my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

のうさぎさんのように

2006-12-28 15:20:22 | 好きな絵本

 あまり実感はないけれど、今年ももうすぐ終わりです。

 色々なことがあった1年でした‥。別れがあれば、出会いもあって。

 このブログを通してしか、知り合いようもなかった方々と、ほんとうに会うことができ、
親交を持たせていただいたのはとても嬉しいことでした。

 新しい友の新しいお店と、古くからの友の新しいお店。梅ヶ丘と日本橋浜町、
出かけて楽しい街が増えました。

 たくさんの絵本を知り、たくさんの絵本を読み、1年間ずっとブログを続けられたことは、
私にとってとても貴重な経験になりました。PCを開き、ここをクリックしてくださった皆様の
おかげです、ほんとうにありがとうございます。



 さてさて。

 今年最後の絵本は、こちらに決めました。
 「みどりの船」のフラニーさんの記事を11月に読み、それから市外の図書館より取り寄せてもらい、
先日、ことり文庫で見つけて、私の本棚の1冊になりました。


あな
        『あな』
       片山令子 文
         片山健  絵


 朝から、何もする気になれない日。のうさぎさんもそんな時、ただ テーブルに 
ほおづえを ついて、ぼーっと している だけです。

 が。のうさぎさん、いつまでもいつまでも、「ぼーっと」しているばかりではありません。

 「いま、どんな きもちかって
 いうと‥。
 そうね、
 たとえば この からっぽのカップ。
 そう。わたしは からっぽの
 きもちなんだわ」

 自分のぼーっとの気持ちのわけは、どこからやってくるのかを、冷静に見極め
始めるのです。

 目の前にあった、からっぽのカップのような気持ちかな、と思っては、カップほど
「べたべたしていない」(ゆうべミルクこうちゃを飲んだままだったのです)と思い‥。
 ろうかに落ちていたバケツを頭にかぶってみて、テーブルにぶつかってころんでは、
 「わたしの からっぽは こんなに うるさくない」と思います。
 庭に出てみたらシャベルがあったので、のうさぎさん、土に穴を掘り始めます。そして、
どんどん大きな穴を掘っていき、

 「そうそう。このくらい おおきな

 からっぽの きもちなんだ」

 穴の中に座り、空を見上げていたのうさぎさん。
 
 からっぽの きもちの
 あなの そこから みると、
 いつも みなれた 雲や空が、
 おどろくほど きれいなものに
 みえるのでした。


 ここまで読んで。のうさぎさんなかなかいいなと、思うのです。

 気持ちがマイナス方向に行きそうなときや、いっちゃったとき、いつまでもそれに
どっぷり浸かっていないで‥よーく自分の気持ちを覗き込み‥そして、自分の力で
立ち上がれたらなあと思います。

 バケツはちがうかな?と思いつつも、まあかぶってみて、シャベルが見つかれば、
取り合えず掘ってみます。見当ちがいなことのように思えても、遠回りで辿り付けるかも
しれないし。動いて、体をつかってみれば、それだけで気持ちも晴れるし、居心地のよい
「場所」も見つかるかもしれないし。

 お話の後半。穴の中で「いいこと」を思いついたのうさぎさんは、今度はその「いいこと」の
実行に夢中になり、なんのための穴だったのかを忘れていきます。
 季節が移り、翌春、からっぽのきもちの あなは、きれいな 花と実がいっぱいの、
かわいい まあるい花だんに なったんです
 って。

 からっぽの気持ちに、きれいな花が咲くなんて、不思議な話ですよね。
 でも、お話を追っていくと、のうさぎさんの思い込みと、空想癖と、行動力と、偶然の賜物
であることがわかります。

 

 新しい年。

 何かいいこと思いついたら、頭の中でめぐらせているだけでなく、体をつかってみようと
思います。的はずれの「バケツ」の場合もあるかもしれませんが、ちがうなと思ったら、
庭に落ちているかもしれないシャベルを探し‥ひたすら穴を掘ってみようと思います。

 目標は、のうさぎさんのように、です。

 変わらぬおつきあいを、どうぞよろしくお願い致します。


 


 
 

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冬休み特別企画、だそうです

2006-12-26 13:52:33 | 日々のこと
 冷たい雨の一日です。

 年末年始の準備がたいへん滞っているというのに、ほぼ日のHPは、あいかわらずよく見ています。
 みなさま、もうご存知かもしれませんが、今日あたりから、冬休み特別企画の谷川俊太郎質問箱 というのが始まりましたね。事前にメールで募集し、厳選された質問に、谷川俊太郎さんが年末年始をはさんだ11日間、毎日ひとつづつ答えてくれるというものです。

 秋頃の募集時に、なんかいい質問ないかなあ、聞きたいことないかなあ、と色々考えてはみたのですが、見事に何も浮かばず、自分の心の曇りを見せられているようで、嫌になってしまいました。

 突然なんてこと聞くんだあ。

 と、時々自分の娘に対して思いますが、そういうぽんと突き抜けたこと、もう思い浮かばないのでしょうか。ちょっと悲しいです。


 まあ、それはそれとして。

 谷川俊太郎質問箱、楽しみです。どんな質問があり、どんなふうに谷川さんがそれに答えているのか‥。





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ことり文庫

2006-12-25 16:55:52 | 好きなもの・おでかけ

 穏やかで、暖かなクリスマスイヴでした。
 東京方面へ来てくれたサンタクロースさんは、道に迷わず、時間通りに到着できたでことでしょう。うちにもちゃんと来てくれました。娘の希望した本が3冊、みどりいろのリボンで束ねられていました。

 さてさて、23日は、ブログに書いた通り、ことり文庫さんへ行ってきました!

 行く前からすでに舞い上がっていたせいか、ちゃんとした説明を書き忘れていて‥それに思い当たったのは小田急線の中でした。
 ことり文庫 とは、ブログ「ただ、絵本を読む」をやってらしたこうめさんが、12月22日に梅ヶ丘にオープンした本屋さんのことです。HPにとんでいただき、かわいらしいドアが並んでいる左から3つめの「事務所」をノック(クリックとも言います)してもらうと、オープンまでの道のりを読むことができます。

 私は縁あって、開店前の、まだ何にもないときのお店の中を見せてもらい、ここにメインの棚が来て、ここらへんが厨房になって‥と、こうめさんからお話を聞いていたのですが。

 びっくりしました!! ほんとうです。

 聞いていた通りの、思い描いていたのとほとんど変わることのない「本物」が、ちゃんと出来上がっていて、ガラス扉のこっち側からそっと見たら、こうめさんが、「本当の本屋さんの人」になっていて、ラッピングなんかしてるんです。


 カメラもちゃんと持っていって、こんな感じですと載せようと思っていたんです。でも、結局撮った写真は、夕方、こうめさんにさようならをした後に、振り返ってみた薄い薄い三日月だけでした。写真を撮ることも忘れて、月が出るまで、2時間半も私がお店に居たということで、ことり文庫がどんなところか、きっとわかっていただけますよね‥。

 私がゆっくりさせてもらっている間、何回か「波」がきて‥いろんなお客様がいらしていました。こうめさんとのおしゃべりは、とっても楽しくって。コーヒーと紅茶もいただいて、22日にお見えになったフラニーさんのおみやげのお菓子もいただいて。そして、こうめさんが接客中の時は、またはじからお店の棚を覗いていって。

 なにかのコマーシャルみたいですが、「あったらいいなあ」と私が思っていた本が、本当にどの棚にもあるんですよ。たとえば、バーバラ・クーニーの絵本が、それこそほとんど‥。わあ~と何度もこみあげてきて、困りました。やばい感じでしたね、とっても(笑)。



 夜になって、その日のことを色々思い返してみて、なんかしみじみ嬉しくなってきました。こうめさんや、ブログ友だちのみなさんと、繋がっている、と感じたこともそうですが、(私のおみやげのケーキを、今度は海五郎さんが、コーヒーのお供で召し上がってくれたそうなんです)ことり文庫は、ずっとずっとそこにあるんです。明日も、来月も、春になっても、おそらく10年後も。その事実が何より、すごく嬉しいということに気がつきました。






 
 

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なんていい天気!!

2006-12-23 12:16:16 | 日々のこと
 本日、東京近郊のK市も、素晴らしい青空です。

 気持ちいい~。

 これから、うわさの ことり文庫へいってきます。
 ほんとは、家族で行きたかったのですが、娘rは、友だちの家でのクリスマス会に呼ばれていて‥。それならたまには夫と二人で‥と思ったら、娘から「え~それはだめ。それなら私も行きたい」というクレームがつき、私ひとりで行くことににしました。

 
 すっごく楽しみ。

 開店前というか、物件が決ったときに、一度見せてもらったことがあるのですが、そこに棚が入って、本がたくさん入って‥あ~どんな感じになっているのでしょね。  
 
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バーナビーが教えてくれたこと

2006-12-20 16:35:46 | 好きな絵本
 クリスマス絵本ではないけれど、そこにあるのはクリスマススピリッツではないか、と
(勝手に)思った絵本ー『いつかはきっと』と『もりのてがみ』ーのことを書きました。

 今日これから紹介する本は、題名からはクリスマスの絵本だということはわからない
けれど、正真正銘、ほんもののクリスマス絵本です。


  ちいさな曲芸師バーナビー
 『ちいさな曲芸師 バーナビー』
 バーバラ・クーニー 再話 絵
    末盛千枝子 訳


 この話は、元々古くからフランスにあったものを、絵本作家のバーバラ・クーニーさんが、
自ら絵をつけて絵本に仕上げたものです。(絵も色使いもとても素敵です)
 クリスマスにラジオから流れていたストーリーに魅せられて、自分に息子が生まれたら
「バーナビー」と名づけることを決め(実際にそうなったそうです)、絵本にふさわしい形を
求めて、パリの図書館にある古書をみたり、フランス各地を旅して歩いたと知れば、
クーニーファンなら誰でも、そこまで惚れこんだ話っていったい???と興味をひかれることでしょう。

 ずっと昔、もう何百年も前のことですが、旅から旅へと曲芸をして歩くバーナビー
という名の少年がいました。今からお話するのは、私がきいたこのバーナビーの
お話です。
 少年にはお父さんもお母さんもいませんでした。自分の家というものも
ありませんでした。彼は、あっちこっち、遠く近く、いろいろなところを旅しました。

 バーナビーのお父さんも曲芸師で、彼は10歳の春に父と死に別れるまで、父とともに
芸をしながら旅をしていました。跳んだりはねたり、ボールを空中にバランスよく投げたり
することは誰よりも上手でした
が、他のことは何も知りません。本を読むことも知りませんでした。
 
 そんなバーナービーの暮らしと心持ちは、冬になり、修道士に声を掛けられたことで
変わっていきます。

 修道院に居ると、着るものにも、食べるものにも不自由はないのに、自分がなぜか悲しく、
みじめなことにバーナビーは気が着きます。それは、修道士みなが自分に与えられた
仕事をして働いたり、祈ったりしている姿に触れたからでもありました。

 クリスマスが近づくにつれ、修道士たちは今までよりももっと忙しく働くようになり、
バーナビーはますます悲しくなりました。
イヴに向けて、誰もが一年かけて作った小さな
贈り物をするのに‥歌だったり、写本だったり、木彫りの柵だったり‥自分にできることなど
なにもないと、彼は嘆きます。自分の「能力」や「範囲」を知ってしまったのでしょうね。

 
 自分にできること、できないこと。
 自分のしたいこと、したくないこと。
 
 これだけの中から選ぶのなら簡単ですが。

 自分がしたくても、できないこと。
 本当はしたくないけど、やろうと思えばできること‥。
 
 一番いいのは、自分がしたいことを、できること。


 お話のクライマックス、クリスマスイヴの日がやってきます。
 バーナビーは、聖母子像の前で泣いた日に、啓示を受けてから実践してきたことを
やってみせます。自分の力を出し切って、精一杯。それはマリア様のためであり、
自分自身のためでもあったと思います。

 
 誠意をつくすこと。自分に与えられた力を知ってそれを発揮すること。

 バーナビーが私に教えてくれたのは、これらのことです。

 




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もりのてがみ

2006-12-18 16:15:06 | ひらきよみ(読み聞かせ)

 この時期、世界中でいちばんたくさん手紙を受け取っているのは、やはりあのお方‥サンタクロースさんでしょうね。

 
 先週の金曜日は、今学期最後の「開き読み」の日でした。手にした絵本を読む前に、「もうすぐクリスマスですが、サンタさんへ手紙を書いたかなあ」と2年生に問い掛けてみました。突然の質問に驚いたのか、答えは曖昧でした。
 「この本に出てくるひろこさんは、サンタさんへではないけれど、いろんな手紙を書きました‥どんな手紙かな」と、『もりのてがみ』を読み始めました。

                        
もりのてがみ
     『もりのてがみ』
    片山令子 文 片山健 絵


 この本を、私が知ったのは、海五郎さんの「わくわく本」の紹介記事を読んだからでした。図書館へリクエストを出し、手元に届き、読んでみて最初に思ったことは‥表紙に描かれている赤いオーバーを着た女の子の名前のこと、正確には、本の中での「呼ばれ方」のことなんです。

 ひろこ、というのが彼女の名前なんですが、ひろこちゃんでも、ひろちゃんでも、ひろこでもなく、ひろこさんと、書かれているのです、こんなふうに。

 さむい さむい ふゆです。
 かぜのひ ゆきのひ、そとで あそべないとき、
 ひろこさんは ストーブのそばで、
 ともだちに てがみを かきました。


 作者の片山令子さんが、女の子のことを「ひろこさん」と、さん付けにしたこと、些細なことのように見えて、実はお話を決定づけるほど大切なことではないかな、と感じました。
 距離感が出るというか、作者が、主人公の女の子を、小さいながらも一人前とみなしていることが伝わってくるようで‥「ひろこさん」と書いた、片山令子さんってとてもいいなあと思ったのでした。
 

 ひろこさんは、まず「ともだち」のりすへ手紙を書き、それを森のもみのきに提げておきました。なぜ、もみのきかというと、他の木はすっかり葉を落としてしまったけれど、もりの まんなかにある おおきな もみのきだけは、かわらない みどりの えだを ひろげていたからなのと、みんながもみのきの下で、遊んでいたことを思い出したからです。

 りすの次には、とかげ、ことりたち、のうさぎ宛てと、どんどん手紙を書いては、もみのきにさげに行くひろこさん。前に書いたどの手紙も、濡れたり破れたりせずに、ちゃんとさがっています。
 見開きいっぱいに枝を広げた大きなもみのきと、そこにさがっている色とりどりのひろこさんの手紙は、まるで飾りつけ途中の、クリスマスツリーのようです。

 しずかに ゆきが ふりだしました。
 「そうだ。もみのきに てがみを かこう。」
 ひろこさんは そういって、うちへ かえっていきました。


 おおきな もみのきさま 
宛てに、このあとひろこさんが書いた手紙と絵は、とても素敵です。うっとりしたように目をふせているもみのきと、数々の手紙と、幹に寄り添って立つ(やはりうっとり顔の)ひろこさん‥。
 全然クリスマスのお話じゃない
けれど、ひろこさんがもみのきを大切に想う気持ちは、日々への感謝とイコールで結ばれ、それはすなわち、クリスマススピリッツではないかしら、と思うのです。

 「てがみ、さげておきます。
 よんでくれるかしら」
 ひろこさんは もみのきに いいました。
 もみのきは ゆきを かぶって、
 しずかに しずかに たっていました。




 
お話の方は、残り5分の1で季節が変り、急展開します。赤いコートを脱いで、セーター姿で動物たちと遊ぶひろこさんも、とてもかわいらしいです。
 片山健さんの描くもみのきからは、ほんとうに、さらさら さらさらと枝が鳴る音が聞こえてくるようです。





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SOME DAY

2006-12-13 15:50:08 | 好きな絵本

 2ヶ月くらい前から、図書館で借りては延長し、返してはまた借りてきて‥を
繰り返していました。
 
 すっごく、女の子こころをくすぐる本なんです。

  いつかはきっと(ほるぷ出版)
   『いつかはきっと‥』
     シャーロット・ゾロトフ 文
     アーノルド・ローベル 絵
     やがわすみこ 訳


 ONE DAY と「限定されている」日も、安心できていいけれど。
 SOME DAY は、いつになるかわからない分、楽しみが倍増されるような気がします。


 どのページも始まりは 「いつかは ね‥」というエレンの語りかけ。
 
 いつかは ね‥
 あたしが がっこうへいくと
 みんなが いうの。
 「まあ きょうは すごく すてき あたしも こんなかみのけ ほしいわ!」


 いつかは ね‥
 バレエのおけいこに いくと
 バードせんせいが おっしゃるの。
 「エレンを ごらんなさい あの じょうずなこと」


 
いつもは「うちのちび」と友だちに言っているおにいちゃんも、ちゃんと「ぼくのいもうと
です」と紹介してくれるようになり、かわいいブルドッグを飼ってそのお世話をして、
とっておきのお皿で、ママにディナーテーブルの用意を頼まれる‥空想の中で、
エレンはどんどんレディになっていくのだなあと、思います。

 レディ(大人の女の人)になる前は、みんなレディに憧れるけど、大人になってしまったら、
レディになる前の少女だった頃が懐かしくなるのかな‥。
 でも、「むかし女の子だったこと」を覚えている人は、いつもどこかに その時々の 
SOMEDAY を持っていられるような気がします。 

 私も、まだまだ負けないぞ~(笑)。

 

 この本を、繰り返し手元に置いてきたのに、今頃ここで紹介しているのには(実は)
わけがありまして。たった見開き1ページだけですが、とってもクリスマスというものを
よく表しているページがおしまいの方にあるのです。


 いつかは ね‥
 クリスマスツリーだって すきなように かざらせてもらう。
 パパも ママも おにいちゃんも てつだいっこ なしよ。


 
たった3行のテキストだけれど、クリスマスツリーがいかに「特別」なものであるかが、
とってもよくわかります。憧れであり、喜びであり、うーんあとは何だろう。クリスマス精神の
すべてが集まっているような‥そんな感じを受けたのでした。

  

 一般的にはぜんぜん「クリスマスの絵本」に入らないのだけれど、私が勝手に
「クリスマスっぽい」と思った絵本があと2冊あって‥今週と来週で、それについて
書けたらなあと思っています。





 


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小さな飾り

2006-12-12 13:55:37 | 好きなもの・ちくちく

 久しぶりに「ちくちく」をしてみました。


 いつも何かとうちの娘のことを気にしてくれる、開き読みペアのOさんが、「福袋に2つ入っていたから」と、かわいいプロフ帳をくれたのです。(一つは娘に、もう一つは娘の親友にと‥)
 そのお返しというわけでもないのですが、なんかクリスマスっぽいものを作りたくなり、ハギレがたくさん詰め込んであるバッグを開いてみました。

 娘が生まれてから保育園の年長組の時くらいまで、毎年クリスマス用のタペストリーキットを買っていて‥その時のハギレでかわいいものがたくさんあったので、3~4cmくらいの、ちょっとふかふかする飾りを作ってみました。ほとんどフリーハンドなので、ゆがんでいますが、クリスマスツリーの飾りつけに加えてもらえれば、嬉しいなあと思って。

 
 5つ作ってみたら、なんかとってもかわいく思えてきて‥ちくちく心が刺激されて困っています。

 「12月は忙しい」と言いながら、あといくつできるかなあと、残っている布の柄と色を組み合わせてみたりなんかしてしまいました(笑)。




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おやすみ みみずく

2006-12-11 15:52:26 | ひらきよみ(読み聞かせ)
 12月ももう3分の1が過ぎてしまいました。

 昨日の日曜日。やっとクリスマスツリーを飾ることができたので、今日からは、「クリスマスっぽい」と感じた絵本について書こうかなと思っていましたが、先週の金曜日の「開き読み」の本のこと、まだ書いてなかったことに気がついてしまいました。

 1年生のクラスで、読んだのはこの絵本です。


 おやすみみみずく(偕成社)
 『おやすみ みみずく』
  パット・ハッチンス 作
   わたなべしげお 訳

 
 ほんとうは、12月なので、何かクリスマスの絵本を読もうかなあと考えてました。『ぐりとぐらのおきゃくさま』とか。
 でも、それをやめてこっちにしたのは、小4の娘が、すごくこの絵本をおもしろがったからなんです。内容はとっても簡単で、え~こんなんでそんなに笑っちゃうの???と私は思ったのですが‥。

 朝。1本の大きな木にみみずくが一羽とまっている絵から、お話は始まります。

 
 みみずくが あー ねむたい。

 
 はちが ぶん ぶん
 はね ならす。
 みみずくは あー ねむたい。

 
 りすが きのみを
 かり かり かじる。
 みみずくは あー ねむたい。


 
りすがやってくるのは、見開き3ページ目で、そのあとに、からす、きつつき、むくどり、かけすなどいろんな鳥が次々にやってきます。でも、みみずくは あー ねむたい と言うばかり。よーく絵を見ると、ウインクしたり、下を向いたりと、表情は微妙に変わっているのですが、発する言葉は、ひとつだけです。

 その繰り返しが、おもしろいのでしょうね。

 1年生も、すぐに「あーねむたい」しか言わないみみずくに気がつき、「なんでおんなじことばっかり言ってるんだよー」とへらへら笑っていましたね~。


 私は、翻訳される前の英語版を開いてみたくなりました。
 鳥が「鳴く」の表現だけでも、様々な使い分けがしてあって‥訳者の渡辺茂男さんの語彙の豊富さに感心させられたので、もともとの英語表記も見てみたいなあと思って。

 からす→かーかーかーとなく
 きつつき→たららら たららら きをつつく
 むくどり→きゅる きゅる きゅるとおしゃべり
 かけす→じぇー じぇーとさけびだす
 かっこう→かっこう かっこうとよんでいる
 こまどり→ぴい ぴい ぴいとなく
 すずめ→ちゅん ちゅん さえずる
 はと→ぜぜっぽーぽー(鳩だけは、鳴き声だけでした。)

 
 
 どういう本のどういう箇所に書いてあったのか、どなたの著書だったのか、だいぶ前のことなので忘れてしまいましたが、語彙はたくさん持っているほどいい、というような言葉がありました。
 おなかが痛いときでも、ただ「痛い、痛い」というのではなくって、それがどんなふうに痛いのか‥しくしくなのか、ずきずきなのか、きりきりなのか、むかむかなのか‥言葉で表すことが大切ということでした。使える言葉をたくさん持っているということは、考えの幅というか、気持ちの幅も広がるそうなんです。なんでもかんでも「ムカツク」の、ひとつの言葉で済ませていると、それ以外の感情を持つことが難しくなってくる、というお話だったような気がします。

 
 鳥の声を聞いたとき。

 カラスは鳴いていた、でいいけれど、スズメの時は「さえずる」が自然に使えるような人でありたいなあと私も思いました。

 雨だって、ただ「降っている」のではなく、風だって、ただ「吹いている」だけではなく。
 


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ハーヴィ=スピリッツ・オブ・ニューヨーク

2006-12-08 15:36:36 | 好きな絵本

 今日は、「出会えた2冊」のうちの、もう1冊の本の話をしようと思います。

 
しょうぼうていハーヴィ ニューヨークをまもる(リトル・ドッグ・プレス)
『しょうぼうていハーヴィ ニューヨークをまもる』
 マイラ・カルマン 作
  矢野顕子 訳


 「しょうぼうてい」って聞きなれない言葉ですが、漢字にすると、「消防艇」‥
消火活動をするための船のことですね。題名についている「ニューヨーク」は
イコール「マンハッタン島」のこと。

 1931年にハドソン川へ初出航した、ハーヴィと名づけられたこの船は、桟橋の火事を
いちはやく消し、セレモニーではびゅうと水を噴き上げて(表紙の絵ですね)、ニューヨーカーの
人気ものでした。1931年という年は、ベイブ・ルースがヤンキースタジアムで611本目の
ホームランを打った年であり、スニッカーズというお菓子がお店に並んだ年でもあるそうです。
その頃、一番高いビルといえばエンパイアステイトビルで、まだツインタワーはできていません。

 そう、ハーヴィは実在の船で、このお話は「ほんとうにあったこと」なのです。

 
 ハーヴィには5つのディーゼルエンジンがあって
 時速20マイルで走る。(これってすごい はやさなんだよ。)

 1分間に16,000ガロン(消防車20台分!)
 の水を吹き出すパイプが8つ。

 ハンドルはきれいなまんまるだ。

 真ちゅうでできた吹き出し口は
 ゴールド・ルームに保管されてた。

 火事のしらせをうけたら
 2分以内に消防隊員はあつまる。

 もちろん火をこわがるような人なんか
 ひとりもいないさ。

 それとまぁ火は消せないけど、
 スモウキーっていう名前の犬が乗ってる。


 
大活躍のハーヴィでしたが、時代の流れには逆らえず、1995年には消防艇としての
役目を終え、鉄くずとして売られるまで、ただ川に繋がれていました。

 そんなハーヴィに転機が訪れます。

 フロランというレストランに集まっていた仲間たちが、お金を出しあって、ハーヴィを
買おうということになったのです。
 きれいに修理されたハーヴィは、ついにハドソン川に戻ってきます。2艘だけ残っていた
消防艇とも「友だち」になりトゥー トゥー トゥー トゥー と汽笛で「こんにちは」を
言い合ったり。でも‥

 「ハーヴィは古くてすてきな船だけど、
 まあもう消防の仕事をすることは
 ぜったいないよねえ」
 
 とみんなは言っていました。



 お話は、ここまでで3分の2ほど進んでいます。この後、どこかの桟橋か橋のたもとで
火事が起こり、たまたま近くを通っていたハーヴィが、その火事を消し「ニューヨークの街を
守りましたとさ」で、お話がおしまいになっていたとしても、はたらきもののじょせつしゃ
けいてぃー
や、ちいさいケーブルカーのメーベルのように、「はたらきものの車(船)の
話」で、めでたしめでたしだったと思います。
 役にたたなくなった消防艇を、「おもしろそうだから」という理由で復活させてしまう
試みそれ自体が、ニューヨーカーの遊び心そのものだと思うし。

 しかし。
 これ以上劇的なことは、生きている間にはもう2度と起こらないのではないか
(起こって欲しくない)ということが、ニューヨークの街に、ニューヨークに住む人たちの身に、
起こってしまいました。

 2001年9月11日朝8時45分の出来事です。

 本文では、こう記されています。

 あの高くそびえていたツインタワービルに
 飛行機が2機
 ものすごい力で 突っこんでいった。

 
庭の木の手入れをしていたボブ・レイも、キッチンでお茶を飲んでいたトムも、犬の
レイダーと散歩中だったチェイスも、小説を書いていたジェシカも、溶接工事中だった
アンドリューも、新聞を読んでいたティムも、『デイヴィッド・カッパーフィールド』を読んでいた
ハントリーも、仕事にでていたジョンも、みんなニュースを聞いてハーヴィのところに集まりました。
 そして、消火栓ががれきに埋り困っていた消防士たちは、すぐにハーヴィにホースを
繋ぎ、それから4日4晩、交代での消火作業は続きました。

 いろんな人たちが いろんなものを持ってきてくれた。
 船の燃料とか セーターとか手袋とか ピッツァとか
 サンドイッチとか コーヒーとかを。
 みんないっしょにはたらいた。
 みんな いっしょに泣いた。
 火がおさまるまで ずっとそうだった。


 
 
私は、政治的な背景とか、策略とか共和党とか、ヒロイズムとか、その他もろもろの
そういう話をしようとは思っていません。
 ただそういう場面に(そういう時代にかな)、居合わせたしまったハーヴィの不思議を
思い、ハーヴィとともに消火活動に携わった多くの人たちが、顔を大きくゆがめて泣いたり、
励ましあったり、呆然としたり、また静かに涙を流したりしている姿を、思い浮かべるだけです。
誰もが、自分にできる何かを懸命にしようとしているその姿を。

 スピリッツ・オブ・ニューヨークは、働くハーヴィと「イコール」で結ばれます。


 さてさて。
 私の「細い糸」はどこから繋がってきたのかというと‥。

 この絵本の作者であるマイラ・カルマンさんの絵。買った時からどこかで見たような‥と
気にはなりつつも思い出せずにいたところ、ある日家の本棚(夫の仕事部屋の奥にあって
普段は見にくい状態)で、別の本を探していて、↓の絵本を見つけたのでした。

 Ooh LA LA (Max in Love)
    Ooh LA LA (Max in Love)

 これこそがマイラさんの絵本。1992年4月から1993年8月まで、夫と二人でニューヨークに
住んでいた時に、唯一私が買った絵本だったのですね~。

 私たちが住んで居たアパートメントは14丁目にあり、南を向いた10階の窓からは、
右手に少しだけハドソン川が見え、ツインタワーがそれはきれいに見えたのでした。
ほんのちょっとの、語るのもオコガマシイ「ニューヨーカー生活」が、それまでの私と、
それからの私を、大きく変えてしまいました。
 3日で恋に落ちることがあるように、街に恋してしまうこともあるのです。

 

 2004年に「ハーヴィ」が出版された時、ほぼ日のサイトで、購入することができたようですね。
当時はまったく何も知りませんでした。
 最近になって、毎日のようにほぼ日を訪れるようになり、今「矢野顕子について
アッコちゃんと語ろう」という糸井さんと矢野さんの対談があって。それを読んでいたら、
過去記事の中に、「矢野さんの語る しょうぼうていハーヴィ」というのを見つけました。
こういうのを偶然見つけた時も「繋がってる」と思えて、嬉しいです。


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出会えた2冊

2006-12-05 16:10:37 | 好きな絵本

 ぽつんと落ちたしずくのような点が、頭の中で、いつまでも消えずに残っていて、}でも普段はちっとも意識とかしてなくて。なのに、ある日突然目の前にそれが現れると、私は
ずっとこれを探していたんだ、という深い喜びが沸いてくる‥。

 11月の初めに、目白のブックギャラリーポポタムで、イラストレーターの山本祐布子さん
絵本『ZOE』を見つけた時の気持ちは、そんなふうでした。ポポタムには、その日はじめて
行ったのですが、「絵本屋さん」っていうのともちがうし。大きな棚に、新刊本も古本も一緒に
置いてあるところが新鮮でした。

 
 私が山本祐布子さんを知ったのは、hinataさんこと、稲垣早苗さんが送ってくれた1枚の
切り絵のポストカードがはじまりでした。素敵だね、と話したところ、ギャラリーらふとの
「工房からの風」のポスターをお願いしている話を聞き、同じ頃『旅日和』という、山本さんの
本の存在も知りました。(その時の記録は

 『旅日和』は、切り絵のシャープさと、落ち着いた色合いが魅力的な、画集のような本ですが。
それより以前に出版されたこの『ZOE』は、キュートなティーンエージャー、ゾエの誕生日
パーティーの絵本で、紙を切って貼り合せている手法は同じですが、もっとポップで、もっと
自由な感じに仕上がっています。

 黒のサインペンと、包装紙‥みたいな組み合わせとか。
 フェルトのアップリケ、その上にさらに刺繍とか。

 
 コラージュとも違う、山本さんの切り絵を見ていると、紙をじょきじょき切っていく時の、
自分の耳元に届く音とか、手元に残る感触とかが、とてもリアルに甦ってきます。ただの
紙が、「かたち」になっていく過程で、そこに気持ちがはいっていくのではないかな、と思えるのです。

 四角く切られた「ただの紙」なのに、ほんとうにゾエへのバースデープレゼントが、
中に入っているみたいなんです。 


 画像でお見せできないのが残念です。
 
 『ZOE』 illustrated by YUKO YAMAMOTO
   227×177 size full coror.32P
  TRICOROLL BOOKS november 2000 releases. 

  
      *   *   *   *   *


 「出会えた2冊」のうちの、もう1冊も、同じ日に同じポポタムの棚で見つけました。

 題名は『しょうぼうていハーヴィニューヨークをまもる』
 マイラ・カルマン 作 矢野顕子 訳

 タイトルに“ニューヨーク“がついていて、訳者が矢野顕子さん、しかもユーズドブックスで
お値段もお手頃。それだけで、あとは何も知らずに選んだ1冊だったのですが、結果的に
「出会えた本」となりました。

 10年以上前からの、細い細い糸が、その本にも繋がっていたことがわかり不思議な
気持ちになりましました。ハーヴィの話は、次回に続きます。
 



コメント (2)
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