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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

いろいろなよる

2007-04-29 19:31:58 | 好きな本

 1か月半くらい前に、『飛ぶ教室 ほぼまるごと一冊 長新太』を図書館から借りていました。

 その中に載っていた数々の長新太さんの絵本の中で、とても気になったのが、この本でした。

 よる わたしのおともだち
  
    『よる わたしのおともだち』
      今江祥智 文  長新太 絵


 解説によると、この絵本の元版は、1969年。「黒の絵本」3部作だったそうです。

 子供のための絵本に「黒」。新鮮…というより冒険だったでしょう。その時のいきさつが、今江さんの文章でこんなふうに残されています。

 「カラーブック」と銘打ち、12人の作家と画家が、それぞれの“色”を受け持って物語を考え、絵をつけるーという企画だった。
 組む画家は、はなから長さんにお願いするつもりで、色も好きなブルーやホワイトをと思っていると、お前さんは一番若輩だから残ったものでやるんだよ…と先輩たちに言われ、オシマイに残った“黒”になった。
 -あのときはもう目の前がまっ黒になってしまって…。
 と長さんに呟かれたが、そこを逆手に取った発想が、かえってユニークな物語を生み出す力になった気がする。



 
なるほどなるほど。そういういきさつで生まれた本なのですね。
 だから、タイトルも、表紙の絵も、ぐっと引きつける強い力を持っているのでしょう。

 
 後ろ姿で描かれているのは、主人公のひろこちゃんと、ひろこちゃんちのネコのマリ。
 
 ひろこちゃんは、とっても早起きな女の子なので、夜もとっても早く眠ってしまい、夜がどんなものかよく知りません。そんなひろこちゃんに「つきあって」一緒に寝てくれるマリ。二人はとっても仲良しなんです。

 あるとき、ひろこちゃんは、にいちゃんに尋ねてみます。

 -よるって なあに?




 
この本を読んでいると、いろんな時の、いろんな夜の思い出が胸に広がります。

 まず、自分が小さかった頃の夜のこと。特に日曜日の夜…いつも見ていたテレビ番組が終わってもなかなか眠れず、とてもとても困ったこと。
 
 なかなか寝付けず、すぐに起きてしまう赤ちゃんだった娘のこと。それといつも一緒に思い出す、寝かせるのがとても下手だった母になりたてだった自分のこと…ふとんに寝かせると泣いてしまうので、一時期、ソファで抱っこしていて…新聞配達のバイクの音が遠くに聞こえてきたときは、なんだかせつなさを通り越して、「午前3時半は、夜中なのか、朝なのか」とぼんやりした頭で考えたこと。
 
 寝付きの悪い赤ちゃんは、そのまんま、なかなか眠れない子供になって…この夏初めての、臨海学校で「お泊り」があるのですが、どんな夜を迎えるのか、母としてはちょっと心配です。友達と笑い転げて、そのまんま眠れればいいけどね…。

 

 お話の中のひろこちゃんは、にいちゃんに聞いてもよくわからないので、かあさんにもとうさんにも、なかよしのまことくんにも、聞いてみます。それでもわからないので、自分で確かめることにします。

 ひろこちゃんが、出会った「夜」は、素敵でした。「早寝早起きのひろこちゃん」に戻れるかなと思うくらい。





 夜にも、いろんな「色」や、「におい」や、「肌ざわり」があると知ったのはいつ頃だったのでしょう。
 もう長い間、甘い夜や、しっとりした夜には触れていないけど、確か昔に、そんな夜もあったような…。

 季節がよくなって、月が輝いたりしていると、ふらふら夜の中を歩いてみたくなりますねえ。



 

 

 

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うれしいおひる

2007-04-23 15:46:21 | 日々のこと

 今日のお昼ご飯は、「家でひとり」なので、何を食べようかつらつら考えながら、でも本当は、もうあれを食べようと、心の中ではほとんど決めていたところに、郵便が届きました。

 ありました、ありました。うれしいうれしい、はねうたゆみこさんからの封筒です。

 開けたい気持ちをこらえて、昼までに買い物を済ますという予定の通りに、自転車をこぎはじめたら、なんだか風がうすら寒く感じられ…そして、昼ごはんに食べたいものが、唐突に浮かんできました。

 パスタ入りスープ。 

 こんな日はこれが食べたい、でも、あれと合うかな。


 あれというのは、写真左側の、バナナトースト。

 もう、みなさん知ってました? 完熟バナナをフォークでつぶして、トースト(8枚切り)にのせるだけなんですが、おいしいです。メープルシロップかけや、(まだ試したことないけど)粉砂糖を振って、再び軽く焼いたりなんかしても、さらにおいしいのではないでしょうか。

 もう10時頃から、今日のお昼はこれを食べようと思っていたのですが、これだけでもさびしいし、ほかはどうしようかなあ、なんか追加でお惣菜パンか、サラダとか買ってしまおうか、と思っていたところに、はねうたさんからの郵便が届いて…。それで、ちょっと時間をかけたものや、ほんとに自分が食べたいものを、食べようという気持ちになったのでした。

 はねうたゆみこさんが、じっくり時間をかけて、丁寧に描いた絵。それを贈っていただいたのに、その日のお昼ごはんが、手抜きじゃあ申し訳ないような気持ちと、ささやかでも何かあったかいものと一緒に、ポストカードを眺めながら、ご飯を食べたかったのでした。

 バナナトーストとパスタ入りスープ。どちらもおいしくてとても満足。外はぱっとしない曇り空だけど、気持ちとおなかはぽかぽかです。


 

  いちごサイダー

  
 ことり文庫日誌で見て、どうしても飲んでみたくなって作りました。こんな感じでよかったのかな。








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すこし晴れてきたかな

2007-04-19 13:52:16 | 日々のこと

 桜が散った頃から寒い日が続いています。
 
 白く丸い花の固まりが、枝の先の方から咲いてきたコデマリが、連日の雨に打たれて、だらーんと重そうに枝を投げ出していました。


 
 でも、ちょっと前からすこし晴れて、青空が見えるようになってきて、なんだか嬉しくなっています。




 この頃ずっと、夜寝る前には、ひらがな暦を読んでます。(はらぺーにょさんフラニーさん の両ブログで教えていただきました)
 
 その日のページだけを、ふとんの中で読んでいたのですが、眠ってしまえばもう「今日」は終わりになってしまうので、ゆうべからは、翌日のページを読むことにしました。そうすれば、やってくる「明日」がどんな日なのかわかるので、誰かに話してあげることもできるかなあって。

  ひらがな暦 三六六日の絵ことば歳時記

 

 娘と一緒には、この本を読んでます。 それ ほんとう?

    それほんとう?

 松岡享子さんが書いた言葉遊びの本に、長さんが、クレヨンの赤と緑色だけを使って描いた挿絵がついています。

 「あ」からはじまって、「わ」まであるので、結構読み応えがある本です。もう1ヶ月近く図書館から借りています。毎日ひとつづつ読んでいて‥昨日やっと「も」まで行ったので、終わりがみえてきたかなあという感じです。
 おもしろいし、読むのはちっとも嫌じゃないんですが、ちょっと難しい言葉とか、言い回しがあると、娘がいちいち聞くんです。その説明がね~。
 ゆうべは、「もはや」と「もっとも」あたりで、険悪なムードになってしまいました。

 こんな感じの文なんですよ。


     もうちょうでにゅういんしていた
     ものしりのももんがーが
     もうすぐ
     もとどおりになって
     もりからもどってくるというので
     もだんなもるもっとは
     ももいろのもーにんぐをき
     もっさりしたもぐらは
     もらいもののもんぺをはいて
        <中略>
     ものおきには
     もくたんがつまっていたから
     もはやそれまで。
     もえあがったもうかに
     ものおきが
     もくたんもろとも
     もえおちたとは
     もったいない。
     もっとも
     ももんがーが
     もっともだいじにしていた
     もくぎょだけは
     もちだせたので
     それがもっけのさいわいと
     もうせましょうか。



 

 それと、深夜に読んでいるのはこの本です。

 新版 指輪物語〈2〉旅の仲間 上2

 指輪物語、やっと2巻目です。

 映画だったら、最初から何分くらいのところを今読んでいるんだろうと、つい、思ってしまいます。(映画、観ていないのです)











 

 

 

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たいせつにしたいこと

2007-04-11 18:40:05 | 好きな絵本

 高校時代からの友人Mさんと、もう一人の友人(同じくイニシャルが)Mさんには、
同じ年のお嬢さんがいます。

 二人は1994年生まれで、しーちゃんが4月、みーたんが12月に生まれています。
小学校入学の時に、私が二人に贈ったのが↓の絵本。(このときはわりとすんなり決まりました。)
ほんとにほんとにほしいもの かあさんのいす
            

 
 
 そして、その二人が、この春小学校を卒業したので、そのお祝いにも本を贈ろうと思い‥
小説や詩や物語、あるいはお料理の本?まで範囲を広げて考えたのですが、「今」の私が
選ぶのならやっぱり絵本かなあと8割方心に決め、最後は、梅ヶ丘のことり文庫さんの
店内で、ことりさんに置いてある本の中から選ぼうと思ったのでした。

 Mさんのお嬢さん、みーたんにはこの本を。
はっぴぃさん
   『はっぴぃさん』  (過去記事は

 もう一人のMさんのお嬢さん、しーちゃんにはこの本を選びました。

 たいせつなこと

    『たいせつなこと』
   マーガレット・ワイズ・ブラウン 作
     レナード・ワイスガード 絵
        うちだややこ 訳
  

 

 マーガレット・ワイズ・ブラウンの絵本といえば、『しずかでにぎやかなほん』(過去記事)を
ずっと愛読していて‥この『たいせつなこと』が2001年に出た時は、なんとなく、いいかな
(買わなくても)と思い、知ってはいたけど、じっくり味わったことがありませんでした。

 ことり文庫さんの奥の部屋で、一緒にお店に行った娘に、声を出してこの本を読んでみました。
(娘が読んで、と言ったわけではなく、私が勝手に聞かせ始めたのです。)

 やっぱり、絵本は、声に出してこそ、だし、ひとりで声に出すよりは、誰かに向かって
語りかけてこそ、のものです。今までさらさらっと読んでいた時は、この本の魅力の10分の
1もわかっていなかったと思いました。

 
 言葉のつながり方の美しさ。語りかけの優しさ。

 あとがきで、翻訳された内田さんが ひらがなという美しい音色にかえ、
言ってるとおりだと思いました。


     あめは うるおす

    
    あめは そらから おちてきて
    
    しとしと ざぱざぱ おとが して
    
    いろんな ものを
    
    つやつやに かがやかせ
    
    どんな あじにも にてなくて
    
    くうきと おんなじ いろを している
 
    
    でも あめに とって
    
    たいせつなのは
    
    みずみずしく うるおす と いうこと


 


 私はしーちゃんへの手紙にこう書きました。

 この本は、小さな子供たちのために書かれた絵本だけど、10代の子が読んでも、
 大人が読んでも、詩の本を読んだ後のような気持ちになれると思い選びました。

 しーちゃんは、最初は何が言いたいのか分らなかったし、そんなのあたりまえ!
 って思い、でも、2,3回読むうちに、最後に書いてあることが大切だなと
 思ったそうです。そして「少しだけ」なら人に合わせてもいいし、「少しだけ」なら
 自分の意思を持って行動するのもいいと思ったと、結んでありました。

 しーちゃんは、「少しだけ」をカッコに入れてはいませんでしたが、私は、そう手紙に
書ける、素直さと正直さをかわいいなあと思うと同時に、羨ましくもなりました。

 生きていく中で大切なことは多々あり、優先順位だってありますが、本当に大切なこと、
たいせつにしたいことは、13歳のしーちゃんが教えてくれた伸びやかな素直さなのでは
ないかと、思っています。




 
 今年愛用している手帳には、1月1日からの「通し番号」がついていて、昨日がちょうど
100日目でした。100日といえば、1年の3分の1が過ぎようとしているということ。
今年になって、もうそんなにたってしまったのかと、焦る気持ちは、「たいせつにしたいこと」
の逆をいっているようで…。それではいけないと、しーちゃんからの手紙を読みなおした日でした。

 
 

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初・コメダ

2007-04-05 20:02:44 | 日々のこと

 今回の帰省旅行の楽しみは、前述の滋賀県立美術館行きと、もうひとつ、
 コメダ珈琲店に行くことでした。

 ああ。あこがれのシロノワール。

 
  

 右側が噂のシロノワールで、左側が小倉トースト。
 奥にある、ビンの中には、イチゴシェイクが入っています。

 温かいデニッシュの上に、冷たいソフトクリーム、添えてあるシロップをかけていただきます。

 
 その日の昼ご飯は、なばなの里の中のレストランで、ハンバーグセットなんかを食べてしまい、その後、チューリップガーデンを散策したものの、移動は車なので、ほとんど空腹感もなく。

 けれど、コメダ行きの思いは強く、せっかくだからという義妹のすすめで、小倉トーストまでたのんでしまい、この2つを5人で分け合って食べました。(シロノワールは6つ切りのうち、私は2つ食べました。)

 生クリームではなく、ソフトクリームがのっているところが、最大のポイントだと私も思いました。
 ソフトクリームの冷たさがなんとも心地よく、おなかいっぱいだと感じながらも、まだいけると、思ってしまうのですね(笑)。

 
 それと今回、「コーヒーに豆菓子」というのも初体験。

 名古屋方面の喫茶店では「常識」だと聞いてはいたのですが‥。(イチゴシェイクをたのんだ娘の分も、ココアをたのんだ義母の分も、ちゃんと豆菓子がありました)

 

 
 コメダ珈琲店は、愛知県を中心に全国に288店もあるんですって。関東地方には神奈川県の大和市や相模原市、あと東京の町田市にもあるそうです。フランチャイズ展開らしいのですが、やはり造りはログハウス風なのでしょうね。

 また行きたいな、コメダ。(その時は、ミニシロノワールをひとりで食べてみたいです)

 
 

 
 ここからあとの写真は、なばなの里のチューリップガーデンで、娘が撮った写真です。

   

        
         このライオンくんも、チューリップで
              できてます。  



       

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桜 はな つぼみ

2007-04-03 18:23:28 | 好きなもの・美術館や展覧会

 3月30日。新幹線に乗った時、東京の桜は、めでたく「ほぼ満開」状態でしたが、
名古屋に着いたら、その風の冷たいこと、冷たいこと。薄手の上着でやってきてしまったことを、
後悔し始めました。
 近鉄に乗って、四日市駅へ向かう車中から時折見える桜も、いまだぎゅっと固くつぼみを
握りしめているようで…。季節が1週間前に戻っていました。

 朝からきれいに晴れたり、あったかい日はなかったのですが、それでも4月1日は、義妹の運転する車で、
滋賀県立近代美術館まで出かけました。志村ふくみさんの紬織の作品を見るためです。
(三重県四日市市からは、途中高速道路を使って、2時間で行かれました。)

 最初に、くっちゃ寝さんのブログで、志村さんのことを読むまでは、私どんな方なのかちっとも知らなくって。 
   
 それに、滋賀県なんて、うちからではとんでもなく遠いので、無理無理と思っていたら、思わぬ偶然から、
会期中に、四日市へ帰省することができて…。機会に恵まれたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 このブログで何度も書いてきた、ヒナタノオトの早苗さんのおかげで、工芸というものに疎かった私も、
手仕事を自分の生業とする方たちの作品や、その姿勢に強く惹かれるようになってきている自分を
日々感じることが多くなり…。そして、手仕事をなさる方たちが、黙々と日々の仕事に打ち込む中で、
自然に体と心にたまってくる思いを、言葉におきかえたときの、その言葉の深さにも、感じ入るようになりました。

 志村ふくみさんの作品は、仕上げられた作品を見ただけでは、丹精に織られた素敵な織物、きれいな色合い、
という感想で終わってしまったかもしれませんが、学芸員の方のお話や、館内のビデオによって、その人となり、
制作の過程を少しでも知ることにより、それがただの「きれいな織物」、だけではないものとなって、私の中に
残ることになりました。帰りがけに買った本(↓)を、読んでいる途中なので、まだほんの「入口」に立ったところなのですが。

 梅も、桜も、蕾がついているときの枝を切って、炊き出したときが一番きれいな色に染まるし、すごくよい匂いが
染め場にたちこめるのだそうです。
 咲き出そうとする命を、絹糸に「映して」いく、という言葉を使っていたように思います。

 色を奏でる
        『色を奏でる』
     志村ふくみ 文 井上隆雄 写真
 

 
 

 さっき、東京に戻ってきたら、その寒さに驚きました。雨も降っていたのですね。
 でも、王子駅で見た桜は、まだまだ見頃のようでした。


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