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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

前へ進もう

2016-12-31 09:05:54 | 好きな本

図書館の本棚をぐるりとまわって、なんとなく借りた本が面白かった時、
ちょっと得したような、嬉しい気持ちになるものです。

好きな作家の本は、偶然出会ったとは言えないけれど、それでも
「なんとなく」気分でえらんだときは、口元がほころびます。

 

小川洋子さんの本は何冊も読んだけれど、この本が家族の物語であるということも、
時代的に、私の少女時代とまるかぶりなことも、何も知らないで借りました。

読み終わってから、表紙をあらためて見ると、ああここにすべてが集約されて
いたのだなーと感心してしまいます。


ミュンヘンオリンピックの頃に、芦屋の大きなお屋敷に住む、喘息持ちの少女ミーナ。
いとこの朋子は、母の都合で1年間このお屋敷でお世話になることに。
二人の少女の、1年間のものがたり。

ミーナの体の弱さや、ミーナがマッチ箱に描き出す小さな物語に、ふと嫌な予感を覚えた
箇所もあったけれど、他の作品のオガワヨウコ的世界ではなく、ミーナは
コビトカバのポチ子に乗って、小学校まで通ったときのように、力強く、自分の人生を
「行進」していったのでした。
いい意味で、裏切られて、よかったです。 



家族のものがたり、って、好きだなあとしみじみ思いました。

今年は、昨年より、多くの本を読みました。
小説もファンタジーもYAもエッセイも時代物も、色々。

3年越しで停まっているわたしのものがたりも、来年こそは完成させようと
ここに記して、2016年を終わります。



どうぞよいお年をお迎えください。
一年間、ありがとうございました。 

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しんせつなともだち ちいさなもみのき

2016-12-21 17:16:25 | ひらきよみ(読み聞かせ)

先週の金曜日は、2学期最後の読み聞かせ当番の日でした。
ペアさんとふたりで4年生のクラスへ行く予定でしたが、前日の朝になって
風邪をひいた方の代わりにひとりで3年生のクラスへ行くことになったので
選書も仕切り直しました。

初挑戦で『ちいさなもみのき』を読んでみようと決め、10分近くかかる絵本なので
1冊でもいいかなと思ったのですが、その前に、短いけれど、とてもあたたかで
この時期にぴったりのこちらも読みました。


 
うさぎさんの次に、ろばさんが雪の中でさつまいもを見つけて、
家に帰ってきてみたら、かぶが置いてあったのを見て、

「ゆきが こんなに ふって、
とても さむい。やぎさんは きっと
なんにも たべものが ないでしょう。
このかぶを もっていって あげましょう」

のところで、どうやらこれは繰り返しになるのでは?と気が付いたようで、
ふふふと笑っている子もいました。
1年生だとしばらく読むまでは、それに気が付かないので、学年があがると
やっぱり違うものだなーと思いながら読みました。

 

2冊目は、今日のメインのこの絵本。
とても好きな絵本ですが、教室で読むのは初めてでした。

 
ベッドから一度も出たことがない、足の悪い息子のために、森にもみの木を
探しに来るおとうさん。

ちいさすぎもせず おおきすぎもせず
かたすぎもせず やわらかすぎもせず
きれいな みどりの ちいさなもみのき
わたしのむすこに ぴったりだ
つよく いっしょに のびていくんだ

父の気持ちが、痛いほどに伝わってきます。

春になるとまた森へ返され、次の冬にはまたおとうさんが迎えに
来てくれて、

おとこのこも、もみのきも、まえより すこし おおきく
なっていました。

けれど3年目の冬は、雪の降り出しがいつもより早く、森は雪に包まれ、
待てども待てども、おとこのひとは きませんでした。

クリスマスなしでは、このよは、ただ おおきく、
つめたく、からっぽにみえました。

と、もみの木があきらめかけた頃、遠くからクリスマスキャロルが
聞こえてきて‥その子供たちの先頭に居るのは、

あの ちいさなおとこのこでは ありませんか。
おとこのこは、ゆきのうえを あるいてきたのです。
もりのはずれの、じぶんのきの ところまで、あるいて
やってきたのです。


男の子にとって、もみの木にとって、そしてもちろんおとうさんにとって、
こんなに嬉しいクリスマスがあるでしょうかー。



3年生は、しんと静かに最後までよく聞いてくれました。
担任の女の先生が、私が本を閉じたあと、
「みなさんのところにも、クリスマスがやってきますね」と言ったのが
印象的でした。

プレゼントをもらうだけがクリスマスではないですものね。


 

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わたし クリスマスツリー

2016-12-15 17:48:14 | ひらきよみ(読み聞かせ)

先週の金曜日は1年生のクラスでの読み聞かせ当番でした。

12月に入ったので、やはりクリスマスに関する絵本がいいなあと思い、
図書館でこちらを借りてみました。



(今回、図書館で目にするまで、まったく知らなかった絵本です)


表紙の真ん中に描かれているのが主人公のもみの木、女の子です。

ただひたすら、きれいな町へ行って、クリスマスツリーになることを
夢みています。

ちょっと えだを かしてちょうだい と赤い実をつけたつる草に言われても、
小鳥たちが巣を作ろうとしても、

だめよ、だめよ。わたしは クリスマスツリーに なるの、
きれいな町で。

と、ことわるのです。

そして、遠くを走る貨物列車の積み荷を、かけすに見に行ってもらい、
りんごや大麦の次は、いよいよ、もみの木で、自分の番だと楽しみにしています。
しかし、ある日、乗せてもらえないままに、貨物列車は行ってしまい、
それでも、夢を捨てきれないもみの木は、力まかせに 根っこを 土から ひきぬき
森のみんながとめるのも聞かずに、 いちもくさんに かけだして しまうのです。

「わたしは クリスマスツリーに なるの。」

そう言いながら走り続けるもみの木の姿は、もう夢見る女の子というよりは、
もっと力強い‥執念?のようなものを、大人の私は感じたりするのでした。
あかりが消え、駅長さんも寝てしまった駅をあとにして、泣きながら戻りはじめた
もみの木の上にも雪が降り始め‥でも、森の仲間はもみの木をとても
あたたかく迎えてくれます。

おはなしの成り行きを、(きっと)心配しながら聞いていた1年生も、美しく飾って
もらえたもみの木をみて、最後は安心したようでした。

それにしても、このもみの木さん。

たくさんの どうぶつたちが あつまってきた。
「ぼくたちの クリスマスツリーだ。」

のあとに。

「わたし、クリスマスツリーに なるために うまれて きたの。」

と言うあたり、ただの夢見る女の子ではないな、と私は思うのです(笑)。



この日の2冊目は、ペアさんのこの絵本でした。


お話が始まる前に、歌い始める元気のよさでした♪







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