浸っていたら‥「こどものとも」・さらなる楽しみシリーズは、
その3までで終わりにしようと思っていたけれど‥やっぱりこの絵本だけは紹介しておきたい
気持ちが高まりました。

 こどものとも年少版2003年1月号(310号)
 『わたしのねこちゃん』 かんなりまさこ 文 荒井良二 絵
わたしのねこちゃん
 











 この絵本も、私にとっては、図書館のバックナンバーカゴからの掘り出し物です。

 本屋さんに並んでいるときは、残念ながら、まるで気がつきませんでした。当時は
荒井良二さんの絵本を見たこともなければ、お名前も知らなかったのだと思います。
 その後2005年9月にハードカバー版が出たようですが、そちらの方も今まで見かけたことが
ありませんでした。福音館書店の幼児絵本シリーズは好きな作品がたくさんありましたが、
娘も大きくなってしまい、さすがに今では「書店であんまり見ない棚」になってしまっていたのですね。 

 さて。やっと肝心の『わたしのねこちゃん』。

 表紙に大きく描かれた「ねこちゃん」もかわいいですが、1枚めくったところのタイトルバックの
雪景色と、小さな家の中に居るねこの絵が、とても期待をかきたてます。同じく荒井良二作品の
『きょうというひ』を思い出してしまうのは、雪つながりだからでしょうか‥。

 わたしの ねこちゃん ひげねこちゃん
 でまどに すわって そとの ゆき みてる
 「あそびに いこう」って いったら、「ニーヤ」と くびふった

 
お話はこんな出だしです。そして、見開きの左ページには、出窓に居るひげねこちゃん、
右ページには、外へ遊びに行こうと誘う女の子の様子が描かれています。女の子が帽子かぶって、
手袋して、ドアを開けても、ひげねこちゃんは知らぬふり。雪だるまを作り始めた女の子を、
出窓からずっと見ているのに、

 「てつだって」って いったら、おおきな あくびした

 
女の子がちょっと隠れていると、背伸びをして探しているくせに、「おいで」って言われると
お尻を向けてしまうのですから、ほんとにひげねこちゃんは愛すべき存在です。猫と一度も
生活したことがない私を、ねこっていいかも、と思わせてしまうのですから、この「わたしの
ねこちゃん」かなりの魅力に満ちた絵本です。

 女の子がひとりで作り上げた雪だるまもすごくいい味出してます。そして、ひげねこちゃんと
女の子のお話を最後まで見守ってくれていますね。
 
 この絵本、見返しもとてもよいので、ハードカバー版のほうではどんな感じになっているのか、
今度本屋さんに行ったら探してみようと思います。
 
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どこまでも続く‥といいな

2006-06-27 16:30:15 | 想うこと

 本日6月27日で、このblogも満1歳を迎えました。

 長いようで短いようで‥やっぱり長いようでやっぱりあっという間だったような1年間ですが、いろんなことがぎっしり詰まったとても「重たい」1年だった気がしています。

 思ったこと、感じたことを、ただ書き残すだけではなく、そこに読み手となってくれる人が居て、読まれるということを前提に話したり、書いたりした時間の積み重ねが、ひゅっーと流れていっちゃいそうな毎日に、厚みを与えてくれたのだと思います。

  いつも読んでくれるみなさまのおかげです。
  ほんとうに、ありがとうございます。  


   ‥‥    ‥‥   ‥‥


 私がblogをやってみようと思い立ったいきさつは、先日もすこし書きましたが(※)、簡単に言ってしまえば、一種のリハビリテーションみたいなもの。
 
自分以外の誰かが読んでくれる文章を書くことができるか。
うつくしいものをうつくしいと感じる泉に、つねに水を蓄えていられるか。

 自分へ与えた課題はまだ途中ですが、いろんな刺激を受けながら、立ち止まることを楽しみながら、どこまでも続いていきそうな予感、どこまでも続いていったらいいなあという期待に満ちています。


   ‥‥    ‥‥   ‥‥


   my favorite things   私の好きなもの

 せっかく何か書くのなら、ネガティブではなく、ポジティブなことを書きたいと思い、好きな曲のタイトルをそのまま頂いたblog名です。

 じゃあ、好きなものの中で継続して書いていかれそうなことって何だろう、と考えた時に「絵本」が浮かんできました。絵本ブログと銘打って、もっとちゃんとポイント定めた名前も付けて‥と思うこともしばしばですが、もうしばらくは、「好きなもの」の中のひとつとしての「絵本」、という図式でやっていこうと決めました。
 こんなblogですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
 

【 ここまでの覚書 】

 作者別(あいうえお順)に載っている本は120冊
 カテゴリー「好きな絵本」に入っているのは、ちょうど50冊
 そのうち、半分以上はこの1年で知った絵本でした♪



 

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おとしものしちゃた

2006-06-26 16:30:53 | ひらきよみ(読み聞かせ)
 すこし前になってしまいますが‥6月16日(金)5年生のクラスでの「読み聞かせ」で、この絵本を読みました。
 よーく、文字を見てください。「おとしものしちゃった」ではなく、「おとしものしちゃた」なんです。


おとしものしちゃた

『おとしものしちゃた』

  中山千夏 文
  長新太  絵







 私がこの絵本を知ったのは、今から1ヶ月くらい前。珍しくメモも見ず、目当ての本もなく、ただ絵本の棚を端から見ていて、偶然見つけ、ひとめぼれしてしまったのです。

 何がそんなによかったのかというと‥何と言っても、長新太さんが描くこの絵がよかったのです。
 
 表紙の中の四角いピンク色の子は、シャキットまちのサッサさんという名前なんですが、このサッサさんが抜群にかわいい!!と思ったのです。
 長新太さんの数多くの作品の、きっとまだ半分も読破してないと思うのですが、そんな状況で、断言してしまうのもどうかなあとは思うのですが。それでも言い切ってしまうと、私が出会った長新太作品の中で、これほど、自分の好きな色にぴったりの作品は初めてだったのです。開いたどのページの色も、形も、どれもみんな、私の気持ちの大きさにぴったりあったというか‥まるで知らない人がカゴにたくさんのフルーツを入れて持ってきてくれて、そのフルーツのどれもが、私の好みのものだったみたいな、そんな嬉しい驚きさえ感じました。

 サッサさんのピンク色もいいし、月がのぼったときのオレンジ色の空もいい。
 とおりかかったロケットの色も、ロケットから出る迫力ある煙の色もいい。
 ページ半分埋ったたんぽぽの黄色も、そこから出てくるでんでんむしの渦巻きの色もいいのです。

 テキストは、中山千夏さん。自由国民社から出ている「中山千夏の絵本」シリーズのうちの1冊のようです。ほかにも長谷川義史さん絵の『となりのイカン』や、和田誠さん絵の『どんなかんじかな』、安西水丸さん絵の『あげたらおはなし』などが出ています。

 『おとしものしちゃた』は、なんでもてきぱきパッパとやらないと気がすまないサッサさんが、いろんなものを片付けすぎて、小さい「っ」をどこかへ落としてきてしまうというお話です。

 のはらでたんぽぽかたづけた
 はまべでかいがらかたづけた
 とおりでのらねこかたづけた
 ひろばでかみくずかたづけた
 ついでにほしくずかたづけて
 そこでたいへんきがついた

 
なぜ、サッサさんは紙屑と一緒に星屑も片付けてしまったのでしょう?
 なぜ、そのときに小さい「っ」を落としてしまったのでしょう??

 ちょこっとそのあたりがひっかかっているのですが、それよりも、「っ」をなくしたサッサさんの困りようがかわいそうで‥。
 何かをなくしてしまうということは、その原因を何で、何でと探ったところでどうにかなるわけではなく、ないものはもうないのだから、ただひたすら探し求めるしかないじゃないかと、いつか自分自身に向って言い聞かせてみたことを思い出し、そして尚更サッサさんが不憫に思えてくるのです。

 だから、でんでんむしやってきて、

 ゆっくりゆっくりかおだして
 「あなたはどなた?どうしたの?」

と言ってくれたときは、それはそれはサッサさん、嬉しかったことでしょう。

 でんでんむしは、サッサさんの話をがんばって100回聞いて、たんぽぽをもう片付けないでくれたらの条件付きで、わたしのちいさいつをあげます 思わずサッサさんが頷くと‥

 そのとたん
 ちいさいつがつつつともどったんだ

 
でんでんむしはこう言いながら去って行きます。

 「めでたいですね」
 でんでんむしもじょうきげん
 「わたしはなくてもいいんです」
 のんびりはなせばいいんだし
 かたづけなければならないときも
 はしらなければいいんだし
 のろのろそろりでいいんだし
 ほらね
 ちいさいつなしで
 なんとかなりますだいじょうぶ」
 たんぽぽのあいだを
 しあわせそうにはってった

 
いろんなことがこの言葉に集約されていて、いろんなことを汲み取ることができる言葉です。

 私は、ここの箇所が読みたいばっかりに、この本を、5年生の読み聞かせに選んだのかなと、自分でも思っています。このゆったりとしたことばのリズムがなんとも言えず心地よく、お風呂の中でつらつら考えている時に、ふと浮かんできたりしたのです。



 今日この絵本のことを書くつもりはなかったのですが。kayoさん や、miyacoさん のところで長新太さんの記事を読み、「今日」書くことに意義があるように思えてきたので、そうすることにしました。
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ルフランルフラン2の原画展またありますよ

2006-06-23 16:05:19 | 好きなもの・おでかけ

 こんにちは。『ルフランルフラン2 本のあいだの国へ』 もうお読みになりましたか?
 
 先日の私のエントリーを、プチグラパブリッシングの玉木さんという方が読んでくださり、コメント残してくれました。たまたま検索にひっかかったのかな?訪れてくれた経緯はわかりませんが、なんかとっても嬉しかったです。

 そして、明日の紀伊国屋書店でのサイン会のお知らせとともに、来月、丸善丸の内本店で行われる原画展のことも教えてくださいました。(詳細は下記の通りです)

 私は、渋谷パルコパート1で、すでに原画を見ましたが、それはそれは素晴らしくよかったです。手元にある『ルフランルフラン2』を開くたびに、原画1枚1枚のことをはっきり思い出すことができ、また、本のページに戻っても、そちらも色褪せて見えるようなことは(当然)なく、原画と印刷されたページとの相乗効果で、さらに絵本が素敵に見えます。

 ルフランルフラン2
 


●「ルフランルフラン2」原画展開催
開催期間 7/17(月)~7/30(日)
開催場所 3階中央エレベ-タ-前

サイン会は7月30日(日)14:00~3階児童書売り場特設会場にて

要整理券
参加方法:「ルフランルフラン」「ルフランルフラン2」を当店でいずれかをお買い上げのお客様先着50名様に3階レジカウンターにて整理券をお渡ししております。


‥‥だそうです。 以上、ただ単に、原画が素敵なので、見たいと思っていて見逃してしまった方への、お知らせでした。



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「こどものとも」のさらなる楽しみ・3

2006-06-22 15:00:40 | 思い出の絵本
 「こどものとも」からの楽しみの3つ目は‥「あなたたち、そんなところにも居たの?!」
です。

 あなたたちとは、↓の表紙の女の子と犬。本の中でも「おんなのこ」と「いぬ」って
呼ばれていますね。
まじょのかんづめ
『まじょのかんづめ』

 佐々木マキ 作



 今はハードカバーが出ていますが、最初は「こどものとも」1994年1月号でした。
 その後に、続編が2冊。

 『まじょのすいぞくかん』 「こどものとも」2000年8月号
 『まじょのふるどうぐや』 「こどものとも」2003年5月号

 この3冊は、登場人物も設定もほぼ同じで、悪い魔女の魔法によって姿を変えられて
しまった郵便屋さんとぞうとくまとぶたを、「おんなのこ」と「いぬ」が発見し、助けてあげる
というお話です。

 「ありがたい、たすかった!」

 
毎回、助けられたみんなが言うせりふまでおんなじなんです。これだけ似ていると、
どうしても並べてみて、どれくらいおんなじか、どこかちがっているところはあるのかと
探してみたくなりますね。
 うちには、「かんづめ」はなくって、「すいぞくかん」と「ふるどうぐや」を持っているのですが、
どちらかが読みたくなると、必ずもう1冊も探してきて、合わせて読むという暗黙の約束が
出来上がっていました。

 ところで、2冊目の「すいぞくかん」と3冊目の「ふるどうぐや」には決定的な違いがあるのです。
 それは「おんなのこ」と「いぬ」だった2人に名前がついたこと。女の子の名前はきのこ、
犬の名前はイワンです。

 「3冊目から名前がついた」ということは、もうだいぶ前から知っていたのですが、
ついこの間までこの絵本の存在は知りませんでした。図書館の棚で偶然見つけて、
「あれっ、あなたたちはきのことイワンじゃないの?!」の思い、ページをめくったら、
やっぱりそうでした。
そらとぶテーブル

『そらとぶテーブル』 

 
佐々木マキ 作   



 
  あつい あつい なつの ひ、
 きのこと いぬの イワンが
 そとを あるいていたら、
 あきちに ふるい テーブルが あった。

 
こっちのお話は、魔法のじゅうたんのようにテーブルが空を飛び、望んだ場所まで
連れて行ってくれるというもの。きのこが手に持っているマヨネーズが、最後の方で
生きてくる、とっても夏向きなお話です。
 
 2002年9月発行とあるので、『すいぞくかん』と『ふるどうぐや』の間で、名前が
ついたのだということがはっきりとわかります。どうでもいいような「発見」ではありますが、
それでも、きらっと光る嬉しさが、私の胸の中に灯りました。

「ねえ、ねえ、イワンときのこ、この本にも出てきているんだよ」
「へえー、そうなんだあ‥」

 得意になって教える母と、ちょっと冷めている娘との会話です。「母」は、佐々木マキさんの
描く絵には思い入れがありますからねえ。何しろきのこよりイワンより、ぶたよりおおかみより先に、
羊男を見ていますから。


 今朝になって、そういえば折込ふろくには何て書いてあったかなあと、『まじょのふるどうぐや』の
「絵本のたのしみ」を探してみたら‥そこにしっかり、名前がついたいきさつが書いてありました。
 
 「今度の本は、ぜひ主人公に名前をつけてくださいね。そのほうが、ぜったい
読者に親切なんですから」
 編集者にそう念を押されて作ったのが、02年秋に出た『そらとぶテーブル』という
絵本で、主人公の名を「きのこ」相棒の犬に名を「イワン」としました。

 
なんだあ、ここにちゃんと『そらとぶテーブル』のことも書いてあるじゃない。と
少々気落ちした私ですが(何しろ自分の中ではきらっと輝く発見でしたから)、佐々木マキ
さんの次のような文章を再読できて、よかったと思っています。

 どうしてあなたのお話には、主人公に名前のついていないものがあるのですか、
と訊かれることがあります。ー中略ーすてきな名を思いついたら喜んで使うのだけど。
 もうひとつは、具体的に固有名詞をつけることが、必ずしもプラスに働かないような
種類のお話(作品世界)もあるのじゃないか、ということです。ただし、私のお話が
いつもそれに相当する、ということではありません。

 これを読んでいたら、佐々木マキさんが表紙を描いた、「僕」と羊男の物語をまた読みたくなってきました。

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「こどものとも」のさらなる楽しみ・2

2006-06-21 15:40:35 | 思い出の絵本

 バックナンバーからの、さらなる楽しみ・2番目は、「え、この犬ってもしかして?」です。

 この犬とは、子犬の時はペンタ。大きくなってからは、ラスチョという名前です。

 
 私がペンタを知ったのは、「こどものとも年少版」2000年3月号(276号)、本の題名は
『ペンタとぼく』 長谷川摂子さんの文章に、アンヴィル奈宝子さんの絵です。その頃は
毎月「年少版」を購読していたので、そのうちの1冊、というわけです。

 そして、今回図書館のバックナンバーカゴで見つけたのが、同じく年少版のこの2冊。

 
『わたしのラスチョ』2002年2月号(299号) 
             降矢なな・文 アンヴィル奈宝子・絵
 『ラスチョのひこうせん』2006年2月号(347号) 
                アンヴィル奈宝子・作

 なぜ名前がペンタからラスチョに変わったのか‥という疑問は残りますが、バックナンバーの
カゴでこの2冊を見つけた時は驚きました。かわいがっていた子犬のうちの1匹を手ばなして、
数年後、思ってもいなかった場所で偶然見かけたような、そんな気持ちになりました。

 『ペンタとぼく』は、ふたりの1日の生活を、とても感覚的な文章で綴ったお話です。
「ぼく」がペンタを弟のように思っていることが、その語りかけからよくわかります。たとえば‥

  あさは いつ くると おもう?
  かおが ぬれているときは まだ。
  タオルで ぐるんと ふいたとき、
  あさは かぜと いっしょに
  「あさー」っていって とんでくるんだ。

 
あるいは‥

  ペンタ、だいこん だっこしてごらん。
  ずしっと おもたい だいこん あかちゃん。
  しとっと つめたい だいこん あかちゃん。

 
ふたりが水溜りをのぞきこんでいる場面では‥

 のぞいたら こわい。
 ものすごく ふかい。
 1000まんメートル むこうに
 そらが ある!
 おっこちたら どうしよう。

 
心に直接響く文章と、アンヴィルさんの描く表情豊なペンタと「ぼく」に、母である私のほうが
すっかり魅せられ、お気に入りの年少版でした。

 
 さて、ラスチョのほうですが
 『わたしのラスチョ』
の折込ふろくで、降矢さんの書いた文を読んでいたら、ペンタから
ラスチョへ変わったわけがわかりました。

 この絵本は、降矢ななさんが、絵ではなく、テキストを書いていることに大注目です。
 まだ、アンヴィルさんが、学生だった頃、この黄色い犬(後のラスチョ)はすでに紙の犬小屋、
紙粘土製の体で、台所の片隅のわずかな隙間に居たそうです。「あまりにも存在感があり過ぎて」
お客さんの視線を釘づけ。何人もの人に「この犬のお話、作ったらどう?」と言われたそう。
けれど当時のアンヴィルさんはお話作りよりも、もっと興味ある事があり、「待ちくたびれた」
降矢さんが、「とうとう我慢ができなくなって」短いお話を書いたそうです。
 降矢さんにとっても、他の人の作り出したキャラクターに話をつけるのは初めてで、ジレンマも
感じたそうですが、頭の中では「黄色い犬の映像はどんどん勝手に動き出して」いったとのこと。
 そんなエピソードの最後に、ちゃんとこう記されていました。

 ところで‥実は、この犬、数年前にすでに子役でデビューしているんです。コロコロして
いてかわいかったなぁー。興味ある方は、『なにたべた?』(年少版237号)と『ペンタと
ぼく』(年少版276号)を探して見てくださいね。

 そっか、ペンタは「子役時代」の名前だったのね、とすっかり納得した私は、もう1冊の
『なにたべた?』がとても気になっています。(もしどなたかご存知の方がいたら教えてください)


 「ぼく」と一緒に子犬時代を過ごしたラスチョは、すごい犬に成長しましたよ。

 りょうりは うまいし、
 マラカスを ふりながら うたも うたえるし、
 きかいいじりも すきなんだ。

 「やあ みんな、
  ドライブに いこう」

 すっごい ラスチョ、くるま つくっちゃったんだ!

 

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やっぱりアリスが好き

2006-06-20 17:01:01 | 日々のこと
 2年ぶりに、TDLに行ってきました。いやあ、すごい人・人・人でした。

 もう何回くらい、親子3人で行ったかなあ。
 あと何回くらい、親子3人で行きたいって言ってくれるのかなあ。

 
 娘はネコのマリーちゃんがかわいいって言ってハンカチを買いましたが、私は断然「不思議の国のアリス」派。もうちょっとでトートバッグを買いそうになりました。
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「こどものとも」のさらなる楽しみ・1

2006-06-20 15:35:08 | 好きな絵本

 図書館で、「こどものとも」及び「~年中向き」、「~年少版」のバックナンバーを
たくさん借りてきました。風邪で学校を休んでいた娘のためでもあったのですが、
すこし前から、バックナンバーの入っているカゴがとても気になっていたんです。

 「こどものとも」の正しい(?)楽しみ方は、定期購読し、毎月届く雑誌を楽しみに待つ、
だと思います。でも、書店で実物を見てからその号を買うかどうかを決める、という方も
いるだろうし、もう我が子が「こどものとも」を卒業していても、シリーズものの続きは
懐かしさのあまりに買ってしまう、あるいは、好きな絵本作家さんの作品だから、という
理由でどうしても買いたくなる、という私のような読者もいるだろうし‥。まあ、いろんな
楽しみ方があるわけですが。

 今回、バックナンバーのカゴから発見した楽しみは、「え、この人が年少版と年中向き
でも作品を書いていたんだあ!!」です。

 この人とは、大槻あかねさん。


 何ヶ月か前の、海五郎さんの「わくわく本」で、『絵くんとことばくん』が紹介されて
いました。
 この本は、福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ・181号」で、今は傑作集として
ハードカバーにもなっています。テキストは天野祐吉さん、絵が大槻あかねさん。
ここで初めて、大槻あかねさんのお名前を知ったのです。
 おこづかいを値上げしてもらうため、お母さんにアピールしよう、と考えた優太。
その優太の頭の中で、絵を描く「絵くん」と文章を考える「ことばくん」が様々なポスターを
作り出すという、とてもおもしろい内容の絵本です。天野さんと言えば雑誌「広告批評」
大槻さんは、その表紙を担当されていたこともあるようです。

 
 その大槻あかねさんの、こどものとも年少版の作品は、2004年1月号(通巻322号)の
『けいとだま』。



 
表紙は、見ての通りのふわっふわっの赤い毛糸玉。見返しは、その毛糸の編目模様に
なっています。
 
 最初の一文は 
けいとだまがありました
 
ページをめくると、左側にはそのけいとだま、右側にはけいとだまを「見上げている」線で
できてる「人」。言葉はひとこと 

 
巨大なけいとだまの横で、その人は編物を始め、やがて長い、長いマフラーが出来上がりました。

 
さっそくまいてでかけます 

 果てしなく長いマフラーは、いったいどこまで続いているのでしょう‥。

 白い画面に、赤い毛糸玉と墨黒の線で描かれた人。最後のほうにちょこっとだけ出てくる犬。
たったそれだけのシンプルな絵と、短いおはなしですが、最後のページにくると「え、
こんなにも!」と思ったり、「まさか、こんなこと!」と笑ったり‥。

 一緒にこの絵本を読んでくれる(おもしろがってくれる)、小さな子が家にいないのが
残念でなりません。

 
 もう1冊の大槻作品は、こどものとも年中向き2005年1月号(通巻226号)
『あ』。



 
今度の「人」は、墨黒で描かれたのではなく、針金でできた「ワイヤーくん」
(私が勝手につけた仮名)です。自分で立って歩けるし、いろんなポーズも自由自在。
ちゃんと影だって持っています。

 ある日ワイヤーくんが歩いていると、ビールジョッキに出会います。 

 

 ちょっと首を傾けてじっとジョッキを見上げるワイヤーくん。
 ハイ、ポーズで、左腕を曲げ、ジョッキくんに並びます。

 次にワイヤーくん、ホーローの白いポットさんに出会います。
 腕を広げて見上げたあとに、 ひょ
 
右手を腰に、左手のひらを上に向け、ポットさんと同じポーズで
 並びます。

 こんなふうに、ワイヤーくんがいろんなものに出会い、そのもののポーズを真似たり、
そのものと戯れたり(?)の絵本なんです。はじめからおわりまで、ワイヤーくんの出会いは、
発見の喜びと驚きに満ちていて‥これってなんかに似ている、どこかで見たことが
あるなあ、と思っていたら。

 ワイヤーくんは、子どもそのもの、ですね。

 干したばかりの布団が部屋の隅に置いてあれば、どかっと乗ってみる。公園に噴水が
あれば、手を伸ばしてその水に触りたがる。長い廊下を見ると、駆け出さずにはいられない。
テレビでおもしろい顔をしている人を見たら、とりあえず真似てみる。

 さかさまのマヨネーズボトル、綿棒、ビニールテープ、白い手袋、本の間のしおり、
ふかふかの山型パン、耳かき、ひょうたんがたの七味入れ、蚊取り線香、ビールの泡、
ファスナー。

 ワイヤーくんも、好奇心むき出しで、これらのものと遊んでいます。

 
 折込ふろく「絵本のたのしみ」の作者のことばの中で、大槻あかねさんは、「ゆかいな
そのへん」と書いています。

 あ

 コップがあった
 マネしてみた

 テープがあった
 おしてみた

 (中略)

 おフロがあった
 あったかい

 そのひと と コップ
 そのひと と ひょうたん
 わたし と スリッパ
 わたし と おかあさん
 わたし と おフロ

 そのあいだにしかうまれない
 おなじものはひとつもない

 あ

 きみがあった


 大槻あかねさんに、もっと絵本を作ってもらたいって思います。

 

 

 
 

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いってみたいな ここの国

2006-06-16 16:45:27 | 好きな絵本
 たしか、小学校の4年か5年の時だと思うのですが。

 近所の本屋兼文房具屋さんに、新しい日記帳を買いに行きました。下見はしてあって、
それが500円だったことを知っていたので、図書券1枚(500円分)を持って家を出ました。
 ああ、これこれ。とその日記帳と、500円分の図書券をレジで出した私。そこに居た
お兄さんは、日記帳を見て、一瞬あれっていう顔をしたようでしたが(後から考えると、
あれは、あるはずもない「売上カード」を探していたのですね)、私全体から、「この図書券で
これを買う!」というオーラが出ていたのと、表紙に、まるで本の題名のように「MY
 SWEET MEMORY」(こんなような英文字)と書いてあったので、「そっか、これは本なんだ、
だから図書券でいいんだ」と思い、売ってくれたのでしょう。

 しばらくたってから、日記帳は文房具→本ではない→だから図書券は使えない、
の図が私の頭の中で成立しました。

 よくあのお兄さん、売ってくれたなあ。今でもそのお店の前を通ると、時折思い出します。


 何も書いていない、真っ白な日記帳。
 それは、なんにもかかれていない まっしろいほん! と言うこともできます。

 ルフランが、今度のひっこしの途中、強い風に巻き込まれて着いたのは、
本のあいだのくに なんです。

ルフランルフラン (2)

『ルフラン ルフラン2』

 荒井良二 作







 ルフランは、もちろん『ルフラン ルフラン』のルフランです。
 この2作目には「本のあいだのくにへ」というサブタイトルがついています。
本の間の国ですよ。「本の国」ではなくって、「あいだ」なんです。もうこのひとことで、
わあぁと自分の気持ちが盛り上がるのがわかります。

 そのくにには、ふたごの ナンニモと ナンデモ がいます。その二人も他のみんなも、
本を読んでいるのに、その本は なんにもかかれていない まっしろいほん! なんです。

 
 ルフランは しろいほんのことを きいてみました
 ナンニモは そう! なんにもかいてないわ というと
 ナンデモは なんにもかいてないけれど
 なんでもつまってるわ!
 とこたえて クスクス わらいました  

 
 
本のあいだのくににある、まっしろい本は、見た目は何にも書かれていない本だけど、
よーく心の目で読んでみると、そこにはありとあらゆる、あなただけの物語が何でも
つまっている本なんです。

 図書券で、私に日記帳を売ってくれたお兄さん。もしや「本のあいだのくに」からやって
きた人ではありませんでしたか?10歳ぐらいの私が書いていた、日記帳という
(MY SWEET MEMORYかも)名前の本、どこにいってしまったのでしょう。

 ルフラン ルフラン2は、とっても素敵です。私と、私の娘の間では、これはどっちの持ち物か
(所有権はどっちにあるのか)とすでに言い争いが起こるほど。
 原画を見る機会にも恵まれましたが。その原画と、印刷された絵本との、ギャップを
ほとんど感じることはありません。(ルフランのピンバッジ、やっぱり買っておくべきだった
かなあと思うくらいです)
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スキマの国のポルタ

2006-06-15 15:05:04 | 好きなもの・音楽や本
 渋谷パルコパート1でやっていた、荒井良二原画展 「ルフラン ルフランのあたらしい旅」を、6月7日水曜日の最終日に見にいくことができました。
 ご一緒してくれたのは、blog「まつかぜ日記」のまつかぜさん
 「この前、テレビでこの人のアニメを偶然見ただんだけど、あれは何の絵本なんだろう?」と、まつかぜさんが言っていたことが気になり、早速調べてみたところ‥テレビ絵本の枠ではなく、8時半から5分間だけやっている、プチプチ・アニメのコーナーの木曜日がそれでした。

 タイトルは『スキマの国のポルタ』 荒井さんの書き下ろし作品です。

 今朝、初めて見ることができたのですが。最初に荒井さんのかな?と思われるアトリエが映り、荒井さんかな?と思われる人の手が現れて、タイトルをささっと描いて‥はじまり、はじまり、となります。

 主人公はポルタという名前の男の子。相棒のロバロバの背中に乗って、みんなから頼まれた荷物を届けるのが仕事です。その配達を請け負っているのは、アッチェルという名の女の子。とてもしっかり者のようです。毎度おなじみのピンク色の長い髪を、真ん中から2つに分けています。
 
 今日の放送は、第4話。さぼてんのドンサボさんの犬がいなくなってしまったので、それを探すお話でした。舞台はとっても暑い砂漠。荷物の中から、突如現われた、大きな雪だるまに感激して飛びつくポルタと、ロバロバ。何かのスイッチを押してしまい、雪だるまから、空に向って花火が打ち上げられます。と、そのうち、花火は雪の結晶に変わり、「夜だったらもっときれいだろうな」と思うポルタの横に、電燈のスイッチがたらりと出てきて、ひっぱるとあたりは真っ暗に。星が一つ二つと瞬き、雪の結晶がきらきらと輝きます。
 再びポルタがスイッチを引くと、大きな太陽がにっこりと顔を出します。(ひもは、お日さまから出ていたんです)

 私は、アニメと言えば、何枚も何枚も何枚も描いた絵を動かしていく、「平面だけの」で育ったものですから、うすっぺらなポルタにすぐに親しみを覚えましたし、ポルタやアッチェルの顔が振り向くたびに、くるりくるりと、ペープサートの人形を動かすように変わるところも、とてもおもしろく見られました。しかも、そんな手作り感覚なのに、ロバロバの足さばきはとてもスムーズだし、暑さで空気がゆらゆらしているところや、飛び上がったポルタの下には、ちゃんと影がついていました。

 NHK教育テレビの朝と、夕方の時間帯。私も数年前までは、分刻みで、何の番組をやっているか言う事ができましたし、ニャッキやジャムやタルピーなど、とても楽しみに見ていました。
 今、赤ちゃんや小さいお子さんと、ポルタを見ているお母さんが、ある日、本屋さんや図書館で、荒井良二さんの作品を見つけ、「もしや、これは??」と手にしてくれるといいなあと思います。
 
 なんかこれってスキマの国?と『バスにのって』を開いたり、この子ってポルタに似てるねと、絵本のページを指したり、アッチェラって、このルフランルフランとそっくりだねと話したり‥。

 
 NHK教育テレビ 毎週木曜日、朝8時30分から35分
 『スキマの国のポルタ』 一度見てみてくださーい、お薦めです。
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耳のそばで風がなる

2006-06-14 15:30:55 | 好きな絵本

 先週3日間、娘が学校を休んでいたので、おふとんの中でも見られるようにと、
絵本をたくさん図書館から借りてきました。

 おもに「こどものとも」のバックナンバーのカゴから選んだのですが、絵本の棚からは、
この本を見つけました。書店ではよく目にしていましたが、実際に手に取り、読んだのは
今回が初めてです。
 

チリとチリリ
『チリとチリリ』

 どい かや 作




 すこし小ぶりのサイズで、パステルタッチの絵。かわいいなあとは思っていました。
でも、かわいらしさがストレートに伝わり過ぎて(?)、自分の中では、あとまわしに
なっていたのかもしれません。

 娘はすぐに開いて、読み始めていました。続編にあたる『チリとチリリ うみのおはなし』
『チリとチリリ まちのおはなし』
も借りたので、どっちが先かな、どの順番で
読めばいいのかなと目を輝かせていました。


 おかっぱ頭に白い服、そろいの自転車。
 そっくりな二人ですが、よく見ると、洋服の形が微妙に違っているんです。赤いボタンで
Aラインの服に黒い「パンツ」のほうが、チリで、青いボタンのワンピースに、黒い「タイツ」の
ほうがチリリです。
 表紙、白い見返し、その次の「扉」にあたるページには、「いいてんきね チリ」 
「そうだね チリリ」
と吹き出しがあり、どららが、どちらなのか、それでわかります。
その下に、文章が2行。

  チリとチリリが とても はやおきをした あるひ
  ふたりは じてんしゃで でかけることにしました


 ページをめくると‥。まだお話は始まらず、両開きの「扉」の左側に、自転車の乗る
二人の姿、右側に題名が描かれています。
 ここまでわずか3ページ、お話はまだなのに、もうすでにこの二人が好きになり、これから
先のストーリーにわくわく
し始めている自分に気がつきました。「あとまわし」にしていたことを、
軽く後悔もしたりして‥。

 なぜでしょう‥なんでこの先のお話が、おもしろいにちがいないと期待が膨らんだのでしょう‥。

 それは、ふたりのおかっぱの髪が、風を受けてなびいていることがわかったからなんです。
気持ちよく自転車をこぎだしていくその「気持ちよさ」が、私にも手に取れるほどの近さで
伝わってきたのです。

 チリとチリリは、いい香りに誘われて、森の喫茶店へ入ります。そこでひとやすみしたあとに、

  チリチリリ チリチリリ
  ふたりは また じてんしゃを はしらせました

  はしを わたり でこぼこみちを いき
  さかを のぼって くだりました

 
坂道を下る時には、みんなペダルから両足を放し、そのスピードをからだ全部で感じます。
 前を行くチリは、もう平らな道に戻ったけれど、後ろから行くチリリは、まさにその下りの最中。
前髪は風にあおられ、チリリの耳元では、髪にからんだ風が心地よい音をたてているはずです。


 私、大人になってからのおかっぱ頭歴が長いので(一般的にはボブカットと言われている
やつです)、耳のすぐ下で切りそろえた髪の横を、風が通り過ぎていく時の気持ちのよさを、
よく知っています。

 ある時、それは大学4年で、卒業後の行き先にとても不安を感じてる頃でもありました。
行きつけの店の、いつもの美容師さんにカットしてもらい、家までの道を歩いている時に、
ヒュッーと、一陣の風が通り抜け、切り立ての私の髪は、その風の音をとてもクリアに
感じ取ったのです。ただ吹き抜けたのではなく、指に綿毛がそっととまる偶然があるように、
私の耳元に風が留まったようなそんな感じでした。一瞬のできごとだったけれど、
うつむきぎみだった頭が上がり、遠くの空を見つめて歩いて行かれるような気持ちに
なったことを、覚えています。

 耳元を、風が通り過ぎていったことが、なんの励ましとなったのか、理屈での説明は
到底つきません。ただ、下を向いて歩いているよりは、上を向いていたほうが、周囲の音や
匂いやその他いろいろに、心を閉じているよりは、開いて受け入れていくほうが、ずっと
気持ちがいいのだということを、その時の風の音が教えてくれたような気がしているのです。

 自転車に乗るのも、大好きなので、今でも風が耳のすぐ横で鳴っているのを聞くことができます。


 『チリとチリリ』に戻りますが。

 このお話のキーワードは、ふたりに ちょうどいい ですね。
 欲張って、大きいものを選ぶのでも、無理して小さくかわいいものを選ぶのでもなく、
その時のふたりにぴったりなもの、ふたりの気持ちにも、ぴったりあてはまるものが
大切だということでしょう。


 
 『チリとチリリ うみのおはなし』

チリとチリリうみのおはなし

 






 「うみのおはなし」の二人の服は夏ヴァージョンで半袖です。今度は色違いのポケットが
ついています。
 あわパフェの中の なないろに ひかる まきがい と、しんじゅクリームの中の 
ほんものの しんじゅ を入れておくために、どうしてもポケットが必要だったのですね。


 『チリとチリリ まちのおはなし』

チリとチリリ まちのおはなし









 町へ行くなら、お買い物。お買い物ならおさいふを入れていくバッグがないとね。
「まちのおはなし」の中のいとやさんで、チリは つばきの いとと ポピーの いと。
チリリは マリーゴールドの いとと すみれの いとをかいました

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おまたせクッキー

2006-06-13 15:39:29 | ひらきよみ(読み聞かせ)

 先週の金曜日は、今学期2回目の読み聞かせ当番の日でした。行ったのは、4年生のクラス。はい、娘が居るところです。

 「来てもいいけど、私の知らない本を読んでね」

 最近、娘からはそう言われているので、本選びも難しいし、家での練習もとってもこそこそ行っています。今回は、とくに厳しい状況でした。先週の月~水まで、風邪をひいて娘は学校を休んでいたので、ずっと家に居るんですもの。

 そんな中、私の選んだ絵本は、この本です。


おまたせクッキー
『おまたせクッキー』

 パット・ハッチンス 作
 乾 侑美子 訳




 一度くらい手にしたことがあってもよさそうなのに、今回の本探しで図書館で出会うまで、私自身も読んだことがありませんでした。(題名は知っていましたが‥)

 ほんとは、長新太さんが絵を描いている本で、今まで見たことがなかったものを、1ヶ月くらい前に「ひとめぼれ」して買ったので、その本を読もうかなと思っていたのです。そしたら、新パートナーのOさんが選んできた絵本も、偶然、長さんの絵本で‥でも、タイトルがあまりにも素敵なので、それを読んでもらいたく、自分の方を変更したわけなのです。

 
『うみのしっぽ』  内田麟太郎 文  長新太 絵

 ね、素敵な題名ですよね。
 川をこちょこちょとくすぐると、大きなさかなが、ひょいと飛んでくるんです。しっぽをいじられると、海がくすぐったがる、ということなんですよ~。たしかに、川と海は繋がっていますものね。内田さんらしい、スケールの大きな話です。

 
 さて。

 『おまたせクッキー』のほうに話を戻します。原題は『THE DOORBELL RANG』。ビクトリアとサムの兄弟が、お母さんが作ってくれたクッキーを、おやつに食べようとしていると、玄関のベルが鳴って、誰かがやってくる‥というお話です。 

 当然お母さんは、 「ちょうどよかったわ。いっしょに おやつをたべてって」 とやってきた子どもたちを迎え入れます。
 初めは、兄弟ふたりで、6枚づつ食べることができたクッキーが、トムとハナの出現により、いっきにひとり3枚づつに。そこにまた玄関ベルが鳴り、また2人お客様が増えました。

 「みんな 二つずつだ」

 
サムがすぐに一人あたりの枚数を数え直し、お皿を配ります。キッチンでは、ポットとおなべから湯気がではじめ、子どもたちの靴で汚れた床を拭くために、お母さんはモップを動かし続けます。

 ついには、テーブルは子どもたちで埋り、クッキーもひとり1枚づつに。

 
また ベルが、ピンポーンー

 
ピン ポーン!

 こどもたちは、自分のお皿の上のクッキーをただひたすら、見つめています。席を立って、こっそり誰が来たのかを確認したサム以外は‥。
 サムはドアの向こうに、たくさんのクッキーを抱えたおばあちゃんの姿をきっと目にしたのでしょうね。だから、お母さんが、「あなたたち、いまのうちに クッキーを たべちゃったら?」と言ったときも、 「いいよ、まってる」 と答えたのです。

 
 繰り返しのフレーズや、決まり文句は、絵本の「定番」で、小さい子でもすぐに、絵本に溶け込んでいくことができます。
 この『おまたせクッキー』も、キッチンという限定された舞台に、次々と人物が増えていき、自分が食べられるクッキーの数が、逆に、減っていくという、繰り返しのおもしろさを楽しむ絵本なので、低学年でも、十分についていかれる内容だと思います。(でも、ほんとにおもしろさがわかるのは、12÷4=3が、すぐに頭の中に思い浮かぶようになってからかもしれませんが)
 
 でも、それを「あえて」4年生のクラスで読んでみたのは、ベルが鳴り、人が増え、クッキーが減り、の状況の行き先を、どれくらい想像で楽しむことができるかなあと、思ったからです。
 1ページを読み終わってから、ページを繰るまでの時間もたっぷりとり、特に、ベルが二度続けてピンポーンと大きく鳴る場面では、「間」を意識して読んだつもりですが、どれくらい、私の読み方で、やってくる次の場面を思い描くことができたでしょうか‥。

 はっきりした色彩と、ビクトリアの家の黒い猫が、キッチンのいろんな場所から顔を出しているところなんかも、楽しい絵本です。

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うちにもあった!ゴリラの本

2006-06-12 15:28:11 | 好きな絵本
 絵本おじさん の、錦糸町olinas(オリナス)での、イベントが近づいてきましたね。
 あさって、6月14日の水曜日です。先日このブログでも紹介しましたが、イベントの
一番肝心な部分が抜けていました。絵本おじさんの文面をそのままここに写させて
いただきます。


絵本おじさんが自転車にのってやってくるvol.2

もうすぐ父の日チャリティーイベント。

ゴリラとあかいぼうし読むよ、ギターもって歌うよ

そこで絶滅寸前のゴリラを救うための活動をする

ポポフのために募金してくれた人には

日本中の動物園で大人気のお菓子

ゴリラの鼻くそ プレゼント だ

どうだ~ これでもか~って感じですよ


 『ゴリラとあかいぼうし』
は、未読なのですが、でも、最近ゴリラの話をどこかで
読んだなあと思っていたら‥ 「おおきなポケット」2006年6月号で、『ゴリラとあそんだよ』
を読んだばかりだったのです。
 
 目次をみたら、 絵 あべ弘士
           文 にほん語 あべ弘士
              ゴリラ語 山極寿一

 となっているではありませんか!

 ああ、ゴリラ語といえば、やはり山極寿一さんなのだ、と深く思ったしだいです。

 
 おおポケの『ゴリラとあそんだよ』のにほん語と絵は、あべ弘士さん。たくさんの動物に
関する絵本や、絵を手がけていらっしゃいますが、うちであべ弘士さんの作品といえば、
「かがくのとも2003年1月号」の『どうぶつすごろく』なんです。80㎝×90㎝くらいの
大きな紙の両面が、すごろくゲームになっているという優れもので、「ちきゅうめぐり
どうぶつすごろく」と「みんないきてるどうぶつすごろく」の2つが楽しめます。コマの絵も、
もちろんすべてあべ弘士さんによるもので、サイコロには、ゴリラの絵がついてました。

 あー。ゴリラの話を書いていたら、本物のゴリラを見たくなってきました。
上野動物園にももう長いこと行ってないので、久しぶりに行ってみようかな‥。

ゴリラとあかいぼうし

『ゴリラとあかいぼうし』

山極寿一 作
ダヴィッド・ビシームワ 絵

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最後のごちそう

2006-06-09 15:32:47 | 好きな絵本
 ハリー・ポッター最新刊、お読みになりましたか?私は、今週の日曜日に2度目を
読み終えました。
 訳者であり、静山社の代表でもある、松岡佑子さんは、この第6巻の翻訳中に
ご両親を亡くしたそうです。

 完成した七冊を供えるべき人間が、これで三人になってしまった。夫と父と母と。


 本文の最後でも、そっと涙をぬぐいながら読み、あとがきにきても、また涙が出るのを
こらえなければならず‥でした。松岡さんは、お父様の最後は、第1巻『ハリー・ポッターと
賢者の石』
のダンブルドアの言葉を思い出させてくれた、と書いています。

 「‥‥死とは長い一日の終わりに眠りにつくようなものだ。結局、きちんと
整理された心を持つ者にとっては、死は次の大いなる冒険に過ぎないのじゃ」


 きちんと整理された心

 
来るべき「その時」に備え、ほんとうに「その時」がやってきても、畏れずに騒がずに、
悲しまずに、静かな心を持つことができるのでしょうか‥修行の足りない私なんかは、
想いを巡らせてみることはできるけれど、まだまだ心の中は雑然としたままですが。

 絵本の中に、整理された心を持った人(人でいいのかな?)を見つけました。
  
ぶたばあちゃん

『ぶたばあちゃん』

 マーガレット・ワイルド 文
 ロン・ブルックス 絵
 今村葦子 訳
 
    

 私がこの本を知ったのは、1ヶ月くらい前のkayoさんのブログ「マトリョーシカな日々」で、
紹介記事を読んだからです。どうしても読んでみたくなり、図書館で予約し、やっと借りる
ことができました。

 原題は『OLD PIG』。孫娘と、おばあちゃんのお話です。

 長い間、日々の仕事を分け合ってきた二人。しかし、ある朝、ぶたばあちゃんは、
ふだんどおりに起きてきませんでした。 
孫娘は、いつもは二人でやってきたことを、
自分ひとりでこなしていきます。

 つぎの朝、 「きょうは、いそがしくなるよ」おばあちゃんはいいました。
「わたしは、したくをするんだからね」

 
ぶたばあちゃんは、借りていた本を返却し(もうつぎのぶんは借りません)、銀行へ
行って口座を閉じ、食料品店、電気代、八百屋さん、燃料屋さんの支払いを済ませ、
残っていたお金を孫娘のさいふにしまいます。

 何がおころうとしているのか、おばあちゃがどこへ行くのか、とっくに気がついている孫娘は、

 「ええ、あたしは泣かない。約束する」孫むすめはいいました。でもそれは、
うまれてからいままでで、いちばんむずかしい約束でした。

 ぶたばあちゃんは、少しも畏れずにすべてを受け入れ、次への階段を昇っていくために、
今までの場所(=今居る場所)の片付けをしていくわけです。
 自分のしてきたこと、自分の使っていたもの、自分の所有していたもの‥それらのすべてを
自分の思うとおりに片付けてから、整頓してから、誰かに譲り渡せてから、旅立てる人が、
今いったい何人いるでしょう。伝えたいことさえ、伝えられず、会いたい人にも会えず、
誰に自分が会いたかったのかさえ忘れて、逝ってしまう人がどれだけ多いことか‥。

 きちんと片付けも済ませたぶたばあちゃんは、さらにこう言います。

 「さて、それでは」ぶたばあちゃんがいいました。「ごちそうにしようかね」
 「食欲がでてきたの?」とつぜん希望にみちて、孫むすめがききました。
 「食べものが、食べたいわけじゃないんだよ」ばあちゃんがいいました。

 
食べものでなく、ぶたばあたちゃんが望んだ「ごちそう」とは何だったのでしょう?
 あそらく最後の日となるその日を、「満たしてくれたもの」は‥

 ほんとうに、生きるために必要なことは、こういうことなんだ。最後の時間、最後の1日は、
こんなふうに暮れていくべきなのだ、そう思わずにはいられない素晴らしいラスト数場面が、
この後ページを繰るとやってきます。

 一夜が明けて、池のそばに佇んでいる孫娘。その脇いるのは、おばあちゃんではなく、
一羽のあひる。空を見上げた彼女の顔に朝陽があたり、静かでありながら、それはどこか
誇らしげであるように思えます。

 ぶたばあちゃんも、次の大いなる冒険 の一歩を踏み出したのでしょう。



 作者マーガレット・ワイルドとロン・ブルックスのコンビといえば 『キツネ』 がありますね。
絵の感じもお話もちがうので、同じコンビの作品だとは、気がつきませんでした。
『キツネ』。何ヶ月か前に読んだのですが、あまりに考えることが多くて、紹介することが
できませんでした。またいつの日にか‥キツネ


 
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ひとりじゃさびしかろうはどこから来るのか

2006-06-08 15:41:49 | 好きな絵本

 今、旬のくだものはなんでしょう?

 私はアメリカンチェリーが大好きなので、6月になると、八百屋さんの店先で、
スーパーマーケットの果物コーナーで、アメリカンチェリーが、グラムいくらで
売っているかに、目を光らせます。

 今日もさっそく買いに行ったのですが、売っていたのは「さくらんぼ」。なので代わりに、
目玉商品のキウイフルーツを買いました。9個も入っていて、198円(税込み価格)!なんです。
 たぶん、途中で飽きてしまうので、初の試み「キウイジャム」にしてみようと思いました。

 だって、この絵本を読んだばかりなんです。

        キウイじいさん(クレヨンハウス)


       『キウイじいさん』

        渡辺茂夫 文
            長 新太 絵

   キウイのすきな じいさんが、
   キウイのなえを いっぽんかって、
   にわにうえた。

   「キウイ はよう みをならかせ」と、
   まいにち みずをやっていると、
   キウイのなえは、ひょろひょろのびて
   はをしげらせたけれど、
   はなが ひとつだけ ぽちりと さいて、
   ぽろりと おちただけ。

 
植物を栽培したことがある人なら、この気持ちよくわかりますよね。毎日水をあげながら、
心の中で、ついつぶやいてしまうはず‥です。

 さて。キウイも交雑受粉をしないと実がつかない植物だということを、この絵本を読んで
初めて知りました。そもそも「交雑受粉」という言葉さえ、お初で。

 先日ブルーベリーの苗を買ったとき、同じ系統の別の品種を一緒に育てると実がよく
つきます、と説明がついていたのは、この「交雑」のことだったんだなと、自分の中で合点!
となったしだいです。

 絵本に戻って。

 「じいさん、一本だけではいくら水をあげたって、一生実がつかないよー」と思っていたら、

   じいさんは、つぎのとし、
   キウイも ひとりじゃ さびしかろうと、
   もういっぽん なえをかってきて、
   ならべてうえて、

 うんうん、よかった、もう1本買ってきてくれて、と安心しました。

 キウイも ひとりじゃ さびしかろうと 
 このひとことが、このあってないような「理由」が、私はとってもいいなあと思っています。

 私は、おばあちゃん子でしたから、理詰めではない、こういいもの言いにとても慣れて、
いや、馴染んでいます。植物だから、寂しいなんて感情はなく、受粉するために必要不可欠
だった、が正解なんですが、ひょろっと伸びている苗が風に吹かれたりなんかしているのを
みると、それはやっぱり「寂しそう」に見えたりするし、もう1本、隣になんか植えてやろうかねえ、
というのが人間の情、というものです。

 お母さんに叱られたときも、学校でいやなことがあったときも、転んで血がでたときも、
「〇〇ちゃんは、わるくないよ、〇〇ちゃんはわるくない」
 なんで泣いているのか、すねているのか、おこっているのかの理由はともかく、いったん
脇に置いて、理屈抜きに、私を肯定してくれたおばあちゃん。泣くだけ泣いて、背中を
さすられているうちに、またその「理由」に向き合ってみよう、という勇気がわいてきたような‥
今思えばそんな気がするのです。

 大きく話はそれていきましたが、ひとりじゃ さびしかろうと の気持ちは、
「理屈抜きの大肯定」にもどこかで繋がっているようで‥大切にしなければ、
大切にしていきたい気持ちのうちのひとつです。

 
 無事、交雑受粉できた、じいさんのうちのキウイは、じいさんの気づかぬうちにどんどん
大きくなっていき、

   キウイの すきな じいさんは おおよろこび。
   「はよう うれよ、うれたら もいで、
   はらいっぱい くおう」と、
   キウイのりょうりを かんがえた。

 
じいさんの考えたたくさんの料理の中に、キウイのジャムもあったんです。


 
 ここからは余談ですが。

 この絵本が発行されたのは、昨年の11月。そう、長新太さんが亡くなられた後です。
 入退院、家での介護の末、昨年9月に私も父を亡くしたばかりだったので、本文なかほどに
出てくる「ベッドの上のおじいさんのパジャマ姿」に敏感に反応してしまい‥。
書店でこの絵本を見つけ、ページをめくっていくうちに、とてもつらい気持ちになったのを
よく覚えています。
 それから、9ヶ月という時間が流れ、今は、そう感じた自分の気持ちを「思い出」の
カテゴリーに入れることができたようです。図書館で見つけた時も、もう動揺しませんでした。

 長新太さんは、この絵本でキウイを描くにあたって、こうあとがきで述べています。

「どんな枝ぶりなのか、どんな葉なのか、そのへんのところがわかりません。
そういったことがわからないと、描けません。マンガふうだから、いいじゃないかと
思われるかもしれませんが、なんだか不安なのです。結局、伊豆の知人の家で発見。
クネクネしたつるを帽子のように頭にのせて、急いで帰宅したのでした」

 ほんとに頭に乗せたのかな、乗せたのだろうな。急いで家に戻って、仕事場にこもり、
一生懸命描いたのだろうな、傍らにキウイを置いて。そのときは、お体の具合は
どうだったのだろう?

 ついつい、またそんなことを想ってしまうのでした。
  

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