本日のガレージスタジオブログで、「完全なジャケ買い」の話を
店長が書いていましたが、そういう意味では(完全さにおいては)、
決して負けていないこちらの表紙。
この絵だったら、たとえ作者が誰であったとしても、読みたくなりますよね。
おまけに題名は『最果てアーケード』
どこかの遠くのまちの、アーケード。そうお店屋さんってことです。
これだけ惹かれる理由が揃っていて、そして肝心の作者は小川洋子さん。
どきどきの読書タイムでした。
恐ろしいほどひそやかで、時間が流れているのか、止まっているのか、
わからない空間に、そのアーケードは存在し、映画館の火事で父を失い、
ともに図書室で時間を過ごした親友のRちゃんにあっけなく死なれてしまった
「わたし」は、愛犬とともに、アーケード内の店主に頼まれて、大切な「商品」を
そっと胸に抱き、それを必要としている人の元へ今日も届けます‥。
持ち主がいなくなった服から丁寧にはずされたレースを売る店。
剥製の動物の眼を作る義眼屋さん。
紙ものを扱うお店には、使用済み絵葉書が、勲章屋さんには、
新品だけでなく、むろんどなたかが貰い受けた勲章がケースに並び、
繁盛しているというドーナツ屋さんでさえ、なぜかざわめきは感じられず、
子供だった愛犬「べべ」だけが、おはなしの最後には老犬になっていることで
かろうじて時が流れていたことを、読み手は知ることができるのです。
広いセカイのどこかにはこういうアーケードがあるかもしれない、と
思いを巡らせると同時に、そっとふたを開けてみた手のひらの中の箱に、
なんだやっぱりこれが入っていたのだ、と、懐かしいものを発見したときの
安堵感にも似たためいきが、本を閉じたあとにそっと口から洩れました。
昨日は、小学校の読み聞かせ当番の日のでした。
ペアさんとともに、3年生のクラスへ行きました。
まずペアさんがこちらの絵本を読みました。
お布団の模様からも感じ取れる通り、韓国の作家さんの絵本です。
中ほどで、新しい別々の毛布(というより、布の中に綿を入れて作ってもらうので
薄いお布団って感じですが)を作ってもらえることになり、それぞれ選んだ布を
たらいに入れて、足でちゃぷちゃぷ踏んで洗うところの絵が、とても新鮮でした。
4分くらいの短い絵本だったので、もう1冊。
こちらは、表紙を見せて、題名言ったとたんに、うしろの方の男子が
背伸びして見てました。
男の子は特に好きそうなはなしです。
微妙に科学絵本っぽいなあと思って聞いていたら、
からだのしくみについて楽しく学べる、絵本「すごいぞ! ぼくらのからだ」シリーズ
の、3作目だそうです。こどもの骨は大人より多くて、260本以上あるって(たしか)
言ってました。
突然だけど、骨って何本あるか知ってる? とかの、会話をはさんでも
よかったのかなーと、思いました。
そして、3冊目で私が読んだのはこちら。
図書館の、「こどものとも」のバックナンバーの棚から見つけました。
2014年6月号です。
まげすけさんの仕事は、髪結い。
家に帰ると、必ず家の道具に話かけます、こんな具合に。
「しょうじさん、いつも あけたり しめたり ごめんなさいよ。
げたさん、るすばん ごくろうさんだね。
あんどんさん、いま ひを いれますよ」
食事の時も、同じようにおひつやしゃもじに話かけ、
「おまえたちも くちが きけたら いいのにねえ」 と いうと、
翌朝、なんとしゃもじが起こしてくれるではありませんか!
だんなさまが いつも おいらたちを かわいがってくださるんで、
きょうから じゅんばんに はなしあいてを させていただきやす
こうして毎日順番に道具をひとつづつ連れて仕事に行くうちに、
たちまち町の評判になるまげすけさん‥。
噂が広まると、それを聞きつけて悪いことをしようと企む人が居るものですが、
あるとき、道具たちは見世物小屋をとりしきるわるべえたちに奪われて
しまいます。
お話のポイントは、「道具たちはまげすけさんが話しかけたときしか喋らない」
ということで‥最後はめでたしめでたしで、おわりです。
活劇調で、江戸のべらんめえ言葉が、読んでいてちょっと癖になる(笑)
楽しいお話でした。
3年生という学年は、こどもが一番子供らしさを発揮できるときだと、
だいぶ以前に聞いたことがありますが、昨日の教室でも、後から読む私が
教室の後ろの方に座ると、前に居た男子がまわりの友達をつっついてそれを
教え、ちらちらと私の方を見てにやにやしていました。
そして、なぜかそのあたりの数人の男子、手には三角定規を持っていました。
ビニールケースに入ったままでしたが、なにかの暗号か! 笑。
次は何年生のクラスかな。楽しみです。
本日の東京方面、今年はじめての真夏日となりました。
この春のテレビドラマ『精霊の守り人』をきっかけに、未読だった
守り人シリーズを読み始めました。
早くも夏到来!のような昨日、そして今日は、『虚空の旅人』で描かれる、
サンガル王国の大海原がとても恋しく、時折窓から入ってくる風に、
珊瑚のような王宮を吹き抜ける風を重ねてみたりしています。
サンガル王国の都は「珊瑚のような都」だとか「海にうかぶ宝石」だ、
などと評されているが、じっさいにみなければ、このうつくしさは、万言を
つくしてもつたわらないだろう。‥中略‥
王宮は、街をみおろすように、海へつきだした岬の上につくられているのだが、
その岬は、上からみると、まるで珊瑚のように複雑に枝分かれして、海の上に
ひろがっているのだ。
しかも、その岬を形づくっているのは、いったいなんという種類の土なのか、
かすかに桃色がかった白い土なのである。その上にたちならぶ家々も、
まるで貝のように白い。
シリーズは、
『精霊の守り人』 『闇の守り人』 『夢の守り人』 と続けて読んでみて‥
バルサが25年ぶりに生まれ故郷のカンバルに戻った『闇の守り人』が
とてもよかったので、バルサが主人公の話をもう少し読みたくなり、
番外編短編集の『流れ行く者』を借りてみました。
10代の少女だった頃のバルサと、呪術師への一歩を踏み出す前の
タンダ。そして養父ジグロ‥。どの話ももっともっと続きを読みたい、
その話の中にもうすこし留まっていたい、と思わされるものでした。
手に触れることができるくらいに瑞々しくて、そしてどこか懐かしい
4つのはなし。
嬉しいことに、未読のシリーズはまだまだあります。
バルサとタンダもこの先また登場するみたいだし、
『虚空の旅人』では14歳の若き皇太子のチャグムも、成長し、
たくましい若者になっていくのでしょうねーとても楽しみです。
webでなんか検索すると、次々に関連商品をすすめられますよね。
『世界のだっことおんぶの絵本』というのを、みたあとに、すすめられた
絵本の中にこんなのがあって。
内容も面白そうだけど、なんかこの絵、好きかも~と思って、
イラスト描いたエミリー・サットンさんを調べたら‥。
なーんだ、なんだー。
去年のクリスマスに買おうかどうか最後まで迷ったこの絵本↑や、
2月に買った、この絵本↑の絵を描いた人でした。
なあんだ、わたし。
先週の金曜日から、今年度の小学校での読み聞かせが
始まりました。
初回は、ペアさんと6年生のクラスへ。
最初にペアさんが五味太郎さんの、この絵本を読みました。
選書段階でメールをいただいて、初めてこの絵本のことを知ったので、
どんな内容なのか、とても楽しみでした。
ももたろうは有名だけどさあ、ももたろう以外にだって、知られてないだけで、
「きゅうりたろう」や「りんごたろう」だって、居たかもしれないじゃない?
と、話を運んでくるあたりの、五味太郎節(?)に、思わず頬がゆるみました。
そのあとも、一見そうみえたかもしれないけど、本当は違うかもしれないよ。
鬼がわるものだって、誰が言いきれる?話してみたら意外にいいやつかもよ、と
「だれもが知ってる」ことに、次々とゆさぶりをかけてくるかと思えば、実は
異文化交流ともとれる内容だったことに気がついたりもして‥。
興味深く、面白い絵本でした。
(6年生だったら、そのあたりのこと察しがついたんじゃないかな。)
私は、GW中に偶然見つけたこの絵本を読みました。
表紙に描かれている「しろいひと」がかみさまで、前に居るのが
「ぼく」。本文中では「わかもの」と呼ばれています。
人によっては、こういうとりとめもない姿をしていて、こんなフレンドリーに
話しかけてきて、水の上を歩くことはできるのに、泳げなくて、
宙に浮かぶことはできるのに、木に登ることもできない神様なんて、
と思うかもしれません。
姿かたちを変えて見せるのが大好きな「かみさま」は、うさぎになったり、
カウボーイ風になって見せたり。
ゴリラをわかものが怖がると、大急ぎで、「ぼくのとうさんそっくり」な男の人に
なってわかものを安心させます。
そんな優しい「かみさま」に、わかものは
「うちに オムレツを たべに こない?」と さそいました。
アサツキをちょっぴりいれた、大好きなオムレツを作って食べたあと、
わかものは
「いい てんきだね。ねえ、ぬままで およごうか?」
この、「かみさま」との対等な感じ、私はとても新鮮に感じました。
ゆうひが ゆっくりと しずんでいきます。
わかものは きから、かみさまは くうちゅうから おりて、
いわに こしかけました。
「そなたも そらを とんでみたいかな?」と かみさま。
「ううん、ぼくは みずの なかを およげるほうが いいや」
それから ふたりは ながいこと、
それぞれの すきなものに ついて はなしました。
やがて かみさまは、ほしの またたく そらを みあげて いいました。
「そろそろ かえらなくては。 つまが まっているからね」
不思議なことに(いや神様だったら不思議じゃないかも)、「かみさま」は
わかものの名前を知っていました。
変身した時も、わかもののおとうさんそっくりな男性になったし、もしかしたら
天国に居るお父さんが、かみさまとなって、わかものの様子を見に来たの
かもしれない‥そんなふうにも読み取れるお話です。
「ももたろう」のあと、真剣にお話を聴いてくれていた6年生は、どんなことを
思ったのでしょうね。
いろんなことを思いながら、いろんなことを楽しみながら、今年度も
小学校の図書ボランティア(読み聞かせ)、がんばっていこうと思います。
5月13日 6年 「あるひぼくはかみさまと」
5月27日 3年 「まげすけさんとしゃべるどうぐ」
6月10日 5年 「ちいさな ちいさな めに みえない びせいぶつのせかい」
6月17日 1年 「ぶたのたね」
7月15日 2年 「ぶたのたね」
「たろうめいじんのたからもの」
「だめよ、デイビッド!」
9月9日 4年 「こかげにごろり」
「おしゃれなクララとおばあちゃんのぼうし」
9月16日 1年 「ばばばあちゃんのなぞなぞりょうりえほん むしぱんのまき」
「14ひきのおつきみ」
「だめよ、デイビッド!」
10月14日 2年 「にているね!?」
「りすでんわ」
10月21日 4年 「かにむかし」
「どうぶつにふくをきせてはいけません」
11月11日 2年 「トリとボク」
「のねずみもんのつくったものは」
「どうぶつにふくをきせてはいけません」
11月18日 3年 「とぶ」
「どんぐりかいぎ」
12月9日 1年 「わたし クリスマスツリー」
12月16日 3年 「しんせつなともだち」
「ちいさなもみのき」
1月20日 5年 「なんでも見える鏡」
2月10日 4年 「ももたろう」
「てぶくろ」
2月17日 5年 「300年まえから伝わる とびきりおいしいデザート」
「だめよ、デイビッド!」
3月10日 6年 「アボカド・ベイビー」