my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

2023年6月 読書の記録

2023-07-28 16:58:31 | 好きなもの・音楽や本

6月に読み終えた本は3冊でした。


原田マハさんの本は美術館や画家を題材にしたものが
好きで、そればかり読んできましたが、友人が
「あまりに良すぎて、借りて読んだあとに結局購入した」
と言っていたので、それならばと‥。



スピーチライター という職業、初めて知りました。
物語の設定がオバマ元大統領が最初に当選を果たす前くらい
だったので、記憶にも新しいし、リアリティも感じられ、
主人公周りの設定のちょっとした違和感を埋めてくれました。
(主人公のおばあちゃんが高名な俳人とか、幼馴染の
父親が有名な代議士とか‥まあ、代議士が出てこないと、
スピーチライターの話は展開していかないのですが‥)

マハさんの作品、前半の盛り上げりのわりには、後半は
わりとあっさり、というか、もう少し続きがあったら、と
思うことが何度かあったのですが、美術関連や歴史に
関係ない今回のような物語は、そのあっさり加減が
ちょうどよいな、よい終わり方だったなと思いました。






図書館でなんとなく棚を見ていたら‥どなたかが以前に
面白かったと言ってたのは、この本だっけ? となり、
借りてみました。


美しい古本屋の店長さん、その名も栞子。
普段は人前で話すのはとても苦手なのに、本に関連したこと
だと別人のようになって、鮮やかに「謎」を解き明かして
いく‥。続きも何冊かあるようなので、また時間をおいて
借りてみよう思いました。





作者の名前になんか引っかかって‥なんでだろう?と
考えたら、5月に観た『流浪の月』の方の作品でした。



出だしはそれほどでもなかったが、途中から‥各章に
付けられたタイトルと呼応する箇所があると気が付いてから、
どんどん引き込まれていきました。

たとえば。
「あの稲妻は」は、茨木のり子詩集の中のこんな一節。

けれど歳月だけではないでしょう
たった一日っきりの
稲妻のような真実を
抱きしめて生き抜いている人もいますもの

「ロンダリング」は、何だろう、何を意味しているか
わからない、と思っていたら。
マネーロンダリングとか、洗濯渦の、laundering のことで、
たしかに元カレと別れた直後はまさに「渦中」だったと
わかり妙に納得。


マンションの屋上にある神社を管理しながら、元妻の
忘れ形見を引き取って暮らす統理と、友人でゲイの路有。
マンションの住人の桃子さんや桃子さんが好きだった坂口君の
弟の基‥。フツーとは少し違う、緩いつながりの中で、
それぞれのココロが無事を取り戻していく‥

本文中にあった「無事を取り戻す」。
心が平穏とかよりも、しっくりくるし、いつでも自分の
ココロは無事で居てほしい、と思い、面白くてよい本を
読んだなあという気持ちになりました。
こういうゆるい疑似家族の話、好きだなと思いながら。


とても好きな箇所、忘れたくないので、ここにー。

なにかを捨てたからといって身軽になれるわけじゃない。
代わりになにかを背負うことになって、結局荷物の
重さは変わらない。
だったらなにを持つかくらいは自分で決めたい。












コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023年6月に観た映画

2023-07-25 17:28:58 | 好きなもの・映画やDVD

6月は映画館に3回、ライヴにも2度行き、
楽しくて忙しいときを過ごしました。


♬    ♬    ♬



劇場版 優しいスピッツ a secret session in Obihiro

以前WOWOWで放送されたときに何度も観たし、
録画もしてあるのですが、やはり劇場で観るのは格別でした。
スピッツのコンサートツアーに合わせて、日本各地の
映画館で順次公開というしくみになっていて‥。
私と娘はTOHOシネマズ日本橋で、プレミアムシートを
わざわざ購入して臨みましたよ。
すぐそばで、自分のために演奏してくれているような
錯覚に陥るというレビュー通り、幸せな時間を過ごしました。




  @MOVIX川口

この映画もスピッツが主題歌を担当しているので、公開を
待って娘と観てきました。
コミック原作とのことですが、まるで内容は知らず‥
でも、広瀬すずさん、きれいな大人の女性になったなー、を
堪能しました。劇中で使われている小物(服や部屋の中の
置物など)も好きな感じで‥そうだよね、細部を描き込むことは
大切だよね、と思いました。

ちょっと年の離れた主人公二人の、これから始まる恋の予感、
の裏側には両親のかつての不倫関係が大きく影を落としていて。
その「両親側」に(年齢的にね)、自分は居るんだな。
こんなふうに子どもに苦しみを背負わせてしまうことに
なるんだなー(くわばらくわばら)と思ってみたり。。






  @ユナイテッドシネマ浦和

近くのMOVIXでは時間が合わなかったので、
久しぶりにひとりで浦和へ。

予告を観て気になっていたのと、坂本龍一氏による音楽を
映画館の広い空間で聴いておきたいと思ったので。

ひとつの事柄を別の視点から見ると、浮き上がってくる
ものがあると同時に沈んでしまうものもあって。
人は自分の見たいことしか見ないし、聞きたいことに
しか耳を傾けないから‥。思い込みの中で、気が付かない
ふりをして生きていきたくはないけど、そういうふうにしか
守れないものもあるのかも‥。

印象的な場面はいくつもあって。
なぜ家に帰るやいなやミナトが髪を切り始めたのかー。
ブタの脳ってそういう意味だったのかー。
なかでもトロンボーンとホルンを吹き合うシーンは
この映画のタイトルを象徴しているようで、とっても
よかった。。。

思春期入口に立っている少年のココロと体はあまりにも
デリケートで、映画の終りが近づくにつれ、どうか
死なないでとそればかりを祈ってました。
嵐のあとに、突然10年後の二人が現れて、仲の良いまま
大人になっていてくれたらなーと。








@WOWOW

地味に(私の中の)伊坂ブームは続いてて、
映画化作品があると、やはり観ておきたい気持ちになって。
原作は『フィッシュストーリー』という短編集の中の
「ポテチ」という中編小説。

同じ年、同じ日、同じ街(仙台)で生まれたプロ野球の
スター選手「尾崎」と、空き巣を生業とする凡人の「今村」
そして伊坂作品ではおなじみの、黒澤がここでも登場し、
いったいこの話はどこに向かっていくのだろう?
なぜポテチ?と思いながら、小説を読んでいたことを
思い出しながら映画を観ました。

伊坂作品の映画常連者の濱田岳さん。この作品での
「今村」役がいちばん私の中でしっくりきました。
木村文乃さん、石田えりさんもよかったな。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

はちうえはぼくにまかせて わたし

2023-07-15 12:22:01 | ひらきよみ(読み聞かせ)

7月14日金曜日は1学期最後の読み聞かせ当番でした。

自分のこどもが卒業してしまうと、「学期」で
1年を区切っていくことがなくなるので、たまに
新鮮に感じます。。。

この日は3年生のクラスで、2冊読みました。

最初は決まっている「届ける絵本」


貰ったのか、古本をどこかで手に入れたのか
経緯は忘れてしまったのですが、気が付いたら家にあって。
すこし前にサブ本として、5年生のクラスで読んだことが
ありました。


絵本(のおはなし)は、表紙の絵から始まっていることが
わりとよくありますが、この本はその「見本」のようで‥
表紙で、主人公のトミーが【げんきなはちうえよいしょくぶつ】
というタイトルの本を読んでいて、ページを開くと、
玄関の呼び鈴を押そうとしているところの絵があって、
まためくると、今度は見開きで、玄関から出てきたご婦人から
トミーが預かった(と思われる)鉢植えを両手に抱えている
絵が描かれています。
そして、次のページからやっと文章が登場‥。
(家でこどもに読んであげていたら、きっと、表紙から
適当におはなし付けて楽しんだだろうと思いました。)

1950年代後半~60年代のアメリカの暮らし。。
子どもの頃、『奥様は魔女』のテレビドラマに出てきたような
服を着ていたり、家具があったり‥で、個人的にはとても
興味深かかったです(笑)。

3年生は、植木を預かることでお金をもらう、という発想に
すこし驚いているようでした。日本ではこういうアルバイトの慣習、
ないですものねー。


7~9分くらいで読み終わってしまうので、他のクラスへ行った方も
皆サブの絵本を用意していました。私はひさしぶりに、こちらを
読みました。


『はちうえは~』を知っている子はひとりしかいませんでしたが、
『わたし』知ってる人?と訊いたら、半分くらいの子が反応して
ました。もっと下の学年か、あるいは幼稚園の時などに読んで
もらったことあったのかな。

きりんからみれば「ちび」
ありからみれば「でか」

のところが、やはり一番受けてました。
(いつどこで読んでも、たいていこの箇所で皆笑います)



小学校からの帰り道、私の「わたし」をひとりでやってみました。

わたし

むすめから みると おかあさん(ママ)
いもうとから みると おねえちゃん

‥という具合に(笑)。

固定されない、いろんな私が居るといいなと思いながら。。。








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023年5月 読書の記録

2023-07-06 17:10:12 | 好きなもの・音楽や本

5月に読み終わった本は2冊。

職場の人イチオシということで、早く読んで感想を
言わないと‥と思っていましたが、『街とその不確かな壁』
にどっぷり浸っていた
ので、なかなか開くことができず。

ストーリーはどんどん進んでいくので、面白いといえば
面白い‥のかな。
が、正直な感想。(街と~のあとにどんな本を読んでも
これは面白いのかな??と思ってしまうに違いないので)

大きな疑問点はこの表紙。これはいったい何かを暗示?
していたのでしょうか‥。ちなみに「小麦」は主人公の
名前で、職業は弁護士。






友だちがインスタで紹介しているのを読んで、すぐに
図書館で予約して借りた本。
私が卒業した大学にも美術学科があり、変わっている人たちの
宝庫のような学部内でも、特に美術学科の方々は目立っていた
ような‥? 「美術学科っぽい」って言われたことがあって‥
その時はなんか嬉しかったな(笑)。

あとがきによると‥。
この研究室は実在のもので、そこを取材しレポとして本に
することもできたが、「あえて」小説のかたちにしたとのこと。
(もしレポだったら私は手にしてなかったかもしれないので、
小説でよかったです)

なので4人の主人公に纏わるあれやこれやはお話の中のこと
ですが、「仏様」に関することや、その修繕方法などは
すべてほんとうこと。

自己主張こそ命的な芸術大学なので、「あえて」仏様の修繕を
しようなんて思う学生は希少中の希少なわけで‥4人それぞれの
背景(背負っているもの)がとても興味深く、そしてそもそも
この研究室を立ち上げた教授が、その4人が卒業するときに
贈ったスピーチに打たれました。

命のバトン同様、芸術品の価値を認め、同世代で最高の知性と
技術をもって、そのバトンを次世代にわたす。それがここに
居る君たちの役目なんだ‥。

今度から、仏像を観るときにこれは何時代に、どんなふうに
作られたものなのかなーとか思って、じっくりよーく見てみよう
と思いました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする