my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

球根を植えた日

2005-10-29 19:12:00 | 好きなもの・グリーン

 クロッカスの球根を植えました。
 紫だけを、とも考えたけど、白、黄色、紫の3色を合わせて、30個。
咲いた時の色合いがどうなるのか、それも楽しみのひとつだと思ったので。

 クロッカスは、好きとも嫌いとも思ったことがなかったけれど、
「ターシャの庭」をやっと手にすることができ、ページを繰っているうちに、
どうしても、クロッカスを植えてみたくなりました。

 春一番にその姿を見るために、冬が訪れる前からその準備をする。
そうして、来春花が咲いた時、球根を植えた「今日」を思い出す。
  なんだか、手間と時間がかかることがとってもしたい気分です。もしも、
お気に入りの毛糸があれば、一度しか編んだことがない手袋にさえ
チャレンジしてしまうかも…。 今手元にあるもう1冊のターシャの本、
「思うとおりに歩めばいいのよ」。
その中のこんな言葉

「手作りのプレゼントは、贈り物を二回するのと同じ。
手作りの行為と、プレゼントそのものとで。ミトンやソックスを
編むのは、みんなの手足がいつも温かいようにと願うから。
いちばん大事なことですもの。」 

 
『手作り』は、それをしている「時間」を、作っている人に与えて
くれるので、贈り物をもらった人より、贈った人(作り手)のほうが、
実は多くのものをもらっているのかもしれないなあ、と思います。  

 本の中から、もう一つ引用させていただきます。
 
 フラ・ジョバニの言葉。 「世の中の憂鬱は影に過ぎない。
その後ろ、手の届くところに喜びがある。喜びをつかみなさい」  



「ターシャの庭」
「思うように歩めばいいのよ」

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ざらっとした不安

2005-10-28 11:00:05 | 好きな絵本

 気持ちがざわざわしているのは、なぜなのかー。
この本についての感想が、うまく心のなかの引き出しに納まってくれないからだと、
なんとなく気付いていました。

君といたとき、いないとき

 

君といたとき、いないとき

作・絵:ジミー

 

 
 「地下鉄」「Separate Ways君のいる場所」の作者でもある
ジミーさんのことをつい最近までまったく知らず、読んだ本も、これ1冊。
他の絵本を読んでからあらためて感想を、とも思いましたが、ほおっておくことで、
さらにざわざわが広がっていく感じがして‥何か書かずにはいられませんでした。

 
 空から、風に吹かれて月が落ちてくる。それをアパートメントのベランダの
手摺りに座っていた男が見ている。驚いて、男は落ちる。
月のない世界は
人々を不安にさせ、人工の月が作られる。
 人工の月? そう、工場で、ただにこにこと笑っているだけの明るい月が
大量に生産されるのです。

 一方。
 はらっぱの中の水溜りに落ちた月。死にかけているようにも、これから
生まれてくるようにも見える月。偶然、それを見つけた少年。
だいじなものをささげ持つようにして月をひろって、走って帰る。
それを見ていたのは、草色をしたうさぎたちとその何十倍にもなった巨大なうさぎ。 

 月は、少年のおかげで、光ることや、満ち欠けをたどり、明るい笑顔を
取り戻していくけれど、
月が優しく描かれているのとは対象的に、ペンで
カリカリと描かれた森の動物や鳥たちは何を暗示しているのでしょう。

 木立からのぞく小動物の目。橋の上に立つ鋭い爪をもった鳥。ビルの陰の
ふくろう。建設中の鉄骨のなかのキリン。 階段の上のカモノハシ。

 私の気持ちを波立たせ、どうにも落ち着かなくさせるのは、空から月が
なくなったこの世界が(少年が本物の月と暮らしているこの世界が)
『近未来』に思えるからなんだと思うのです。

 近未来ー。いつの時代から見て、いつを近未来というのか、あまりにも
漠然としているけれど。何度何度も読み返すうちに、20年くらい前に見た映画
『ブレードランナー』
が思い出され、その頃読んだ本『都市の感受性』の中で、
川本三郎氏があげていた『天窓のあるガレージ』を思い出したのです。

 その頃の自分自身が抱いていた、漠然とした不安が呼び戻されて不安になるのか。
それとも、20年前の「近未来」に、現在の自分が近づいていることで不安になるのか。
いずれにしても、裏表紙を閉じだあとも、安心できないざらっとしたものが、
どうしても残ってしまう本でした。

 少年は、月を夜空に(たくさんの人たちに明るい月夜を)返しにいこうと思い、
引き出しをひっかきまわして、耳としっぽのついた黒い服を着込みます。
マッチ売りの少女が、天国のおばあさんと会えてしあわせだったように、
人魚姫が好きな人のために、海の泡となったように、少年も、黒猫の
着ぐるみのままユリの匂いに包まれて、静かな眠りから覚めることはないのでしょうか‥。

 月の落下を目撃した男の病室のベッドの横に、白いユリの花が、
描きこまれています。大きな後ろ姿が不穏な感じを与えます。

 「誰か、夜空から戻ってきた少年を見た人はいるの?」 
胸の中での問いかけに答えはなく、ざらっとした不安だけがそこにあるのを
感じます。

 君といたとき、いないとき。

「君」=月のことだと思っていたけど、「君」はきみのことでもあり、
遠いいつかのわたしやぼくのことであるのかもしれません。


 


 

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はなのすきなうし

2005-10-25 16:31:38 | ひらきよみ(読み聞かせ)

 10月21日(金)は5年生のクラスでの読み聞かせでした。
少し大きい子のクラスへ行ったら、読もうと決めていたのがこの本、
はなのすきなうし 岩波の子どもの本 です。

 私がこの本を知ったのは、つい最近。今年の2月に、私の住んでいるK市主催の
「読み聞かせ」に関する講座に出席した時です。3回ある講座の第3週目に、
講師の方の前で、読み聞かせの実践というものがあり、そこで参加者のある方が
この本を選んで読んでくれました。
 はじめて出会う本が、自分で読んだのではなく、誰かの声で読まれたものだった、
というのは、とても新鮮な経験でした。「目」からではなく、「耳」から届いたお話‥。

 場所はスペイン、どこかの牧場。
子牛たちは毎日跳んだりはねたり、駆け回ったりして遊んでいます。そんな中、
主人公のふぇるじなんどだけは、ひとり別行動。静かに草の上に座っています。
 ふぇるじなんどのおかあさんは心配になり、彼に聞きに来ます。
「どうしてほかのこどもたちと一緒にあそばないの?」
(牛のお母さんも、人間のお母さんと心配になることは同じです)

 ふぇるじなんどは丁寧に答えます。「ぼくは こうして、ひとり、はなのにおいを
 かいで いるほうが、すきなんです」
 
ふぇじなんどのお母さんは、彼がさびしがってないことを知って、好きなように
させておきます。(たまにはみんなと遊んだらとか、つい言いたくなってしまう
ところだと思うのですが、このお母さんはえらいです)

 月日は流れ、ふぇるじなんども他の子牛たちも大きくなっていきます。
みんなの願いは、まどりーどの大闘牛で戦うこと。だから、男たちが強い牛を探しに
やってきたときは、大騒ぎ。猛烈にあばれてみせたりします。でも、ふぇるじなんどは、
そんなことには興味なし。いつものようにお気に入りの場所に座りに行きます。
 しかしお話は、くまんばちの登場で急展開。「あっ」ということが起こり、
彼がまどりーどへ行くことになってしまうのです。

 そして迎えた大闘牛の日。ここまできたら戦うしかないんじゃないの?
という状況の中でも、彼は彼のままでした。大観衆の目前でも、自分自身を忘れません
でした。(もしも私がふぇるじなんどだったら、崖っぷちに立たされたと観念し、
好むと好まざるとにかかわらず、戦ってしまったと思います。せっかく見にきてくれた
人もいることだし、と
へんなサービス精神?で)

 いろんなメッセージを、感じることができる本だと思います。

 しかし、5年生の教室でこの本を読むことで、ひとりひとりの個性が大事とか、
個人を尊重しようとか、そんな大きなテーマを掲げていたわけではありません。
子どもたちが(私もそうでしたが)、自分からは、積極的に手にすることは
少ないかなあと思ったので、ちょっと耳に入れておきたかったぐらいの気持ちです。

 もしも、子どもの頃に、この本を読んでいたら、私は何を感じていたかなあ?


 
 



 

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目を閉じて、耳を澄ませば

2005-10-24 11:58:36 | 好きなもの・音楽や本

 いつもいろんな形で、励ましや優しい気持ちをもらっている魔女さんから、今回バトンを頂きました。ただ受け取って走るのではない、音楽に関するバトンです。さらっと流そうと思いながら、やはり色々と考え、思い出し‥。心の底を覗き込むよい機会となりました。

Musical Baton

 ひとつめの質問は、『コンピューターに入っている音楽ファイルの容量』なんですが。・・・よくわかりません。ダウンロードして聞く音楽のことですよね?ついていけてないです、そのあたりには‥。それと、家の近くにいつもいるので音楽を持ち歩く事もなくって‥。

 次の質問は、『今聞いている曲』
んー、これも難しいです。大抵仕事中に更新してるので。BGMなしです。今日みたいに秋晴れなら、暑いくらいに注ぐ陽射しと、遠くで鳴くカラスの声、車が走り抜ける音、ふとんをばんばん叩く音なんかがBGM代わりです。夕方になると、自分で進んで「聞いている」わけでなく、「聞こえてくる」曲なんですが。「小さな世界」IT'S A SMALL WORLD ディズニーでおなじみのあれです。リコーダーの課題曲で、毎日練習するようにと宿題に出るので、娘が帰宅すると、必ずこの曲が流れます。

 『最後に買ったCD』  これは答えがはっきりしています。A Bigger Bang   ローリングストーンズの最新アルバムです。

 発売を心待ちにして、買いにいったわけではないのです。何度もラジオから流れてくるのを聞いて、ああストーンズだな、ストーンズ以外の何ものでもないなあと思っていて。ある日、某ショッピングセンター内のWAVEに行ったら、視聴のところにすごーく大きなポスターが貼ってあって。ヘッドフォンを耳にあて、ボリュームをそこそこ上げて聞き始め、特大のポスターの中のキース・リチャ‐ズの顔のしわを見ていたら‥、あぶなく涙がこぼれそうになっていました。
 
 私にとって、ローリングストーンズというバンドは、「そこにいてくれるだけでいいもの」になっています。

 『よく聞く、または特別な思い入れのある5曲』
これが Musical Baton 
のメインの質問かなと思いますが。

 よく聞くという点においては、SPEECH(スピーチ)です。アレスティド・デヴェロップメントの頃からずっと好きで、ソロアルバムはもっと好き。中でも1曲選ぶとなれば、最新作
LOVELIFEMUSIC の中のRedemption Song  レゲエの神様 Bob Marley の曲です。

 よく聞くわけではないけれど、ほんのちょっとでも耳にしたら、ビビビと効いてしまうのがこの曲。 STINGの FIELDS OF GOLD最初に聞いたのは1993年。 Ten Summoner's Tales というアルバムの中に入っています。

曲の始まりは、♪You'll remember me when the west
wind moves Upon the fields of barley♪なんですが。

太字にした、「大麦」の意味のバーリィを、なぜか、「埋葬する」という意味のburyと勘違いするという大きな過ちをおかしていて‥。好きだった人が埋葬されている場所にかつての恋人がやってきている、と勝手に解釈した「絵」を頭の中で思い描いていたのです。ちゃんとタイトルに黄金色の、とついているにもかかわらず。

なんでそうなってしまったのかは、今となってはわかりませんが、その間違った解釈のせいで、私の中では、この曲は「さらに」せつないものとなってしまったのでした。(だって、かつての恋人は、人妻で、自分は名乗れない存在ではあるけれど、どうしても恋人が眠っている場所へ来たかった男の人。というストーリーが、私の中で出来上がっているので)

 最近この曲のハワイアンヴァージョンを、エアロビクスのクールダウンの時に聞きました。ゆったりとしていて、とてもよかったです。

 君はぼくのことを思い出すだろう。と 君をわすれない。とても似ているけど、「強さ」と「立ってる場所」がちがう言葉。

 スピッツ の 
チェリー ほど好きな日本語の歌は、もうこれから先現われないのでは?と思ってしまうほど、この歌が好きです。草野さんは、声もいいけれど、歌詞の組み立て方にいつもはっとさせられます。

  ♪ずるしてもまじめにも生きていける気がしたよ
   いつかまたこの場所で 君とめぐりあいたい ♪


 思い入れのある曲、3曲目まではすらすらと決ったのですが、あとの2曲はすっごく迷って‥‥そして、この2つに決めました。

 PATHS THAT CROSS パティ・スミスのDREAM OF LIFEというアルバムの中の曲です。 

  ♪Speak to me  Speak to me heart  
   I feel a needing ♪

こんな歌詞で始まります。忘れたくないものを忘れないために、忘れてしまってはいけないことを、繰り返し思い出すために、この曲を4番目に入れました。

 ラストの曲は、
夕涼み 松任谷由実作 PEARL PIERCE に入っています。ある時期、遠いむかし、それはもうよく、ユーミンの曲を聴きました。今でも歌える歌が何曲もあります。(誰の前でも歌わないけど・笑)その中で夕涼みを選んだのは、この曲で歌われている情景がとても好きだから。

  ♪願いごとは、叶いそうになったら おしえるよ♪

 
 やっと最後に辿り着きました。『バトンを渡す5人』です。そんなに「おともだち」が多くないので、困りましたが、もしよろしければ同世代代表ということで、このはなさん。ちょっと上の方ということで、海 五郎さん。お若いところで、pommeさん、お願いできませんでしょうか?どんな音楽をこの3人の方が聴いているのか、聴いていたのかとても興味があるのですが。いかがでしょう‥

 はあー、やっと終わりました。最後までお付き合い頂いた方、ありがとうございました。のべ3日かかってしまいました。




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アニバーサリー

2005-10-17 15:50:21 | 日々のこと

 たくさんあった2学期の行事。その中でも大きなイベントだった小学校の「おまつり」が、10月15日(土曜日)に無事に終了しました。ほっとしています。

 そして今日、10月17日は、じゅう何回目かのアニバーサリー。結婚記念日です。あいにくの雨降りだけど、もうどこかにお出かけしたりしないので、あんまり気にはなりません。

 10月17日に(もしもその日が無理ならその前後の日に)ひとつだけ、決っているのが、2人一緒の写真を撮ること。もちろん娘が生まれてからは、3人一緒の写真ですが‥。

 ずっと昔、まだ独身だった頃、原宿にあるZakkaさんのオーナー、吉村眸さんが、定点写真のお話を、どこかの雑誌(記憶の中ではLEE)でしていたのを読んで、いいなあと思っていたのです。

 定点写真とは、毎年決った日に決った場所で撮る写真のこと。(だと私は理解してます)

 吉村さんのところには、ふたごのお嬢さんがいて、たしか家族4人でのお写真だったような‥。当時独身だった私は、結婚したらこれだけは、忘れないで続けていこうと思ったのでした。

 上にあるのが、その記念の写真を貼ってあるアルバム。もしもの時に、必ず持ち出したいリストのトップ3に入っています。
 

 

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並ぶとかわいい

2005-10-12 11:28:00 | 好きな絵本

 ばらばらで見たときよりも、箱に入っていたり、順番に並んでいたりすると、
それだけでなんだかかわいらしく見えるものって、ありますよね。

 運動会なんかで、全校児童が並んでいるのを、後ろから見ている時も
そう思うし、色鉛筆が、グラデーションの通り並んでいるのも、とてもきれい。

 箱に入っている「うずらの卵」は、夫が見つけて買ってきて、写真に撮っておいたもの。
めずらしいし、かわいかったからと。

 
 うずらといえば、11月号の「おおきなポケット」にうずらのうーちゃんの話
というのが載っていました。

 作者の勝屋かおりさんの家で、実際に飼っていたうずらのお話だそうです。

 全部のページが(文字以外)、赤色だけで描かれているのが新鮮でした。
PCのソフトの赤色が気に入り、うーちゃんを描いてみたら、とても強そうで
かっこよかったので、そのまま全部を赤で仕上げたそうです。


     
*****************



 下の「牛乳消しゴム」は、今週の土曜日に行われる小学校のおまつりで、
ゲームの参加賞として使うものです。ネットで見つけて、15箱購入しました。
(まつり委員というのもやってまして‥)ひとはこに60個入っていて、
2047.5円です。定価52.5円のところ、箱単位で買うと1つが34.125円になります。
詳しくはこちらのお店へ
 
 おまつりといっても、体育館でバザーをやり、校庭で模擬店(カレーライス、
豚汁、おにぎりなどなど)と簡単なゲームを3種類というものなのですが。
準備も最終段階に入ってきて、あとは今日のような、秋晴れを期待するのみです。






 

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しんた・ぴんく と名づけたい

2005-10-11 11:05:01 | 好きな絵本
 毎月購入している「おおきなポケット」を買いに行った際、珍しく、
他に雑誌を2冊買いました。1冊は
海 五郎さんの「わくわく本」で紹介されていた、
みづゑ秋号「絵本のつくりかた2005」。もう1冊は、母の友11月号です。

 母の友は、長新太さんの追悼特集だったため‥。買おうか、ここで読んで
しまおうかと迷いながらページを繰っていたらこんな文章がありました。

 原画が完成し、入院の前日にいただいたお葉書には「ころころにゃーんが
最後でしょう。福音館ではじまり、福音館で終わりです。お元気で。さようなら」
と書かれていました。
 
 長さんに原稿を依頼していた「こどものとも」第二編集部編集長 関口展さんの文です。
2006年度4月号の「こどものとも0.1.2」のための依頼、とあるので、
次にさくらのつぼみが膨らむ頃、私たちは長さんの最後の作品を手にとることが
できるのでしょう。(タイトルは『ころころにゃーん』だそうです)  

 作品に関するニュースは、楽しみを与えてくれたけれど、葉書の中の文は、
その場で強く私の胸を打ちました。これは家に帰ってからも、何度も読み返さなくては、と
思わせるほどに。
 始まりがあれば、それには必ず終わりがついてくる。頭ではわかっているつもりでも、
いざその場所に自分が立たなければならなくなった時、自分はどれくらい「自分」で
いられるのだろう、と思います。
 長さんは、どんな気持ちで、この葉書を書いたのだろう。もしかしたら、
家にはもう戻ってこられないかもしれないなあと、思っていたのでしょうか‥。
 
 母の友の追悼特集のことなど、全然知らなかった時に、図書館から
『はなちゃん おふろ』という本を借りてきていました。だいぶ前に
このはなさんのところで紹介されていて、気になっていたのです。
主婦の友はじめてブックシリーズの中の1冊で、ほかにも『はなちゃん おさんぽ』
『はなちゃん すべりだい』があるようです。  
 18ヶ月くらいから楽しめます、と書いてあるように、1歳半から2歳くらいの
赤ちゃんに読んであげたら(一緒に読んだら)、ほんとに楽しいだろうなあ‥。

 おとうさんとお風呂に入っていたら、石鹸が湯舟に飛び込んで、それをあひるに
乗ったはなちゃんが追いかける‥。お風呂の中は「さかなたちのゆうえんち」に
なっていて、今度は石鹸に乗って、さかなたちと遊ぶはなちゃん。
船に乗ったおとうさんが、「そろそろでよう」と呼びにくるまで遊びます‥。  

 とっても印象的なのが、本の中の色使い。黄色、オレンジ、ブルーと、
きれいな色の中でもひときわ目をひくのがピンク色です。石鹸のピンク、
あひるのくちばしのピンク。鯛やヒラメのピンク、そして最後の場面で、
おとうさんがはなちゃんをくるむ、バスタオルのピンク。ほんとうに、きれいなピンク色です。
 
 前出の「母の友」の中で、福音館書店での著作を年代ごとで紹介している
ページがありますが、1990年代からあとの本には、ピンク色がよく使われているように思います。  
 いろんな御意見はあるかと思いますが、ワイン・レッドとか、レモン・イエロー
とかと同じように、あのピンク色を私は、「しんた・ぴんく
と名づけたい‥。
はなちゃん おふろ
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こかげにごろり

2005-10-09 18:17:46 | ひらきよみ(読み聞かせ)
 10月7日金曜日は、2学期最初の、読み聞かせの日でした。
(9月は運動会の応援練習などがあるため、朝の読書の時間もお休みでしたので)
順番は、3年生だったので、お願いして、娘のクラスに行かせてもらうことに
しました。
 選んだ本は こかげにごろり という本です。(韓国・朝鮮の昔話。
金森襄作再話、チャンスクヒャン画)この本は、去年、「読み聞かせ」を
初めてした時に選んだ本でもあり、その時も、たしか10月で、3年生の
クラスでした。「こどものとも」560号 2002年11月号 を持っていて、
それを読んだのですが
最近 単行本にもなったようです。  

 お話は、欲張りな地主に、働きもののお百姓さんたちという、昔話の典型
パターン。公共の広場にある、大きな木の「こかげ」さえも、自分の持ち物だと
地主が言い張るので、しかたなく、作物などと引き換えに、その「こかげ」を
お百姓さんたちは買い取ります。  
 季節の移りかわりとともに、地面にできる影の長さがかわっていき、
お百姓たちが、休憩できるスペース、すなわち「こかげ」が、徐々に地主の
敷地内にも伸びていくところが、お話のポイントです。真夏から始まった話が、
秋風の吹くお彼岸の場面で終わるのですが、それがこの時期にふさわしいように
思え、なんだかこのお話を読みたくなります。

 「こかげ」を表すのに、黒や墨色でなく、紫色を使っているところも
(そこにだけちぎった和紙を使っているようにも、見えるのですが)とても
いいと思うのです。  

 それと、描かれている服やお供えのごちそうなどを見ることで、近いけれど、
あまり知ることのない韓国・朝鮮という国やそこに住む人たちに、少しでも、
子供達が興味を持ってくれたらなあという気持ちもありました。 たった1冊の本、
7分くらいの読み聞かせでは、なかなか叶うことではありませんが、アジアの国の
昔話は、時折、読み聞かせの中にいれていきたいなあと、思います。
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ピアノなひととき

2005-10-05 18:41:13 | 好きなもの・音楽や本
 娘がかよっているピアノ教室。
「教室」って言っていいのかなあ、と迷うのです。もちろん教えてくださる先生は、ちゃんとピアノが弾けるちゃんとした先生。でも、先生として存在するずっと前から、夫の大学時代の同級生で、たまたま、うちから徒歩10分くらいの場所に住んでいた方なのです。

 夫は、娘が生まれた時から、「いつかピアノを」と思っていたらしく。私のほうは、自分自身のピアノとの苦い思い出が邪魔をして、自分から習いたい、ピアノを弾きたいと娘が言い出すまでは、ひたすら待つべきだと、思っていました。 
 夫と私と娘の「思っていること」がなんとなく一致してきたのが今年の2月頃。始めるならまだ遅くないよ、とその「先生」が言ってくれたこともあって、お世話になることに決めました。

 そうして始まった「ピアノな時間」。
 お教室は、先生のお住まいの、マンションのリビングルームです。ほとんど部屋いっぱいに置かれているグランドピアノ。その脇には小さな木の丸テーブルと椅子が3脚。(小さい子用のもいれると4脚ですが、どれも皆ちがう形)バンドをやってらっしゃるという先生の御主人のものなのか、キーボードが何台もあって、その奥には、古い(昔私のおばあちゃんが使っていたような)和箪笥が置かれています。  
 そんな部屋の中で聞くピアノの音は、すごく簡単なバイエルの練習曲なのに、とても澄んだ音色で響きます。  
 やっぱりグランドピアノの音はちがうのかなあ、と思いながら娘がレッスン受けている間の30分間、私は持ってきた本を広げます。それは、次に読み聞かせしようと思っている絵本だったり、
「北欧の道具と暮らしたい」だったり、読み忘れていたのを思い出して買った、村上春樹氏エッセイの文庫本だったり、図書館で借りた川上弘美氏の小説だったり。 たった30分弱のその時間が、とてもいとおしいひとときになっています。   
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ジーンズ好き

2005-10-04 15:46:22 | 好きな本

 1年のうち、ほんとに暑い2ヶ月くらいをのぞいて、ほとんど毎日ジーンズを
はいています。基本的にジーンズ。小学校の授業参観、懇談会の時も。友だちと、
たまにランチを食べに行く時も。電車に乗って美容院へ行く時も。
 そもそも私の夫は大のジーンズ派。最近では、小学生の娘も、真夏以外はほとんど
毎日ブルージーンズで学校へ行っています。

 だから、というわけではないのですが、旅するジーンズ、『トラベリング・パンツ』の
話は、とてもおもしろく読めました。 (ホワイト・グラヴの後半で紹介しています)  

 さて、続編の『セカンドサマー』 カルメン・レーナ・ブリジット・ティビー。
主役の4人の女の子たちは、不思議なジーンズとともに2度めの夏を迎えます。なにが、
不思議かというと、まるで体型のちがう4人全員が、このジーンズをはくことができ、
しかもはいた人をとても素敵に見せてくれるのです。

 年頃の女の子が4人もいれば、そりゃあ色々なことが起こります。恋の悩み、アルバイト、
家族の問題、愛するものとの永遠の別れ‥などなど。けれど、そのたびに4人は励ましあい、
ジーンズを送りあって、友情を深めました。
 
 
そして、17歳の夏。またしても4人それぞれが【渦中の人】となります。1年という
時間がたっている分、それぞれの「問題」も込み入ってきています。それに加え、
この『セカンドサマー』では、4人のそれぞれの母親たちの「問題」も見え隠れし、
それが
前作の『トラベリング・パンツ』よりも、作品に奥行きと深みを与えていると思うのです。

 この4人が親友になったのは、元はといえば、母親たちが、マタニティ教室で同じ
「9月出産組」(略して9月組と呼ばれていた)に属していたからなのですが。
 母親たちは、ブリジットの母が自殺してしまった頃から、次第に疎遠になっていき、
それとは反比例していく形で、娘同士はいっそう仲良しになっていきます。でも、
娘たちの気持ちの中では、ずっとずっと昔のように、また母親たちも仲良しに戻って
くれたらなあと、思っています。

 4人の母親のうち、レーナの母の「昔の恋の話」が一番せつなく、私の胸を打ちました。
娘に先立たれてしまった、ブリジットのおばあちゃんのことを考えると、ここでも泣けてきます。


 娘たちの気持ち、母親たちの気持ち。

その両方がわかる年頃だからこそ、この本がこんなに楽しめたのかなあと、思っています。

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2005-10-03 09:20:23 | 思い出の絵本

 飯野和好さんの作品といえば、「ねぎぼうずのあさたろう」が有名ですよね。
他にも「くろずみ小太郎旅日記」とか「おもしろ落語絵本ごくらくらくご」とか
【和】のイメージが強いのでは? と思いますが。私と飯野さんの作品の出会いは、
それとは正反対の【洋もの】シチリアのむかしばなし ドン・ローロのつぼ』という本です。
こどものとも年少版通巻263号、1999年2月1日発行 

 1999年の2月といえば、うちの娘が2歳半頃のこと。まだ早いかなと
思いながらも、年少版のほうを買い始めた頃でした。折り込み付録の
絵本のたのしみの「作者のことば」によると、この話は、『カオス・シチリア物語』
というイタリア映画(パオラ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟監督作品。
4編のオムニバスからなる不思議な妖しい物語)の第3話『甕』を
絵本にしたとのことです。映画の中では、「かめ」ですが、それを「つぼ」
としたのは、飯野さんで、それは甕より壺のほうが口の所がすぼまっているから
だそうです。(そこが話の重要な所なのですが) 

 年少版こどものともは、全部で24ページです。ほとんど文字がない、本もあります。
それはそれで、とても楽しいし、「読んで聞かせる」というよりも、
「絵本で一緒に遊ぶ」ことができてよいのですが、たった24ページの中で、
きちんと物語が展開され、しかもちゃんと「おち」までついているこの本は、
とてもすぐれものだと、私は思うのです。
 私自身が物語好きのせいかもしれませんが、たったこれだけのページ数で
よくこの話をまとめたものだと、読むたびに飯野さんに拍手を送ってました、心の中で‥。 

 肝心の中身は、どんなお話かというと。
ドン・ローロはお金持ち(農園主)で、お屋敷に住んでいます。イタリア人なので?
白いスーツに白い帽子もかぶっています。 

 お話は、今年とれたオリーブ油を入れるための、新しい特別注文の壷が、
馬車で運ばれてくるところから始まります。(下の写真の場面)
 ドン・ローロは壷を叩き、その美しく響く音色にうっとり。けれど、その晩、
あやしい くろくもが おりてきて 
壷がまっぷたつに割れてしまいます。
落ち込むドン・ローロ。 
 次の日、隣村から壷を治すことができるというディーマじいさんがやってきます。
ほんとに治せるかどうか半信半疑ながらも、そのじいさんに頼むより他に方法は
ありません。じいさんは、じまんの のりで ペタペタとわれたところを 
ぬって、はりがねで ギュイ ギュイ ぬいつけると
みごとに つぼは
もとどおり。
嬉しさのあまりドン・ローロは、よく状況も見極めず、じいさんに
御礼のお金を渡してしまいます。
 でも、でも、信じられないことにその時、ディーマじいさんは壷の中に入っているんです!! 
(自分が内側にいるまま、縫ってしまったんですね)
 怒り狂うドン・ローロ。出られないのも気にせず、そのお金でみんなと宴会を
はじめるディーマじいさん。 

 ここまでで、もう19ページまで来ています。残り5ページ。お話は急展開し、最後は・・・。 

 
 3歳にもなっていなかった娘がどこまでこの話をわかっていたかは、わかりませんが。
私は、最後の文章を読んだあと、いつも勝手に「でへへ」と付け足していました。
それがじいさんの「せりふ」として、そこに書いてあるかのように。
笑いながら「でへへ」という私につられて、娘も「おじいちゃん、でへへっ
だって」と言ってました。

 最後のページを載せて、その絵を見せたい衝動にかられましたが、これから
手にする方のために、やっぱりやめておきました。ただ、この本は未だ単行本化
されていないので、「おち」を知りたいかたにはこっそり教えます。
 

コメント (8)
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