my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

グランマ・モーゼス展@世田谷美術館

2022-03-10 17:02:01 | 好きなもの・美術館や展覧会

昨年の11月からやっていたグランマ・モーゼス展
会期終了間近の2月23日にやっと観に行かれました。




私が最初にグランマ・モーゼスという名前を知ったのは、
ヒルサイドセミナーでの末盛さんからのお話でした。
その後、古本市で、展覧会の図録を見つけ購入したり、
なんとなく気になっていたので、このたびの原画展は
ぜひ観たいと思っていました。

世田美チャンネルというサイトで、2回にわたり、展示内容を
動画で説明したものがありとてもわかりやすいのでおススメです。

前編   後編

※前編の最後の方で、モーゼスさんが絵を描く時に使って
いたテーブルを紹介していて‥アメリカ以外の場所でそれが
展示されたのは初めてのことだとか。「足」部分にびっしりと
絵が描かれていてとても見応えがありました。



60歳を前にして、娘さんからすすめられて「刺繍絵」を
始めたものの、リウマチで針を持つのが辛くなり、それから絵を
描き始めたそうで‥その体力と精神力にはただただ頭が下がる
思いでした。
展示の終盤で「美しいものを描きたい」という言葉があり、
自分にとっての「美しいもの」とは何かをゆっくり考えて
絵筆を持つ、とありました。
アップルサイダー作りも、シュガリングオフも、石鹸作りも
昔むかしの感謝祭も、揺るぎのない美しい一場面として
私のココロも打ちました。

と同時に、では私にとっての美しいものとは何なのかー。
私が繰り返し繰り返し、思い出して書いておきたいものは
何なのかー、そんなことも考えました。
もう若くないと思いがちですが、モーゼスさんを思えば私にも
少なくない時間がありますよね。たぶん。


この後、4月より東広島市立美術館で展示があるようです。

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柚木沙弥郎 life・LIFE@PLAY! MUSEUM

2022-01-27 17:41:50 | 好きなもの・美術館や展覧会

前後してしまいますが、2021年最後に出かけた
美術館は立川のPLAY! MUSEUMでした。

柚木さんの展示は、以前にも日本民藝館などで観て
いいなあと思っていましたが、今回は特にこの本を
 読んだあとだった
こともあり、さらに胸アツな感じになりました。
(昨年10月に入院した際にこの本を持っていき、
変化を楽しむという柚木さんの言葉を、手術前に
付箋に書き出していたのを、手術後に偶然見つけ、
自分が書いたことすら忘れていたので、過去の自分
から届いたそのメッセージに涙したのでした。)


展示は布作品はもちろん、型染絵で作った絵本の
原画の他にも、ご自身で作った人形や、自宅に飾って
あるおもちゃが入ったガラスケースなどもあり、
とても楽しいものでした。
見ていたら、自分でも何か作ってみたいという気持ちが
むくむくと起こってきていることが不思議であり、
またそんな自分の気持ちがとても嬉しくもありました。


この日、いちばんココロ惹かれました。


お人形の洋服も手作りしたそうです。
家にあるあり合わせの布を組み合わせて、とっても何か
作りたくなったのでした。



※過去にこの本も読んでこんなこと書いてました

1月30日(日)まで。

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民藝の100年展@国立近代美術館

2022-01-26 16:30:00 | 好きなもの・美術館や展覧会

お正月休み中に行っておこうと、4日に民藝の100年展
家族3人で出かけました。
(竹橋は出かけるたびに、清々しい気持ちになり、この
美術館好きだなーといつでも思わせてくれます。)


行きたがっていたわりには、誰も予習をしてなかったので、
あんなにボリュームがある展示だとは思わず、4時間近くも
かかってしまい、最後は空腹に耐えきれず(笑)、娘を急かせ
文字通り駆け足で観終えました。

「民藝」といえば、柳宋悦氏であり、駒場にある日本民藝館
ですが、そこに至るまでの、柳氏の足跡や、交友関係、思いや
願い等々が、この展覧会を観ることで、ゆっくりと自分の中に
下りてきたように思います。
以前に読んだ原田マハ著『リーチ先生』で、白樺派の面々との
交流が書かれていましたが、ロダンから贈られてきた彫刻や
それを見るために友が持参した壺(それをきっかけに暮らしの
中にある美に目覚めていった)の展示におおっ!!と思い、
本で読んだことが繋がっていくような面白さも感じました。

日本全国を周り、気持ちが動いたものを集めていったわけですが、
その時の柳氏たち一行のファッションを知ることができる
コーナーはとても楽しいものでした。ウールのスーツを着て、
似たようなメガネをかけ、外国人まで居るグループはどの地方に
行ってもものすごく目立ったことでしょうね。そして、その
ご本人たちはどれほどワクワクと胸躍らせたことでしょう。


これは柳氏の書斎の再現で、唯一撮影OKのところでした。


2月13日(日)まで。

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アーノルド・ローベル展@PLAY! MUSEUM

2021-03-24 17:48:45 | 好きなもの・美術館や展覧会

今年に入ってからずっと行きたいと思っていた
PLAY! MUSEUM@立川 にやっと行くことができました。



こちらの、がまくんとかえるくんでお馴染みの、
アーノルド・ローベルさんの原画展


こんなふうな通路をとおって、そのセカイに誘われるのも
ステキでした。

ローベルさんや、その作品について、知っていることよりも
知らないことの方が多く、ご趣味の刺繍作品が飾られていたことも
とても興味深かったです。(こちらがその作品です)



「がまくんとかえるくん」のシリーズも、娘が幼い時に
家で読んだことはたぶんなくって。
小学校で読み聞かせをするようになってから、私はよく
教室で読んでいました。
なので、今回この展示を娘が積極的に観に行きたがったことや、
熱心に原画を観て、最後に図録まで買ってきたことが、とても
新鮮で、嬉しい驚きになりました。

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だれも知らないレオ・レオーニ展@板橋区立美術館

2020-12-07 10:32:56 | 好きなもの・美術館や展覧会

今年最後の祝日だった11月23日に、久しぶりに友達と3人で
美術館へ行ってきました。

  



2013年に渋谷のザ・ミュージアムでへ『レオ・レオニ絵本のしごと』
という展示を観に行きましたが、その時は午後の予定もあったし、
夏休みで子どもたちがいっぱいだった、という印象しか残って
いなくて残念でした。

今回の板橋での展示は、絵本作家としての仕事‥有名な数々の絵本原画
と同じくらい、グラフィックデザイナー時代の作品や、オブジェなどを
ふんだんに観ることができ、とても満足がいくものでした。

ほとんどの作品は写真撮影可だったので、なんとなく気に行ったものを
何枚か撮りました。
 
羊毛会社のタグのデザインとか、


製菓会社のパンフレットとか‥オリベッティのタイプライターの
広告デザインもレオーニさんでしたよ。

 
あっ!と思ったのがこちらの作品。
「ニューヨーク近代美術館30周年記念展覧会の図録の再販告知ポスター」
ずっと前に末盛さんの講座の知って、その時購入した『The Family of Man』に
ここでお目にかかれるなんて、なんか感激しました。レオーニさん、いろんな事に
かかわっていたんですねー。



会期は来年1月11日までです。グッズの充実ぶりにも驚かされました(笑)。








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アイヌの美しき手仕事@日本民藝館

2020-11-27 17:45:09 | 好きなもの・美術館や展覧会

11月中旬のきれいに晴れた日曜日、久しぶりに
日本民藝館に行ってきました。

アイヌの美しき手仕事 という展示を観るためです。


私と夫は2018年以来、娘は、小学生の時に初めて来て以来の
2度目の訪問でした。少し前に観た大津絵展の時に、何度も日本民藝館や
柳宋悦の名前が出てきたので、「ほらここがそれだよ」という気持ちが
自分の中にあったことがなんだかおかしかったです。
(子どもに色々教えたい母親的な‥まあ母親なんですけど笑)

アイヌ独特の幾何学模様を施した刀肩掛け帯や、イクスパイという
儀式に用いる木製の(大きな)ペーパーナイフみたいな?ものとか、
とっても大きな玉飾りがついたネックレスとか、興味深いものは
たくさんありましたが、私の中での一番は、やはり打掛のようなどてら
のようなあの衣装でした。刺繍や切伏の手法で背中や裾まわりや、袖に
施されている「仕事」が、とてもよかったです。


この壁面だけは、写真撮影OKエリアでした。
1941年に美術館で最初のアイヌ工芸展となる「アイヌ工藝文化展」を日本民藝館で
開催したときの展示の再現記念的なものなので、という説明でした。
(展示品は当時とは異なっているようでした)



併設されていた他の展示内容もおもしろくて、予想よりも長い時間を民藝館内で
過ごした午後でした。


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もうひとつの江戸絵画 大津絵@東京ステーションギャラリー

2020-11-07 18:06:28 | 好きなもの・美術館や展覧会

店長が「すごく観たい」と言ったので、11月3日の祭日に
またまた家族で出かけました。

もうひとつの江戸絵画 大津絵

これは展示会場を出たすぐのところに貼ってあったのですが、
これだけ貼られていると欲しい、欲しい感がさらに強まりますよね(笑)


大津絵とは、江戸時代初期より、東海道の宿場大津周辺で量産された絵で、
おおまかな輪郭などは版画で刷って、そこに筆で彩色したり、書き足したり
したようです。(文字が添えられているものもあります)
わかりやすく面白みのある絵柄が特徴で、手軽な「おみやげ」として、
全国に広まったそうですが、安価で実用的(家の壁に貼ったり‥)で
あったため、逆に残っているものがすくなかったとのこと。

それが近代になって文人画家の富岡鉄斎、洋画家の浅井忠、民藝運動の
柳宗悦など、審美眼の持主たちが、おもに古い大津絵の価値を認め、
収集し始めたので、「欲しい、欲しい」となっていったわけです。

絵柄は数十種類と決まっていて、たとえば「傘さす女」「藤娘」
「鬼の行水」「猫と鼠」「瓢箪鯰」「提灯釣鐘」などなど。
おんなじ絵が、何度もなんども現れ、これはさっきのより上手い、とか、
これはかなり手を抜いている笑とか、そんな比べ方ができるのも
面白かったです。


興味深かったのは、絵が何人かの手を経たのち、現在日本民藝館所蔵と
なっているものの表装が、他美術館所蔵のものよりステキだったこと。
全部ではなかったかも、ですが、民藝館にあるものは、掛け軸の絵の
下の部分に織物が使われていて、それが絵ととても合っている柄だったり
するのです。(他所蔵のものでも布地のものもありました)



お土産として買って帰るなら、どれを選ぶ?と家族に訊いてみたところ
娘は「藤娘」とか「傘さす女」とか、女の人が描かれているのがいいと言い、



夫は、「キツネが馬に乗ってるやつ」。


私は、「塔」か「相撲」‥「瓢箪から駒」もよかったです。
 



写真撮るために(帰ってきてはじめて)図録開いてみましたが、改めて見ると、
なかなかいいですねー。一つくらい私も欲しくなりました笑。

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桃山ー天下人の100年@東京国立博物館(平成館)

2020-10-28 18:00:40 | 好きなもの・美術館や展覧会

前日に急にシゴトが休めそうだとわかったので、その日の朝、
ラジオで聴き齧った桃山ー天下人の展示を、24日土曜日に
観に行ってきました。

 


今までだったら、わざわざ出かけるほどではなかったのですが、
『風神雷神』を読み終えたところだったので、狩野永徳
洛中洛外図屏風の本物を観ることが叶うなんて!と、金曜日の夜は
軽く興奮しました(笑)。

これから原田マハさんの物語を手に取る方にはネタバレに
なってしまいますが‥少年期の俵屋宗達が信長の命を受けて
永徳に弟子入りをし、信長が上杉家に贈ったのとは別の、新たな、
洛中洛外図屏風を師匠である永徳とともに描く、という場面があるの
です。描いたのは狩野永徳と記されていても、もちろん一人で
下絵から色付けまでするわけではなく、下準備や下絵を用意する
弟子がそれぞれいるわけで、あんな大きなものに、あんな仔細な絵を
描き入れていくためには、足場を組んだりする必要もあり‥
とにかく大変は情熱と時間が注ぎ込まれているわけですが、
小説の中のその場面に出会うまで、そんなこと考えたこともなかった
私は、とても驚き、はじめて屏風絵というものに思いを寄せたという
わけです。(小説の中では、「新たな」屏風絵を永徳と少年宗達が
描いたという設定での描写でしたが、きっと同じことが当時行われて
いたに違いないと思ったのです)

お目当ての屏風の他にも、書や焼き物や人物を描いた絵や甲冑や刀等々
があることは事前に知っていましたが、90分程度での拝観を、とサイトに
記してあったので、そのくらいの時間で観ることができるくらいの分量
なのだろうと思っていました。

ところがやはり、博物館。しかも入場料2400円だけのことはあったなーと
へんな感心の仕方をするくらい笑、たっぷりと用意がございました。
屏風絵だけでもいくつあったことかー。
(比べてみても、やはり永徳作の洛中洛外図はその細かさといい、色の
美しさといい、素晴らしかったです)

今から数百年も前に、こんな大きな絵に取り組んだ絵師がいたことや、
それを依頼した「天下人」の存在‥信長、秀吉、家康の直筆の書を
観ることで、本当に生きていたという事実に、たとえその時だけでも
想いを馳せるのは、得難い貴重な時間だという気持ちになりました。
(甲冑や陣羽織、家康が着たという小袖、家康が娘の婚礼の際に
持たせたお道具を入れる箱などなど、どれも人の手で作り使われて
きたものなのですよね‥)


90分ではとても観おわらず、その倍の3時間近くかかってしまい、
外へ出たら、もう月がのぼっていました。


暮れてからの上野公園もなかなかよいですね。


※洛中洛外図屏風の展示は前期のみで、後期はポスターになってた
唐獅子図屏風が展示されるようです。


 

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ロンドン・ナショナル・ギャラリー展@国立西洋美術館

2020-09-27 19:27:10 | 好きなもの・美術館や展覧会

先週のシルバーウィーク中の月曜日、ずっと前からチケットだけ
持っていた「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」を、(新たに)
時間指定チケットを取って、観てきました。

前売り券が発売されたときは、まだ「新型コロナ」は中国だけの
問題だった頃で、(とってもお得な)期間限定ペアチケットを買ったので、
始まったらすぐに観にいかなければ、と思っていました。
それがあれよあれよと言う間に、全世界的な問題に(コロナウィルスは)
発展していき、展覧会は中止になるのでは?と暗い気持ちでいましたが、
会期は延期され、期間限定チケットも会期中は有効とのことで、スマホに
入ったチケットがあるということが(ちょっと大袈裟だけど)遠くの
灯のような心持ちでした。


本物の建物はこんなに立派なのですねー。


 このパネルの前で、写真取ることができます。


 入場後、展示室へ入る前に、こんな撮影場所も‥。
(娘に無許可で載せているので小さくしておきます)


肝心の展覧会はといいますと、全部で7つ分けて構成されていました。

イタリア・ルネサンス絵画の収集
オランダ絵画の黄金時代
ヴァン・ダイクとイギリス肖像画
グランド・ツアー
スペイン絵画の発見
風景画とピクチャレスク
イギリスにおけるフランス近代美術受容

オランダ絵画のところでは、フェルメールの「ヴァージナルの前に座る
若い女性」という作品もありました。

私が面白いなあと思ったのは、4つ目の「グランド・ツアー」で、
「グランド・ツアー」というのは、1700年代頃、お金持ちの子息の間では
ヴェネツィアなどへ旅行した際に、絵を描いてもらい持ち帰るというのが
流行っていたそうで‥写真の代わりというか、凱旋記念品みたいなもの
ですね、きっと。
他にも当時のヨーロッパの流行りが、絵画の中に反映されているのが
興味深かったです。(結構な昔から画面に犬が登場しているなあとか)


一緒に行った、うちの店長も書いている通り、私にとっても印象派の
作品がやはり馴染むのですが、ヨーロッパの絵画の歴史をなぞるような
こういう展覧会もたまには面白いなあと、思いました。

いつの日か、ロンドンに旅することがあったなら、本場のはやはり大きくて
とても1日じゃ見きれないね、とか、上野で観た時はみんなマスクしてたよねー
とか、言い合いたいです。



余談ですが、この日一番「密」と思ったのは、特設売店でした。
せっかく並んで入ったんだから、という気持ちからか?マルチクロスが
(ゴッホのひまわりとゴッホのバラとモネの睡蓮)
今うちに合計3枚あります笑。


 

 

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バンクシー展@アソビル

2020-07-26 18:35:05 | 好きなもの・美術館や展覧会

名前はね、知っていたし、近頃もニュースになっていたし。
でも割と自分の興味からは遠いところにあったのですが、
夫が是非とも観たいと言いまして。
連休でもあることだしと、娘も含め家族3人で、横浜まで出かけました。

うちの店長も書いているように、こんな感じの作品ばかりをイメージしてました。

会場入ってすぐのところにも、バンクシーが出現したこんなマップもあったし。


そしたら、それ以外にも、リトグラフ作品がとってもたくさんありました。
(立体作品や映像もありました)
 



 赤がとても印象に残ります。


大変見応えがありまして、これでもかこれでもか、と続きます。
事前にスマホにアプリを入れておくと、音声ガイドを持参のイヤホンで
無料で聴くこともでき、それがまたほぼ全ての作品に解説が付いているのです。
(こんな感じで使えます)


たくさん観たばかりで、何がなんだか状態ですが、この、レコードジャケットにも
なった作品が好きかな。



バンクシー。
なんたって、名前がいいですよね。なんかやりそうな人の名前です笑。

そして抗議や反戦のメッセージを、アートで表す、ってやっぱりso cool!
「今まで」を知ったことで、「これから」がとても楽しみになりました。

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ピーター・ドイグ展@国立近代美術館

2020-07-13 17:50:50 | 好きなもの・美術館や展覧会

2月に東京国立近代美術館工芸館へ行ったときに、次の
東京国立近代美術館の展示が「ピーター・ドイグ」という画家で
日本ではお初の方だと知りました。

飾ってあったポスターの絵はたしかこの絵。

美しく幻想的な絵を観てみたい気持ちと、自分より少しだけ年上の画家の作品って新鮮な
気がして(笑)、前売りペアチケットを購入し、会期を楽しみに待っていました。

一時は外出自粛期間に会期が終了してしまうのでは?と諦めていましたが、その後
会期も10月まで延長され、「新しい日常習慣」のもと、無事昨日観ることができました。

一日早く観に行った娘情報で、館内の作品は撮影自由だと知り、↑の画像も
館内で撮影したものです。
そして、娘曰く(3つに分かれている展示の中で)最初のところが一番よかった。


なるほど~と、行ってすぐにわかりました。

「第1章 森の奥へ1986年~2002年」では、ポスターになった↑のような
幻想的だったり、抒情的だったり、あるいは色使いがとても美しい作品ばかりなのです。

たとえば、「天の川」


「ブロッター」


中でも私のお気に入りは、この2枚と‥その下の三分割されたような絵。





どの絵もとても大きいのです。2メートル×3メートルとか。
なので、少し離れたところから観ていると、美しいだけではなく、分割されている
構成がとても不思議な感じで見えてきて‥。
解説にもありましたが、水面に写っているのならば、そっくり同じ風景が水面に
写し取られているはずなのに、それは微妙に違っていて。
合わせ鏡の中に別のものが写っているような怖さがあり、そのちょっと怖いところが
違和感となり、怖いけど見たい、というような気持ちに繋がっていくのかなと
思いました。

「スキージャケット」
この作品の解説でも、真ん中であえてキャンバスを繋ぐことで、合わせ鏡のような
効果を生んでいると‥そうやって観ると別のセカイが同時進行しているようで
怖くて不思議な気持ちになります。(元のモチーフはニセコの広告だったようですが)




「第2章 海辺で2002年~」

ロンドンからトリニダード・トバコへ、活動の拠点を移してからの作品です。
 
いいなあと思ったのは、こちらの絵かな。
「ポート・オブ・スペインの雨(ホワイトオーク)」というタイトルです。

色使いは明るくてきれいだけど、壁があまりにもきっぱりしているのに、描かれている
人は影のような、幽霊のような感じで、かなり不穏ですよね。黄色い壁によって
分断されているこちら側とあちら側のようにも見えるし、ライオンが自由に歩き回って
いることが人間の不自由さを強調しているようにも見えますね。


とても興味深かったのは、カヌーのモチーフがこのエリアの絵の中にもあり‥。

こんな大きく描かれているものから、言われなければわからない程、
小さなものまで。
(カヌーのモチーフのもとは、映画13日の金曜日のシーンからだそうです。
が、私は映画を知らないのでそうなんだーと思うのみ)

1枚の絵の中の構成として観るのではなく、カヌーに主体を置いて観ると
あらゆる画面の中に、「カヌーが入りこんでいる」ようにも見え、もはや
画面は自由に行き来するカヌーの「舞台」とも言えるのではないかーと
最後の方に書かれていたのがとても面白いと思いました。なるほどねー。

そうなると、今後「灯台」も気が付くとあらゆる絵の中に?!となるかも
しれず、それを新たに発見していくという楽しみ方もできるかもしれません。
  


「第3章 スタジオの中でーコミュニティとしてのスタジオフィルムクラブ2003年~」

タイトル通りのクラブを画家は主催していて、今日はこの映画ですよ、と
知らせるためのポスターがたくさんありました。

たとえば気狂いピエロとか、

ストレンジャーザンパラダイスとか。



会期は10月11日まで。公式サイトには3DVR画像があって、
ぐいーんと近づいて絵を観ることもできます。

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神田日勝 大地への筆触@東京ステーションギャラリー

2020-06-24 17:34:38 | 好きなもの・美術館や展覧会

少し前から美術館などが再開され始めました。
2月中に前売り券を買っていたものが2つあるのですが、
自粛開け最初の展覧会は(なぜか)こちらになりました。



神田日勝さん。

昨年の朝ドラ『なつぞら』で、吉沢亮さんが演じた山田天陽くんの
モデルとなった画家で、もしも、そのドラマを観ていなければ
知ることがなかったかもしれません。

熱心な『なつぞら』ファンだった私と娘、一緒に観ていた夫の
3人で久しぶりに出かけた美術館‥東京ステーションギャラリー
私は3度目でしたが、他の二人は初めてで、ね、いい美術館だよねーと
いう紹介の気持ちも含めて(ちょうどいい規模だし、レンガの壁も
私はとても気に入っているので)、楽しいお出かけになりました。


日勝さんは、ドラマで描かれていたように、7歳の時に東京の練馬から
家族とともに北海道へ入植者としてわたってきます。
後に東京芸大へ進む兄の影響で(ここもドラマ通り)、絵を描き始め
農業を続けながら絵を描く道を選びます。
道内の展覧会や独立展で入賞、入選を重ねるも、1970年に体調を壊し、
未完の作品を残したまま亡くなってしまいます。32歳の若さでした。

ドラマの中で天陽くんも描いていたように、農耕馬の絵とか、
十勝平野の絵とかを思っていたのですが、会場に入ってわりとすぐに、
日勝さんが、昭和12年生まれだということに気が付いてからは、
その時代や年齢と、描かれた作品を意識して観るようになりました。
というのも、私の母が昭和11年生まれでして、昨年お亡くなりになった
和田誠さんもそうだったと思うのです。
ということは、日勝さんも、まだご存命でしたら、ずっとずっと
絵を描き続けていたかもしれないのだと思ったり。
この絵を描いた年に、私が生まれたんだなーとか思ったり。
60年代のポップアートのこととか、大阪万博の太陽の塔のこととか、
気になっただろうなあとかも思いました。

会場は、プロローグ、エピローグのあいだを、

壁と人 牛馬を見つめる 室内/室内風景 アンフォルメルの試み
十勝の風景  の5つに分けていました。

ベニヤ板にパレットナイフやこて等を使って毛並みの1本1本まで、
丹念に描いた馬や牛。
あふれんばかりの食べものを並べた「静物画」や、画家の室内。
壁、天井、床すべて新聞紙で埋め尽くされた部屋に、正面向いて
座る男‥。どこからが家の壁でどこからが空なのか大地なのか
わからないほどにセピア色で塗りつくされた「家」という作品‥。

どの作品にも作者の情熱が感じられるのはもちろんのことですが、
自分の中の「葛藤」を、絵の中で「作品」に昇華させているように
私には思え、絵を描く喜びや楽しさとともに、描かずには生きて
いかれない己のサガを、誰よりも自分自身がわかっている方
だったのでは、と感じました。


そして。
チラシにも使われ、もはやシンボルとなっているような、印象的な
絶筆で未完の作品ですが。(こちらで見ることができます)

ドラマを観ていなかったら日勝さんを知ることはなかったかも、と
冒頭で書きましたが、この未完の作品をどこかで目にしたら、まったく
知らなかったとしてもとても興味を惹かれ展覧会に足を運んだだろうな
と思っています。

一頭の馬を描こうとするときに、すくなくとも全体の下描きをしてから、
(あるいは背景をまず塗ってから)塗り始めると思うのです。
でも、日勝さんの馬は半分だけが仕上がっていて、特に顔や目は丁寧に
描かれているのに、腰のあたりから後ろ足は鉛筆の下描きすらないのです。

彼の描き方がそれによってわかった的な注釈が加えられていましたが、
どの馬もそんなふうな描き方だったのでしょうか。
作者には、もう自分には時間がないことがわかり、あえて半分だけを
力をこめて描いたのでは、という見方もできると思うのです。

もしもこの絵が鉛筆の下描きの段階で絶筆となっていたら、それはそれで
大変貴重な作品だったでしょうが、でも、これほどのインパクトを
観る側に与えることはなかったかもしれません。
真実はご本人のみ知ることだし、作品から受ける感銘だけを私たちは
胸に抱けばよいのでしょうが、それでも私は、あえて謎を残した画家として
神田日勝さんのことを覚えていようと思いました。



東京での会期は残りわずかですが、機会があればぜひ。
向き出しのベニヤ板と、かわいい馬の目がとても印象に残ります。

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工芸館所蔵作品展@東京国立近代美術館工芸館

2020-02-17 17:27:36 | 好きなもの・美術館や展覧会

前述の、ハマスホイの時間@ヒナタノオトへ行く前に、
東京駅で降りて、竹橋の工芸館へ寄ってきました。
工芸館が石川県に移転されるということを知り、それまでに
一度行っておこうと思った次第です。




日曜日の昼過ぎの東京駅、美しいです。
駅舎の美しさは言うまでもなく、ですが、私は高いビルと広い道路を目にすると
いつもわくわくと気持ちが踊ります。

それに加え、この時はちょうど『残り者』を読んでいたので、御濠が見えてきたら
さらにわくわくそわそわとなんだか落ち着かない気持ちになりました(笑)。



国立近代美術館へは何度も行っていますが、工芸館は初めてでした。
こちらの建物も美しいですね。旧近衛師団司令部庁舎だったそうです。

所蔵作品展 パッション20 今みておきたい工芸の想い が
東京で開催される最後の企画展ということで、(私が)思っていた以上に
訪れる人は多く(決して混みあってはいませんが)、みなさんとても
熱心に観ているのが印象に残りました。

染め織りあり、彫金あり、焼き物あり、人形あり、ガラスありー。
製作過程の映像もあったりして、盛りだくさんでした。
私は「林忠正さんの依頼より作られた~」という作品に、おおっあのころ
パリに居た林氏からの!と、感動しました。本で読んだことが本当の
世の中と繋がっていることを実感した次第です。

会期は3月8日水曜日まで。

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ハマスホイとデンマーク絵画@東京都美術館と、ハマスホイの時間@ヒナタノオト

2020-02-14 16:52:35 | 好きなもの・美術館や展覧会

2月最初の日曜日、東京都美術館で開催されている
ハマスホイとデンマーク絵画展に、夫とともに出かけてきました。




前回、ハマスホイの絵が来たのは、ちょうど12年前。
(その時はハンマースホイという表記でした)
同じく上野の、国立西洋美術館へ、当時小学生だった娘も連れて
3人で観に行ったことをよく覚えています。(その時のログは
それから、干支が一巡し、娘も24歳になりました。自分たち家族のことを
照らし合わせてみても、なんだかそれだけで思い出深いです。

私にハマスホイを教えてくれた友が、開幕後すぐに観に行っていたので、
「どうだった?」と、訊いたところ‥4番目のハマスホイの部屋への入口が
とてもよかった。それと、グッズショップが健司さんそのもの。と、
教えてくれたのでした。

友と健司さんのことは、どうぞこちらのリンク先で読んでください→


今回の展覧会は1章~4章に分かれていて‥順番に観ていくと、ハマスホイが
師事していた方の絵とか、当時のデンマーク絵画界のムーブメントとか、
印象派との繋がりなんかも、わかるようになっていて、そして最後の
4章目のドアの向こうに(実際の会場に扉はありませんが)、ハマスホイの
絵があるという構成になっています。

入口。
とてもとてもすてきでした。これから行かれる方は、ぜひ心して立ち止まって
くださいませ(笑)。

そして、忘れてならないのは、今回、本物の、あの「パンチボウル」が
来ているのだということ。(ハマスホイの)奥様が小脇に携えている
あの銀のトレイも一緒にです。

私は展示を観たあとで、こちらの萬屋健司さんの「光の本」での連載を再読したの
ですが、先に読むべきだったのでは、とすこしだけ苦い気持ちが行ったり来たり‥。
それほどに、胸深くささるものがあったのでした。

なかでも、<パンチボウルがある室内>の、この文章。

ただ眺められるだけのものとして、実用性と引き換えに、
このパンチボウルは美的価値を得たのです。

それと、<アジア商会>の、こんなところにも。

彼はデンマークというよりは、コペンハーゲンという街と
結びついた画家であったといえます。

「場所の記憶」

私がハマスホイの絵をいいなあと思う理由が、健司さんの文章を通して、
解けたような気がしたのでした。


***   ***    ***


そして、日本橋小舟町ヒナタノオトでは、2月16日日曜日まで
ハマスホイの時間」が開催されています。

前述の健司さんの文章「ただ眺められるだけのものとして、
実用性と引き換えに、このパンチボウルは美的価値を得たのです」を、
読んだあとに、あれ、と何かがひっかかりました。

では、「ハマスホイの時間」に展示されている9人の作家さんの手で
作りだされた作品は、その真逆なのではないだろうかー。
工芸品は、ただ眺められる美術品ではなく、使い手を得てこそ実用性を
兼ね備えていてこそ、なのではないかー。
ぐるぐる廻ったあとに、そこに「美」はあるか、が共通点なのだと
思い至りました。

必要を満たすものの中に「美しい」と思えるものがあってこそ、
それは生活の一部を潤すものになり、自分自身の一部にもなっていくのです。
パンチボウルも、ロイヤルコペンハーゲンの、元は用を満たす美しい食器で、
粉々に砕けた後に修繕を施され、その直した跡に美を感じた画家が、
実用性と引き換えに美的価値を見出したということですものね。

9人もの作家さんが、それぞれの「ハマスホイ」を胸に抱いて作り上げた
作品、とても美しいです。


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小さなデザイン 駒形克己展@板橋区立美術館

2020-01-27 17:03:03 | 好きなもの・美術館や展覧会

成人の日に、大泉学園で八生さんの原画展を観た後、
その日が最終日だった、駒形克己さんの展覧会を観るために、
板橋区立美術館へ移動しました。

リニューアルオープンしてから、私は訪れるのは初めてで、
電車とバスを乗り継いで向かうのも初めてでした。
(過去2回は、どちらも家から車で行ったのでした)



駒形さんと言えば、私の中ではこちらの絵本。


1997年7月号。娘が1歳になるすこし前に出会い、驚かされ、
そして家族で愛読してました。

最終日は駒形さんがおいでになり、サインもしてくださるとのこと
だったので、私と友だちは、「せっかくだからねえ」と、展示を観る前に
売店へ直行し、サインをいただいたのでした笑。
『ごぶごぶ~』の思い出として、当時新米ママの自分にとって、いかに
この絵本が役にたち、同じく新米パパの夫も、喜んで読んでいた、と話すと
駒形さん、ゆっくりと笑顔になり、そうでしたか、お役に立ててそれはよかった
と、言ってくださって‥なんかとても嬉しく幸せな気持ちになりました。
(同じ年に産まれた、スペイン人の友だちの赤ちゃんにもこの絵本を
贈ったはなしも、調子に乗って話しました)

展示はONE STROKE から出ている本の他に、デザインの仕事もたくさんあって、
アメリカに居た頃のタバコのパッケージとか、日本に戻ってからの、ファッション
ブランドのロゴや招待状、オフコースのレコードジャケットまで!貴重なものを
たくさん観ることができました。
(1982年のNBAオールスターゲームの案内状もありました!)

※下の画像は、撮影可のお部屋で何枚か撮ったものです。







それにしても、駒形さん、サイト等で観るよりもずっと素敵な方でした。
もしも、今は亡き水丸さんにサインしていただく機会があったとしたら、
(駒形さんと)おんなじように、(水丸さんも)ゆっくり笑顔を作られるのでは
ないかなーと想像しました。
お二人の作品の画風は違うけど、ダンディでかっこいいという共通点が、私にそう
思わせるのですね、きっと。




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