時間がうまく合いそうもないから、とか、
元気だったころを見ると、今はもういないことを思って寂しくなってしまうから、と
無理やり理由をくっつけて、行かれないことを正当化しようとしていたなーと
この映画が始まった瞬間に思いました。
正当化っていうか、正確には、逃げようとしていたのかも、とも。
忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー the FILM ~#1入門編~
ぽつりと言われたひとことが、とても核心をついていたり、
忘れられない言葉になったり、とても有効なアドバイスだったりする友が居て、
今回もその友が、もうひとつのブログのコメントに書いてくれました。
「清志郎の映画、絶対に見るべきですよ(笑)。
大画面、大音量で見るロックンロールーショーは、格別なもので、
映画館で見ることに意義があります。」
ほんとうにそうでした。その通りでした。
素直に信じて、「逃げなかった」自分でよかったと思いました。
1980年代の日比谷野音や武道館のクリスマスコンサート‥
懐かしかったです。
これってもしかして私(たち)が行ったときのかも???
そんな気持ちで観てました。
どんな衣装で、どんな曲歌っていたか、精一杯思い出そうとしながら。
高校3年の時に「トランジスタ・ラジオ」(って曲)を教えてもらって、
それが入口で、そこから30数年の時間のいろんな場面で、時に熱心に
時にさりげなく(笑)、聴いてきました。
これからも、近づいたり離れたりすることはあるかもしれないけど、
忘れることは決してないときっぱり言えます。
キヨシロウというアイコンは、私の30数年の時間とともに、常に心の
デスクトップで光っているので。
それにしても、この映画、名曲揃いでした。
好きな歌たくさんあったけれど、完全復活祭の時の『君が僕を知ってる』は
特に、特に、よかったです。
チャボのコーラスの時の顔がね、ほんとに「君が僕を知ってる」なんです。
(そうそう、清志郎の30年間の変遷もいいけれど、チャボの移り変わりも
とてもいいです。やっぱりギタリストってカッコいいね~。)
それと、今回あらためて感じたのは、ホーンセクションが入っているバンド
だったんだなー、RCサクセションっててことです。若い時にはそういうことあまり
考えずに、清志郎カッコいいとか、歌が好きとかばかり思っていたけど、バンドとしても
すごくいいなあと、思いました。
もうそろそろ終わりだな、というときに、なんにも寂しさも感じていない自分を感じました。
観る前は、キヨシロウの不在を思って悲しくなるのでは、と思ったけれど、それは杞憂
だったわけです。
エンディング聴きながら、その理由を考えていて‥ふと気が付きました。
キヨシロウだけがなくなったわけじゃないというか、すべてのものはほとんど全部
なくなっていくのだということに。
すこし前に見た流れる雲も、朝焼けの美しさも、しっとりしたあかちゃんの手のひらも
ほっぺたの感触も、投げられたやさしい言葉も、笑いあった声も、今この瞬間に聴いている
音楽も、すべてのものがとっておくことなんてできないのです。
じゃあ私には何ができるのかといえば‥覚えておくことだけ。
そのためのアイコンでもあるのです。
それが目に入れば、思い出したいいろんなこと、忘れてしまいたくないあんなことを
いつでも思い出せるのです。